宅地建物取引業免許について

宅地建物取引業とは、大まかにいえば不動産業のことです。厳密には管理業や宅地建物取引以外の不動産の取引等は含まれませんので、不動産業という大きな括りの中の一部ということができます。
宅地建物取引業を営むためには、宅地建物取引業免許を受ける必要があります。ここでまず注意していただきたいことは、建設業や収集運搬業等で通常用いられる「許可」という表現ではなく「免許」という表現を用いている点です。
これはつまり、建設業等の「許可」よりも、ハードルが一段高く設定されたものであるということです。
今回は、宅地建物取引業を営むために必要とされる要件やお手続きについて、簡単にご紹介したいと思います。
目 次
宅地建物取引業免許
宅地建物取引業を営もうとする者は、2以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他の政令で定めるものをいう。)を設置してその事業を営もうとする場合には国土交通大臣の、1都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合には当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。
(宅地建物取引業法第3条)
宅地建物取引業免許の申請は、都道府県知事または国土交通大臣に対して行います。
個人・法人のどちらでも申請することができますが、法人の場合は事業目的に「宅建業を営む旨」が記載されていることが必要です。
申請の区分は次のとおりです。
1つの都道府県内に事務所を持つ場合 | 都道府県知事免許 |
2つ以上の都道府県に事務所を持つ場合は国 | 国土交通大臣免許 |
あくまで、事務所の所在地による区分ですので、知事免許であっても全国どこでも取引が可能です。
たとえば、兵庫県知事の免許を受けた場合でも、大阪や東京の土地や建物の取引をすることができます。
宅地建物取引業の免許の有効期間は5年間です。
なお、有効期間満了後引き続き宅地建物取引業を営もうとする者は、その有効期間が満了する日の90日前から30日前までに免許の更新申請を行うことが必要です。
区分 | 登録免許税(新規) | 登録免許税(新規) | 標準処理期間 |
---|---|---|---|
知事免許 | 33,000円 | 33,000円 | 30〜40日 |
大臣免許 | 90,000円 | 33,000円 | 100日程度 |
宅地建物取引業
宅地建物取引業とは、宅地若しくは建物(建物の一部を含む。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。
(宅地建物取引業法第2条第2号)
宅地建物取引業に該当する行為は、次の○に該当する行為であって、業として行うものをいいます。
区分 | 自己物件 | 他人の物件の代理 | 他人の物件の媒介 |
---|---|---|---|
売買 | ◯ | ◯ | ◯ |
交換 | ◯ | ◯ | ◯ |
賃借 | × | ◯ | ◯ |
「業」とは、不特定多数の人を相手方として、取引を反復または継続して行うことをいいます。
宅地建物取引業免許の要件

