【申請サポートあり】宿泊施設で活用できる補助金│宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制強化事業(宿泊施設インバウンド対応支援事業)― PMS(宿泊管理システム)導入補助金について分かりやすく解説
観光庁では、同一観光地内の事業者グループや団体を対象に、宿泊施設の管理システム(PMS)の導入、入れ替え、カスタマイズなどに補助金を交付する「宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制強化事業(宿泊施設インバウンド対応支援事業)」を実施しています。
宿泊施設個別の取り組みや、ホテルチェーンやグループ企業間にとどまる取り組みなど、地域への波及効果が薄いと判断される事業計画は採択されず、あくまでも事業者グループや団体の取組みに対して補助を行うという事業です。本稿ではこの補助金について、出来る限り詳しく解説していきたいと思います。
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PMSとは
宿泊管理システム(以下、PMS)とは「Property Management System」の略語であって、主にホテルや旅館等宿泊施設の「予約管理」「客室管理」「顧客管理」「売上管理」「データ分析」など管理すべき情報を一元的に管理することのできるシステムをいいます。
PMSの導入により、労働コストが最小限に抑えられるため、フロント業務の効率化や人員削減の効果が期待されます。また、利用客ごとのきめ細かな情報(食事の好みや浴衣のサイズなど)を職員間で共有して活用することで、質の高いサービスの提供にもつながります。
公募要件
この事業は、「明日の日本を支える観光ビジョン」で掲げられた訪日外国人旅行者数4,000万人、6,000万人への実現に向け、また、ポストコロナの観光需要を見据え、全国各地の観光地において、全ての訪日外国人旅行者が快適に宿泊できる環境を整備することを目的とし、旅館・ホテル等の宿泊施設におけるデジタル技術を活用した情報管理の高度化や生産性向上、宿泊施設及び地域の観光関係事業者等のデータ活用・連携強化等により、地域全体で収益向上を図る取組に要する経費の一部を補助するものです。
冒頭でお伝えしたとおり、この補助金を受給することができるのは一定の団体に限られており、一宿泊施設が単独で申請することはできません。この一定の団体には、以下のいずれかの団体が該当します。
- 宿泊事業者等団体(原則5以上の宿泊事業者やその他関係する事業者等により構成される団体)
- 構成員宿泊事業者(宿泊事業者等団体の構成員である宿泊事業者)(宿泊施設の規模は不問、法人に限らず個人経営の宿泊事業者も可)
- 特定宿泊事業者(宿泊施設の規模は不問、法人に限らず個人経営の宿泊事業者も可)
このうち特定宿泊事業者とは、DMO(DMO又はその候補として観光庁長官の登録を受けた法人)又は地方公共団体と連携して地域の訪日外国人の宿泊者数を向上させるための具体的な取組を行っている宿泊事業者をいいます。なお、同一観光地内でデータ連携可能な、互換性のある宿泊施設管理システムを導入する特定宿泊事業者については、単独による申込みが認められています。
また、補助対象となる宿泊施設を営む民間事業者等は、以下の要件をすべて満たすことが必要とされています。
- 旅館業法旅館業法第3条第1項に規定する許可を受けた宿泊施設であること
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営む者に該当しないこと
- 令和5年4 月以降も事業の継続を予定していること
- 反社会的勢力の排除に関する誓約に同意すること
補助対象事業
前記の要件に該当する団体が事業計画を策定した上で申請し、採択された後以下の対象事業を行うことにより支払った経費の一部が補助金として交付されます。
この公募は、事業計画を採択するための公募であって補助金交付の申請ではありません。事務局の審査により採択となった事業計画に基づく事業について、必要な交付申請手続きを経て実施されていくこととなります。
- PMSのうち、オンプレミス型の導入・更新、又はクラウド型の導入(サブスクリプション販売形式等の月額・年額で使用料金が定められている形態の製品及びその保守は、最大2年分の費用が対象)
- 「情報管理の高度化」に資する既存PMS本体の入替
- PMS本体を周辺・外部システムと連結するために必要なカスタマイズ
PMS本体の機能
