800円→1,000円に!クレーンゲームの景品の上限額引き上げに伴う注意点について

令和4年3月1日、警察庁生活安全局が風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)の解釈運用基準を改正し公表しました。
解釈運用基準は、裁判所判例と並ぶ「立法府の手続きによらない立法」ともいうべきルールブックであり、要するに、法律を運用する行政機関がどのように法律を解釈して運用していくのかを示した基準です。
公表された新たな基準の中で特に目をひいたのが、長らく「800円以下」とされてきたクレーンゲームにおける景品の上限額が、「1,000円以下」に引き上げられたことです。(以下、その条文)
遊技の結果が物品により表示される遊技の用に供するクレーン式遊技機等の遊技設備により客に遊技をさせる営業を営む者は、その営業に関し、クレーンで釣り上げるなどした物品で小売価格がおおむね1,000円以下のものを提供する場合については法第23条第2項に規定する「遊技の結果に応じて賞品を提供」することには当たらないものとして取り扱うこととする。
(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について)
え?そもそも800円までだったの?
クレーンゲームで提供することができる景品について、そもそも上限額が設定されていたことをご存じない方も多いのではないかと思いますが、この辺りについては詳しく触れている以下の記事内でご確認いただくことにして、本稿では景品の上限額の引き上げに伴って注意すべき点について触れていきたいと思います。
警察当局の姿勢
明確に「1,000円以下」という基準を示したことで、一見すると規制を緩和したように捉えることもできますが、実際のところは「規制の厳格な適用」という警察庁からの強いメッセージであるようにも受け取れます。
記事内でも触れているとおり、本来風営法で禁じられているはずの「遊技の結果に応じた景品の提供」が例外的に許容されているのは、警察からの「お目こぼし」であるというのが本質です。
つまり警察側としては、「明らかに基準額以上の高額景品を展示している違法な店舗」に対して、「上限額を1,000円に引き上げたんだから後はちゃんとしてね」という警告の意味も込めたメッセージを発信しているというわけです。
店舗側の注意点
今まで800円だった景品の上限額が1,000円に引き上げられたわけですから、景品のバリエーションとともに経営上の選択肢が増えることは間違いありません。上限額の引き上げに尽力した関係者や団体もいらっしゃるようなので、ここは悲願達成といったところです。
ただし、収支のバランスについて考えると、ゲーム性にもそれなりの工夫を施す必要があるため、すべて手放しで歓迎することは出来ないかもしれません。
1プレイを100円と仮定して、単純計算で1景品につき2プレイは多く遊んでもらわないと元本は回収することが出来なくなるわけですから、この点について「遊びやすさ」との折り合いをどのようにつけていくのかが悩みどころになるのではないかと思います。
客側の影響
景品のバリエーションが増えることで歓迎する方も多いとは思いますが、ここは「お店側とのハラの探り合い」になるのではないかと思います。
前述したとおり、お店側は景品の元を取るためにそれなりの工夫を施す必要があるので、100円や200円で簡単に景品が取得出来るようにゲームバランスを調整していませんし、景品の仕入額が増えることで、ますます辛口の調整をせざるをえなくなります。
客から見て魅力的なラインナップが店頭に増えることになるとは思いますが、この点も頭に入れつつ財布の中身ともよく相談してチャレンジすることをお薦めしておきます。
まとめ
解釈運用基準はあくまでも行政機関の判断基準であって正式な法令ではありません。また、世情の変化によっては今後もさらに改正されていく流動的なルールブックであるという見方もあります。
他方、現場の警察官はこの基準に沿って取締りを行うため、事実上は法令と同一の法規範として捉えることが賢明です。いずれにせよ、ご自身が携わる事業についてのルールは日常的に確認・把握するようにして、取締りや処罰の対象とならないよう十分にご留意ください。
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