大阪で薬局を開設するには?│薬局開設許可の窓口・手数料・必要書類を行政書士が解説

大阪府内で薬局を開設するには、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)第4条第1項に基づき、薬局ごとに開設の許可を受けることが求められます。許可の基準そのものは全国共通の法令で定められていますが、申請先や手数料、提出書類、審査の細部は、大阪府と府内の保健所設置市とで、それぞれ独自に定められています。
特に大阪府では、薬局等の許可に関する事務が府から一部の市へ権限移譲されており、大阪市、堺市、東大阪市、高槻市、豊中市、枚方市、八尾市、寝屋川市、吹田市の9市では各市が、それ以外の市町村では府の保健所の薬事課が申請窓口となります。さらに、健康保険を使った調剤を行うには、薬局開設の許可とは別に、近畿厚生局の指導監査課で保険薬局の指定を受ける手続きも欠かせません。
そこで本稿では、大阪府内で薬局を開設したい方に向けて、薬局開設の許可の要件を法令に沿って整理したうえで、大阪府と府内の保健所設置市における申請窓口、手数料、必要書類、手続きの流れを、行政書士が詳しく解説します。
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目 次
薬局とは│店舗販売業との違い
薬機法は、「薬局」を、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所と定義しており、医薬品の販売業を併せて行う場合には、その販売業に必要な場所も含まれます。処方箋に基づく調剤を行うには、この薬局の許可を受けることが必要です。
一方、調剤を行わずに、要指導医薬品や一般用医薬品の販売だけを行う場合には、薬局ではなく「店舗販売業」の許可を受けることになります。店舗販売業では、薬剤師はすべての一般用医薬品を販売できますが、登録販売者が販売できるのは第2類医薬品と第3類医薬品に限られ、第1類医薬品は販売できません。
| 区分 | 調剤 | 販売できる医薬品 | 面積の基準 |
|---|---|---|---|
| 薬局 | できる | 薬局医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品 | おおむね19.8㎡以上 |
| 店舗販売業 | できない | 要指導医薬品、一般用医薬品(登録販売者は第2類・第3類のみ) | 13.2㎡以上 |
なお、大阪市の手引きでは、薬局の名称に「薬局」の文字を含めるよう求めています。
新たな許可が必要となる場合
大阪府の手引きでは、はじめて薬局を開設する場合、既に許可を得ている薬局の申請者が変わる場合、組織を変更する場合(個人から法人へ、法人から個人へ)、許可の種類が変わる場合(店舗販売業から薬局へなど)、別の場所に移転する場合、薬局を全面改築する場合、許可更新申請を許可満了日までに行わなかった場合に、新たに薬局開設の許可を受けることが必要であるとしています。
大阪市の手引きは、これらに加えて、既存の店舗を全面改築する際などに仮店舗で医薬品の販売等を行う場合も、新規の許可申請が必要であるとしています。また、同一ビル内での階層移転や、同一フロア内での移転であっても、新規申請が必要であると明記しています。新たな許可を取得するまでに医薬品の販売・授与を行うと、無許可販売として処罰されることがあるため、移転や法人化の際は特に注意が必要です。
許可の有効期間は6年であり、更新申請を忘れて期限が切れると、改めて新規の許可を受けることになります。
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大阪府内の申請窓口
大阪府内では、薬局の所在地によって、次のとおり申請窓口が分かれます。大阪市、堺市、東大阪市、高槻市、豊中市、枚方市、八尾市、寝屋川市、吹田市は、保健所を設置する市であるため、薬局開設の許可の許可権者はそれぞれの市長となります。それ以外の市町村では、大阪府知事が許可権者となり、府の保健所の薬事課が申請窓口となります。
| 薬局の所在地 | 申請窓口 | 所在地 | 電話番号 |
|---|---|---|---|
| 大阪市 | 大阪市健康局生活衛生部生活衛生課 薬務指導グループ | 大阪市北区中之島1-3-20(大阪市庁舎2階) | 06-6208-9986 |
