兵庫県の古民家再生促進支援事業について
優良な古民家が数多く存在する兵庫県では、既存ストックの有効活用、伝統的木造建築技術やまちなみ景観の維持・継承を目的として、地域の大工・建築士等による古民家再生を支援する「古民家再生促進支援事業」が実施されています。
目 次
古民家再生促進支援事業の内容
古民家再生促進支援事業では、申請に基づき、下表のスケジュールにのっとり、要件に適合する古民家に対して建物調査、再生提案及び改修工事費助成が実施されます。
建物調査 | 専門家による建物調査とアドバイス | 4月15日(月)より令和6年度の申込受付開始 | ひょうご住まいサポートセンター(外部サイト) TEL:078-360-2536 |
再生提案 | 専門家による再生手法の提案 | 4月15日(月)より令和6年度の申込受付開始 | ひょうご住まいサポートセンター(外部サイト) TEL:078-360-2536 |
改修工事費助成 | 再生提案を行った古民家(再生提案型)又は自主的に再生提案(自主提案)を行った古民家(自主提案型)のうち、地域活動や交流の拠点、宿泊体験施設、店舗等地域の賑わいや活性化に資する施設(地域交流施設)や賃貸住宅(歴史的景観形成地区等に存するものに限る)として再生するものについて、改修工事費を助成 | 申請期間:令和6年4月15日~12月27日 | 兵庫県住宅政策課 |
対象となる古民家は、以下の要件に該当する住宅又は歴史的建築物です。
古民家 | 昭和25年の建築基準法施行日より前に建築されたもの | 4月15日(月)より令和6年度の申込受付開始 |
伝統的木造建築技術により建築されたもの又はこれと同等以上の文化的価値の高い建築技術により建築されたもの | ①軸組構法で造られたもの ②接合金物に頼らない伝統的な継ぎ手及び仕口を用いたもの ③筋かい等の斜材を多用せず、貫を用いたもの ④主要な壁は土塗り壁等の湿式工法を用いたもの ⑤屋根は和瓦又は茅葺き等伝統的素材を用いたもの | |
歴史的建築物 | ①景観法に基づく景観重要建造物 ②県又は市町の景観条例等に基づく景観形成重要建造物等 ③文化財保護法に基づく指定文化財又は登録文化財 ④重要伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物 ⑤ひょうごの近代住宅100選に選定された建築物 |
建物調査・再生提案
建物調査では、古民家所有者からの申請により、費用負担なしで、派遣された専門家による建物の調査(建物各部の構造、仕上げ、破損状況、修繕すべき部分、建物の特徴・価値、法規制など)が行われ、修繕・再生の可能性や維持管理方法などのアドバイスを受けることができます。
再生提案では、建物調査を実施した古民家のうち、特に再生を推奨するものについて、古民家所有者からの申請により、費用負担なしで、派遣された専門家による所有者の意向等を勘案した再生手法(再生計画(間取・パースなど)、必要な修繕内容、工事の概算費用など)の提案を受けることができます。
年度の早い時期に建物調査を実施した場合は、建物調査と再生提案を同一年度に実施することは可能です。ただし、その後の改修工事については、補助金交付に係る手続や工事に要する期間を考えると、工事内容が極めて軽微な場合を除き、同一年度内に実施するのは困難です。改修工事費補助を受けることを目的に建物調査や再生提案を申請される場合、工事は翌年度になることを前提としたスケジュールで計画を見積もるようにしてください。
なお、改修工事を急ぎたい場合は、ひょうご住まいサポートセンターによる専門家派遣を受けずに自主提案(自主調査含む)を行い、「自主提案書(要領様式第5号)」を添付することで補助金の交付申請を行うことができます。
申請方法
建物調査を希望する場合は、以下の書類をひょうご住まいサポートセンターあてに郵送するか、又は持参することにより申請を行います。
- 建物調査申請書(様式第1号)(WORD)
- 附近見取り図(地図)
- 外観、内観のカラー写真(各3枚以上)
建物調査・再生提案ともに令和6年4月15日から受付けが開始されていますが、建物調査については予定件数に達し次第締め切られ(先着順)、再生提案については締め切り日が未定となっています。いずれも令和6年10月~11月に開催される古民家再生検討会議において、採択・不採択の決定がなされます。
