長期優良住宅とは│長期優良住宅認定制度の概要と認定申請の手続きについて
長期優良住宅とは、所管行政庁に建築及び維持保全の計画を提出して申請し、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅として認定された住宅のことをいいます。
国は長期優良住宅として認定を受けた住宅について、税制上の優遇措置や補助金の交付といった様々なメリットを与えることにより、長期優良住宅の普及を促進しています。
そこで本稿では、長期優良住宅認定制度の概要とともに、本制度の適用を受けようとする際に必要となる手続きについて解説していきたいと思います。
役所と誤認されてお問い合わせをいただくことが多々ありますが、弊所は民間の行政書士事務所であって行政機関ではありません。この点のみどうぞご承知の上、お気軽にご相談ください♪
目 次
長期優良住宅とは
長期優良住宅の普及の促進に関する法律では、以下の措置が講じられた構造及び設備を「長期使用構造等」と定義し、この長期使用構造等を有する住宅を長期優良住宅として取り扱っています。
- 住宅を長期にわたり良好な状態で使用するために誘導すべき基準に適合させるための措置
- 居住者の加齢による身体の機能の低下、居住者の世帯構成の異動その他の事由による住宅の利用の状況の変化に対応した構造及び設備の変更を容易にするための措置
- 維持保全を容易にするための措置
- 日常生活に身体の機能上の制限を受ける高齢者の利用上の利便性及び安全性、エネルギーの使用の効率性その他住宅の品質又は性能に関し誘導すべき基準に適合させるための措置
長期優良住宅認定制度とは
上記の措置を講ずる長期優良住宅として認められるためには、後述する認定基準を満たした上で所管行政庁に対して申請を行い、その認定を受ける必要があります。
高いハードルをクリアし長期優良住宅として認定を受けた住宅については、以下のように様々な優遇措置を享受することができるようになります。
税の特例措置 | 新築 | 新築の認定に係る税の特例措置 |
増改築 | 増改築の認定に係る税の特例措置 | |
補助金 | 地域の中小工務店等が木造の認定長期優良住宅を供給する場合 | 地域型住宅グリーン化事業(長寿命型:地域型住宅グリーン化事業評価事務局Webページ) |
既存住宅の長寿命化に資するリフォーム等を行う場合 | 長期優良住宅化リフォーム推進事業(長期優良住宅化リフォーム推進事業評価室事務局Webページ) | |
融資 | 住宅ローンの金利引下げ等 | 【フラット35】S(住宅金融支援機構Webページ) |
住宅ローンの金利引下げ等 | 【フラット35】(アシューマブルローン:(住宅金融支援機構Webページ) | |
住宅ローンの金利引下げ等 | 【フラット35】リノベ(住宅金融支援機構Webページ) |
認定の申請
長期優良住宅の認定を受けようとする建築主または分譲事業者は、長期優良住宅の建築及び維持保全に関する計画を作成し、着工前に所管行政庁に申請する必要があります。
認定を申請する所管行政庁は、建設する地域と建物の規模等により異なるため、以下の検索システムに建設地を入力して申請先を確認するようにして下さい。
認定基準
所管行政庁による認定を受けるためには、申請する建築及び維持保全に関する計画が以下の基準に適合する必要があります。
- 住宅の構造および設備について長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられていること
- 住宅の面積が良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
- 地域の居住環境の維持・向上に配慮されたものであること
- 維持保全計画が適切なものであること
- 自然災害による被害の発生の防止、軽減に配慮がされたものであること
細かい基準については本稿においては割愛していますので、詳細は以下のリンク先でご確認いただくようお願いいたします。
認定申請に必要な書類
長期優良住宅建築等計画の認定の申請をしようとする者は、認定申請書の正本及び副本並びに以下の図書を所管行政庁に提出します。
- 認定申請書(Word)
- 設計内容説明書
- 付近見取図
- 配置図
- 仕様書(仕上げ表を含む)
- 各階平面図
- 用途別床面積表
- 床面積求積図
- 二面以上の立面図
- 断面図又は矩計図
- 基礎伏図
- 各階床伏図
- 小屋伏図
- 各部詳細図
- 各種計算書
- 機器表
- 状況調査書
- その他所管行政庁が必要と認める図書
図書の種類 | 明示すべき事項 |
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設計内容説明書 | 住宅の構造及び設備が長期使用構造等であることの説明 |
付近見取図 | 方位、道路及び目標となる地物 |