以下の3点が宅地建物取引業免許の要件になります。
- 「欠格事由」に該当しないこと
- 「事務所の形態」を整えていること
- 「専任の宅地建物取引士」を設置していること
①欠格事由
「5年間」免許を受けられない場合 | 免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為または業務停止処分違反をして免許を取り消された場合 |
免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為または業務停止処分違反をした疑いがあるとして聴聞の公示をされた後、廃業等の届出を行った場合 | |
禁錮以上の刑又は宅地建物取引業法違反等により罰金の刑に処せられた場合 | |
免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関して不正又は著しく不当な行為をした場合 |
免許を受けられない場合 | 成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者 |
宅地建物取引業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合 | |
事務所に専任の取引士を設置していない場合 | |
②事務所の形態
事務所とは、本店、支店その他政令で定めるものをいいます。事務所には事務所ごとに専任の宅地建物取引士の設置が義務付けられています。
また、事務所の数に応じて営業保証金の金額も変わってきますので、宅地建物取引業にとって事務所は非常に重要な要素となります。
本店又は支店
登記簿謄本に記載された本店又は支店が該当します。
本店では宅建業を行なわず、支店のみで宅建業を営んでいる場合は、本店も事務所となります。
逆に、支店の登記があっても、本店のみで宅建業を営む場合は、支店は事務所として扱われません。
継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、宅建業に関わる契約を締結する権限を有する使用人を置くもの
これらは支店に類する従たる事務所として扱われます。
宅建業を継続的に行える機能をもち、事務所として認識される程度の独立した形態を備えていることが必要です。
戸建住宅や集合住宅の一部を事務所として使用すること、シェアオフィスやレンタルスペース、仮設建築物や移動の容易な施設等を事務所とすることは、原則として認められません。
③専任の宅地建物取引士の設置
宅地建物取引士
宅地建物取引士資格試験に合格後、登録し、宅地建物取引士証の交付を受けている者を言います。登録には、2年間の実務経験または登録講習を受けることが必要です。
事務所において重要事項説明等を行うのが業務です。
専任の宅地建物取引士
一つの事務所において「業務に従事する者」5名につき1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を設置する必要があります。
専任の宅地建物取引士は、事務所ごとに専任でなければなりません。
専任とは、以下の2つの要件を満たす状態です。
- 当該事務所に常勤であること(常勤性)
- 専ら宅建業の業務に従事すること(専従性)
専任に当たらない例
- 他の法人の代表取締役、代表者又は常勤役員を兼任する場合
- 会社員、公務員のように他の職業に従事する場合
- 個人事業を営むなど社会通念上の営業時間に、事務所に勤務することが不可能な状態にある場合
- 通常の通勤が不可能な場所に住んでいる場合
申請する会社の監査役は専任の宅地建物取引士に就任することは出来ません。
専任の宅地建物取引士の数が不足した場合は、2週間以内に補充する等必要な措置を取らなければなりません。
営業保証金の供託

営業保証金
主たる事務所(本店) | 1000万円 |
従たる事務所(支店等) | 500万円/1店 |
免許通知が届いたら、免許日から3ヶ月以内に、本店の所在地を管轄する供託所へ営業保証金を供託し、都道府県に届け出て免許証を受領します。
期日を経過すると免許を取り消されることになりますのでご注意ください。
必要となる書類
- 免許通知の原本と写し1通
- 営業保証金供託済届出書2通
保証協会への加入
弁済業務保証金分担金を支払い、保証協会に加入すれば、営業保証金を供託する必要はありません。
加入の際は、別に加入金、年会費等が必要です。
保証協会
(社)全国宅地建物取引業保証協会
(社)不動産保証協会
弁済業務保証金分担金
主たる事務所(本店) | 60万円 |
従たる事務所(支店等) | 30万円/1店 |
宅建業免許取得後の義務

専任の宅地建物取引士の届出
免許証の受領後、専任の宅地建物取引士は、次の事項を、資格登録をしている都道府県知事に届け出なければなりません。
- 勤務先(業者名)
- 免許証番号
必要な書類
- 宅地建物取引主任者証
- 入社証明書
- 本人の印鑑
証明書の携帯等
宅地建物取引業者は、従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。
(宅地建物取引業法第48条)
2 従業者は、取引の関係者の請求があったときは、証明書を提示しなければならない。
3 宅地建物取引業者は、国土交通省令で定めるところにより、その事務所ごとに、従業者名簿を備え、従業者の氏名、住所、生年月日、主たる職務内容、取引士であるか否かの別などの一定の事項を記載しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、取引の関係者から請求があったときは、従業者名簿をその者の閲覧に供しなければならない。
宅地建物取引業者は、従業者名簿を最終の記載日から10年間保存しなくてはなりません。
帳簿の備付け
宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引業に関し取引のあったつど、その年月日、その取引物件の所在場所、面積、代金、報酬の額、取引に関与した他の宅建業者の氏名等の一定事項を記載しなければならない。
(宅地建物取引業法第49条)
宅建業者は、各事業年度末日に帳簿を閉鎖し、閉鎖後5年間は保存しなければなりません。
標識の掲示
宅地建物取引業者は、事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。
(宅地建物取引業法第50条)
宅地建物取引業者は、公衆の見やすい場所に、宅地建物取引業者である旨の標識(業者票、報酬額表)を掲示しなければなりません。
様式が決まっており、縦30cm、横35cm以上の大きさで作成しなければなりません。
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