| 堺市 | 堺市健康福祉局保健所 保健医療薬務課 薬務第一・第二係 | 堺市堺区南瓦町3-1(本館6階) | 072-228-7582 |
| 東大阪市 | 東大阪市健康部保健所 環境薬務課 | 東大阪市岩田町4-3-22-500(希来里 施設棟5階) | 072-960-3804 |
| 高槻市 | 高槻市健康福祉部保健所 健康医療政策課 | 高槻市城東町5-7 | 072-661-9330 |
| 豊中市 | 豊中市健康医療部 保健安全課 医薬安全係 | 豊中市中桜塚4-11-1 | 06-6152-7384 |
| 枚方市 | 枚方市健康福祉部保健所 保健医療課 | 枚方市禁野本町2丁目13-13 | 072-807-7623 |
| 八尾市 | 八尾市健康福祉部 保健企画課 保健企画係 | 八尾市清水町1-2-5 | 072-994-0661 |
| 寝屋川市 | 寝屋川市保健所 保健総務課(医事薬事担当) | 寝屋川市池田西町28-22 | 072-829-7771 |
| 吹田市 | 吹田市健康医療部 保健医療総務室 薬事グループ | 吹田市出口町19-3 | 06-6339-2225 |
| 池田市、箕面市、茨木市、摂津市、島本町、豊能町、能勢町 | 茨木保健所 生活衛生室 薬事課 | 茨木市大住町8-11 | 072-620-6706 |
| 守口市、大東市、門真市、四條畷市、交野市 | 守口保健所 薬事課 | 守口市京阪本通2丁目5-5(守口市庁舎8階) | 06-6993-3135 |
| 富田林市、河内長野市、松原市、柏原市、羽曳野市、藤井寺市、大阪狭山市、太子町、河南町、千早赤阪村 | 藤井寺保健所 生活衛生室 薬事課 | 藤井寺市藤井寺1-8-36 | 072-952-6165 |
| 岸和田市、泉大津市、貝塚市、泉佐野市、和泉市、高石市、泉南市、阪南市、忠岡町、熊取町、田尻町、岬町 | 泉佐野保健所 生活衛生室 薬事課 | 泉佐野市上瓦屋583-1 | 072-464-9681 |
いずれの窓口でも、許可基準や審査基準があるため、申請前に事前相談を行うよう求めています。物件が決まった段階で、まずは窓口に連絡を入れておきましょう。
許可の基準
薬局開設許可を受けるには、薬機法第5条に定める基準に基づき、構造設備、業務体制、人的要件の3つの観点からの審査をクリアすることが求められます。あわせて、薬局を実際に管理する管理者を置くことも欠かせません。
大阪府や府内の保健所設置市では、これらの基準の運用について、それぞれ審査基準を定めています。
| 要件 | 概要 |
|---|---|
| 構造設備要件 | 薬局の面積、調剤室の広さ、設備などが薬局等構造設備規則の基準に適合していること |
| 業務体制要件 | 薬剤師の人数や勤務時間などが、体制省令の基準に適合していること |
| 人的要件 | 申請者(法人の場合は薬事に関する業務に責任を有する役員)が欠格事由に該当しないこと |
| 管理者 | 薬剤師の中から、薬局を実地に管理する管理者を置くこと |
構造設備の基準
薬局の構造設備は、薬局等構造設備規則第1条に定める以下の基準に適合していることが求められます。
- 調剤された薬剤又は医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者が容易に出入りできる構造であり、薬局であることがその外観から明らかであること
- 換気が十分であり、かつ、清潔であること
- 当該薬局以外の薬局又は店舗販売業の店舗の場所、常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること
- 面積は、おおむね19.8㎡以上とし、薬局の業務を適切に行うことができるものであること
- 医薬品を通常陳列し、又は調剤された薬剤若しくは医薬品を交付する場所は60ルクス以上、調剤台の上は120ルクス以上の明るさを有すること
- 要指導医薬品又は一般用医薬品を販売・授与する薬局で、開店時間のうちそれらを販売・授与しない時間がある場合は、それらを通常陳列し、又は交付する場所を閉鎖することができる構造であること
- 冷暗貯蔵のための設備を有すること
- 鍵のかかる貯蔵設備を有すること
