兵庫県受動喫煙の防止等に関する条例と喫煙のルールについて
改正健康増進法が施行され、兵庫県においても、県民の健康の維持増進を図るため、とりわけ20歳未満の者及び妊婦を受動喫煙から守る観点を強化することを中心に、受動喫煙の防止等に関する条例(PDF:167KB)(以下、県条例)が改正され、令和2年4月1日から全面施行されています。
なお、県条例において、加熱式たばこは、紙巻きたばこと同様の取扱いとなるため、改正健康増進法で当分の間の措置として認められている「指定たばこ専用喫煙室」は、兵庫県では設置することができません。
また、火を使わない加熱式のたばこは、製造たばこに分類されるもので、従来の紙巻きたばこと同様、県条例の規制対象となりますが、電子たばこは葉たばこを原料としないため、県条例の規制対象外となります。
目 次
健康増進法の概要
健康増進法では、多数の者が利用する施設を第一種施設(特に配慮すべき施設)と、第二種施設(その他の施設)とに区分し、喫煙について、それぞれ異なる規制が設けられています。
第一種施設には、学校、児童福祉施設、病院、診療所及び行政機関の庁舎等が該当しますが、こちらについては、すでに2019年4月の時点で全面的な「敷地内禁煙」が施行されています。
また、第二種施設には、第一種施設以外の事務所や飲食店、旅客運送用事業船舶、鉄道、宿泊施設等が該当しますが、こちらについては、原則として「屋内禁煙」が義務付けられながら、喫煙専用室や指定たばこ専用喫煙室を設置することができます。また、屋外に喫煙所を設置する場合、その施設の管理者には、受動喫煙が生じないよう配慮する義務があります。
既存特定飲食提供施設
既存特定飲食提供施設とは、以下の条件をすべて満たす飲食店であって、喫煙可能室設置施設届出書を提出しているものを指しますが、既存特定飲食提供施設に該当する飲食店では、例外的に、店内の全部又は一部において、喫煙及び飲食をすることが可能になるという経過措置が設けられています。
- 2020年(令和2年)4月1日時点で営業している飲食店
- 個人経営又は資本金が5,000万円以下の会社が運営するもの
- 客席面積が100㎡以下のもの
健康増進法上、この経過措置の期間は特に定められていませんが、大阪府受動喫煙防止条例では、既存特定飲食提供施設についても、健康増進法に上乗せする形で規制が設けられています。
受動喫煙の防止等に関する条例の概要
県条例において「受動喫煙の防止等」とは、多数の者が利用し、又は出入りすることができる施設(車両その他の移動施設を含む)における受動喫煙を防止すること、その他たばこの煙が人の生活に及ぼす悪影響を未然に防止することをいいます。
20歳未満の者及び妊婦を受動喫煙から守るための対策
住宅の居室内やマイカーの車内等の私的な空間は、この条例の規制対象外となりますが、20歳未満の者と妊婦の受動喫煙を防止するため、以下の場所では喫煙をすることが禁止されています。
- 20歳未満の者及び妊婦と同室する住宅の居室内
- 20歳未満の者及び妊婦と同乗する自動車の車内
- その他、20歳未満の者及び妊婦に受動喫煙を生じさせる場所
- 通学時間帯における通学路
- 祭礼、縁日その他の多数の者の集合する催しが行われている屋外での場所で20歳未満の者又は妊婦が現にいる場所及びその周囲
その他、全ての者、20歳未満の者、妊婦及び施設管理者のそれぞれについて定められている義務は、下表のとおりです。
全ての者 | ①20歳未満の者及び妊婦に受動喫煙を生じさせないようにしなければならないこと ②20歳未満の者及び妊婦と同室する住宅の居室内、これらの者と同乗する自動車の車内、通学時間帯における通学路並びに祭礼、縁日その他の多数の者の集合する催しが行われている屋外の場所で20歳未満の者又は妊婦が現にいる場所及びその周囲においては、喫煙をしてはならないこと ③学校、病院、児童福祉施設等の敷地の周囲において喫煙をしてはならないこと |
20歳未満の者及び妊婦 | ①喫煙区域に立ち入ってはならないこと ②妊婦は、喫煙をしてはならないこと |
施設管理者 | ①建物等への出入り、自動車の乗降、待合いその他の人が相互に近接する利用が想定される対象施設内の場所については、受動喫煙防止区域以外の区域であっても、吸い殻入れ等を設置しないなど受動喫煙の防止等に関して必要な措置を講じなければならないこと(コンビニエンスストアの敷地のうち、入口付近や通路に面した場所など、施設の利用者がたばこの煙を避けることができない場所等) ②喫煙区域を設ける場合は、喫煙区域に20歳未満の者及び妊婦を立ち入らせないこと |
施設における規制の概要
施設管理者は、条例の対象となる施設の区分に応じ、下表の規制内容のとおり、必要な対応を実施する義務を負います。
対象施設 | 健康増進法 | 規制内容 |
---|---|---|
①幼稚園、保育所、小・中・高校等 ②病院、診療所、助産所 ③児童福祉施設、母子・父子福祉施設等 | 敷地内・建物内のすべてを禁煙(屋外喫煙区域設置は可能) | 敷地内・建物内のすべてを禁煙(敷地の周囲も禁煙) |
