宅地建物取引業免許について

住宅の模型を抱える男性の画像

宅地建物取引業とは一般的には不動産業と呼ばれる業種をいいますが、厳密には管理業等の宅地建物の取引とはされていない不動産の取引等は含まれていないため、不動産業という大きな括(くく)りの中の一部ということができます。

不動産の取引は人生で最も高額な取引となることも多く、その取引については法令で厳しく規制する必要があることから、宅地建物取引業を営むためには、宅地建物取引業免許を受ける必要があります。

そこで本稿では、これから宅地建物取引業への参入を目指す皆さまに向けて、宅地建物取引業を営むために必要となる基礎知識及び手続きについて詳しく解説していきたいと思います。

宅地建物取引業

宅地建物取引業とは、宅地もしくは建物(建物の一部を含む)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為を業として行うものをいいます。

ここでいう宅地とは、建物の敷地に供せられる土地をいい、専門的に言えば、都市計画法上の用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外のものを含むものとされています。

なお、「業として」とされていることから、自己所有の物件を賃貸する行為や、一度限りの売買もしくは交換については宅地建物取引業には該当しません。

区分自己物件他人の物件の代理他人の物件の媒介
売買該当該当該当
交換該当該当該当
賃借非該当該当該当

「業」とは、不特定多数の人を相手方として、取引を反復または継続して行うことをいいます。

宅地建物取引業免許

宅地建物取引業を営もうとする者は、個人であるか法人であるかを問わず、都道府県知事もしくは国土交通大臣に対して申請を行い、その免許を受ける必要があります。

建設業や産業廃棄物処理業等で運用されている「許可制」ではなく「免許制」が採用されていることから、一般的には建設業等の「許可」よりも一段高いハードルが設定されているものと考えることもできます。

宅地建物取引業免許の申請は、以下の区分に応じて都道府県知事または国土交通大臣に対して行います。

1つの都道府県内に事務所を持つ場合都道府県知事免許
2つ以上の都道府県に事務所を持つ場合は国国土交通大臣免許

上記の区分はあくまでも事務所の所在地に基づく区分であるため、受ける免許が知事免許であったとしても、全国どの都道府県においても取引を行うことが可能です。

また、個人・法人のどちらでも申請することができますが、法人による申請の場合は、定款の事業目的に「宅建業を営む旨」が記載されている必要があります。

なお、宅地建物取引業の免許の有効期間は5年間とされており、有効期間満了後も引き続き宅地建物取引業を営もうとする者は、その有効期間が満了する日の90日前から30日前までに免許の更新申請を行う必要があります。

区分登録免許税(新規)登録免許税(更新)標準処理期間
知事免許33,000円33,000円30〜40日
大臣免許90,000円33,000円100日程度

宅地建物取引業免許の要件

不動産屋のイメージ

宅地建物取引業の免許を受けるためには、大まかに以下の3点について要件を満たす必要があります。

  • 「欠格事由」に該当しないこと
  • 「事務所の形態」を整えていること
  • 「専任の宅地建物取引士」を設置していること

欠格事由

申請者が以下のいずれかの事由に該当する場合は、宅地建物取引業者としての適格性を欠く者として免許を受けることはできません。

「5年間」免許を受けられない場合免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為または業務停止処分違反をして免許を取り消された場合
免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為または業務停止処分違反をした疑いがあるとして聴聞の公示をされた後、廃業等の届出を行った場合
禁錮以上の刑又は宅地建物取引業法違反等により罰金の刑に処せられた場合
免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関して不正又は著しく不当な行為をした場合
免許を受けられない場合成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者
宅地建物取引業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合
事務所に専任の取引士を設置していない場合

事務所の形態

事務所とは、本店、支店その他継続的に業務を行なうことができる施設を有する場所であって宅地建物取引業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くものをいいます。

本店又は支店には登記簿謄本に記載された本店又は支店が該当します。本店では宅建業を行なわず支店のみで宅建業を営んでいる場合であっても本店は宅地建物取引業の事務所として取り扱われますが、逆に登記された支店であっても本店のみで宅地建物取引業を営んでいるケースでは、支店は事務所として取り扱われません。

また、「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、宅地建物取引業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの」については、支店に類する従たる事務所として取り扱われます。

これらの場所を事務所とするためには、宅地建物取引業を継続的に行える機能をもち、事務所として認識される程度の独立した形態を備えていることが条件となることから、戸建住宅や集合住宅の一部を事務所として使用すること、シェアオフィスやレンタルスペース、又は仮設建築物や移動の容易な施設等を事務所とすることは原則として認められていません。

なお、後述するように事務所には事務所ごとに専任の宅地建物取引士の設置が義務付けられており、また、その数に応じて営業保証金の金額も変わるため、事務所に該当するか否かは宅地建物取引業にとって非常に重要な要素となります。

専任の宅地建物取引士の設置

宅地建物取引士(以下、宅建士)とは、宅地建物取引業の事務所において重要事項説明等を行うことを職務とする専門職です。宅地建物取引業の事務所においては、業務に従事する者5名につき1名以上の割合で専任の宅建士を設置する必要があります。

事務所に設置する宅建士は、事務所ごとに常勤であり(常勤性)、かつ専ら宅建業の業務に従事すること(専従性)が求められています。

また、専任の宅地建物取引士の数が不足した場合は、不足した日から2週間以内に補充する等必要な措置を取る必要があります。

★専任に当たらない例
  • 他の法人の代表取締役、代表者又は常勤役員を兼任する場合
  • 会社員や公務員のように他の職業に従事する場合
  • 個人事業を営むなど社会通念上の営業時間に、事務所に勤務することが不可能な状態にある場合
  • 通常の通勤が不可能な場所に住んでいる場合