- 貯蔵設備を設ける区域が、他の区域から明確に区別されていること
- 次に適合する調剤室を有すること
- 6.6㎡以上の面積を有すること
- 天井及び床は、板張り、コンクリート又はこれらに準ずるものであること
- 調剤された薬剤や医薬品を購入する者などが進入することができないよう、必要な措置が採られていること
- 薬剤師不在時間がある薬局にあっては、閉鎖することができる構造であること
- 薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、第1類医薬品を販売・授与する薬局にあっては、それぞれ次に適合すること
- 陳列のために必要な陳列設備を有すること
- 陳列設備から1.2m以内の範囲(陳列区画)に、購入者などが進入することができないよう必要な措置が採られていること(陳列しない場合や、鍵をかけた陳列設備など購入者が直接手を触れられない陳列設備に陳列する場合を除く)
- 開店時間のうち、それらを販売・授与しない時間がある場合には、陳列区画を閉鎖することができる構造であること
- 指定濫用防止医薬品(第2類・第3類医薬品に限る)を販売・授与する薬局にあっては、次に適合すること
- 陳列のために必要な陳列設備を有すること
- 陳列設備から1.2m以内の範囲に購入者などが進入することができないよう必要な措置が採られているか、購入者が直接手を触れられない陳列設備を有すること(陳列しない場合や、陳列設備から7m以内に情報提供設備を置き、薬剤師又は登録販売者を継続的に配置する場合を除く)
- 開店時間のうち、販売・授与しない時間がある場合には、陳列区画を閉鎖することができる構造であること
- 情報の提供や指導を行うための設備を有し、その設備が次に適合すること(複数ある場合はいずれかが適合すれば足りる)
- 調剤室に近接する場所にあること
- 薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、第1類医薬品を陳列する場合は、それぞれの陳列区画の内部又は近接する場所にあること
- 指定第2類医薬品を陳列する場合は、その陳列設備から7m以内にあること(鍵をかけた陳列設備に陳列する場合や、1.2m以内の進入防止措置が採られている場合を除く)
- 指定濫用防止医薬品を陳列する場合は、その陳列設備から7m以内にあること(進入防止措置が採られている場合や、購入者が直接手を触れられない陳列設備に陳列する場合を除く)
- 2以上の階に医薬品を陳列し、又は交付する場所がある場合は、各階のその場所の内部にあること
- 液量器、温度計(100度)、水浴、調剤台、軟膏板、乳鉢(散剤用)及び乳棒、はかり(感量10mgのもの及び感量100mgのもの)、ビーカー、ふるい器、へら(金属製のもの及び角製又はこれに類するもの)、メスピペット、メスフラスコ又はメスシリンダー、薬匙(金属製のもの及び角製又はこれに類するもの)、ロート、調剤に必要な書籍(電子媒体を含む)を備えていること(書籍以外は、同等以上の性質を有するもので足りる)
- 営業時間のうち特定販売のみを行う時間がある場合には、都道府県知事等又は厚生労働大臣が、特定販売の実施方法を適切に監督するために必要な設備を備えていること
このほか、放射性医薬品を取り扱う場合には、別に定める基準に適合することが求められます。なお、大阪府と大阪市の手引きでは、薬局の平面図を定規などを用いて正確に作成し、薬局と調剤室の面積が算出できるよう内法で寸法を記載したうえで、余白に面積の算出式を記入するよう求めています。また、天井までの高さが2.1m未満の部分(階段下など)や柱の部分は、有効面積から除くこととされています。更衣室や事務室、トイレ、倉庫などの面積も、薬局の面積には含めません。大阪市は、面積を小数点第2位で四捨五入し、小数点第1位まで算出するよう求めています。
★行政書士実務メモ①
大阪府の手引きは、認められない薬局の構造として、薬局が他の店舗へ行くための通り抜け構造になっているもの、調剤室を通らないと事務室に行けないなど調剤室が通り抜け構造になっているもの、調剤室と待合室の間の窓から直接投薬するなど情報提供設備がないものを挙げています。
