小売電気事業開始までの手続きの進め方について

電力自由化

電気事業法等の一部が改正され、小売電気事業への参入が全面的に自由化されて余年、現在は経済産大臣の登録を受けることにより、個人・法人の別を問わず、誰でも自由に電気の小売事業が行えるようになっています。

他方、電気小売事業を開始するまでに求められる手続きは、複雑かつ膨大で、手続きに不慣れな方であれば相当な苦行を強いられることは間違いありません。

そこで本稿では、これから小売事電気業をはじめようとされる皆さまに向けて、小売電気事業開始までに必要とされる手続きの流れについて、詳しく解説していきたいと思います。

手続きの流れ

小売電気事業を営もうとする者及び小売供給の登録を受けようとする者は、経済産業大臣の登録を受ける必要があります。この手続きは、ワンストップとはいかず、以下のとおり、数次のステップを経由する必要があります。

電力広域的運営推進機関への会員加入申し込み
申請書類ドラフトの作成(事前相談)
申請書類の正式提出
審査〜登録・通知
事業者マスタ(コード)申請
クライアント証明書取得
広域機関システム利用申請
託送供給契約の締結
スイッチング支援システム利用申請
託送関連データ提供システム利用申請
JEPXの取引会員への加入申請
マスタ申請・登録
計画提出

電力広域的運営推進機関への加入

電力広域的運営推進機関(OCCTO)(以下、広域機関)は、電源の広域的な活用に必要な送配電網の整備を進めるとともに、日本における電力の需給調整機能を強化することを目的として設立された、すべての電気事業者を会員とする強制加入団体です。

電力広域的運営推進機関の会員でない者が電気事業者になるためには、経済産業省への登録申請(届出)に先立ち、まずは広域機関への加入申込みを行う必要があります。

事前相談

以下の申請書ドラフト(草案)を作成し、準備した添付書類とともに、事前相談受付メールアドレス(bzl-kouritouroku-denki@meti.go.jp)宛てに、件名を「小売電気事業/小売供給の登録申請について(株式会社○○)」としたメールを送信します。資源エネルギー庁において内容が確認された後、審査担当課による事前相談対応が行われます。

  • 小売電気事業登録申請書(様式第1)
  • 誓約書
  • 小売電気事業遂行体制説明書(様式第1の2)
  • 苦情等処理体制説明書(様式第1の3)
  • 定款及び登記事項証明書(法人)
  • 直近の貸借対照表・損益計算書
  • 履歴書
  • 加入仮申請受付表示又は日付受領印のある加入申込書
  • 参考資料(法人の業務内容が分かる資料(会社紹介用のパンフレット等))
小売電気事業登録申請書法人名、代表者役職、代表者氏名、住所を登記事項証明書と一致させること
最大需要電力が見込まれる月及び時間帯を1時間に絞っていること
契約電力やピーク時の割合について、備考欄に記載すること
◆自社電源により供給能力を確保する場合
設備の所在が確認できる資料(名称・所在地・写真・出力)を添付すること(例:パンフレット・HP・送配電事業者への接続契約書等)
自然変動型電源(太陽光・風力・水力(自流式又は揚水式))の供給力確保見込み量には調整係数(※)が考慮されていること
http://www.jepx.org/outline/rules.html
◆相対契約により供給能力を確保する場合
相手方との概ねの合意がなされていることを可視的に確認できる資料が添付されていますか。(例:契約書(ドラフトも可)、打ち合わせの会議録、メールでのやりとりなど)
◆卸電力取引市場により供給能力を確保する場合
取引会員規程に適合していることhttp://www.jepx.org/outline/rules.html
誓約書法人名、代表者役職、代表者氏名、住所が登記事項証明書と一致していること
小売電気事業遂行体制説明書想定している販売地域や需要家数に見合った体制(人員配置等)とすること
事業遂行体制に関する説明内容と体制図が一致すること
説明義務・書面交付義務が適切に遵守される体制になっていること
販売方法に応じた説明義務・書面交付義務が履行される記載となっていること
需給管理業務の実施体制が定まっていること
苦情等処理体制説明書苦情等問い合わせの連絡先が分かる状況になっていること
苦情等問い合わせ先の担当部署や責任者を設けていること
苦情等問い合わせに関する説明内容と体制図が一致していること
定款「小売電気事業」を営むことについて記載すること(無い場合は定款への追記について様式1の2に記載があること)
登記事項証明書原本を添付すること
直近の貸借対照表・損益計算書直近の決算において経常損失等がある場合、新規の法人で決算期未到来の場合などにあっては事前の問い合わせ推奨(新設の会社で直近の貸借対照表・損益計算書が無い場合は添付は不要)
履歴書登記事項証明書の役員全員分が添付されていること
役員の氏名、生年月日、略歴(所属や役職を含む)、現在所属している会社等における取締役就任時期を記載すること
広域的運営推進機関に加入する手続きをとったことを証する書類加入仮申請受付表示又は日付受領印のある加入申込書を添付すること(既に広域機関の会員である場合は添付不要、加入済みの事業を記載)

