電気工事業を開業するには│電気工事業の登録・通知・許可について
建設業許可業種の29業種のひとつであり、指定建設業のひとつでもある電気工事業ですが、少しややこしいのは、許可を受ける受けないに関わらず、営業をする際には必ず登録を受ける必要があるという点です。
この辺りの事情が電気工事業を開業する際のハードルをやや高くしている印象がありますが、既に電気工事士として十分な実績を積んでおられる方のご相談が多いので、話しもすんなりまとまるといった印象も受けます。
現代社会において、電気は国民の社会生活に欠かせないインフラのひとつです。電気工事業法では、業務の適正な実施を確保し電気工作物の保安の確保に資することを目的として登録制度を通じた電気工事業を営む者の規制を行っています。
本稿では建設業の中でも特に注意が必要となる電気工事業の登録及び許可の制度について詳しく解説していきたいと思います。
目 次
電気工事業とは
電気工事業とは、一般用電気工作物又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事をいう。ただし、政令で定める軽微な工事を除く。
(電気工事士法第2条第3項)
電気工事業とは、一般用電気工作物又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事を行う営業のことを言います。具体的には、発電設備、変電設備、送配電設備又は構内電気設備等を設置する工事を行う建設事業がこれに該当することになります。
一般用電気工作物
一般用電気工作物とは、低圧需要設備と小出力発電設備のことを指し、それぞれ次のような工作物が該当します。
低圧需要設備
低圧(交流600V以下)で受電し、その電気をその構内(これに準ずる区域内を含む)で使用するための電気工作物(小出力発電設備を含む)であって、その構内以外の場所にある電気工作物とは、受電用電線路以外では電気的に接続されていないものをいいます。
平たくいえば、一般家庭の住宅内において電気を使用する工作物のことを指します。
小出力発電設備
以下の発電設備であって、同一の構内に2設備以上が電気的に接続され、それらの出力の合計が50kW未満の設備のうち、爆発性や引火性を有する施設を除いたものが該当します。
- 出力50kW未満の太陽電池発電設備
- 出力20kW未満の風力発電設備
- 出力20kW未満でダムを伴わない最大使用水量毎秒 1m3 未満の水力発電設備
- 出力10kW未満の内燃力発電設備
- 出力10kW未満の燃料電池発電設備
例えば、低出力のソーラー発電設備などが該当します。また、高圧で受電していたとしても、小規模な店舗や町工場などが使用する受電能力が50kW未満のものについては、一般用電気工作物として取り扱われます。
自家用電気工作物
自家用電気工作物とは、一般用電気工作物と事業用電気工作物以外の工作物を指します。なお、事業用電気工作物は、電気設備の規模も大きく使用する電圧も高圧であるため、電気工事業においては取り扱うことができません。
自家用電気工作物に該当する工作物
- 高圧以上の電圧で受電するもの(高圧需要設備等)
- 小出力発電設備を除く発電用の電気工作物(発電所)及びその電気工作物と同一の構内に設置するもの
- その構内以外の場所にある電気工作物と、受電用電線路以外の電線路で電気的に接続されているもの(変電所、開閉所など)
- 爆発性や引火性のものが存在するため電気工作物による事故が発生する恐れの多い場所に設置するもの
- 火薬類取締法第2条第1項に規定する煙火を除く火薬類を製造する事業場
- 石炭鉱山保安規則の適用を受ける鉱山のうち、甲種炭鉱または防爆型機器の使用が義務付けられた乙種炭鉱
自家用電気工作物から除かれる電気工作物
- 一般送配電事業
- 送電事業
- 特定送配電事業
- 発電事業のうち、特定発電用電気工作物の小売電気事業等用接続最大電力の合計が 200万kW(沖縄電力の供給区域では 10万kW)を超えるもの
電気工事業登録(通知)
上の図にあるとおり、電気工事業を営むためには、後述する軽微な電気工事を除いて、電気工事業者の登録(通知)を行う必要があります。
(1)登録電気工事業者
一般用電気工作物のみ又は一般用電気工作物及び自家用電気工作物に係る電気工事業を営む者で、建設業許可の電気工事業を取得していない者が該当します。この業態で営業を行うためには登録を受ける必要があります。
(2)みなし登録電気工事業者
一般用電気工作物のみ又は一般用電気工作物及び自家用電気工作物に係る電気工事業を営む者で、建設業許可の電気工事業を取得している業者が該当します。この業態で営業を行うためには登録を受ける必要があります。