また、調剤室と待合室が接する面には、横幅のおおむね半分以上にわたってガラス面を設け、患者が調剤室内を見渡せるようにすることも求められています(大阪市は、高さを待合室の床面からおおむね1mから1.8mとしています)。スーパーなどの一画に薬局を設ける場合は、床の色を変えるなどして区画を明確にし、薬局内に専用のレジを設ける必要があります。いずれも内装工事前に図面で事前相談しておくのが鉄則です。
業務体制の基準
薬局の業務を行う体制は、「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」(体制省令)第1条に定める以下の基準に適合していることが求められます。
- 薬局の開店時間内は、常時、当該薬局において調剤に従事する薬剤師が勤務していること(薬剤師不在時間内は、調剤に従事する薬剤師が当該薬局以外の場所において当該薬局の業務を行うために勤務していること)
- 調剤に従事する薬剤師の員数が、1日平均取扱処方箋数を40で除して得た数(1に満たないときは1とし、1に満たない端数は1とする)以上であること
- 要指導医薬品又は第1類医薬品を販売・授与する薬局にあっては、それらを販売・授与する営業時間内は、常時、医薬品の販売・授与に従事する薬剤師が勤務していること
- 第2類医薬品又は第3類医薬品を販売・授与する薬局にあっては、それらを販売・授与する営業時間内は、常時、医薬品の販売・授与に従事する薬剤師又は登録販売者が勤務していること
- 営業時間又は営業時間外で相談を受ける時間内は、相談があった場合に、情報の提供又は指導を行うための体制を備えていること
- 調剤に従事する薬剤師の週当たり勤務時間数の総和が、当該薬局の開店時間の1週間の総和以上であること
- 1日当たりの薬剤師不在時間は、4時間又は当該薬局の1日の開店時間の2分の1のうち、いずれか短い時間を超えないこと
- 薬剤師不在時間内は、薬局の管理を行う薬剤師が、当該薬局で勤務している従事者と連絡ができる体制を備えていること
- 薬剤師不在時間内に調剤を行う必要が生じた場合に、近隣の薬局を紹介すること、又は調剤に従事する薬剤師が速やかに当該薬局に戻ることその他必要な措置を講じる体制を備えていること
- 要指導医薬品又は一般用医薬品を販売・授与する薬局にあっては、その販売・授与に従事する薬剤師及び登録販売者の週当たり勤務時間数の総和を、情報の提供・指導を行う場所の数で除して得た数が、それらを販売・授与する開店時間の1週間の総和以上であること
- 要指導医薬品又は第1類医薬品を販売・授与する薬局にあっては、その販売・授与に従事する薬剤師の週当たり勤務時間数の総和を、情報の提供・指導を行う場所の数で除して得た数が、それらを販売・授与する開店時間の1週間の総和以上であること
- 調剤の業務に係る医療の安全を確保するため、指針の策定、従事者に対する研修の実施その他必要な措置が講じられていること(※)
- 調剤された薬剤に関する情報の提供及び指導その他の調剤の業務(調剤のために使用される医薬品の貯蔵に関する業務を含む)に係る適正な管理を確保するため、指針の策定、従事者に対する研修の実施その他必要な措置が講じられていること(※)
- 医薬品を販売・授与する薬局にあっては、医薬品に関する情報の提供及び指導その他の販売・授与の業務に係る適正な管理を確保するため、指針の策定、従事者に対する研修の実施その他必要な措置が講じられていること(※)
また、(※)の「必要な措置」として、次の措置を定めています。
- 医薬品の使用に係る安全な管理のための責任者の設置
- 従事者から薬局開設者への事故報告の体制の整備
- 医薬品の貯蔵設備を設ける区域に立ち入ることができる者の特定
- 医薬品の安全使用並びに調剤された薬剤及び医薬品の情報提供のための業務に関する手順書の作成と、その手順書に基づく業務の実施
- 調剤及び医薬品の販売・授与の業務に係る適正な管理のための業務に関する手順書の作成と、その手順書に基づく業務の実施
- 薬剤師不在時間がある薬局にあっては、薬剤師不在時間における薬局の適正な管理のための業務に関する手順書の作成と、その手順書に基づく業務の実施
- 医薬品の安全な管理や情報提供に必要な情報の収集その他、調剤の業務に係る医療の安全及び適正な管理並びに医薬品の販売・授与の業務に係る適正な管理の確保を目的とした改善のための方策の実施
★行政書士実務メモ②
