露店営業・臨時出店許可│イベントやお祭りで食品を扱う際の手続きについて

たこ焼きの屋台

イベントや町中で露店及び自動車営業を行う場合は、それぞれ提供する品目に応じて営業許可を取得する必要があります。また、お祭り、学園祭等のイベントの際に出店する模擬店等についても、食事や食品を提供するのであれば届出が必要になる場合があります。

意外にややこしいのが食品にまつわる制度ですので、ここでは露店営業や臨時出店で食品を取り扱いたいとお考えの皆さまに向けて、手続きの方法や注意すべき点について解説していきたいと思います。

役所と誤認されてお問い合わせをいただくことが多々ありますが、弊所は民間の行政書士事務所であって行政機関ではありません。この点のみどうぞご承知の上、お気軽にご相談ください♪

露店営業とは

たこ焼き屋の屋台

出店の都度組み立てる組立式店舗又は屋台等を「露店」といい、露店において食品の調理や提供等を移動して行う形態の営業を露店営業といいます。

また、自動車(二輪を除く)の車内に設備を設け、車内で食品の調理及び販売等を移動して行う形態の営業を自動車営業(キッチンカー・フードトラック)といいます。

これらの営業は、店舗を持たない飲食店や移動する飲食店として捉えることが出来るため、営業を開始しようとする際は、食品衛生法に基づく飲食店営業許可が必要になります。

露店営業で取扱可能な食品

たい焼きのイラスト

露店及び自動車営業では、通常の店舗に比べて設備が簡易であったり給水量が十分でないことなどから、衛生を確保するという観点から、取り扱うことのできる食品は、原則として出店先での調理の工程が簡易であり、提供する直前に加熱する食品に限られています。

露店営業飲食店営業焼きそば、うどん、そば、フライドポテト、ホルモン焼き、焼き鳥、串揚げ、お好み焼き、いか焼き、フランクフルト、しるこ、甘酒、珈琲、紅茶など提供直前に加熱する食品(既製品のシロップをかけるかき氷は提供可能)
菓子製造業回転焼き、タコ焼き、たい焼き、みたらし団子、クレープ(既製品のジャムなどを使用する場合のみ)など提供直前に加熱する食品(わらびもちは提供可能)
自動車営業飲食店営業:1型(飲食、菓子、喫茶)ホットカフェオレ、まぜそば、麺類への加熱品のトッピングなど、露店営業の品目に加え、飲料への氷の添加、牛乳の使用、直前加熱した食品どうしの組み合わせが可能
飲食店営業:2型(飲食、菓子、喫茶)カレーライス、ピラフ、クレープ(カスタードクリーム入)、牛丼など、1型の品目に加え、米飯及び缶詰、カスタードクリーム等加熱済食品のトッピング、ディッシャーアイスの提供が可能
飲食店営業:3型(飲食、菓子、喫茶)寿司、海鮮丼、クレープ(生クリーム入、アイスのせ等)、サラダ、台湾かき氷など、2型の品目に加え、未加熱食品(刺身、生野菜、生果実、生クリームなどを使用した食品)の提供、弁当の調製が可能
食肉販売業、乳類販売業、魚介類販売業包装された商品の販売
アイスクリーム類製造業液体ミックスでのソフトクリームの調製
豆腐製造業豆乳を原料として、車内で個々に衛生的な容器包装中で凝固したもの

上記のように、販売する食品によって取得すべき許可や取扱条件は異なります。自動車営業の場合、自動車自体が移動するキッチンとみなされ、許可を受ける際にそれなりに高いハードルを求められるかわりに取り扱うことの出来る食品が広くなっています。

また、上記の食品を取り扱う場合には営業許可が必要ですが、以下のように公衆衛生への影響が極めて少ないものについては、行商として届出を行うことのみが求められます。

★届出が必要な食品の例(許可不要)

焼とうもろこし、焼くり、焼ぎんなん、焼いも、焼するめ、いり豆、ポップコーン(塩のみ)、りんごあめ類、綿菓子、たこせん(ソースのみ)、ミルクせんべい(コンデンスミルクのみ)、水あめ、農産物販売など

なお、酒類については、開栓してコップに注いだ状態であれば飲食店営業許可の範囲内で販売することが出来ますが、開栓しない状態、たとえば瓶ビールや缶チューハイなどをそのままの状態で販売するためには酒類販売業免許(または酒類製造業免許)が必要になります。

露店の営業許可

お祭りの屋台(焼き鳥)

露店営業を行おうとする際は、基地施設(営業設備や食品等の保管、下処理や一次加工、給水、器具等の洗浄消毒を行う施設)の所在地を管轄する保健所に対して申請を行います。

