兵庫県における建設業許可申請の確認資料について
兵庫県内のみに営業所を設けて建設業許可を取得しようとする際は、各土木事務所において、常勤役員等及び常勤役員等を直接補佐する者・専任技術者・使用人が許可要件を満たしているか、常勤役員等及び常勤役員等を直接補佐する者・専任技術者が常勤しているか、また、営業所等についての適否などを確認するため、さまざまな客観的資料を提出、又は提示することが求められます。
そして、これが実にややこしい!!!
そこで本稿においては、兵庫県下で建設業許可の取得を目指す事業者さま、及び行政書士の皆さま、そして何よりも私自身の備忘録として活用するため、確認資料として必要となる書類について紹介させていただきたいと思います。
目 次
常勤役員等及び常勤役員等を直接補佐する者に関する確認書類一覧表(例示)
経験時の地位 | 確認書類等(例示) |
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①法人の取締役、執行役、事業協同組合の理事等 | ア.商業登記簿役員欄の閉鎖抄本等(添付) イ.工事契約書、注文書、見積書、請求書、元帳等 ウ.許可通知書、許可申請書(控え)等 エ.法人税確定申告書、同役員報酬明細 オ.健康保険被保険者証、社会保険事務所の発行する被保険者記録照会回答票 カ.住民税特別徴収義務者指定及び税額通知書 キ.雇用保険被保険者資格取得確認通知書(オに未加入の場合) ク.賃金台帳、賃金支払明細書、所得税源泉徴収納付領収書(オに未加入の場合) ケ.出向の場合は、出向契約書、出向協定書(出向者の氏名が記載されていない場合は出向者名の確認できる出向辞令等)、出向者の賃金の負担関係を示すもの、出向元の健康保険被保険者証 コ.事業協同組合の理事の場合で登記の場合は、就・退任を示す議事録 |
②事業主 | ア.工事契約書、注文書、見積書、請求書、元帳等 イ.許可通知書、許可申請書(控え)等 ウ.所得税確定申告書控 |
③事業主の支配人 | ア.支配人登記簿謄本(添付) イ.事業主の工事契約書、注文書、見積書、請求書、元帳等 ウ.許可通知書、許可申請書(控え)等 エ.事業主の所得税確定申告書控 オ.健康保険被保険者証、社会保険事務所の発行する被保険者記録照会回答票 カ.住民税特別徴収義務者指定及び税額通知書 キ.雇用保険被保険者資格取得確認通知書(オに未加入の場合) ク.賃金台帳、賃金支払明細書、所得税源泉徴収納付領収書(オに未加入の場合) |
④支店長、営業所長 (使用人) | ア.支店長等経験証明書(添付) イ.支店長名で締結した工事契約書、注文書、見積書、請求書、元帳等 ウ.許可通知書、許可申請書(必要期間における支店の許可業種、使用人の氏名が確認できるもの)等 エ.健康保険被保険者証、社会保険事務所の発行する被保険者記録照会回答票 オ.雇用保険被保険者資格取得確認通知書(エに未加入の場合) カ.賃金台帳、賃金支払明細書、所得税源泉徴収納付領収書(エ、オに未加入の場合) キ.出向の場合は、出向契約書、出向協定書(出向者の氏名が記載されていない場合は出向者名の確認ができる出向辞令等)、出向者の賃金の負担関係を示すもの、出向元の健康保険被保険者証 |
⑤執行役員 | 経営業務管理責任者に準じる地位の証明書(添付)(証明者が申請者と異なる場合は、印鑑証明書を添付)、及び組織図、業務分掌規程、定款、執行役員規程、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規則、取締役会議事録、人事発令書など取締役に最も直近の地位にあったことが確認できるもの |
⑥本店部長、支店次長、営業所次長 ⑦事業主の配偶者・子等 | ア.経営業務管理責任者に準じる地位の証明書(添付)(証明者が申請者と異なる場合は、印鑑証明書を添付)、及び組織図、所掌事務分担、辞令、職歴、他の同列の役職者との年齢、賃金、所掌事務、経験年数等を比較でき、取締役・支店長・営業所長に最も直近の地位にあったことが確認できるもの イ.戸籍謄本、住民票等 ウ.⑦の場合は、死亡した事業主の税務申告書(専従者としての記載のあるもの6年分) エ.許可通知書、許可申請書(控え)等 オ.健康保険被保険者証、社会保険事務所の発行する被保険者記録照会回答票 カ.雇用保険被保険者資格取得確認通知書(オに未加入の場合) キ.賃金台帳、賃金支払明細書、所得税源泉徴収納付領収書(オ、カに未加入の場合) |
⑧役員等(建設業に関するものを除く) (①~⑤) | 上記①~⑤に準じる(工事契約書、注文書、見積書、請求書、元帳等を除く) |
⑨財務管理、労務管理、業務運営の業務経験 (①~⑦) | 上記 ①~⑦に準じる 【財務管理、労務管理、業務運営に係る業務経験確認書面】 Ⅰ.組織図その他これに準ずる書類 Ⅱ.業務分掌規程、過去の稟議書その他これらに準ずる書類 Ⅲ.人事発令書その他これらに準ずる書類 |
非常勤であった場合の期間は、経営経験としては認められません。また、営業は行ったものの受注できず実績がない場合でも経営経験として認められます。なお、補佐経験については、同一期間内は1人しか認められません。
専任技術者要件の確認書類一覧表(例示)
技術者の要件 | 確認書類(例示) |