④大学、専修学校、各種学校、薬局等 ⑤介護老人保健施設、介護医療院等 | 敷地内・建物内のすべてを禁煙(屋外喫煙区域設置は可能) | 敷地内・建物内のすべてを禁煙(屋外喫煙区域設置は可能) |
⑥官公庁施設 | 行政機関の庁舎以外は建物内禁煙(喫煙室設置は可能) | 敷地内・建物内のすべてを禁煙(屋外喫煙区域設置は可能) |
⑦物品販売店、金融機関、宿泊施設、理容所・美容所、図書館、映画館、社会福祉施設等、多数の人が利用する施設 | 敷地内・建物内のすべてを禁煙(屋外喫煙区域設置は可能)(宿泊施設の客室は規制対象外) | 敷地内・建物内のすべてを禁煙(屋外喫煙区域設置は可能)(宿泊施設の客室は規制対象外) |
⑧飲食店 | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) |
⑨既存小規模飲食店 | 喫煙店舗とすることが可能(既存小規模飲食店の要件のうち、妊婦の立ち入り制限はなし) | 喫煙店舗とすることが可能 |
⑩観覧場、運動施設、動物園、植物園、遊園地、都市公園等 | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) 敷地内(建物外)のすべてを禁煙(屋外喫煙区域は設置可能) |
⑪公共交通機関の乗降、待合等の施設 | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) | 建物内(屋外のプラットホームを含む)を禁煙(喫煙室設置は可能) |
⑫旅客の運送の用に供する列車、船舶 | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) | 施設の区域内を禁煙(喫煙室設置は可能) |
⑬旅客の運送の用に供する自動車、航空機 | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) | 施設の区域内を禁煙 |
⑭会社・事務所、工場、寺院、教会、斎場 | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) |
⑮麻雀店、パチンコ店等風営法に準拠する施設 | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) | 建物内のすべてを禁煙(喫煙室設置は可能) |
★既存小規模飲食店
既存小規模飲食店とは、健康増進法でいうところの「既存特定飲食提供施設」に当たる飲食店ですが、その要件について、「喫煙区域に20歳未満の者と妊婦を立ち入らせない旨を表示していること」が加えられています。
喫煙環境の表示
県条例及び改正健康増進法では、原則として建物内はすべて禁煙のため、喫煙環境がある場合、その施設管理者は、施設に応じて以下の表示を行う必要があります。表示については、独自の様式や色など類似するものを行うことも可能ですが、文言を修正することはできません。
喫煙環境の表示がない場合は、禁煙扱いとなるほか、飲食店は禁煙の場合であっても、「禁煙」の表示を義務付けられています。
施設出入口に掲示 | 喫煙区域の出入口に掲示 | 施設出入口に掲示 | 施設出入口に掲示 |
禁煙標識(PDF:19KB) | 喫煙区域標識(PDF:38KB) | 喫煙区域ありの標識(PDF:20KB) | 喫煙可能標識(PDF:38KB) |
屋外喫煙区域について
屋外喫煙区域を設置する場合、以下の措置を講ずる必要があります。
- 対象施設の屋外の区域の一部の区域をパーティションの設置や境界線を引くなどして区画すること
- 対象施設を利用する者が通常立ち入らない屋外の区域に屋外喫煙区域を設置することが望ましいこと
- 屋外喫煙区域に以下の表示をすること
- 喫煙区域であること
- 20歳未満の者及び妊婦の立入りが禁止されていること
喫煙室について
喫煙室を設置する場合、以下の措置を講ずる必要があります。
- 給気のため又はスプリンクラー設備その他の消火設備の設置のために必要な開口部及び出入口を除き、床面から天井まで達する壁、間仕切り等により仕切られていること
- 出入口において、風速0.2m/秒以上の室内の方向への気流があること
- 常にたばこの煙を直接屋外に排出することができること
- 施設の入口に以下の表示をすること
- 建物内に喫煙区域を設けていること
- それ以外の場所で喫煙をしてはならないこと
- 喫煙室の入口に以下の表示をすること
- 喫煙区域であること
- 20歳未満の者及び妊婦の立入りが禁止されていること
建物内に喫煙区域を設ける場合は、直接屋外に排気する必要があります。このため、健康増進法で当分の間の措置として認められている、屋外排気の喫煙専用室等に替えて「脱煙機能付き喫煙ブース」を稼働させる措置は、兵庫県では認められていません。
喫煙目的施設
喫煙目的施設とは、公衆喫煙所、シガーバー、スナック、たばこ販売店等、喫煙を主たる目的として利用する施設です。
喫煙目的施設では、喫煙目的室を設置し、喫煙のほか、主食を除く飲食なども提供することができます。
喫煙目的施設における措置