配置図 | 縮尺、方位、敷地境界線、敷地内における建築物の位置、申請に係る建築物と他の建築物との別、空気調和設備等及び当該空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の向上に資する建築設備(エネルギー消費性能向上設備)の位置並びに配管に係る外部の排水ますの位置 |
仕様書 | 部材の種別、寸法及び取付方法並びにエネルギー消費性能向上設備の種別 |
各階平面図 | 縮尺、方位、間取り、各室の名称、用途及び寸法、居室の寸法、階段の寸法及び構造、廊下及び出入口の寸法、段差の位置及び寸法、壁の種類及び位置、通し柱の位置、筋かいの種類及び位置、開口部の位置及び構造、換気孔の位置、設備の種別及び位置、点検口及び掃除口の位置並びに配管取出口及び縦管の位置 |
用途別床面積表 | 用途別の床面積 |
床面積求積図 | 床面積の求積に必要な建築物の各部分の寸法及び算式 |
二面以上の立面図 | 縮尺、外壁、開口部及びエネルギー消費性能向上設備の位置並びに小屋裏換気孔の種別、寸法及び位置 |
断面図又は矩計図 | 縮尺、建築物の高さ、外壁及び屋根の構造、軒の高さ、軒及びひさしの出、小屋裏の構造、各階の天井の高さ、天井の構造、床の高さ及び構造並びに床下及び基礎の構造 |
基礎伏図 | 縮尺、構造躯体の材料の種別及び寸法並びに床下換気孔の寸法 |
各階床伏図 | 縮尺並びに構造躯体の材料の種別及び寸法 |
小屋伏図 | 縮尺並びに構造躯体の材料の種別及び寸法 |
各部詳細図 | 縮尺並びに断熱部その他の部分の材料の種別及び寸法 |
各種計算書 | 構造計算その他の計算を要する場合における当該計算の内容 |
機器表 | エネルギー消費性能向上設備の種別、位置、仕様、数及び制御方法 |
状況調査書 | 建築物の劣化事象等の状況の調査の結果 |
認定後の義務
計画の認定を受けた者(以下、認定計画実施者)は、認定を受けた計画に基づいて住宅を建築し、建築工事の完了後は維持保全を行うとともに、建築・維持保全の状況について記録を作成し、保存する義務があります。
また、認定を受けた住宅の建築・維持保全の状況について、認定を行った所管行政庁より随時報告を求められることがあります。
なお、認定計画実施者が所管行政庁からの報告の求めに応じない場合や虚偽の報告をした場合には、30万円以下の罰金に処せられることがありますのでご注意ください。
維持保全の実施
所管行政庁は、認定を受けた住宅の建築・維持保全が適切になされていないと認めるときは、認定計画実施者に対して是正指導や改善命令をし、認定計画実施者が改善命令に違反した場合は、認定を取り消すことができます。
認定計画実施者は、認定を受けた住宅の建築・維持保全の状況に関する記録を作成し保存する必要があります。
記録の作成・保存
計画の変更等
認定を受けた住宅の設計若しくは維持保全計画を変更し、又は増築・リフォームし、若しくは譲受人を決定した場合は、軽微な変更を除き、認定を行った所管行政庁に申請して計画の変更の認定を受ける必要があります。
また、相続や売買等により認定を受けた住宅を引き継ぐ場合には、所管行政庁に対して地位の承継の承認を申請することができます。認定計画実施者としての地位を承継すると、維持保全計画の内容を引き継いで維持保全を実施していくことになります。
長期優良住宅型総合設計制度
敷地面積が一定規模以上である住宅のうち、認定長期優良住宅建築等計画に基づく建築に係る住宅であって、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建ぺい率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの容積率については、その許可の範囲内において、建築基準法の規定による限度を超えることができるという特例制度です。
その細則は申請する地方自治体ごとに異なるため、ここでは割愛しますので、詳細については各自治体の窓口にお問い合わせいただくようお願いいたします。
長期優良住宅認定申請サポート
弊所では、関西圏の全域にわたり、長期優良住宅および総合設計制度に関する手続きの代行を承っております。許可基準や規制緩和の内容が自治体により異なるため、以下のように細やかなサポート内容を設定しています。
下記の報酬は、市場価格を反映した適正価格ではありますが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」です。サポート内容や報酬額を含み、さまざまな事情をくんだ上で柔軟な対応には自信があります。建築士の皆さまからのご依頼も承っております。長期優良住宅認定制度に関する手続きでお困りの際は、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。
認定要件の事前調査 | 27,500円 |
申請書の作成及び申請 (上記業務含み、専門図書の作成除く) | 79,700円〜 |