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国家資格者 | 合格証、免許証(原本確認) |
大臣特認者 | 認定証(原本確認) |
実務経験者 | ア.工事請負契約書、注文書、見積書、請求書(必要期間分) イ.実務経験期間の常勤を証明するもの(いずれも証明期間分が必要) Ⅰ.健康保険被保険者証(事業所名と資格取得年月日が記載されているもの) Ⅱ.社会保険事務所の発行する被保険者記録照会回答票 Ⅲ.特別徴収税額通知書 Ⅳ.法人税確定申告書の役員報酬明細(法人の役員の場合) Ⅴ.所得税確定申告書(個人事業主の場合) Ⅵ.出向していた場合は、出向契約書、出向協定書(出向者の氏名が記載されていない場合は出向者名の確認できる出向辞令等)、出向者の賃金の負担関係を示すもの、出向元の健康保険被保険者証 |
指導監督的実務経験者(指定建設業以外) | 上記のいずれかに加えて、指導監督的実務経験証明書に記載された工事の契約書 【対象となる工事】 昭和59年9月30日まで・・・1,500万円以上 平成6年12月27日まで・・・3,000万円以上 平成6年12月28日以降・・・4,500万円以上 |
指導監督的実務経験とは、発注者から直接請け負った建設工事において、設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験を指します。
実務経験証明書、指導監督的実務経験証明書の証明者が、申請者と異なる場合は、印鑑証明書(提出時から3か月以内のもの)を添付します。
監理技術者資格者証により認定された業種については、その写しの添付で足ります。また、実務経験により監理技術者資格者証の交付を受けた業種については、(指導監督的)実務経験証明書の添付は不要です。
監理技術者資格者証の有効期限が切れているものや、所属建設業者名が申請者と異なっている等の場合であっても資格証明書類として認められています。
常勤役員等(本社)、専任技術者(本支社)の専任性(常勤性)の確認書類一覧表(例示)
専任を確認する対象者 | 確認書類等(例示) |
常勤役員等及び常勤役員等を直接補佐する者専任技術者 | ア.健康保険被健康保険者証 イ.雇用保険被保険者資格取得確認通知書 ウ.健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書 エ.健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書 オ.法人税確定申告書の役員報酬明細 カ.賃金台帳、賃金支払明細書、所得税源泉徴収納付領収書 キ.出向の場合は、出向契約書、出向協定書(出向者の氏名が記載されていない場合は出向者名の確認できる出向辞令等)(出向期間が短期間のものは除く)、出向者の賃金の負担関係を示すもの、出向元の健康保険被保険者証 ク.出勤簿、タイムカード ケ.遠距離通勤の場合は通勤方法(公共交通利用の場合は通勤届又は定期券、自動車による場合は通勤届又は通勤経路、運転免許証、自動車検査証、通勤手当の負担方法等) コ.住民税特別徴収義務者指定及び税額通知書 サ.県税事務所受付の「法人設立(支店等設置・県外転入)届」(法人)、税務署受付の「個人事業の開業・廃業等届出書」(個人) シ.単身赴任の場合は、居所を示す賃貸借契約書、公共料金の請求書、振込通知書(居所、氏名の表示のあるもの) |
上記の書類による確認は、原則として新規(更新・業種追加を含む)及び経営業務の管理責任者、専任技術者を変更した場合に行われます。また、証明書又は該当条項が異なる場合は別葉として取り扱われます。
自営5年未満(申請業種、他業種とも)と経営業務補佐経験6年未満(申請業種)とで6年以上の場合は、それぞれ別葉の証明となりますが、該当条項はいずれも法第7条第1号ロとなります。
他の法人の常勤の代表取締役(取締役を含む)、地方公共団体議会の議員は、専任性を満たさないものとして取り扱われます。
個人事業主、実務経験による専任技術者については、運転免許書等により氏名(漢字等)が確認されます。
法人の役員、個人事業主、支配人等が、欠格事由(犯歴、暴力団構成員等)に該当する疑いがある場合は、所轄の警察署又は県警(建設業室経由)に照会が行われます。
後期高齢者等の常勤性については、健康保険被保険者証等に代わる書類として、後期高齢者を新たに雇用したときや70歳に到達し引き続き雇用する際の「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を添付します。
専任技術者について、出向者、単身赴任者、車通勤者がいる場合は、キ、ケ、シ等の書類(準じた書類を含む)が必要となります。
営業所調査の確認資料(例示)
営業所新設・移転等により、営業所調査が必要と判断された場合は、営業所として使用できることが明白な場合を除き、確認資料として以下の資料が必要となります。
順序 | 調 査 項 目 | 提出書類(確認書類等) |