登録電気工事業者の登録を行っていて、建設業許可の電気工事業を取得された場合は、このみなし登録電気工事業者の登録になります。
(3)通知電気工事業者
自家用電気工作物の電気工事のみを行う電気工事業者で建設業許可の電気工事業を取得していない業者が該当します。この業態で営業を行うためには登録(通知)を受ける必要があります。
(4)みなし通知電気工事業者
自家用電気工作物の電気工事のみを行う電気工事業者で建設業許可の電気工事業を取得している業者が該当します。この業態で営業を行うためには登録(通知)を受ける必要があります。
通知電気工事業者の登録を行っていて、建設業許可の電気工事業を取得された場合は、このみなし通知電気工事業者の登録になります。
軽微な電気工事
以下の工事は「軽微な電気工事」に該当し、電気工事業としての登録は不要とされています。
- 600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器又は電圧600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
- 600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く)又は電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む)をねじ止めする工事
- 600V以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事
- 電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下のもの)の二次側の配線工事
- 電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
- 地中電線用の暗渠又は管を設置し、又は変更する工事
申請先
申請先はそれぞれ上の図のとおりです。申請後、登録通知書が届くまで、都道府県ごとに多少の差がありますが、おおむね2週間ほどです。登録(通知)の更新は5年ごととなっていますので、5年後には更新手続きが必要となります。
電気工事業登録(通知)の要件
電気工事業の登録(通知)を受けるためには、電気工事業の営業所と、電気工事を施工するために必要となる器具を準備する必要があります。
営業所
営業所とは、電気工事の施工管理を行う店舗のことを言います。経理や総務のみを行う事務所であって技術者はいない店舗は営業所にはあたりません。
経済産業省令で定める器具
電気工事業においては、その営業所ごとに以下の器具をそろえておく必要があります。
一般用電気工作物を取り扱う場合
- 絶縁抵抗計
- 接地抵抗計
- 抵抗・交流電圧測定回路計
自家用電気工作物で最大電力500kW未満の需要設備しか取り扱わない場合
- 絶縁抵抗計
- 接地抵抗計
- 抵抗・交流電圧測定回路計
- 低圧検電器
- 高圧検電器
- 継電器試験装置
- 絶縁耐力試験装置
主任電気工事士(登録のみに必要)
営業所ごとに1名以上、次のいずれかの資格を持った主任技術者を設置する必要があります。
- 第1種電気工事士免状の取得者
- 第2種電気工事士免状の取得し、かつ、一般電気工作物についての3年以上の実務経験のある者
電気工事業許可について
1件の請負額が500万円以上の電気工事を請け負う場合には、元請人・下請人の別、公共工事であるか民間工事であるかを問わず、国土交通大臣又は都道府県知事から建設業許可を受ける必要があります。電気工事業(建設業)の許可制度については以下の埋め込み記事で確認するようにしてください。
電気工事業登録・許可申請サポート
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電気工事業登録申請
新規登録申請 | 44,000円~ |
開始届(建設業者が届け出をする場合) | 33,000円~ |
変更届 | 22,000円~ |
電気工事業許可申請
新規許可許可(知事) | 105,000円~ |
新規許可申請(大臣) | 160,000円~ |
追加、更新(知事) | 50,000円~ |
追加、更新(大臣) | 105,000円~ |
般・特新規 (知事) | 105,000円~ |
般・特新規 (大臣) | 160,000円~ |
許可換え新規 (他知事) | 105,000円~ |
許可換え新規 (大臣) | 128,000円~ |
決算変更届 (知事) | 40,000円~ |
決算変更届 (大臣) | 50,000円~ |
各種変更届 | 20,000円~ |
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