新規で導入するPMS本体には、予約管理、客室管理、フロント会計、顧客情報管理の機能を備えていることが要件となります。
情報管理の高度化
「情報管理の高度化」とは、単なるバージョンアップ等ではなく、事業者内あるいは事業者間や地域内での情報連携強化、生産性向上に寄与することをいいます。
カスタマイズ
周辺・外部システムとの連結に必要なカスタマイズは、PMS本体側に施すものが補助対象となり、周辺・外部システム機器類は補助対象外となっています。
補助金の額等
補助率 | 1/3 |
補助金の額 | 補助対象経費 ✕ 補助率 |
補助上限額 | 1施設あたり上限300万円 |
公募(申請受付)期間 | 令和4年11月7日(月)~令和5年1月13日(金) |
また、「宿泊事業を核とした観光地のDX推進に向けた実証事業」に採択された計画と連動した事業計画を申請する場合は、公募の審査において評価されます。
なお、同一内容の事業において、国(独立行政法人含む)より別途補助金が支給されている、または支給されることが確定している場合、本公募の補助対象とはならないのでご注意ください。後日、その事実が判明した場合は、補助金の交付決定を取り消されることがあります。
補助対象経費
対象となる経費は、以下の要件をすべて満たすものとされています。対象経費費目が型番や製品番号のみの記載となっていて、内容が不明瞭な場合は対象経費として認められないことがあるので、詳細が分かる書類またはカタログ等を用意します。
- 使用目的が補助対象事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
- 補助金交付決定後の発注・契約等により発生した経費
- 証憑・見積書等により契約・支出金額が確認できる経費
★補助対象経費例
- システム購入費用(システム構築、カスタマイズ費用を含む)
- システム利用に必要となる機器購入費用
- 設置および設置に伴う関連費用
- 撤去費用
- 雑役務費用
- システム・機器類の操作・取り扱い指導費用
- マニュアルの作成・印刷費用
- ソフトウェア、オプション、役務
- IT導入支援事業者が提供するソフトウェア、オプション、役務の導入費用(サブスクリプション販売形式等月額・年額で使用料金が定められている形態の製品及びその保守は、最大2年分の費用が補助対象)
- ハードウェア購入費
- ハードウェアの購入費用(補助対象経費となるソフトウェアの導入と合わせて購入する場合に限る)
★補助対象外となる経費例
- グループ代表やグループ構成員の人件費など経常的経費
- 中古品機器の購入・設置費用(新品機器類のみ補助対象)
- 維持管理費用等ランニングコスト(初期費用のみ補助対象)
- すでに購入されたソフトウェアに対する増台や追加費用購入分のライセンス費用、また既存ソフトウェアに対するリビジョンアップのための費用
- 補助対象事業への公募や交付申請に係るコンサルティング料または書類作成等費用
- 故障等に備えるための予備の機器及び部品の購入費用
- 必要な経理書類を用意できないもの
- 自社内部の取引によるもの
- 販売や有償レンタルを目的とした製品、商品等の生産・調達に係る経費
- オークションによる購入(インターネットオークションを含む)
- 保証金、敷金、仲介手数料等不動産の賃貸に際し必要となる経費
- 電話代、インターネット利用料金等の通信費
- 名刺や文房具、その他事務用品等の消耗品代(ペン類、インクカートリッジ、用紙、はさみ、テープ類、クリアファイル、無地封筒、OPP・CPP袋、CD・DVD、USBメモリ・SDカード、電池、段ボール、梱包材の購入など)
- 雑誌購読料、新聞代、団体等の会費
- 茶菓、飲食、奢侈、娯楽、接待の費用
- 不動産の購入・取得費、修理費、車検費用
- 税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用および訴訟等のための弁護士費用
- 金融機関などへの振込手数料、代引手数料、インターネットバンキング利用料、インターネットショッピング決済手数料等
- 公租公課(消費税・地方消費税は、消費税等を補助対象経費に含めて補助金交付申請額を申請し、その内容で交付決定を受けた「免税事業者・簡易課税事業者」を除き、補助対象外とする)
- 各種保障・保険料
- 借入金などの支払利息及び遅延損害金
- 免許・特許等の取得・登録費
- 講習会・勉強会・セミナー研修等参加費や受講費等
- 商品券・金券の購入、仮想通貨・クーポン・(クレジットカード会社等から付与された)ポイント・金券・商品券(プレミアム付き商品券を含む)での支払い、自社振出・他社振出にかかわらず小切手・手形での支払い、相殺による決済