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1 | 営業所の所有 | ■自社所有の場合 ア.不動産(家屋)の登記簿謄本(原本) イ.固定資産(家屋)評価証明書(原本) ウ.固定資産税納税通知書(写し) ■賃貸の場合 家屋の賃貸借契約書、使用貸借契約書、使用承諾書、賃借料領収書等(写し)(所有者もしくは貸主が事業主、法人の役員、又はその親族の場合は、使用承諾書等、所有権が確認できる書類を求められることがある) |
2 | 事業活動 | ■法人の場合 法人市町民税納付領収書(写し)、法人事業税納税証明書(写し)(新規設立で第1決算期未到来の場合は、県税事務所受付印のある「法人設立(支店等設置・県外転入)届(写し) ■個人の場合 個人事業税納付済領収書(写し)、個人事業税納税証明書(写し) (新規に事業開始して第1決算期未到来の場合は、税務署受付印ある「個人事業の開業・廃業等届出書(写し)」) |
3 | 営業所の写真 | 営業所(外観・内部・看板等)の写真(必要に応じて、内部の平面図等) |
営業所新設等における営業所調査確認資料等の提出部数は、次のとおりです。
ケース | 変更届の提出先 | 変更届の提出部数 | 営業所調査確認資料 |
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主たる営業所(本店)所在地を管轄する県民局等の所管区域内に主たる営業所以外の営業所(支店)を設置する場合 | 本店所在地を管轄する県民局等 | 正本1部、副本(写し可)1部 | 正本1部 |
本店所在地を管轄する県民局等の所管区域外に支店を設置する場合 | 支店の所在地を管轄する県民局等 | 正本1部、副本(写し可)の数+1部 | 正本1部 |
その他添付書類
書類名 | 審査内容 |
登記されていないことの証明書 | 許可申請者及び使用人が、成年被後見人及び被保佐人に該当しないことを確認する(顧問、相談役、株主等については添付不要(提出時において3か月以内のものを添付) |
身分証明書 | 許可申請者及び使用人が、成年被後見人又は被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ないものに該当しない旨を確認する(顧問、相談役、株主等については添付不要)(提出時において3か月以内のものを添付する)(外国籍の場合は発行されないため添付不要) |
医師の診断書 | 許可申請者及び使用人が、成年被後見人及び被保佐人に該当する者である場合、契約の締結及びその履行にあたり必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができる能力を有する旨の医師の診断書が提出されれば欠格要件に該当しない |
定款(法人のみ) | 商号、事業目的、役員数、決算期等の事項について、申請書等の記載内容と照合し、確認する 事業目的の中に、「○○建設工事の請負」の事項が明示されていない場合、定款目的の変更をすること 最終変更後の整理したもの又は変更議事録を添付すること |
登記事項証明書 | 商号、所在地、資本金、役員氏名、支配人、事業目的、設立年月日等の項目について、申請書等の記載内容と照合し、確認する 事業目的の中に、「○○建設工事の請負」の項目が明示されていない場合、登記事項を変更すること 個人の場合、支配人登記を行っている場合のみ添付する 法務局の証明年月日は、提出時において3か月前以内のものを添付する |
事業税納付済額証明書 | ■法人の場合 法人事業税(直前1年分の納税証明書を添付する) ■個人の場合 個人事業税 (県税事務所の証明) |
事業報告書 | 株式会社の申請については必ず添付すること(ただし、定められた様式はないので、申請者が商法に基づき作成した報告書を添付) |
個人事業税について
許可申請の時期 | 添付する書類 |
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1~8月まで | 前々年における事業所得に対する課税についての前年度事業税納税証明書 |
9~12月まで | 前年における事業所得に対する課税についての当該年度事業税納付済証明 |
個人事業税は、前年期の事業所得について翌年の3月15日前後までに申告を行い、8月と11月に納税することになるため、前年期の決算変更届に個人事業税納税証明書を添付するには、早くても8月以降でないと事業年度と対応した納税証明書は添付できません。したがって、法定どおり事業年度終了後4ヶ月以内に決算変更届を提出しようとすれば事業年度と対応した納税証明書の添付は不可能であるため、前年度事業税納税証明書を添付することになります。
まとめ
建設業許可申請においては、必要書類の収集段階からこのような煩わしい作業が求められます。また、申請先の行政庁が異なれば、確認資料やそのルールについても、おのずとその取扱いは異なります。建設業許可申請に際し行政書士が携わる機会が多いのは、このような制度やその違いについても熟知しているためです。いざ許可申請を行おうとする際に「どの書類が必要になるのか」についてお悩みであれば、弊所を含めて経験値の高い行政書士に依頼することをお薦めいたします。
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