芦屋市屋外広告物条例とは│全国屈指の厳しい看板規制と許可申請の手続きを行政書士が解説

六甲山の緑と大阪湾に挟まれた芦屋市は、市全域を景観地区に指定するなど、景観の保全に力を入れてきた街です。屋外広告物についても、兵庫県の条例ではなく市独自の芦屋市屋外広告物条例を平成28年7月1日から施行しており、屋上広告物やネオンサイン、アドバルーンを市内全域で禁止しているほか、住宅地では自分の店の看板以外の広告物を原則として掲出できないなど、全国でも有数の厳しい規制を設けています。
兵庫県内では、神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市がそれぞれ独自の条例を定めているほか、景観行政団体として独自条例を制定した芦屋市、豊岡市、丹波篠山市でも市の条例が適用され、それ以外の地域には兵庫県屋外広告物条例が適用されます。ただし芦屋市でも、電車の車体に表示する広告物と屋外広告業の登録には、県条例が適用されます
本稿では、芦屋市の手引に沿って、規制の概要と7つの規制地域、共通基準と地域ごとの基準、許可申請の手続と設置後の義務を整理します。
屋外広告物とは
屋外広告物とは、常時または一定の期間継続して、屋外で公衆に表示されるもので、看板や立看板、はり紙、ポスター、建物の壁面に表示した文字や商品名、シンボルマーク、写真、のぼり旗が該当し、営利目的か非営利目的かは問われません。一方、街頭で配布するチラシや、店の窓ガラスの内側に表示したもの、音響による広告は、屋外広告物に当たりません。

規制の概要
芦屋市の条例は、広告物を掲出できない物件(禁止物件)と、どの地域でも掲出できない広告物(禁止広告物)を定めたうえで、市全域を7つの規制地域に区分し、地域ごとに掲出できる広告物の種類と規模を定めています。
禁止物件
橋、トンネル、石垣、街路樹、信号機、道路標識、消火栓、郵便ポスト、銅像、景観重要建造物、道路の路面、市長が指定する区域内の電柱には、広告物を掲出することができません。電柱や街灯、アーチやアーケードの支柱には、はり紙、はり札、広告旗、立看板を掲出することもできません。

禁止広告物
次の広告物は、市内のどの地域でも掲出することができず、すでに掲出されている場合は速やかに撤去することになります。
- 著しく汚損し、または退色した広告物
- 著しく破損し、または老朽化した広告物
- 倒壊または落下のおそれがある広告物
- 信号機や道路標識に類似し、またはその効用を妨げる広告物
- 道路交通の安全を阻害するおそれのある広告物
適用除外
法令に基づいて表示する広告物、国や地方公共団体が公共的な目的で表示する広告物、公職選挙法による選挙運動用のポスター、非常災害時の応急的な表示は、許可を受けることなく禁止物件にも掲出することができます。
一定の基準内の自家用広告物と管理用広告物、冠婚葬祭や祭礼のための一時的な広告物、非営利の活動のための表示(掲出期間30日以内)は、許可を要しませんが、禁止物件に掲出することはできません。また、景観アドバイザーの意見を聴いたうえで市が優れたデザインと認めた広告物は、個別の基準にかかわらず許可される場合があります。

地域の区分
芦屋市は、市全域を次の7つの広告物等規制地域のいずれかに指定しています。
| 地域 | 範囲 |
|---|---|
| 山麓地域 | 市街化調整区域 |
| 住宅地域 | 第1種・第2種低層住居専用地域、第1種・第2種中高層住居専用地域(一部を除く) |
| 複合地域 | 住居地域、近隣商業地域(一部を除く) |
| 芦屋川特別地域 | 芦屋川の沿岸一帯 |
| 南芦屋浜特別地域 | 南芦屋浜 |
| 沿道沿岸特別地域 | 主要な幹線道路の境界線から20m以内(一部を除く) |
| 広告物誘導特別地域 | 国道2号・国道43号の境界線から30m以内、JR駅前周辺(一部を除く) |

