自動販売機にも営業許可が必要?食品自動販売機を設置するためのルールとは

食品自動販売機

ICT(情報通信技術)の著しい発展やコロナ禍を経て、食品業界においては改めて「自動販売機」が注目を集めています。今後は需要と供給がさらに拡大し、様々な「自動販売機」がしのぎを削る新時代に突入するのではないかと思います。

その一方、時を同じくするように食品衛生法が改正されたことに伴い、食品の自動販売機を設置する際に求められる手続きも随分と様変わりしました。

そこで本稿では、これから自動販売機を利用したビジネスを展開しようとされる皆さまに向けて、自動販売機を設置する際に必要となる手続きの要否やルールについて、詳しく解説していきたいと思います。

役所と誤認されてお問い合わせをいただくことが多々ありますが、弊所は民間の行政書士事務所であって行政機関ではありません。この点のみどうぞご承知の上、お気軽にご相談ください♪

自動販売機の機能

多くを語る必要はありませんが、自動販売機の歴史は古く、その種類も多岐にわたります。このうち食品や飲料を扱う自動販売機については、取扱製品、調理機能の有無、温度管理の必要性、危険発生防止装置の有無、設置場所、保存期間の長短等によって食品衛生法上の取扱いが異なります。

これらの違いは、「許可が必要」か、「届出が必要」か、「許可も届出も不要」かの分かれ道になっているため、本稿でしっかりと確認するようにしてください。

手続きが必要な自動販売機

食品自動販売機を区分する上でまず大きなポイントとなるのが調理機能が備わっているかどうかです。

調理機能とは、ざっくり言えば機械・部品が食品に接触して加熱や給湯を行う機能のことをいい、この機能を有する自動販売機は、その他の条件にかかわらず手続き(許可・届出)の対象物となります。

許可と届出

われわれ行政書士にとっては定番ですが、「許可」と「届出」は行政上の手続きである点を同じくするものの、法的な位置づけは異なります。

許可とは、公益上の理由から法令で一般的に禁止されている行為について、特定の場合に限ってその禁止を解除する行政行為を言います。

これに対し届出とは、法令で定められている特定の行為について、一定の事項をあらかじめ行政官庁へ通知することを言います。

許可の場合、行政庁が審査を経て「許可」又は「不許可」の判断を下しますが、届出には行政庁の審査はなく、必要な要件を備えてさえいれば、行政庁に到達した時点で手続きは完了します。

一般的に「許可」と「届出」とでは、「許可」の方が手続的難易度は高いものとされているため、どちらの手続きを必要とするのかは重要なポイントとなっています。

許可が必要な自動販売機

許可が必要な自動販売機

調理機能を有する自動販売機であって、高度な機能を有していないものが許可を必要とする対象物になります。また、高度な機能を有していても、屋外(屋根、柱及び壁を有する建築物の敷地外)に設置する自動販売機についても許可を受ける必要があります。

許可を必要とする自動販売機

  • 調理機能を有する自動販売機であって、高度な機能を有していないもの
  • 調理機能を有する自動販売機であって、高度な機能を有してはいるが、屋外に設置するもの

届出が必要な自動販売機

届出が必要な自動販売機

次のポイントが「保管温度」と「保存期間の長短」です。保管に温度調整を必要としたり保存期間が短い製品を取り扱う場合には、行政庁が把握する必要があるため、許可は不要でも届出は必要という取扱いがなされています。

届出を必要とする自動販売機

  • 調理機能及び高度な機能を有する自動販売機であって、かつ、屋内(屋根、柱及び壁を有する建築物の敷地内)に設置するもの
  • 冷蔵又は冷凍により保管を行う自動販売機
  • 常温で保管する自動販売機であっても、保存期間が短いもの

許可・届出が不要な自動販売機

調理機能が無く、常温で長期保存可能な製品を販売する自動販売機については許可も届出も必要ありません。したがって、一般的な缶ジュースやペットボトルドリンク、お菓子などを販売する自動販売機については何らの手続きも求められていません。

