古物商許可を取得するメリットと許可取得後の義務について

古物営業法では、古物の取引を営業として始めようとする者について、都道府県公安委員会(警察署)に対して申請し、古物商許可を受けることを求めています。
他方、許可を得て古物商となった者については、本人確認義務、古物台帳への記録義務及び不正品申告義務といった数々の義務が発生します。
新しいチャレンジをしようとするときは、こういった手続的な基礎知識を収集することも大切ですが、かかるメリットとデメリットについて事前にリサーチすることもまた有意義かつ重要な事項です。
そこで本稿では、古物商許可を取得することによるメリットと、許可取得後に古物商に課される義務について詳しく解説していきたいと思います。
目 次
古物商の許可制度
古物の取引を営業として始めようとするときに古物商許可を受ける必要があることは冒頭で述べたとおりですが、そもそも古物営業に許可制を採用しているのは、窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的としているからです。
たとえば大切にしていた腕時計を盗まれたとして、窃盗犯が換金目的で盗品の腕時計を買取事業者に持ち込んだと仮定しましょう。
その際買取事業者が反社会的な人物や素性のしれない人物であったりすると、盗品である腕時計の流通経路を追えなくなるおそれが高まります。
このような趣旨を持つ制度であるため、古物商には許可取得後においても様々な義務が課されます。
古物商許可を取得するメリット
古物商許可を取得することで得られるメリットは数多くありますが、このうち代表的なものは以下のとおりです。
- 古物取引を事業として営むことができる
- 古物市場へ参加することができる
- 節税対策ができる
- 信頼性が向上する
- 他業種と相性が良い
古物ビジネスへの参入
古物営業法第31条第1項では、許可を受けることなく古物営業を営んだ者について、3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処するという旨の罰則が設けられています。
この規定は他の刑法犯と比べてもそれなりに重い罰則ですから、罰則を適用されることなく腰を据えて古物ビジネスに本格参入するためには、古物商許可は必須のライセンスです。
また、最近ではコンプライアンス意識の高まりからネットショップのサイト運営者から出品者に対して古物商許可を取得するように促すケースが増えており、弊所でもこのパターンでの問い合わせが増加傾向にあります。
古物市場への参加
古物市場は許可を取得した古物商のみが取引を行うことができる市場です。
古物取引をビジネスとして成立させるためには魅力的なラインナップを揃えることが不可欠ですが、商品となる古物を安定的に供給するためには個人からの買付けのみでは心もとありません。
古物市場はそのような需要に応える場であり、逆に在庫処分の場として活用することも可能な場所です。
古物商のみが参加することができる市場であることから、古物商許可は古物市場に参加するためのチケットとも言えます。
節税対策
あくまでも「自分の物の売買」を主張するのであれば古物商許可の取得は必要とされませんが、その場合には売上金額すべてについて税金が課されます。
他方、古物商として税務署に対して開業届を提出している場合は、売上金額から仕入費用を差し引いた金額にのみ税金が課されることになります。
例えば80万円で購入した中古車を100万円で販売したと仮定して、これが単なる個人売買であるれば受け取った100万円すべてについて課税されることになります。
ところがこれが古物営業としての売買であると認められると、100万円から仕入れに支払った80万円を控除した20万円のみが課税対象となります。
継続的な取引で利益を追求するのであれば、古物商として開業届を提出して事業化した方が、節税という観点からみてもメリットがあると言えます。
なお、最初から転売目的で商品を売買する場合は、例え「自分の物の売買」であることを主張したとしても「古物商」に該当するため、許可なく売買を行えば先述した罰則の対象となる可能性があります。
信頼性の向上
資格や営業許可には有形無形を問わず保有者に対する「信頼性」を向上させる効果がありますが、特に融資や補助金等を申請する場面ではその効果を発揮し、大きな武器となります。
他業種との相性
古物商は取り扱うことのできる品目も豊富ですが他の業種との相性も抜群です。
特に同じく不用品を取り扱う産業廃棄物収集運搬業とは相性が良く、ダブルライセンスによりビジネスの幅は大きく向上します。
古物商許可を取得することによるデメリット
許可を取得することは新たな権利を得ることと同義ですが、同時にその営業について義務と責任が生じます。これをデメリットと呼ぶかどうかは別として、古物商許可取得後は営業に係る様々な手続きが発生します。
たとえば古物商許可は更新する必要のない永久ライセンスですが、営業所に係る事項や取扱品目、管理者などに変更が生じた場合には、変更届や書換申請といった手続きを行う必要があります。
新規で許可申請を行うことと比較すれば特段難しい手続きではありませんが、事務作業が苦手な方にとっては確かにデメリットといえるかもしれません。
古物商の三大義務
古物商が古物の取引をするときは、以下3つの義務が課されますが、これを古物商の三大義務と呼んでいます。
- 本人確認義務
- 古物台帳への記録義務
- 不正品申告義務
本人確認義務
古物商が古物の買取りをする際は、原則として取引の相手方について、氏名、住所、職業及び年齢を確認する必要があります。
ただし、この確認を行う目的はあくまでも盗品の流通を防ぐことにあるため、盗品のおそれが少ない場合にはこの義務が免除されることもあります。
古物台帳への記録義務
古物商は、古物台帳を営業所に備え置き、①取引相手の氏名、住所、職業及び年齢、②取引内容、③取引年月日並びに④古物の特徴
を記録した上でこれを3年間保存する義務を負います。
ただし、この記録は本人確認義務と同様に盗品の流通を防ぐことを目的とするものであるため、盗品のおそれが少ない場合にはこの義務についても免除されることもあります。
不正品申告義務
古物商は、取引された古物について盗品の疑いがある場合には、直ちにこれを警察に通報する義務を負います。
また、盗品であることを知りつつ買取りを行った場合には、刑法上の罪に問われることがあります。
まとめ
すべての業種に当てはまることですが、「絶対に成功するビジネスモデル」や「メリットしか生まないビジネスモデル」というものは存在しません。起業の際は事前に情報を収集し、メリット・デメリットを分析してしっかりとした事業計画を立てることが重要です。
面倒な手続きは専門家に任せませんか?
弊所では、兵庫県及び大阪府の全域にわたり古物営業に関する手続きの代行を承(うけたまわ)っております。ご依頼があった際は書類の収集及び作成から関連機関との調整並びに申請の代行に至るまで、しっかりとフルサポートいたします。
特に①時間がない(他に時間を使いたい)、②事務手続きが苦手、③許可を取得できるかどうかが分からない、④警察署での対応が面倒or怖い、といった事情のある方にお薦めです。
また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。古物商及び産業廃棄物収集運搬業に関する手続きについてお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
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