申請書類の正式提出

事前相談フローにおいて確認を受け、資源エネルギー庁から連絡が届いた後、下記書類について、記入要領及び記載例を参考に作成・準備し、申請書類一式を資源エネルギー庁電力産業・市場室宛てに提出します。

小売電気事業登録申請書【様式第1】(docx:24KB)
記載例(PDF:171KB)
記載要領(PDF:280KB)
電気事業法第2条の5第1項各号(第4号を除く)に該当しないことを誓約する書面記載例(docx:20KB)
小売電気事業遂行体制説明書【様式第1の2】(docx:19KB)記載例・記載要領(PD式:156KB)
苦情等処理体制説明書【様式第1の3】(docx:20KB)記載例・記載要領(PDF:132KB)
事業計画書【様式第1の3の2】(docx:20KB)記載例
定款、登記事項証明書、最近の事業年度末の貸借対照表及び損益計算書(新規立ち上げ等の事業者については提出不要)及び役員の履歴書(登記事項証明書に記載されている役員全員分)
電力広域的運営推進機関に加入する手続きをとったことを証する書類(電力広域的運営推進機関の会員でない場合)
参考資料(様式第1関係)法人の業務内容が分かる資料(会社紹介用のパンフレット等)
小売電気事業登録申請書提出時チェックリスト(EXCEL:18KB)
★メール提出の場合

資源エネルギー庁電力・ガス事業部 政策課 電力産業・市場室bzl-kouritouroku-denki@meti.go.jp

★郵送の場合

〒100-8931 東京都千代田区霞が関1-3-1

経済産業省 資源エネルギー庁
電力・ガス事業部 政策課電力産業・市場室小売班
(申請全般に関する問い合わせ先)

電話:03-3501-1748

相談メールアドレス:bzl-kouritouroku-denki@meti.go.jp

★供給能力の確保に関する問い合わせ(※様式第1、第31-8に関すること)

資源エネルギー庁電力・ガス事業部 電力基盤整備課

電話:03-3501-1749

★小売電気事業の実施体制等に関する問い合わせ(※様式第1-2、第1-3、第31-9に関すること)

電力・ガス取引監視等委員会事務局 取引監視課

電話:03-3501-1552

小売電気事業登録申請書

小売電気事業登録申請書記載例①
小売電気事業登録申請書記載例②
小売電気事業登録申請書記載例③

誓約書

誓約書

小売電気事業遂行体制説明書

小売電気事業遂行体制説明書①
小売電気事業遂行体制説明書②
小売電気事業遂行体制説明書③
小売電気事業遂行体制説明書④
小売電気事業遂行体制説明書⑤

苦情等処理体制説明書

苦情等処理体制説明書①
苦情等処理体制説明書②

事業計画書

登録申請にあたっては、事業開始後3年間の事業計画書(小売電気事業単体のもの)を作成し、添付する必要があります。記載例を活用することも可能ですが、社内で同様の計画が策定されていればそちらを代用しても構いません。

