液卵製造業許可の申請と許可基準について

卵液

食品衛生法改正に伴い、令和3年6月から、液卵を製造して販売しようとするときは、液卵製造業として営業許可を取得することが求められています。

これには3年間の経過措置期間が設けられていましたが、令和6年5月31日をもってこの期間も満了し、現在では、新たに液卵製造業をはじめようとするときは、必ず営業許可を取得しなければならないようになりました。

関連法令においては、食品衛生法上の業種ごとに施設設備等の基準を設けて衛生管理の徹底化を図っていますが、業種の違いや手続きの必要性を理解しないまま無許可営業を行ってしまい、行政処分の対象となってしまう事例も数多く散見されます。

そこで本稿では、液卵を自家で製造し、これを販売しようと検討されている皆さまに向けて、必要となる液卵製造業許可の基準や手続きについて、詳しく解説していきたいと思います。

液卵とは

液卵とは、鶏の卵を割って、卵殻を取り除いただけのもの、卵黄又は卵白を分離して取り出したもの、卵黄及び卵白を混合したもの、並びにこれらに加塩又は加糖したものを言います。したがって、卵焼きや目玉焼きのように、加熱調理したものは液卵には含まれません。

原液を直接使用するというよりは2次加工原料となることが多く、マヨネーズ、サラダドレッシング、製菓、食肉加工品又は水産練り製品等の原料として用いられます。

また、鶏卵及び液卵の状態により、正常卵、破卵、汚卵、軟卵、食用不適卵及び凍結液卵のように区分されています。

正常卵肉眼で卵殻にヒビ様のものが見えず、かつ、糞便、血液、卵内容物、羽毛等により汚染されていない卵
破卵肉眼で卵殻にヒビ様のものが見える卵
汚卵糞便、血液、卵内容物、羽毛等により汚染されている卵
軟卵卵殻膜は健全であるが、卵殻が欠損しているか、又は希薄である卵
食用不適卵腐敗卵、カビ卵、異物混入卵、血玉卵、重度破卵(卵殻膜が破れ、液漏れをしている卵)、みだれ卵(物理的な理由で卵黄が潰れたものを除く、卵黄が潰れた卵)及び孵化中止卵
凍結液卵液卵を凍結したもの

液卵製造業とは

液卵とは、鶏卵から卵殻を取り除いたものの製造(小分けを含む)をする営業をいいます。「液卵」の定義については前記したとおりであり、卵黄であるか卵白であるか、これらを混合したものであるかを問いません。

また、あくまでも「営業」であることから、営利目的をもって液卵を反復継続して製造することが液卵製造業に該当し、液卵を自家製造することについてはこれに含まれません。また、飲食店営業許可を取得している飲食店は、その許可の範囲内において液卵を飲食物として提供することができます。

液卵製造業許可

液卵製造業を営もうとするときは、施設設備等を都道府県知事等が定めた基準に適合させた上で製造場所の所在地を管轄する保健所に対して申請し、その許可を受ける必要があります。

ここでは代表的な許可基準を抜粋して掲載していますが、施設設備等について求められる基準は自治体ごとに異なるため、基準の詳細については、各自治体のホームページ等でしっかりと確認するようにしてください。