なお、再生提案の申請様式等は、建物調査時に、手渡しされることになっています。
改修工事費助成
上記の再生提案を行った古民家(再生提案型)及び自主的に再生提案(自主提案)を行った古民家(自主提案型)のうち、地域活動や交流の拠点、宿泊体験施設、店舗等地域の賑わいや活性化に資する施設(地域交流施設)や賃貸住宅(県又は市町の条例による歴史的景観形成地区等の区域内に存するものに限る)として再生するものであって、以下の要件を満たすものについて、改修工事費助成が行われます。(自己居住のための改修工事は補助の対象とはなりません。)
- 改修内容が古民家の価値を損なわないもの
- 地元市町や地域等と連携が図られ、持続可能な活用が見込まれると認められるもの
- 都市計画法、建築基準法、農地法その他関係法令を遵守するもの
- 改修後に一定の耐震性を確保すること
- 改修後10年間以上、地域交流施設又は賃貸住宅として活用し、事業完了の翌年度と翌年度から3年ごとに活用状況について報告すること
- 古民家の存する市町からも改修工事費助成を受けること
- 令和7年2月28日(金)までに改修工事及び工事代金の支払いが完了すること
市町が補助制度を有していない場合、改修工事費助成は利用することができないため、古民家改修工事費助成の事業を実施している市町については、下表でご確認ください。また、既に契約締結や工事着手をしている場合は、補助金を申請することはできないほか、期日(令和6年3月11日)までに工事及び支払いが完了しない場合は、補助金の交付を受けることはできません。
原則として他の補助制度との併用はできませんが、補助対象経費が明確に区分できる場合は、併用が認められるケースもあるため、各補助事業の実施主体に相談するようにしてください。
なお、この事業は、原則として単年度事業となり2期に分けて補助することはできません。工事工程上、どうしても単年度で完了しない等の特別な事情がある場合は個別に相談するようにしてください。
確保すべき耐震性
確保すべき耐震性については、古民家再生促進支援事業実施要領(PDF:218KB)により、地域交流施設等として活用する全部分について、下表のとおり定められています。
古民家の一部を活用する場合で、構造的に分離されており活用部分のみで耐震診断が実施可能な場合は、活用部分が耐震性を満たしていれば申請可能として取り扱われます。 交付申請時に、建築士により作成された、「耐震性能確認書(要領様式第3号)」を提出する必要があるため、建築士に作成を依頼するようにしてください。
申請者の要件
古民家の所有者でなくても、古民家を再生し活用するために改修する者であれば、古民家の所有者全員から承諾を受けたことを証する承諾書(要領様式第2号)」を提出することにより申請が可能です。
他方、暴力団排除条例及び暴力団排除条例施行規則に規定する暴力団又は暴力団員については、補助事業の対象とはなりません。
適用除外
土砂災害特別警戒区域、災害危険区域又は津波災害特別警戒区域の区域内に存する古民家は、この事業の対象からは除外されています。
補助額
対象経費区分に応じて、下表のとおり補助額が定められていますが、市町の定めた補助額がこれより少額の場合は、市町の補助額が上限となります。
対象経費区分 | 補助額 | |
---|---|---|
古民家 | 500万円未満 | 対象外 |
500万円以上1000万円未満 | 250万円 | |
1000万円以上1500万円未満 | 400万円 | |
1500万円以上 | 500万円 | |
古民家のうち歴史的建築物 | 500万円未満 | 対象外 |
500万円以上1000万円未満 | 250万円 | |
1000万円以上2000万円未満 | 500万円 | |
2000万円以上3000万円未満 | 850万円 | |
3000万円以上 | 1000万円 |
なお、この補助金は、一時所得として所得税の課税対象となる場合があります。
★申込み・問い合わせ先
兵庫県まちづくり部住宅政策課住宅政策班
TEL:078-341-7711(内線4889)
対象となる建築物
住宅とは、建物内に、一つ以上の居室、専用の台所、専用のトイレ、専用の玄関を有するものをいいますが、母屋にはトイレがなく、離れにはトイレがあるなど、母屋+離れで住宅の要件を満たす場合は住宅とみなされます。