- 役員報酬、直接人件費
- 各種キャンセルに係る取引手数料等
- 補助金応募書類・完了実績報告書等の作成・送付・手続きに係る費用
- その他、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
★発注先
補助事業における発注先(委託先)の選定にあたっては、2社以上から見積りをとり、より安価な発注先(委託先)を選定します。ただし、発注(委託) する事業内容の性質上、見積りをとることが困難な場合は、該当企業等を随意契約の対象とする理由書を交付申請時に提出します。
★支払方法
補助対象経費は銀行振込による支払いを原則とし、小切手・手形による支払いは不可となります。クレジットカードによる支払いは、事業完了期限までに引き落としが確認できる場合のみ認められます。分割払いにより、事業完了期限までに支払いが完了せず、所有権が補助事業者に帰属しない場合は対象外となります。リボルビング払いの場合も、事業完了期限までに当該代金の支払いが完済し、かつ、第三者による証明がなされない限り対象外とされています。
相殺 | 補助事業者から相手方へ資金の移動が確認できないため、相殺(売掛金と買掛金の相殺等)による決済は認められません。 |
決済 | 決済は法定通貨で行います。仮想通貨・クーポン・(クレジット会社等から付与された)特典ポイント・金券・商品券(プレミアム付商品券を含む)の利用等は認められません。 |
電子商取引 | 電子商取引を行う場合、取引相手先によく確認し、仕様提示、見積、発注、納品、検収、請求、支払といった流れで調達を行い、適切な経理処理の証拠となる書類(取引画面を印刷したもの等)を整理・保存・提出ができることを把握してから取引を行います。取引相手先の都合等により、発注した日が確認できる取引画面を提出できない、補助対象経費として計上する取引分の請求額が判明する書類が提出できないやインターネット画面が取得できない等の場合は補助対象になりません。 |
申請方法
申請用のフォーム・書類を記入後、メールの件名を「【○○(申請グループ名)】宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制の強化事業」とし、添付する様式(Excel)はパスワードを付けて暗号化したうえで下記メールアドレスまで送付します。
★送付先
Mail:shinsei@skhk-digir4.jp
★ お問い合わせ先
宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制強化事業事務局
TEL:0570-028-108
(9:30~18:00/土日祝・年末年始を除く)
★Excelの暗号化手順
バージョンによって多少異なりますが、以下の手順でExcelを暗号化することができます。
- 1.[ファイル]タブを開いて、[情報] を選択。
- 2.[ブックの保護]、[パスワードを使用して暗号化] の順に選択。
- 3.[パスワード] ボックスにパスワードを入力し、[OK] を選択。
- 4.[パスワードの再入力] ボックスのパスワードを確認し、[OK] を選択。
設定パスワードは、ファイル送信とは別メールで事務局に連絡します。
採択基準
- 公募要件を満たしていること
- 事業計画について、個々の宿泊施設での情報管理の高度化や生産性向上を図る取組の計画であること、さらに、個々から得られるデータや分析を、地域全体の経営やマーケティング、プロモーション等に活用していく取組の計画であること
- 宿泊施設の平均客室稼働率、及び訪日外国人宿泊者数の目標が、現状に比して高い目標であること
- 上記の計画・目標の達成が見込まれる理由が合理的であること
補助事業完了後の報告
事業終了後、サブスクリプション販売形式等月額・年額で使用料金が定められている形態の製品を継続的に活用していることを証する書類等を効果報告期間内に報告します。
事業実施効果報告対象期間 | 補助事業実施後~令和7年3月31日まで |
報告期限 | 令和7年4 月末まで |
補助金申請サポート
補助金は、元を正せば府民の皆様の税金を財源とする交付金制度です。適正な目的のもとで、正しく運用されることを前提にしているため、その要件や手続きは複雑かつ煩わしい仕組みを採用しています。本当に必要な補助金であるか、必要であれば要件を満たしているか等、まずは本稿で確認したうえでじっくりとご検討ください。
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