大阪府と大阪市の手引きでは、申請時に、体制省令に準拠した指針・手順書と、それらの概要を示す書類を提出するよう求めています。手順書には、医薬品の購入・管理・販売、事故発生時の対応、偽造医薬品の流通防止に向けた譲受時の確認や返品の取扱いなどを盛り込む必要があり、指定濫用防止医薬品を販売する場合は、その販売等手順書も作成します。薬剤師不在時間を設ける場合は「薬剤師不在時の対応についてのチェックリスト」の提出も必要です。
勤務表は、薬剤師が1名の場合であっても提出が必要です。大阪市の様式では、薬剤師の員数は実際の雇用人数ではなく、各薬剤師の勤務延べ時間を1週間の就業時間で除して算出し、就業規則がない場合は32時間で除すこととされています。
欠格事由
申請者(法人の場合は、薬事に関する業務に責任を有する役員)が、次のいずれかに該当するときは、許可を受けることができません。
- 薬機法第75条第1項の規定により許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
- 薬機法第75条の2第1項の規定により登録を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった後、3年を経過していない者
- 薬機法、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法その他薬事に関する法令で政令で定めるもの(大麻草の栽培の規制に関する法律、覚醒剤取締法、あへん法、薬剤師法など)又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過していない者
- 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
- 精神の機能の障害により薬局開設者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 薬局開設者の業務を適切に行うことができる知識及び経験を有すると認められない者
大阪市の手引きでは、法人の場合、代表取締役(代表執行役)はすべての業務の決定権を持つため、全員が「薬事に関する業務に責任を有する役員」になるとしています。申請書の欠格事由の欄には、該当する事実がなければ「なし」(責任役員が複数いる場合は「全員なし」)と記載します。
医師の診断書は、申請者が精神の機能の障害により業務を適正に行うことができないおそれがある場合にのみ、発行後3か月以内のものを提出することとされています。ただし、大阪府の手引きでは、麻薬小売業者の免許を併せて申請する場合は、発行後30日以内の診断書を必ず提出するよう求めています。
管理者
薬局の開設者は、薬剤師でなくても構いません。薬機法第7条第1項により、開設者が薬剤師である場合は、自らその薬局を実地に管理するか、その薬局で薬事に関する実務に従事する他の薬剤師を管理者に指定して実地に管理させます。同条第2項により、開設者が薬剤師でない場合は、その薬局で実務に従事する薬剤師の中から管理者を指定し、実地に管理させることが義務づけられています。
さらに、薬機法第7条第3項により、管理者は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他の薬事に関する実務に従事してはならないとされています。都道府県知事の許可を受けた場合は例外となりますが、原則として他の薬局との掛け持ちは認められません。
大阪府の手引きでは、管理者やその他の薬剤師・登録販売者を雇用する場合は、雇用契約書の写し又は使用関係証明書を、法人の取締役(執行役)が管理薬剤師を兼ねる場合は誓約書を提出することとされています。大阪市は、申請者自身が管理者となる場合は使用関係の書類は不要ですが、申請書に「他の場所で薬事に関する実務に従事しない」旨を記載するよう求めています。また、派遣の薬剤師を置く場合は、派遣元と申請者の両方の使用関係証書が必要です。
手続きの流れ
薬局開設の許可の手続きは、おおむね次の流れで進みます。
事前相談
まずは、薬局の図面を持って、申請先の窓口に事前相談を行います。大阪府や府内の保健所設置市は、許可基準や審査基準があるため、事前に相談するよう求めています。内装工事の前に、構造設備が基準に適合しているかを確認してもらいましょう。
