風営法の規制対象となる遊技設備について
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)では、ゲームセンター等営業を、「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業」と定義し、5つある風俗営業のうち「5号営業」に区分して規制を行っています。(風営法第2条第1項第5号)
目 次
規制対象となる遊技設備
ゲームセンター等営業が風俗営業とされているのは、ゲーム機賭博事犯や少年非行の温床となるおそれのあるゲームセンター等を規制対象とすることにより、その健全化と業務の適正化を図ることを目的としているからです。
このような目的の下、国家公安委員会規則(風営法施行規則)第3条では、規制対象となる遊技設備を、具体的に以下のように規定しています。
- スロットマシンその他遊技の結果がメダルその他これに類する物の数量により表示される構造を有する遊技設備
- テレビゲーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するもの又は遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示装置上に表示される機能を有するものに限るものとし、射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く)
- フリッパーゲーム機
- 遊技の結果が数字、文字その他の記号又は物品により表示される遊技の用に供する遊技設備(人の身体の力を表示する遊技の用に供するものその他射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く)
- ルーレット台、トランプ及びトランプ台その他ルーレット遊技又はトランプ遊技に類する遊技の用に供する遊技設備
スロットマシン等
スロットマシンのほか、ぱちんこ遊技機又は回胴式遊技機(パチスロ機)に類するもの等メダル、遊技球等の数量により遊技の結果が表示される遊技設備が規制対象となります。
なお、ぱちんこ営業に用いられる遊技機を設置して営業する場合には、ぱちんこ営業の許可を要することとなるため、ぱちんこ営業に用いられる遊技機を設置している場合には、その遊技機を撤去するか、ぱちんこ営業に用いられる遊技機以外の遊技機に改めることによって営業させる必要があります。
テレビゲーム機
ブラウン管、液晶等の表示装置に遊技内容が表示される遊技設備で、人間と人間(対戦型麻雀ゲーム)あるいは人間と機械(インベーダーゲーム等)との間で勝敗を争うもの又は数字、文字その他の記号が表示されることにより、遊技の結果が表され、優劣を争うことができるものが規制対象となります。
フリッパーゲーム機
あまり耳に馴染みのないゲーム機ですが、 いわゆるピンボールゲームがこれに該当します。
その他の遊技設備
遊技の結果が数字等で表示される遊技設備のうち、遊技の結果を数字等で表示し、その結果により優劣を争うものであれば、スロットマシン等、テレビゲーム機及びフリッパーゲーム機以外のものも規制対象となります。(デジタルダーツ以外のダーツ等)
ルーレット台、トランプ及びトランプ台等
ルーレット遊技又はトランプ遊技の用に供する遊技設備のほか、賭博に用いられる可能性がある花札、サイコロ等を使用して遊技をさせ、優劣を争わせるための遊技設備であって、スロットマシン等、テレビゲーム機及びフリッパーゲーム機その他の遊技設備以外のものが規制対象となります。
規制対象外となる遊技設備
上記のラインナップ上にない遊技設備については、原則として風営法の規制対象からは除外されています。
また、遊技の結果が定量的に表れ、又は遊技の結果が勝負として表れる遊技設備であっても、単に人の物理的力を表示するもの等(パンチングマシン、投球速度計測ゲーム機等)については、「射幸心をそそる遊技の用に供されないことが明らかなもの」として規制対象からは除外されています。
その他、生年月日、血液型、自己の性格等を入力して遊技する占い機のように、同一の条件の下に繰り返し遊技したとしても結果に変わりがない遊技設備についても、「射幸心をそそる遊技の用に供されないことが明らかなもの」として風営法の規制対象からは除外されています。
なお、風営法を運用して実際に取締りを行う警察庁の通達によれば、運動競技又は運動競技の練習の用に供されている実態が認められる遊技設備(バッティングセンター等)については、営業者により、遊技設備が本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技の用に供されないために必要な措置が適切に講じられていると認められる場合には、現時点で規制対象としない取扱いとされており、①実物に類似する運転席や操縦席が設けられていて「ドライブゲーム」、「飛行機操縦ゲーム」その他これに類する疑似体験を行わせるゲーム機(戦闘により倒した敵の数を競うもの等、運転や操縦以外の結果が数字等により表示されるものを除く)及び②機械式等のモグラ叩き機についても、当面、規制の対象としないという取扱いがなされています。
デジタルダーツマシン等
