専任の宅地建物取引士の「専任性」について
宅地建物取引業の免許を受けるにあたり、一番のハードルとなるのが専任の宅地建物取引士の設置であることは間違いありません。他方、この「専任」という表現について、いまいち意味が分からないという方も多いのではないかと思います。
国土交通省が公表する「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(以下、解釈運用基準)において「専任」とは、原則として、宅地建物取引業を営む事務所に常勤して、専ら宅地建物取引業に従事する状態とされています。したがって、宅地建物取引士を「専任」とみなすためには、「常勤性」及び「専任性」の両方を満たす必要があります。
常勤とは、宅地建物取引業者の通常の勤務時間を勤務することをいい、ざっくりと言えば以下のとおりフルタイム勤務をする従業者を指します。
○ | 正社員、他の会社の非常勤社員 早朝夜間や休日にバイトをする正社員 |
☓ | パート、アルバイト、業務委託社員 他の会社の代表者・常勤役員・従業者 |
△ | 派遣社員(フルタイム勤務のみ○) 自営業者(業務量等を斟酌) |
専任というためには、事務所での勤務時間のすべてを宅地建物取引業の業務に費やしていることが求められており、他事務所の専任の宅地建物取引士をはじめ他の会社において専任を要件とする業務に就くことは専任性を欠くものとみなされます。
たとえば不動産会社Aで専任の宅地建物取引士として勤務する場合、不動産会社Aの他事務所で専任の宅地建物取引士として勤務することや、建設会社Bの専任技術者の業務に就くことはできません。
ただし解釈運用基準においては、その事務所が宅地建物取引業以外の業種を兼業している場合等で、その事務所において一時的に宅地建物取引業の業務が行われていない間に他の業種に係る業務に従事することについては、特に差し支えないものとして取り扱うことを明記しています。
たとえば勤務する不動産会社Aが建設会社Cを兼業している場合に、主業務である宅地建物取引業が行われていない間、一時的に建設会社Cの業務に就くことについては問題ありません。
また、宅地建物取引業の事務所が建築士事務所、建設業の営業所等を兼ね、その事務所における宅地建物取引士が建築士法、建設業法等の法令により専任を要する業務に従事しようとする場合及び個人の宅地建物取引業者が宅地建物取引士となっている宅地建物取引業の事務所において、その個人が同一の場所において土地家屋調査士、行政書士等の業務をあわせて行おうとする場合等については、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるものを除き、専任の宅地建物取引士とは認められません。
たとえば勤務する不動産会社Aが建設会社Bを兼業している場合、不動産会社Aで勤務する専任の宅地建物取引士は、原則として建設会社Bの専任技術者の業務に就くことはできませんが、建設会社Bの専任技術者の業務量等を斟酌のうえで例外的に専任と認められるケースがあるということです。
同様に、個人の宅地建物取引業者Dが、同事務所で行政書士業を兼業で行おうとする場合についても、行政書士業の業務量等を斟酌のうえで例外的に専任と認められるケースもあります。ただし、これらの例外的な取扱いには、それなりに高いハードルがあることは理解するようにしてください。
★専任に当たらない例
- 他の法人の代表取締役、代表者又は常勤役員を兼任する場合
- 会社員や公務員のように他の職業に従事する場合
- 個人事業を営むなど社会通念上の営業時間に、事務所に勤務することが不可能な状態にある場合
- 通常の通勤が不可能な場所に住んでいる場合
(※)申請する会社の監査役は専任の宅地建物取引士に就任することは出来ません。
★参考サイト
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個人更新申請(知事) | 55,000円~ |
法人更新申請(知事) | 77,000円~ |
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