申請書類の提出
工事の進捗に合わせて、申請書類を提出します。大阪府の手引きでは、薬局開設の許可の申請に、次の書類を提出するよう求めています(◎は必須、○は該当する場合に必要)。
| 提出書類 | 区分 |
|---|---|
| 薬局開設許可申請書 | ◎ |
| 付近の見取図 | ◎ |
| フロア全体の平面図(ビル等の同一フロアに複数の店舗がある場合) | ○ |
| 薬局の平面図 | ◎ |
| 体制省令で求められる指針・手順書 | ◎ |
| 管理者及びその他の薬剤師・登録販売者の氏名、住所、週当たりの勤務時間数、登録番号・登録年月日を記載した書類 | ◎ |
| 特定販売に関する書類(特定販売を行う場合) | ◎ |
| 登記事項証明書(発行後6か月以内、法人の場合) | ○ |
| 管理者及びその他の薬剤師・登録販売者の使用関係を証する書類 | ○ |
| 放射性医薬品に関する書類(放射性医薬品を取り扱う場合) | ◎ |
| 申請者に係る医師の診断書(発行後3か月以内) | ○ |
| 勤務表 | ◎ |
| 資格を証する書類(薬剤師免許証、販売従事登録証) | ○ |
| 無菌調剤室の共同利用に関する書類(共同利用する場合) | ◎ |
| 薬剤師不在時間の対応に関する書類(薬剤師不在時間を設ける場合) | ◎ |
| 健康サポート薬局に関する書類(健康サポート薬局の表示をする場合) | ◎ |
大阪府では、資格を証する書類は写しの提出は不要ですが、受付時に原本照合を行うため、原本を必ず持参することとされています。また、同じ書類を既に大阪府に提出している場合は省略できますが、管理者の使用関係を証する書類は省略できません。保健所設置市に申請する場合は、それぞれの市が定める様式や必要書類を確認してください。
手数料
大阪府内の薬局開設の許可の申請手数料は、確認できた窓口では次のとおりです。枚方市、寝屋川市に申請する場合は、各市保健所に手数料と納付方法を確認してください。なお、大阪市は、受付処理のほか金融機関での支払手続きが必要なため、午後3時30分までに来庁するよう求めています。
| 窓口 | 新規 | 納付方法 | 標準処理期間 |
|---|---|---|---|
| 大阪府(府保健所) | 29,000円 | 府の案内による | 20日(保健所経由の場合) |
| 大阪市 | 29,000円 | 現金 | 市の案内による |
| 堺市 | 29,000円 | 現金 | 20日 |
| 東大阪市 | 29,000円 | 現金 | 市の案内による |
| 高槻市 | 29,000円 | 現金 | 市の案内による |
| 豊中市 | 29,000円 | 市の案内による | 20日 |
| 八尾市 | 29,000円 | 現金 | 15日(市の勤務を要しない日を除く) |
| 吹田市 | 29,000円 | 市の案内による | 市の案内による |
実地調査
薬事監視員が薬局を訪れ、構造設備が基準に適合しているかを確認します。大阪府の手引きでは、現地調査の際に薬局の構造設備を確認するとしており、大阪市は、調剤器具や書籍(電子媒体を含む)を調査時に確認するとしています。
許可証の交付
実地調査で基準に適合していると判断されれば、許可証が交付されます。許可を受けるまでは、薬局として営業することはできません。
保険薬局の指定
薬局開設の許可を受けただけでは、健康保険を使った調剤(保険調剤)を行うことはできません。大阪府内の薬局が保険調剤を行うには、近畿厚生局の指導監査課(大阪市中央区農人橋1-1-22 大江ビル8階)に申請し、保険薬局の指定を受けることが必要です。近畿厚生局では、各府県の事務所が申請の窓口となっていますが、大阪府については、府県事務所ではなく指導監査課が窓口となります。
保険薬局の指定は、近畿地方社会保険医療協議会の大阪部会への諮問を経て行われ、指定日は原則として、指定申請をした翌月の1日とされています。指定申請には薬局開設の許可証の写しを添付するため、薬局開設の許可の取得が締切に間に合わなければ、保険調剤の開始が1か月後ろにずれ込みます。近畿厚生局は、指定申請等の締切日は事務所・指導監査課ごとに異なるとしているため、毎月の締切は指導監査課に確認してください。