共通基準
芦屋市においては、すべての地域の広告物について、以下の基準が適用されています。色彩については、各色相で最も彩度の高い色と、明度9を超える白に近い無彩色を地色に使うことも禁止されているほか、表示面の一部に使えるアクセント色や規制色の彩度の上限が地域ごとに定められています。
- 位置、形状、面積、色彩、意匠を周囲の景観と調和したものとすること
- 建築物の屋上に設置しないこと
- 回転灯、点滅灯、ネオン管が露出したネオンサイン、LEDを使用しないこと(内照式のもの、駐車場の満空表示のように必要最小限のものを除く)
- 蛍光塗料や反射の強い塗料を使用しないこと
- アドバルーンを使用しないこと
- 1文字あたりの面積を1㎡以下(地上からの高さが15mを超える部分は2㎡以下)とすること
- 彩度の高い2色の組合せ、補色の組合せ、彩度の高い色と黒の組合せを避けること

地域ごとの基準
山麓地域、住宅地域、芦屋川特別地域、南芦屋浜特別地域、沿道沿岸特別地域では、掲出できる広告物が自家用広告物、管理用広告物、案内誘導広告物に限られ、他人の広告を掲出する貸看板は原則として掲出できません。自分の店の看板(自家用広告物)と管理用広告物が許可を要しない規模は、地域ごとに次のとおりです。
| 地域 | 許可を要しない規模(自家用・管理用それぞれ) |
|---|---|
| 山麓地域 | 5㎡以下・2枚以下 |
| 住宅地域 | 5㎡以下・3枚以下 |
| 複合地域 | 10㎡以下・3枚以下 |
| 芦屋川特別地域 | 3㎡以下・3枚以下 |
| 南芦屋浜特別地域 | 3㎡以下・3枚以下 |
| 沿道沿岸特別地域 | 3㎡以下・3枚以下 |
| 広告物誘導特別地域 | 5㎡以下・3枚以下 |
上表の規模を超える場合は市長の許可が必要となり、敷地内に建てる看板や壁面から突き出す看板、のぼり旗についても、地域ごとに可否と規模が定められています。
| 地域 | 敷地内に建てる看板(1方向の面積・基数・上端の高さ) | 壁面から突き出す看板 | のぼり旗 |
|---|---|---|---|
| 山麓地域 | 5㎡以下・2基以下・5m以下 | 不可 | 不可 |
| 住宅地域 | 5㎡以下・2基以下・7m以下 | 1㎡以下、出幅1m以下、上端4.5m以下(道路上は不可) | 不可 |
| 複合地域 | 20㎡以下・2基以下・15m以下 | 1㎡以下、出幅1.5m以下、上端4.5m以下(道路上は歩道上のみ) | 1個2㎡以下、相互の間隔5m以上 |
| 芦屋川特別地域 | 2㎡以下・2基以下・5m以下(近隣商業・商業地域は7m以下) | 近隣商業・商業地域のみ可 | 不可 |
| 南芦屋浜特別地域 | 2㎡以下・1基以下(商業系は2基以下)・5m以下(商業系は7m以下) | 商業系の地域のみ可 | 不可 |
| 沿道沿岸特別地域 | 5㎡以下・2基以下・7m以下 | 1㎡以下、出幅1m以下、上端4.5m以下 | 不可 |
| 広告物誘導特別地域 | 20㎡以下・2基以下・15m以下 | 1㎡以下、出幅1.5m以下(道路上は歩道上のみ) | 1個2㎡以下、合計8㎡以下、相互の間隔5m以上 |
壁面に表示する看板の1個あたりの面積は、山麓地域、住宅地域、芦屋川特別地域、沿道沿岸特別地域が5㎡以下、複合地域と広告物誘導特別地域が20㎡以下、南芦屋浜特別地域が2㎡以下(商業系の地域は5㎡以下)とされています。
看板が壁面を占める割合の上限は原則として5分の1で、南芦屋浜特別地域は10分の1です。置看板は、どの地域でも1方向0.5㎡以下、1個1㎡以下、1基までとされています。