デジタルダーツマシンとシミュレーションゴルフについては、かつて風俗営業の規制対象とされていた時期がありましたが、平成30年9月21日付の警視庁通達により、以下の条件を満たすものについては原則として規制の対象外となります。
- 従業員が目視できること又はモニターで遊技設備の状況が確認できること
- ダーツマシンやシミュレーションゴルフ以外の遊技設備を設置しないこと
店舗その他これに類する区画された施設
風俗営業に該当するゲームセンター等営業とは、「規制対象となる遊技設備を備える店舗その他これに類する区画された施設」においてその遊技設備を用いて客に遊技をさせる営業を指すことから、屋外にあるもの等「店舗その他これに類する区画された施設」に当たらない場所において客に遊技をさせる営業は、ゲームセンター等営業とはみなされません。
店舗
「店舗」とは、看板等の表示、従業者の服装、又は営業時間の独立性等その実態から判断して、一つの営業単位としての独立的性格を有する施設をいい、ゲームセンターやゲーム喫茶のように明らかにゲームセンター等営業用に設けられた店舗である場合はもとより、飲食店営業や小売業等の営業用に設けられた店舗も「店舗」に含まれます。
したがって、区画された施設が一個の営業用の家屋である場合には当然に店舗となるほか、区画された施設がビルディング等の大規模な建物の内部にある場合でも、この独立的性格を有するときには店舗に当たるものと解釈されます。
要するに、社会通念上一つの営業の単位と言い得る程度に外形的に独立した「店舗」に、規制対象となる遊技設備を備える場合は、風俗営業の許可を取得する必要があります。
ただし、例えば、大きなレストラン等の店舗の片隅にポツンと1台の遊技設備を設置するゲームコーナーのように、店舗内において占めるゲームセンター等営業としての外形的独立性が著しく小さいものについては、法的規制の必要性が小さいことから、風俗営業の許可が不要となる場合があります。(いわゆる10%ルール)
また、「旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるもの」についてはそもそも風俗営業に該当する施設から除外されているため、政令(風営法施行令)において定められている以下のいずれかに該当する施設であって、営業中に内部を外部から容易に見通すことができるものにおける営業については、風俗営業の許可は必要ありません。
- ホテル等(旅館業法に規定する旅館・ホテル営業に係る建物又は建物の部分)内の区画された施設
- 大規模小売店舗(大規模小売店舗立地法に規定する一の建物であって、その建物内の店舗面積(小売業を営むための店舗の用に供される床面積)の合計が500㎡を超えるもの)内の区画された施設(当該大規模小売店舗において営む小売業の顧客以外の者の利用に主として供されるものを除く)
- 遊園地(メリーゴーラウンド、遊戯用電車その他これらに類する遊戯施設を設け、主としてその施設により客に遊戯をさせる営業の用に供する場所で、その入場について料金を徴するもの)内の区画された施設
店舗に類する区画された施設
「店舗に類する区画された施設」とは、いわゆるゲームコーナーのように「店舗」に当たらない区画された施設で、営業行為の行われるものをいい、例えば、温泉施設等の大規模な施設の内部にある区画された施設をいいます。
店舗に類する区画された施設に遊技設備を設置する営業についても、「旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるもの」又は「店舗内において占めるゲームセンター等営業としての外形的独立性が著しく小さいもの」に該当しない限りは、風俗営業の許可を取得する必要があります。
まとめ
遊技設備について、風営法の規制対象となるものならないものをまとめると以下のとおりです。
規制対象となる遊技設備 | スロットマシン メダルゲーム機 テレビゲーム機 クレーンゲーム機 ピンボール スマートボール 通常のダーツ ルーレット遊技 トランプ遊技 |
規制対象外の遊技設備 | ビリヤード ボーリング バッティングセンター 投球速度計測ゲーム機 パンチングマシン モグラ叩きゲーム機 プリクラ機 占いゲーム機 カプセル容器玩具自販機(ガチャガチャ) ドライブシュミレーションゲーム機 フライトシュミレーションゲーム機 ボードゲーム デジタルダーツマシン(条件付) シミュレーションゴルフ(条件付) |
基本的にゲーム機を設置して客に遊技をさせる営業は風俗営業に該当しますが、旅館、ホテル、ショッピングセンター等の大規模な施設の内部にある区画された施設であって見通しのよい場所において行われるゲームコーナーや、店舗内において占めるゲームセンター等営業としての外形的独立性が著しく小さいものについては、風俗営業の許可が不要となります。
少しややこしい取扱いですが、風俗営業許可の要否は営業を左右する重要事項ですから、しっかりと把握してもれなく確認を行うようにしてください。
弊所では有料で風俗営業該当性の調査も請け負っておりますので、ご自身の携わろうとする営業、若しくはすでに携わっている営業が風俗営業許可を必要とするものであるかどうかについてご不安のある方はどうぞお気軽にご相談ください。
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