なお、保険薬局の指定申請は、健康保険法第65条に基づく手続きであり、社会保険労務士法第2条に定める社会保険労務士の業務にあたります。そのため、行政書士が指定申請書を作成したり、代理で提出したりすることはできません。
★行政書士実務メモ③
新規開設で最も多い失敗は、保険薬局の指定のスケジュールの読み違いです。開局予定日から逆算して、近畿厚生局指導監査課の締切日、薬局開設の許可の取得日(大阪府では標準処理期間20日)、申請書類の提出日、内装工事の完了日を順に押さえておきましょう。
その他の手続き
麻薬を取り扱う場合は、薬局開設の許可とは別に、麻薬小売業者の免許を受けることが必要です。大阪府内では、薬局が保健所設置市にある場合でも、麻薬小売業者の免許は大阪府が窓口となり(大阪市、堺市、東大阪市の薬局は府の薬務課、それ以外は管轄の府保健所)、手数料は3,900円です。薬局が保健所設置市にある場合は、薬局開設許可証の原本が必要ですが、移転や開設者の変更に伴い薬局開設の許可と同時に申請する場合は、各市の収受印のある薬局開設許可申請書の写しで足りるとされています。
大阪府の手引きは、薬局開設と併せて取得する業態として、高度管理医療機器等販売業・貸与業の許可(手数料29,000円)、毒物劇物販売業の登録(手数料14,700円)、薬局製造販売医薬品の製造販売業・製造業の許可などを挙げています。保健所設置市でこれらを申請する場合は、それぞれ別途の手続きが必要です。
薬局を開設した後も、許可の内容に変更があった場合には変更届を、薬局を休止・廃止・再開した場合には、その後30日以内に届出を提出します。また、前年の業務を行った期間が3か月以上で、1日平均取扱処方箋数が40枚を超える薬局は、毎年3月末日までに、前年の取扱処方箋数を届け出ることが求められます。許可の有効期間は6年であり、堺市は、有効期限より前に更新を申請するよう求めています。
Q. 茨木市で薬局を開設する場合、どこに申請しますか?
A. 茨木保健所の生活衛生室薬事課です。大阪市、堺市、東大阪市、高槻市、豊中市、枚方市、八尾市、寝屋川市、吹田市は各市、それ以外の市町村は府の保健所(茨木、守口、藤井寺、泉佐野)の薬事課が窓口となります。
Q. 同じビルの別の階に移転する場合も、新規の許可が必要ですか?
A. 必要です。大阪市の手引きでは、同一ビル内での階層移転や同一フロア内での移転であっても、新規申請が必要であると明記しています。
Q. 薬剤師免許証の写しは提出しますか?
A. 大阪府では、写しの提出は不要ですが、受付時に原本照合を行うため、原本を必ず持参することとされています。
Q. 麻薬小売業者の免許は、大阪市の薬局でも大阪市に申請しますか?
A. いいえ。大阪市内の薬局であっても、麻薬小売業者の免許は大阪府の健康医療部生活衛生室薬務課に申請します。
Q. 保険薬局の指定申請も行政書士に依頼できますか?
A. できません。保険薬局の指定申請は健康保険法に基づく手続きであり、社会保険労務士の業務にあたります。行政書士が担当できるのは、薬局開設の許可の申請などです。
薬局開設サポート
大阪府内での薬局の開設は、薬局の所在地によって窓口も手数料の納付方法も異なるうえ、近畿厚生局指導監査課への保険薬局の指定申請、大阪府への麻薬小売業者の免許申請、高度管理医療機器等販売業の許可など、申請先もタイミングも異なる手続きが重なります。手続きの順番や締切を一つでも誤れば、開局が1か月単位で遅れ、その間の家賃や人件費が無駄になってしまいます。
弊所では、保健所設置市や府の保健所への薬局開設の許可の申請を中心に、薬局の開設に関わる手続きをサポートしています。内装工事前の図面段階での事前相談から、構造設備規則や体制省令への適合の確認、指針・手順書や勤務表、平面図の作成、実地調査への立会いまで、事業の状況に合わせて対応します。また、保険薬局の指定申請は社会保険労務士の業務となるため弊所では代行できませんが、近畿厚生局指導監査課の締切から逆算して、薬局開設の許可を間に合わせるためのスケジュールを組み立てます。薬局の新規開設や開設者の変更、法人化、移転などで、薬局開設の許可の申請にお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
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