大規模小売店舗のゲームコーナーと10%ルールについて
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)では、ゲームセンターを「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業」と定義し、これに該当するものについては風俗営業許可を取得することを求めています。
他方、条文中には「旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く」と明記されており、店舗その他これに類する区画された施設において上記に該当する営業を行う場合であっても、例外的に風俗営業に該当しないケース(=許可を必要としない)があることを認めています。
具体的に風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令では、以下のいずれかに該当する施設であって、営業中に内部を外部から容易に見通すことができるものにおける営業についてこの例外的取扱いを適用しています。
- ホテル等(旅館業法に規定する旅館・ホテル営業に係る建物又は建物の部分)内の区画された施設
- 大規模小売店舗(大規模小売店舗立地法に規定する一の建物であって、その建物内の店舗面積(小売業を営むための店舗の用に供される床面積)の合計が500㎡を超えるもの)内の区画された施設(当該大規模小売店舗において営む小売業の顧客以外の者の利用に主として供されるものを除く)
- 遊園地(メリーゴーラウンド、遊戯用電車その他これらに類する遊戯施設を設け、主としてその施設により客に遊戯をさせる営業の用に供する場所で、その入場について料金を徴するもの)内の区画された施設
この例外的取扱いは「店舗に類する区画された施設」における営業についてのみ適用されるものであり、上記の施設であっても、「店舗」とみなされる施設における営業については適用されません。また、屋外にあるもの等そもそも「店舗その他これに類する区画された施設」に当たらない場所において客に遊技をさせる営業については、もとから風俗営業に該当せず許可も必要とされません。
なお、警察庁の風営法解釈運用基準によれば、「店舗」とは「社会通念上一つの営業の単位と言い得る程度に外形的に独立した施設」(看板等の表示、従業者の服装、又は営業時間の独立性等その実態から判断して、一つの営業単位としての独立的性格を有すること)をいい、ゲームセンター、ゲーム喫茶はもとより、飲食店営業、小売業等の営業用に設けられた店舗もこれに含まれるものとされています。
したがって、区画された施設が一個の営業用の家屋である場合には当然に店舗となるほか、区画された施設がビルディング等の大規模な建物の内部にある場合でも、この独立的性格を有するときには店舗に該当することになります。
★見通しについて
上記の「施設の内部を外部から容易に見通すことができるもの」とは、例えば、通常の区画されたゲームコーナーにあっては、通路等に接した面について、① テーブルの高さ程度以上の部分が開放されているもの② ガラス張り等で閉鎖されている場合にはそのガラス等が無色透明でおおい等がなされていないもの等であって、内部の照明又は構造、設備若しくは物品等が見通しを妨げず、外部から内部のほぼ全体を見通すことができるものがこれに該当します。(区画の一部について外部から直接目視によっては見通すことができない場合であっても、例えば、その部分についてビデオカメラ等で撮影し、その映像をその区画の接する通路等に設置したモニターにリアルタイムに映し出すことなどにより、外部の一般の者が当該モニター上の映像を通じて当該部分の状況を容易に確認することができるような措置が採られているものを含む。)
また、大規模小売店舗内の区画された施設については、大規模小売店舗内の店舗に当たらない区画された施設のうち、小売業の用に供し、又はこれに随伴する施設で、主として小売業部分に来集する顧客が利用するものがこれに当たります。
10%ルール
原則として、広めのレストラン等の店舗の片隅に1台の遊技設備を設置するような場合にも風俗営業の許可を要しますが、この事例のように風俗営業としての外形的独立性が著しく小さいものについては、法的規制の必要性が小さいことから、警察庁では「10%ルール」というルールを定めて運用を行っています。
これは遊技設備設置部分を含む店舗の1フロアの客の用に供される部分の床面積に対して客の遊技の用に供される部分(店舗でない区画された部分も含む)の床面積が占める割合が10%を超えない場合には、当面風俗営業の許可を要しない取扱いとするものです。
なお、「店舗の1フロア」とは、雑居ビル内の一つのフロアに複数の店舗があり、その中の一つの店舗に遊技設備を設置する場合には、フロア全体の床面積ではなく、各店舗内のみを指していいます。また、「客の用に供される部分」には、カウンターやレジの内側等専ら従業者の用に供されている部分や洗面所等フロアとは完全に区画されている部分は含まれません。
★遊技設備設置部分の床面積
遊技設備設置部分の床面積は、客の占めるスペース、遊技設備の種類等を勘案し、遊技設備の直接占める面積のおおむね3倍として計算します。ただし、1台の遊技設備の直接占める面積の3倍が1.5㎡に満たないときは、当該遊技設備に係る床面積は1.5㎡として計算します。
まとめ
基本的にゲーム機を設置して客に遊技をさせる営業は風俗営業に該当しますが、旅館、ホテル、ショッピングセンター等の大規模な施設の内部にある区画された施設であって見通しのよい場所において行われるゲームコーナーのような営業については風俗営業には該当しません。
また、「店舗」に当たる場合であっても、その店舗の1フロアの客の用に供される部分の床面積に対して客の遊技の用に供される部分の床面積が占める割合が10%を超えない場合には風俗営業の許可は必要とされません。
少しややこしい取扱いですが、風俗営業許可の要否は営業を左右する重要事項ですから、しっかりと把握してもれなく確認を行うようにしてください。
弊所では有料でこの調査も請け負っておりますので、ご自身の携わろうとする営業、若しくはすでに携わっている営業が風俗営業許可を必要とするものであるかどうかについてご不安のある方はどうぞお気軽にご相談ください。
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