これは、これらの飲料や食品が製造と販売の段階で食品衛生法上の規格を既にクリアしていることによるものです。

許可・届出が不要な自動販売機

  • 調理機能及び高度な機能が無く、常温で長期間保存可能なものを保管する自動販売機

設置基準

手続きを必要とする自動販売機を設置しようとする際は、都道府県知事が定めた基準に適合させた上で、その許可を受け、又は届け出る必要があります。この手続きは自動販売機を設置する場所の所在地を管轄する保健所に対して行い、基準等の確認についても保健所が行います。

業種別基準

  1. ひさし、屋根等の雨水を防止できる設備を有すること(雨水による影響を受けないと認められる場所に自動販売機を設置する場合にあっては、この限りではない)
  2. 床面は、清掃、洗浄及び消毒が容易な不浸透性材料の材質であること

個別基準

このほか、各自治体ごとに取扱製品別(冷凍食品、密封包装食品等)の設置基準が設けられていることがありますので、詳しくは所管の保健所に問い合わせるようにしましょう。

手続きの流れ

以下は、調理機能を有する自動販売機の営業許可を取得するために必要となる手続きの流れです。基本的には届出も同様のフローをたどります。

①事前相談及び準備(工事着工前)

②申請書類等の提出(営業の2週間前までに)

③食品衛生監視員による自動販売機調査

④許可書の交付

⑤営業開始

事前相談及び準備

  • 自動販売機の設置前に、施設平面図(機器配置を含む)等を設置場所を管轄する保健所に持参し、施設基準等の説明を受けます。 
  • 食品衛生責任者の資格を取得します。 
  • 「営業施設の基準」「公衆衛生上講ずべき措置の基準」が都道府県や市の条例で定められていますのでご確認ください。 

必要となる書類

以下の書類を設置の10日前までに提出します。 

  • 食品営業許可申請書
  • 営業施設の大要
  • 施設の平面図及び付近案内図
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの(原本)
  • 営業許可申請手数料
  • 発行後6カ月以内の登記簿謄本の原本(法人)

現在はコロナ禍の影響により、食品衛生責任者の講習が開催されにくい状況となっています。この場合、必ず講習を受けることを誓約した誓約書を食品衛生責任者の資格を証明するものの代わりとして添付します。なお、尼崎市においては誓約書の添付ではなく、食品衛生責任者講習の受講申込と受講料(7500円)の納付が求められます。このように、地域ごとに取扱の違いがありますので、必ず所轄の保健所に問い合わせを行うようにしましょう。

食品衛生責任者

手続きを必要とする自動販売機は、自動販売機の営業施設ごとに食品衛生責任者を選任する必要があります。ただし、営業施設が複数であっても、各施設の衛生管理が十分に行える場合にはこれを兼任することが可能です。

飲食店営業許可の概要について

注意すべき点

当たり前のことですが、他人が所有する土地や物件で勝手に自動販売機を設置することは出来ません。また、自分が所有する土地のすぐ前であっても、公道に自動販売機を設置しようとする場合には、道路占用許可と道路使用許可を受ける必要があります。

意外に見落とされがちな視点ですが、重要なポイントとなりますので十分に気をつけるようにしましょう。

まとめ

昨今の世情を鑑みても、自動販売機を利用したビジネスが新たなトレンドであることは間違いありません。これからどのような工夫をこらした自動販売機が登場するのか興味津々といったところです。

飲料や食品など、人が直接摂取する製品については、食品衛生法に基づく管理監督を受けることになります。食品衛生法は案外複雑で、ひとつの事業を展開する際に数次の手続きを経ることも割と一般的です。(例:冷凍餃子の無人販売における製造業の営業許可と自動販売機の届出など)

甘く考えていると、悪意なく違法行為を行うことにつながりかねませんので、営業を開始しようとお考えの際は、情報を仕入れた上で、しっかりとしたプランをもって臨むように心がけましょう。

弊所では、兵庫大阪の全域にわたり、食品衛生法に関する手続きの代行を承っております。面倒な書類の作成から関連機関との調整、申請の代行及び立入検査の立会いまで、しっかりとフルサポートいたします。下記の報酬は、市場価格を反映したものですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」です。さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応には自信があります。食品衛生法に関する許可の取得でお困りの際は、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。

調理機能を有する自動販売機の営業許可申請27,500円
設置届22,000円
※税込み

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