建設業とヒト│建設業許可を取得できない欠格要件とは

建設業は、国民の社会生活の基盤となるインフラ整備に寄与する公共性の高い事業であることから、反社会的勢力に属する人物や、不正又は不誠実な行為をする恐れのある人物が携わっているとなると、安心して工事を任せることはできません。
このような観点から、建設業許可制度においては、許可要件の一つとして建設業者に対外的な誠実性を求め、欠格要件(建設業許可を取得できない事由)を定めて、不適格な人物が許可業者となることを防止しています。
誠実性とは
建設業における誠実性とは、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれがないことをいいます。
このうち「不正な行為」とは、請負契約の締結又は履行の際、詐欺、脅迫又は横領等の違法な行為をなすことを言い、「不誠実な行為」とは、工事内容、工期又は天災等の不可抗力による損害の負担などについて請負契約に違反する行為を言います。
誠実性を求められているのは、個人であれば申請者、支配人及び営業所の代表者であり、法人であれば法人、取締役、執行役、業務を執行する社員、理事、相談役及び顧問並びに総株主の議決権の100分の5以上を有する株主及び出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者その他これらと同等以上の支配力を有するものと認められる者となります。
したがって、法人における監査役、会計参与及び監事等は、誠実性の確認対象には含まれていないこととなります。
欠格要件
以下のいずれかの事由に該当し、若しくは誠実性の確認対象者のうちに該当する者がいる場合は、建設業者としての適格性を欠く者として、建設業許可を受けることができません。
許可申請書若しくは添付書類中の重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているとき
許可申請という、いわば建設業の導入部分において虚偽や重大な記載ミスがあるときは、誠実であるとは言えません。
特に虚偽の記載については、その事実を知っていたかどうかは問題ではなく、事実を故意に隠蔽した場合はもちろんのこと、たとえば取締役が傷害罪で罰金刑を受けていたことを知らずに無申告で申請してしまったときのように、悪意なく事実とは異なることを記載してしまった場合にも、欠格要件に該当してしまうことになります。
破産者で復権を得ない者
これは破産手続きを行った者が、いまだ「破産者」の状態にあることを指し、破産をしたものの、復権をして、「破産者」という状態がなくなれば、欠格要件には該当しません。
なお、銀行やカード会社のブラックリストに入っていたとしても、これらは欠格要件には含まれていないため、それが原因で建設業許可が不許可となることはありません。
精神の機能の障害により建設業を適正に営むにあたって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
かつては、「成年被後見人若しくは被保佐人」とされていた欠格要件が、「心身の故障により建設業を適正に営むことができない者」へと改正されました。
具体的には、成年被後見人又は被保佐人に該当しない者は欠格要件に該当しないほか、成年被後見人又は被保佐人に該当する場合であっても、医師の診断書等により、回復の見込みや医師の所見を考慮した上で、建設業を適正に営むために必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができると認められる場合については、欠格事由に該当しません。
不正の手段により許可を受けたこと等により、許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
許可の取り消しを免れるために廃業の届出をした者で届出の日から5年を経過しないもの
許可の取り消しを免れるために廃業の届出をした者であって許可取消しの処分に係る聴聞の通知があった日の日前60日以内に法人の役員等若しくは政令使用人であった者又は個人の政令使用人であった者で、届出の日から5年を経過しないもの
営業の停止又は禁止を命ぜられ、その期間が経過しない者
禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
執行猶予期間中は欠格要件に該当するため、許可を取得することはできませんが、執行猶予期間が満了すれば、そもそも刑の言い渡しが無かった状態になるため、その時点から欠格要件に該当しないことになります。
また、刑期が満了する前に釈放されることを仮釈放といいますが、仮釈放が行われた場合、欠格要件が明けるのは、仮釈放の時点から5年ではなく、本来の刑期満了日から5年であるという点についても注意が必要です。
建設業法、建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法若しくは暴力団対策法の規定に違反したことにより、又は傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫、背任、暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
犯罪歴や暴力団員であった事実は、賞罰欄で証明しますが、審査の際には、許可官庁が市町村や県警本部に照会を行うため、これらが発覚して不許可処分とならないよう、事前にしっかり確認するようにしてください。
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が欠格事由のいずれかに該当するもの
未成年者(18歳未満の者)は、原則として単独で建設業に属する営業をすることができませんが、法定代理人(親権者等)により営業を許可された場合には、その営業に関しては単独でこれを行うことができます。
ここで欠格事由とされているのは、「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」であって、法定代理人から営業を許可されていない未成年者です。
「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」が、建設業に属する営業をする場合、法定代理人の同意を得るか、法定代理人が未成年者を代理して行います。
このように、実質的には、法定代理人が建設業に属する営業をすることになるため、「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」については、未成年者本人だけではなく、法定代理人についても審査されることとなります。
暴力団員等がその事業活動を支配する者
人的要件を証明する資料
誠実性を有すること及び欠格要件に該当しないことを証明するためには、確認資料として、誓約書、申請書の賞罰欄、登記されていないことの証明書及び身分証明書等の書面を添付する必要があります。
誓約書と申請者の情報には様式がありますが、「登記されていないことの証明書」は法務局、「身分証明書」は本籍地のある市町村において発行されます。
なお、成年被後見人又は被保佐人に該当する場合であっても、医師の診断書等により、回復の見込みや医師の所見を考慮した上で、建設業を適正に営むために必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができると認められる場合は、医師の診断書等を確認資料として添付する必要があります。
注意すべきポイント
建設業許可を受けた後に役員等が欠格事由に該当することになった場合や、新たに役員等に就任した者が欠格事由に該当した場合は、許可の取消処分が行われます。
また、許可の更新時には、警察等への照会が行われるため、欠格事由に該当する役員が在任していたことが発覚した場合には、役員就任時に遡って取消処分がなされます。
たとえ欠格要件に該当している場合であっても、その者を専任技術者や一般従業員として勤務することは可能ですが、専任技術者の基礎となる国家資格を取り消される場合は、専任技術者としての要件を満たさないこととなります。
なお、数年前に暴行罪等で罰金刑を受けていたことを忘れてしまい、賞罰欄に「賞罰なし」と記載したものを提出した場合は、「重要な事実の不記載」とみなされ、欠格要件に該当して許可の取消処分という事態に陥ってしまいます。
そうなると、法人の役員全員が欠格要件に該当してしまうことになり、許可の取消処分を受けてから5年間は許可を取り直すことが出来なくなってしまいます。
このことからも、許可取得後であっても、役員等が欠格要件に該当することのないよう、法令をしっかり遵守するように事業を清廉に運営することが求められます。
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