事業計画書には、「小売電気事業者に係るリスク管理の取組」(様式第1の3の2)に記載した各事項及び他の小売電気事業との競争を考慮して記載します。

事業計画書の期間は3年間、PL及びCSは月次、BSは年次のものを提出しますが、PLには、販売料金メニューについて記載した上で、売上高の根拠(料金メニューや対象需要家等、燃料費調整制度や市場連動項の有無等)並びに調達コストの根拠(卸料金の算定方法、調達先や卸契約条件)を記載します。

審査

小売電気事業の登録に係る標準処理期間(申請がその提出先の機関に到達してからその処分をするまでに通常必要とされる標準的な期間として行政手続法に基づき定めるもの)は「1ヶ月」になります。

なお、記載漏れ等不備の有無を確認・補正する「申請書類ドラフト確認」期間は標準処理期間に含まれず、登録申請が集中した場合などは、それ以上の期間を要する可能性があります。

登録免許税の納付

小売電気事業登録年月日から1ヶ月以内に登録免許税9万円を麹町税務署に納付し、登録免許税納付書を提出する必要があります。資源エネルギー庁への登録免許税納付書の提出にあたっては、領収証書(原本)の提出が必要となるため、電子納付ではなく現金納付により納付を行います。

登録免許税納付書は、資源エネルギー庁指定の登録免許税納付書(docx:20.27KB)の様式を用いて行い、納付した際に渡される領収証書の原本を納付書の裏面に添付し、郵送により提出します。なお、納付様式は最寄りの税務署でも入手できますが、納税税務署は「麹町」(経済産業省の所在地)となる点にご注意ください。

★納付先

麹町税務署(すでに納付様式を入手済みの場合は金融機関)

★納付書郵送先

〒100-8931 東京都千代田区霞が関1-3-1
資源エネルギー庁 電力産業・市場室 小売班

クライアント証明書取得

「広域機関システムの計画受付機能」及び「スイッチング支援システム」は、インターネットを介しての利用となるため、盗聴、改竄及びなりすまし等の脅威への対策として、SSL相互認証が実施されています。

このため、三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(旧社名:ジャパンネット株式会社) のWEBサイトより申請し、クライアント証明書を取得する必要があります。

クライアント証明書

広域機関システムの利用を希望する事業者は、申込書を添付し、件名を「【申請】広域機関システム利用申請」とし、事業者名、申請者氏名及び電話番号を記載のうえ、「広域機関システムに関する問い合わせ」へメールにて申し込みを行います。(申請締切:毎週金曜日17時)

クライアント証明書の取得後、広域機関システム利用システム(電力広域的運営推進機関HP)広域機関システム、スイッチング支援システム、容量市場システム、託送関連業務データ提供システム(30分電力量、確定使用量等)(電力広域的運営推進機関HP)のそれぞれについて申請を行います。

供給計画

供給計画とは、今後10年間の需給見通し、発電所の開発や送電網の整備等をまとめた計画で、電気事業法に基づきすべての電気事業者は国にこれを届け出る義務があります。広域機関が供給計画を取りまとめることにより、短期から中長期までの全国・供給エリアの需給バランスを一元的に把握・評価しています。

各電気事業者は、ライセンスごとに、提出対象様式及び様式内の記載項目が異なる供給計画を広域機関に提出する必要があります。

供給計画

小売電気事業者登録申請サポート

弊所では、全国を対象に小売電気事業者登録申請の代行を承(うけたまわ)っています。事前手続きから、ドラフト資料を含む書類作成及び各種機関とのやり取りに至るまで、しっかりとサポートいたします。

下記の報酬は、市場価格を反映したものですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。小売電気事業者の登録申請でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

小売電気事業者新規登録550,000円〜
小売電気事業者変更登録220,000円
変更の届出33,000円
※税込み

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