★関連資料
屋外広告物許可申請
許可の窓口は芦屋市都市建設部都市計画課で、事前相談の後に以下のを提出し、審査を経て手数料を納付すると許可通知書が交付され、広告物を設置した後に取付完了届を提出するという流れになります。
| 書類 | 新規 | 変更 | 更新 |
|---|---|---|---|
| 屋外広告物許可申請書(様式第1号) | 必要 | 必要 | 必要 |
| 付近見取図、掲出場所のカラー写真(3か月以内に撮影したもの) | 必要 | 必要 | 必要 |
| 形状・材料・構造に関する仕様書と構造図 | 必要 | 必要 | 不要 |
| 色彩(マンセル値)、意匠、面積を示す模写図 | 必要 | 必要 | 不要 |
| 建築物との関係や壁面の状況を示す図面、既存広告物の模写図とカラー写真 | 該当する場合 | 該当する場合 | 不要 |
| 施設管理者の同意書(様式任意) | 該当する場合 | 該当する場合 | 該当する場合 |
| 既存広告物の自己点検結果報告書(様式第2号)とカラー写真 | 不要 | 不要 | 必要 |
| 委任状(様式任意) | 該当する場合 | 該当する場合 | 該当する場合 |
| 審査に必要と認める図書 | 該当する場合 | 該当する場合 | 該当する場合 |

許可期間・審査手数料
許可期間は、看板・広告板・広告塔が2年以内、宣伝車や電柱・街灯、車体を利用するものが1年以内、広告幕が90日以内、立看板やはり紙・はり札が30日以内です。屋外広告士といった有資格者を管理者に置く場合は、1年以上の許可期間に1年を加えることができます。なお、審査手数料は、広告物の種類ごとに次のとおりです。
| 広告物の種類 | 単位 | 手数料 |
|---|---|---|
| 看板・広告板・広告塔 | 5㎡未満 | 1,000円 |
| 5㎡以上10㎡未満 | 2,000円 | |
| 10㎡以上15㎡以下 | 3,000円 | |
| 15㎡超 | 3,000円に15㎡を超える5㎡ごとに1,000円を加算 | |
| アーチ | 1基 | 4,000円 |
| アーケード・テント | 1基・1個 | 広告板に準じる |
| 宣伝車、ラッピングバス | 1台 | 2,000円 |
| 車体利用 | 3㎡以下 | 1個300円(合計2,000円を超える場合は1台2,000円) |
| 3㎡超 | 1台2,000円 | |
| 電柱・街灯、バス停留所の標識 | 1個 | 300円 |
| 広告幕、広告旗、立看板 | 1枚・1基・1個 | 300円 |
| はり紙・はり札 | 100枚 | 300円(100枚未満は100枚として計算) |
| その他の広告物 | 1枚・1個・1基 | 300円 |
他の手続き
道路の敷地内や道路の上空に突き出して広告物を設置する場合は、条例の許可とは別に、道路管理者の道路占用許可と所轄警察署長の道路使用許可が必要となるため、表示・設置の前に都市計画課と事前に協議しておきます。
また、高さが4mを超える広告塔や広告板は、建築基準法に基づく工作物の確認申請が必要となりますが、確認申請は屋外広告物の許可を受けた後に行うこともできます。
設置後の義務
許可を受けた広告物を設置したときは、取付完了届を提出するとともに、高さが4mを超え、または表示面積が10㎡を超える広告物であれば、屋外広告士をはじめとする有資格者を管理者として置くことになります。設置後は、広告主と管理者が広告物を良好な状態に保ち、定期的に安全点検を行う義務を負っており、その結果は、許可を更新する際に既存広告物の自己点検結果報告書として提出します。
更新の申請は、許可期間が30日を超え2年以内のものは満了日の30日前までに、それ以外のものは満了日の10日前までに行います。許可期間の満了や許可の取消しの場合、掲出の必要がなくなった場合は、遅滞なく広告物一式を除却して除却届を提出します。条例に違反した広告物には、改修、移転、除却の措置命令が出されることがあり、措置命令への違反や無許可での掲出、報告や立入検査の拒否には、50万円以下の罰金が科されることがあります。
まとめ
芦屋市屋外広告物条例は、屋上広告物、露出したネオンサインやLED、アドバルーンを市内全域で禁止し、住宅地では自家用・管理用・案内誘導の広告物しか掲出できないなど、全国でも有数の厳しい規制を設けています。許可を要しない自家用広告物の規模も地域によって3㎡から10㎡までと異なるため、看板を設置する前に、敷地がどの規制地域に当たるかを確認しておくことが欠かせません。
県条例時代の広告物に認められていた経過措置はすべて期限を迎えており、更新の際には自己点検結果報告書の提出も求められます。芦屋市で店舗を開業する場合や、既存の看板を更新・改修する場合は、計画の段階で都市計画課に相談し、地域の基準に沿った看板を準備しておくことが大切です。