古民家(母屋)を地域交流施設等として活用する場合は、付属建築物(離れ、倉庫等)も対象となりますが、附属建築物は建物単体では住宅としてみなせず古民家の要件に該当しないため、附属建築物単体で申請することはできません。
再生後に併用住宅として活用する場合は、住宅部分を除いた、地域交流施設又は賃貸住宅(歴史的景観形成地区等のみ)として活用される部分のみが補助対象となります。(町屋のような併用住宅も補助の対象となりえます。)
地域交流施設の用途例
地域交流施設の用途例としては、地域食材を中心とした食事を提供する農家食堂(地元農産物の直売所を併設)、地域の方が利用できるコワーキングスペース・特産品の販売を行うマルシェや講座等の地域交流の場、地域の農業、文化体験ができる宿泊施設などが想定されていますが、いずれにしても申請にあたっては、活用方法について市町からの推薦が必要になります。
審査期間
申請書類一式が県に到着してから、おおむね2週間~1ヶ月ほどで審査が完了します。申請書類の提出前に、兵庫県住宅政策課に事前相談をしていると、比較的スムーズに審査が進みます。
補助対象経費
補助対象となる経費は、古民家を地域交流施設又は賃貸住宅として活用するために必要な工事に要する費用のうち、以下の補助対象外経費を除いたものになります。
- 申請手続又は検査に係る費用
- 設計又は調査に係る費用
- 壁・床・天井など建築物と一体となっていない設備機器又は照明機器に係る費用(シーリングライト、エアコン等)
- 高効率給湯器に係る費用(電気ヒートポンプ給湯器(エコキュート)、潜熱回収型ガス給湯機(エコジョーズ)、潜熱回収型石油給湯機(エコフィール)又はヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリット給湯機)等)
- 業務用の設備機器に係る費用
- 外構工事に係る費用
- 増築工事又は改築工事に係る費用
【参考:補助対象工事の例示】
ガス設備工事 | △ | 高効率給湯器は対象外 |
カーテンの設置 | △ | 家具に該当するので対象外。(カーテンレールの設置は対象) |
壁紙の張替 | ○ | |
換気扇の設置 | ○ | |
給排水衛生設備工事(配管工事等) | ○ | 敷地内の配管工事、水道引き込み工事等敷地外の工事も対象 |
給湯機の新設・更新 | △ | 高効率給湯器は対象外 |
業務用の設備工事(業務用厨房設備など) | × | |
下水道引き込み工事 | ○ | 検査・申請費用は対象外 |
検査費用 | × | |
シャッターの設置(掃き出し窓) | ○ | |
絨毯・カーペットの敷設 | × | 家具であるため対象外 |
浄化槽の設置 | ○ | 検査・申請費用は対象外 |
照明器具 | △ | 建物と一体のものは対象(引っ掛けシーリング等により取り外し可能なものは家電扱いのため対象外) |
食器洗い乾燥機 | △ | 建物と一体のものは対象(置いているだけのものは対象外) |
植栽 | × | |
申請費用、申請手数料 | × | |
図面作成 | × | |
増築工事 | × | |
耐震改修工事 | ○ | |
耐震診断 | × | |
宅配ボックスの設置 | △ | 建物と一体のものは対象 |
畳の張り替え 畳からフローリングへの変更 | ○ | |
建具(窓・扉)の取替、新設 | ○ | |
断熱改修工事(床・壁・窓(サッシ)・天井等 | ○ | |
造り付け収納等家具工事 | ○ | 建物と一体のものは対象 |
電気設備工事・配線工事 | ○ | 照明器具等建物と一体でないものは対象外 |
内装工事(床、壁、天井のクロス張替えや塗装等) | ○ | |
排水設備工事 | ○ | 建物内部に限らず、敷地外までの排水設備も補助対象 |
ハイブリット給湯機(ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機) | × | |
バリアフリー改修工事(段差解消、手摺の設置など) | ○ | |
襖の取替、張替 | ○ | |
防音工事 | ○ | |
防蟻工事(シロアリ駆除、床下防湿剤の設置、薬剤吹付処理等) | △ | 改修工事ではないため対象外(傷んだ柱や土台の交換に伴い実施する場合は改修工事に該当するものとして対象) |
防水工事 | ○ | |
