接客業務受託営業者は一時支援金の対象になるの?

一時支援金リーフレット
出典元:経済産業省公式サイト

令和3年3月8日より申請の受付が開始された一時支援金ですが、いまいち対象が分かりにくいといった声を聞きます。その中でもとりわけ分かりにくいのが、接客業務受託営業といわれる事業形態の事業者です。

実は弊サイトで最もアクセスが集中する記事が下の埋め込み記事であり、特に3月以降は毎日多くの閲覧者が訪れます。このことからも、支援金や給付金と関連付けた接客業務受託営業に対する関心が高まっていることを感じさせます。

本稿では、接客業務受託営業を行う事業者が今回の一時支援金の対象となりうるのか、対象となる場合にはどのような要件が必要となるのかについて分かりやすく解説してみたいと思います。

接客業務委託営業について

接客業務受託営業とは

一時支援金の給付対象

一時支援金の概要については下の埋め込み記事に解説を譲り、ここではその給付対象についてざっくりとご紹介させていただきます。

  1. 緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や外出・移動自粛により売上が減少したこと
  2. 2019年又は2020年比で2021年1〜3月のいずれかの月の売上が50%以上減少したこと
  3. 中小法人又は個人事業者等であること

上記がその大まかな要件ですが、ここから次に解説する給付対象外となるものを除外し、給付対象であるかどうかを判断することになります。

給付対象外となるもの

  1. 一時支援金の給付通知を受け取った者
  2. 公共法人
  3. 風営法に規定する「性風俗関連特殊営業」又は当該営業にかかる「接客業務受託営業」を行う事業者
  4. 政治団体
  5. 宗教上の組織又は団体
  6. 地方公共団体による営業時間短縮要請に伴い新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を用いている協力金の支払対象となっている飲食店
  7. その他、一時支援金の趣旨・目的に照らして適当でないと中小企業庁長官が判断する者

こちらが給付対象外とされている者の一覧です。一時支援金の給付が既に確定した者については当然再度の給付申請はできませんし、時短要請に応じ協力金を得ることができる飲食店も十分に補償を受けているため除外されます。公共法人や宗教法人についても理解はスムーズに進むものと思います。

問題は赤く強調した3.ですね。

性風俗関連特殊営業

風俗営業といって思い浮かべるのは一般的にこちらの業態ですよね。詳しくはこちらも埋め込み記事に譲りますが、性風俗関連特殊営業に該当する事業者は残念ながら一時支援金の給付を受けることはできません。そして性風俗関連特殊営業の事業者から委託を受けて接客業務を請け負う事業者についても、同様に一時支援金の給付を受けることはできません。

接客業務受託営業の定義

ここで改めて接客業務受託営業の定義について確認してみることにしましょう。以下が風営法に規定される接客業務受託営業の該当要件となります。

接客業務受託営業とは、専ら、接待飲食等営業店舗型性風俗特殊営業特定遊興飲食店営業深夜酒類提供飲食店営業を営む者から委託を受けて当該営業の営業所において客に接する業務の一部を行うこと(当該業務の一部に従事する者が委託を受けた者及び当該営業を営む者の指揮命令を受ける場合を含む。)を内容とする営業をいう。

(風俗営業法第2条第13項)

この条文をご覧になって気づいた方も多いでしょうが、委託する事業者は性風俗関連特殊営業(店舗型性風俗特殊営業)の事業者に限られず、他にも接待飲食等営業、特定遊興飲食店営業、深夜酒類提供飲食店営業といった3形態の飲食店が存在しています。

とどのつまり、一時支援金の給付対象外とされているのは、あくまで性風俗関連特殊営業(店舗型性風俗特殊営業)の事業者から接客業務を受託した事業者に限られ、接待飲食等営業、特定遊興飲食店営業、深夜酒類提供飲食店営業の事業者から接客業務を受託した事業者については、一時支援金の給付対象となりうるという結論が導かれます。

給付対象となる接客業務受託営業の事業者

細かく確認すると、接客業務受託営業の事業者が一時支援金の給付を受けるためには、以下のような要件が必要となります。

  1. 緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や外出・移動自粛により売上が減少したこと
  2. 2019年又は2020年比で2021年1〜3月のいずれかの月の売上が50%以上減少したこと
  3. 中小法人又は個人事業者等であること
  4. 接待飲食等営業、特定遊興飲食店営業、深夜酒類提供飲食店営業の事業者から接客業務を受託した事業者であること

接待飲食等営業

キャバクラやホストクラブといった接待を提供する営業形態です。このうち、事業者から直接雇用される従業員は接客業務受託営業の事業者には該当しないため、一時支援金の給付対象とはされません。

特定遊興飲食店営業

いわゆるナイトクラブを営業する事業者です。接待飲食等営業と同様に、事業者から直接雇用される従業員は一時支援金の給付対象とはされません。接客業務受託営業の事業者と認められるためには、税務署に対して開業届を提出していることが必要です。

深夜酒類提供飲食店営業

バーやスナックといった深夜まで営業する接待を提供しない形態の飲食店です。上の2事業と同様に、直接雇用される従業員ではなく、接客業務受託営業の事業者として開業していることが必要な要件となります。

まとめ

一時支援金の給付対象となるかどうかは非常に重要な問題です。決して多くはない給付額ですが、不正がなく、正当な手続きを経て開業している事業者に対しては、等しく救済されるべきだと考えます。

うちの事業って給付金の対象になるの?

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