(※)申請する会社の監査役は専任の宅地建物取引士に就任することは出来ません。

なお、宅建士となるためには資格試験に合格したのみでは足らず、都道府県に登録し、宅地建物取引士証の交付を受ける必要があります。登録を受けるためには試験合格後2年間の実務経験を有することが条件とされていますが、登録講習を受けることにより実務経験と代えることができます。

営業保証金の供託

貸金庫のイメージ

営業保証金とは、宅地建物取引業者と消費者との間でトラブルが生ずることに備え、一定の資金を開業前からプールするために設けられた制度です。この制度により、万が一消費者に損害が生じた場合であっても、その損害を埋め合わせることができるようになります。

営業保証金は「供託」という方法が採用されており、免許通知が申請者に届いた後、免許日から3ヶ月以内に、本店の所在地を管轄する供託所に対して事務所の区分及び数に応じて、以下の営業保証金を供託することになります。

主たる事務所(本店)1000万円
従たる事務所(支店等)500万円/1店

免許申請の手続きとしては、営業保証金の供託が完了し、以下の書類を都道府県に届け出ることによりようやく免許証が交付されます。このため「免許日から3ヶ月以内」という期日を経過しても供託がなされていない場合には免許そのものが取り消されることになります。

  • 免許通知の原本と写し1通
  • 営業保証金供託済届出書2通

保証協会への加入

宅地建物取引業における損害金は高額になるケースが多いことから、営業保証金も最低1,000万円と高額です。この額は一般の事業者がホイホイと捻出することができるものではなく、宅地建物取引業への参入を阻む高いハードルとなっています。

そこで法令では、弁済業務保証金分担金を供託して宅地建物取引業者の団体である宅地建物取引業保証協会(以下、保証協会)に加入すれば、営業保証金の供託が免除されるという「弁済業務保証金分担金制度」が設けられています。

現在保証協会には(社)全国宅地建物取引業保証協会及び(社)全国不動産保証協会の2団体があり、このいずれかの団体を選択し、事務所区分に応じて以下の額を弁済業務保証金として支払うことにより加入すれば営業保証金は免除されることになります。

主たる事務所(本店)60万円
従たる事務所(支店等)30万円/1店
※別に加入金や年会費等が必要になります

宅建業免許取得後の義務

不動産屋の外観

専任の宅地建物取引士の届出

免許証の受領後、専任の宅地建物取引士となった者は、宅地建物取引主任者証、入社証明書及び本人の印鑑を持参し、勤務先(事業者名)及び免許証番号を資格登録をしている都道府県知事に対して届け出る必要があります。

証明書の携帯

宅地建物取引業者は、従業者に対し、宅地建物取引業者の従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させることはできません。また、従業者は、取引の関係者の請求があったときは、証明書を提示する必要があります。

従業者名簿

宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備え、従業者の氏名、住所、生年月日、主たる職務内容、宅建士であるか否かの別、事務所の従業者となった年月日及び事務所の従業者でなくなった年月日を記載し、最終の記載日から10年間保存する必要があります。

また、取引の関係者から請求があったときは、従業者名簿をその者の閲覧に供することも義務付けられています。

帳簿の備付け

宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、宅地建物取引業の業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引業に関し取引のあったつど、以下の事項を記載する必要があります。

  • 取引の年月日
  • 取引に係る宅地又は建物の所在及び面積取引内容の別
  • 各当事者及びこれらの者の代理人の氏名及び住所
  • 取引に関与した他の宅地建物取引業者の商号又は名称(宅地建物取引業者が個人である場合においてはその者の氏名)
  • 現況地目、位置、形状その他当該宅地の概況(宅地の場合)
  • 構造上の種別、用途その他当該建物の概況(建物の場合)
  • 売買金額、交換物件の品目及び交換差金又は賃料
  • 報酬の額
  • 新築住宅を引き渡した年月日(宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅の場合)
  • 新築住宅の床面積(宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅の場合)
  • 新築住宅が住宅瑕疵担保履行法施行令第6条第1項の販売新築住宅であるときは、同項の書面に記載された2以上の宅地建物取引業者それぞれの販売瑕疵かし負担割合の合計に対する宅地建物取引業者の販売瑕疵かし負担割合の割合(宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅の場合)
  • 新築住宅について、住宅瑕疵かし担保責任保険法人と住宅販売瑕疵かし担保責任保険契約を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付しているときは、住宅瑕疵かし担保責任保険法人の名称(宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅の場合)
  • 取引に関する特約その他参考となる事項

宅建業者は各事業年度末日に帳簿を閉鎖し、閉鎖後5年間保存する必要があります。

標識の掲示

宅地建物取引業者は、公衆の見やすい場所に、縦30cm横35cm以上の大きさで、宅地建物取引業者である旨の標識(業者票及び報酬額表)を掲示する必要があります。

宅建業免許申請サポート

弊所では、宅建業免許申請を代行するサポートを承(うけたまわ)っています。面倒な書類の作成から、関連機関との調整、申請の代行及び宅建業保証協会への加入手続きの代行に至るまで、しっかりとフルサポートいたします。下記は市場価格を反映した上で当初から割引して提示する報酬額ですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。

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無駄なコストは時間も料金もカットするのが最良です。宅建業免許申請でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

個人新規申請(知事)99,000円~
法人新規申請(知事)110,000円~
新規申請(大臣許可)165,000円~
個人更新申請(知事)55,000円~
法人更新申請(知事)77,000円~
更新申請(大臣)110,000円~
各種変更届22,000円~
※税込み

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