防犯カメラ・防犯ライト設置 | × | |
他の補助事業の対象工事 | × | |
舗装工事 | × | 外構工事なので対象外(配管工事に伴う復旧工事は対象) |
補修・取替・修繕工事(基礎・土台・柱・壁・床・屋根等) | ○ | |
間取り変更工事(間仕切り壁の設置、床張替等) | ○ | |
薪ストーブの設置 | △ | 建物と一体のものは対象 |
水回りのリフォーム(台所、トイレ、浴室、洗面室) | ○ | |
屋根のリフォーム(葺き替え、補修・塗装・取替等) | ○ | |
床暖房システムへの改修工事 | ○ |
補助金の交付申請
補助金の交付を受けようとする者は、知事に対し、事業に着手する前日までに、市町を経由して、以下の書類を提出します。ただし、知事が別に定める書類により、収支内容が確認できる場合は、収支予算書の提出を省略することができます。
- 補助金交付申請書
- 収支予算書
- 事業計画書
- 事業費内訳表
- 見積書の写し
- 改修前後の建物図面等(付近案内図、配置図、平面図その他改修工事内容が確認できる図書)
- 現況写真
- 建物の所有者が確認できる書類
- 建物所有者と申請者が異なる場合は所有者の承諾書等
- 耐震性能が確認できる書類
- 交付申請者が暴力団等に該当しない旨並びに地方自治法第221条第2項及びこの要綱第15条の規定に基づき県が行う一切の措置について異議を述べない旨の誓約書
- 建物調査報告書の写し(実施した場合)
- 再生提案報告書の写し(自主提案の場合は、古民家の再生に関する提案内容が分かる書類)
- フィジビリティ調査報告書の写し(実施した場合)
なお、補助金交付申請書を提出するに当たって、補助金に係る仕入れに係る消費税等相当額(補助対象経費に含まれる消費税及び地方消費税に相当する額のうち、消費税法に規定する仕入れに係る消費税額として控除できる部分の金額とその金額に地方税法に規定する地方消費税率を乗じて得た金額との合計額に補助率を乗じて得た金額)がある場合には、これを減額して申請します。
補助事業の遂行状況報告等
補助事業者は、知事から補助事業の遂行状況の報告を求められたときは、報告をするものとされており、補助事業が予定の期間内に完了する見込がない場合又は補助事業の遂行が困難となった場合は、速やかに補助事業遂行困難状況報告書(様式第7号)を知事に提出して、その指示を受ける必要があります。
また、補助事業が完了したとき(補助事業の廃止の承認を受けるときを含む)又は交付決定に係る県の会計年度が終了したときは、知事に対し、補助事業実績報告書(様式第8号)を、完了の日から起算して30日を経過した日又は事業の完了の日の属する県の会計年度の翌年度の4月10日のいずれか早い日までに提出する必要があります。
知事により額の確定が行われたのち、補助事業者から提出される補助金請求書(様式第10号)を提出することにより補助金が交付されます。
帳簿の備付け
補助事業者は、補助事業に係る収入及び支出の状況を明らかにした帳簿を備え、かつ収入及び支出について証拠書類を整理し、補助事業が完了した年度の翌年度から5年間保存する義務を負います。
財産の処分の制限
補助事業者は、補助事業により取得し、又は効用の増加した財産を、地域交流施設又は賃貸住宅として期間内に、補助金の交付の目的に反しての管理開始から10年間(処分制限期間)、使用し、譲渡し、交換し、貸し付け又は担保に供する場合において、その取得価格又は効用の増加価格が50万円以上であるときは、知事の承認を受けなければこれを行うことができません。
このため補助事業者は、承認の対象となる財産に係る台帳を備え、その処分制限期間の間、保存する義務を負います。
古民家再生促進支援事業サポート
弊所では、兵庫県全域を対象に、補助金交付請求をはじめ、古民家再生促進支援事業に関する事務をサポートさせていただいています。また、旅館業の営業許可の取得等、許認可申請の代行も十八番としています。弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。古民家再生促進支援事業の関連事務でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
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