喫煙目的施設において、建物内の区域の一部を喫煙区域とする場合、以下の措置を講ずる必要があります。
- 施設の入口に以下の表示をすること
- 建物内に喫煙区域を設けていること
- それ以外の場所で喫煙をしてはならないこと
- 喫煙区域の入口に以下の表示をすること
- 喫煙区域であること
- 20歳未満の者及び妊婦の立入りが禁止されていること
★同一の階にある室を喫煙をすることができる室と喫煙をすることができない室に区分する場合
- 給気のため又はスプリンクラー設備その他の消火設備の設置のために必要な開口部及び出入口を除き、床面から天井まで達する壁、間仕切り等により仕切られていること
- 喫煙することができる部屋の出入口において、風速0.2m/秒以上の室内の方向への気流があること
- 常にたばこの煙を直接屋外に排出することができること
★喫煙をすることができる階と喫煙をすることができない階に区分する場合
- 喫煙をすることができる階を他の全ての階より上階に設けること
- 喫煙をすることができる階の構造又は設備を次に掲げる基準に適合するものとすること
- 喫煙をすることができない階に通ずる昇降口に扉等を設けることにより喫煙をすることができない階へのたばこの煙の排出を遮ることができること
- 喫煙をすることができない階に通ずる昇降口において、風速0.2m/秒以上の喫煙をすることができる階の方向への気流があること
- 常にたばこの煙を直接屋外に排出することができること
現状、弊所においても、喫煙目的施設として、シガーバーの申請をしたいというお問い合わせが急増しています。バーやスナックのような主食をメインに提供しない飲食店では、店舗を喫煙目的施設とするのも選択肢のひとつでしょう。
★公衆喫煙所
公衆喫煙所とは、健康増進法において、「施設の屋内の場所の全部の場所を専ら喫煙をする場所とするものであること」とされています。
なお、健康増進法は、屋内の施設を規制の対象としているため、駅周辺にあるような屋外の公衆喫煙所は、喫煙目的施設には該当しません。
罰則
法令や条例の規定に違反し、兵庫県による指導・勧告・公表・命令によっても改善されない場合、罰則(過料)が課せられる場合があります。
過料の適用は、法律での規制と条例による規制が同時に執行されることはありません。条例が法律を上回る規制を行っている措置については、条例の過料が適用されます。
対象 | 該当行為 | 法令 | 罰則 |
---|---|---|---|
すべての者 | 喫煙禁止区域での喫煙 | 条例 | 命令のうえ2万円以下の過料 |
法律 | 命令のうえ30万円以下の過料 | ||
紛らわしい標識の掲示禁止 標識の汚損等の禁止 | 条例 | なし | |
法律 | 50万円以下の過料 | ||
施設管理者 | 受動喫煙防止区域における措置 受動喫煙防止対策 喫煙器具等の措置 喫煙室等の施設要件への適合(適合しなくなった場合は廃止を含む)(屋外喫煙場所は除く) | 条例 | 勧告・公表・命令のうえ5万円以下の過料 |
法律 | 勧告・公表・命令のうえ50万円以下の過料 | ||
喫煙環境表示 (禁煙の飲食店の入口) | 条例 | 勧告・公表 | |
法律 | 罰則等の規程なし | ||
喫煙環境表示 (喫煙室等設置施設の入口、喫煙可能室設置施設入口) | 条例 | なし | |
法律 | 50万円以下の過料 | ||
喫煙環境表示 (喫煙専用室及び喫煙目的室を廃止した際の標識の撤去) | 条例 | 罰則等の規程なし | |
法律 | 30万以下の過料 | ||
既存特定飲食提供施設の要件を記した帳簿の不備 | 条例 | 罰則等の規程なし | |
法律 | 20万以下の過料 | ||
立入検査への対応関連 | 条例 | 5万円以下の過料 | |
法律 | 20万円以下の過料 |
飲食店における分煙対策サポート
弊所では、兵庫県内全域にわたり、シガーバーをはじめとする飲食店における分煙対策のサポートを承(うけたまわ)っています。面倒な書類作成や関係各所とのやり取りから、申請書類の作成及び提出の代行に至るまで、しっかりとフルサポートいたします。また、取得することが難しいたばこ小売販売許可に代わる出張販売について、販売元の事業者をご紹介することも可能です。
下記の報酬は、市場の相場から当初より割り引いた価格ですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。飲食店における分煙対策のサポートでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
小売業許可申請 | 55,000円〜 |
出張販売許可申請 (紹介あり) | 66,000円〜 |
シガーバー新規開業手続き(飲食店営業許可申請代行込み) | 77,000円〜 |
シガーバー新規開業フルサポート(深夜営業手続き代行込み) | 121,000円〜 |
変更届等 | 22,000円 |
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