下処理

下処理とは、野菜の土を落とす、魚のうろこや内臓を除去することなどをいいます。

一次加工

一次加工とは、露店において簡易な調理等の工程により客に提供できる状態、形状にするために、あらかじめ食品の加工をすることをいいます。(例:食材のカットなど)

手続きの流れ

以下は、露店営業許可を取得するために必要となる手続きの流れです。基本的には届出も同様のフローをたどります。

①事前相談及び準備(工事着工前)

②申請書類等の提出(開店の2週間前までに)

③食品衛生監視員による施設調査

④許可書の交付

⑤営業開始

事前相談及び準備

  • 工事着工前に、施設平面図(機器配置を含む)等を基地施設の所在地を管轄する保健所に持参し、施設基準等の説明を受けます。 
  • 食品衛生責任者の資格を取得します。 
  • 「営業施設の基準」「公衆衛生上講ずべき措置の基準」が都道府県や市の条例で定められていますのでご確認ください。 

必要となる書類

以下の書類を開店の2週間前までに提出します。 

  • 食品営業許可申請書
  • 営業設備の大要(一次加工又は材料供給承認書含む)(露店営業)
  • 露店営業設備の平面図(露店営業)自動車営業設備の平面図(自動車営業)
  • 一次加工先の食品営業許可証の写し許可を取得する車両の車検証の写し(自動車営業)登記事項証明書(法人の場合)
  • 申請手数料

現在はコロナ禍の影響により、食品衛生責任者の講習が開催されにくい状況となっています。この場合、必ず講習を受けることを誓約した誓約書を食品衛生責任者の資格を証明するものの代わりとして添付します。なお、尼崎市においては誓約書の添付ではなく、食品衛生責任者講習の受講申込と受講料(7500円)の納付が求められます。このように、地域ごとに取扱の違いがありますので、必ず所轄の保健所に問い合わせを行うようにしましょう。

食品衛生責任者

露店営業は、営業施設ごとに食品衛生責任者を選任する必要があります。ただし、営業施設が複数であっても、各施設の衛生管理が十分に行える場合にはこれを兼任することが可能です。

飲食店営業許可の概要について

臨時出店・模擬店等

並ぶ出店

地域の交流や互いの親睦を深めるために開催する行事(お祭り、イベント、学園祭等)において、臨時的に飲食物の調理や提供を行う場合に、それを総括する代表者は開催場所を所管する保健所に対して臨時出店の届出を行う必要があります。

また、食品事業者がイベント等において、不特定多数を対象として調理食品の提供を行う場合や、業として飲食物の調理・提供を行う場合には、食品衛生法に基づく営業許可が必要となります。

取扱可能な食品や手続きについては概ね露店営業に準じていますが、細則については各自治体ごとに異なる規定が設けられていますので、イベント開催前には必ず各自治体の窓口に問い合わせを行うようにしましょう。

注意すべき点

食品を野外で取り扱うことから、以下の点については十分に注意するよう心がけましょう。

原材料原材料は、直射日光や高温多湿を避け、ホコリやハエ等を防ぐことができる設備で保管すること
肉類や魚介類等肉類、魚介類等の要冷蔵の原材料は、冷蔵庫等を利用して10℃以下で保管すること
仕込み仕込みは、営業許可を受けた施設や調理室など食品を衛生的に扱える調理場で当日行うこと
調理調理は当日行うこと
作り置き大量の作り置きは控えること
販売した食品出来る限りその場で食べてもらい、持ち帰りがないようにすること
食器使い捨てのものを使用し、衛生的に保管できる容器に保存すること
保存食提供した食品は、万一事故が起きたときの検査用として、食品ごとに50gずつ保存食として別の容器に入れ、2週間冷凍庫に保存すること(何もなければ2週間後に廃棄すること)

まとめ

現在外食産業では、「無人」と「移動」という対局にある事業形態が新たなムーブメントとなっています。その渦中でも、露店やキッチンカーによる移動販売の手法は、外食産業の新時代に合致した新たなビジネスモデルではないかと思います。

このように外食産業が厳しい状況にさらされる中、さまざまな工夫によってこれを乗り切ろうとする流れが出ています。外食産業をこよなく愛する行政書士としては、これからも業界の動向を注視し、情報を発信し続けたいと思います。

弊所では、兵庫大阪の全域にわたり、食品衛生法に関する手続きの代行を承っております。面倒な書類の作成から関連機関との調整、申請まで、しっかりとフルサポートいたします。下記の報酬は、市場価格を反映したものですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」です。さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応には自信があります。食品衛生法に関する許可の取得でお困りの際は、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。

露店営業許可申請38,500円〜
露店営業届出27,500円〜
キッチンカー営業許可申請40,700円〜
臨時出店届出27,500円〜
※税込み

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