共通基準

食品衛生法上の営業許可を受けるためには、飲食店であれ液卵製造業であれ、営業用の施設設備を以下の基準すべてに適合させる必要があります。

  1. 営業の施設は衛生上支障のない場所に設置すること
  2. 営業の施設は住居その他営業の施設以外の施設と明確に区分すること
  3. 作業場は使用目的に応じて適当な広さを有し、かつ、十分な明るさを確保することができる照明の設備及び換気を十分に行うことができる設備を設けること
  4. 作業場の床は次に掲げる要件を備えること
    • 排水溝を有すること
    • 清掃が容易にできるよう平滑であり、かつ、適当な勾配のある構造であること
    • 水その他の液体により特に汚染されやすい部分は、耐水性材料(厚板、モルタルその他水により腐食しにくいもの)で造られていること
    • 作業場の床面と内壁面との接合部分及び排水溝の底面の角は、適度の丸みをつけ、清掃が容易にできる構造であること
  5. 作業場の内壁は清掃が容易にできる構造とし、床面からの高さが1.5mまでの部分及び水その他の液体により特に汚染されやすい部分は、耐水性材料で造られていること
  6. 作業場の天井は隙間がなく、清掃が容易にできる構造であること
  7. 営業の施設は、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ構造であること
  8. 営業の施設及び機械、器具類は、製造量、販売量、来客数等に応じて十分な規模及び機能を有するものを設けること
  9. 器具の洗浄、消毒、水切及び乾燥の設備を設けること
  10. 洗浄の設備は、熱湯を十分に供給できるものであること
  11. 固定した設備又は移動が困難な設備は、洗浄が容易にできる場所に設けること
  12. 機械は食品又は添加物に直接接触する部分が不浸透性材料(ステンレス、石、コンクリートその他水が浸透せず、かつ、さびないもの)で造られ、かつ、洗浄及び消毒が容易にできる構造であること
  13. 器具及び容器包装を衛生的に保管するための設備を設けること
  14. 添加物を使用する場合は、専用の計量器を備えること
  15. 原材料、添加物、半製品又は製品を保管する設備は、それぞれ専用のものとし、及び温度、湿度、日光等に影響されない場所に設ける等衛生的に保管ができるものであること
  16. 冷蔵庫(摂氏10℃以下に冷却する能力を有するものに限る)、冷凍庫その他温度又は圧力を調節する必要のある設備には、温度計、圧力計その他必要な計器を見やすい位置に備えること
  17. 飲用に適する水を十分に供給できる衛生的な給水設備を専用に設けること
  18. 十分な容量を有し、不浸透性材料で造られ、清掃が容易にでき、及び汚液、汚臭等が漏れない構造である廃棄物容器を設けること
  19. 便所には、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ設備を設けるとともに、その出入口及びし尿くみ取口は、衛生上支障のない場所にそれぞれ設けること
  20. 消毒薬を備えた流水受槽式手洗い設備を、適当な場所に設けること(ただし、魚介類販売業を除き、露店により営業を行う場合又は自動車により営業を行う場合にあってはこの限りでない)
  21. 従業員の数に応じて、更衣室その他更衣のための設備を設け、及び専用の外衣、帽子、マスク、履物等を備えること
  22. 露店により営業を行う場合又は自動車により営業(魚介類販売業を除く)を行う場合は、次に掲げる要件を備えること
    • 流水受槽式手洗い設備を有しないときは、消毒用アルコール、逆性石けん等を含ませた綿を十分に入れた容器を備えること
    • 直接排水ができない場合は、水その他の液体が浸透しにくい材質で、かつ、洗浄が容易にできる排水容器を備えること
  23. 露店により営業を行う場合は、当該営業に係る施設について、屋根を設け、及び覆いをする等により、調理し、又は加工するための設備にほこり、ちり等が入らない構造とすること
  24. 自動販売機は、屋内に設置すること。ただし、ひさし等により雨水を防止できる場合にあっては、この限りでない
  25. 自動販売機の設置場所の床面は、不浸透性材料で造られ、かつ、清掃が容易にできる構造であること

業種別基準

液卵製造業については、上記の共通基準に加え、施設設備等を以下すべての基準に適合させる必要があります。

  1. 原材料の保管並びに製品の製造、包装及び保管をする室又は場所を有すること(室を場所とする場合にあっては、作業区分に応じて区画されていること)
  2. 製品を製造する室又は場所は、割卵、充填及び冷却に必要な設備を有し、必要に応じて洗卵、ろ過並びに加熱殺菌及び冷却に必要な設備を有すること
  3. 製品が冷蔵保存を要する場合にあっては製品が摂氏8度以下と、冷凍保存を要する場合にあっては製品が摂氏マイナス15度以下となるよう管理できる機能を備える冷蔵又は冷凍設備を有すること

食品衛生責任者

液卵製造業の営業所においては、営業所における食品衛生について責任を負う食品衛生責任者の配置が義務付けられています。

食品衛生責任者は、各自治体の食品衛生協会が開催する講習)を受講すれば誰でも取得することができる資格ですが、調理師等の有資格者をこれに当てることもできます。

講習を受ける際の受講料は1万円程で、食品衛生学、衛生法規及び公衆衛生等の科目を座学で約6時間受講します。

手続きの流れ

液卵製造業の営業をはじめるために必要となる手続きは以下のとおりです。

事前相談及び準備工事着工前
申請書類等の提出開店の2週間前までに
食品衛生監視員による施設調査申請後数日
許可書の交付
営業開始

事前相談及び準備

施設の工事前に、施設平面図(機器配置を含む)等を出店地を管轄する保健所に持参し、施設基準等の説明を受けます。 

「営業施設の基準」と「公衆衛生上講ずべき措置の基準」が自治体の条例で定められているので必ず確認するようにしてください。 

必要となる書類

営業予定地を管轄する保健所に対し、以下の書類を開店のおおむね10日前までに提出します。 

  • 食品営業許可申請書
  • 営業施設の大要
  • 施設の平面図及び付近案内図
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの(原本)
  • 営業許可申請手数料
  • 発行後6カ月以内の登記簿謄本の原本(法人)

まとめ

食品に対する衛生管理については、食品衛生法をはじめとする関連法令が改正されるごとに厳格化しています。鶏卵には食中毒の主要因となるサルモネラが多く含まれており、原料の受入れから、製造、販売及び液卵を用いた調理等に至るまで、その取扱いには衛生上の注意を払う必要があります。

規制が厳格化することについて反発する声もありますが、毎年食中毒による死亡事故も発生しているため、最低限規制の目的を知り、ご自身の事業についてしっかり説明できるようにしておいてください。

弊所では、兵庫大阪全域にわたり、液卵製造業の営業許可申請の代行を承(うけたまわ)っております。保健所との事前協議から書類の作成と提出、及び保健所による検査の立会いに至るまで、しっかりまるっとサポートいたします。下記の報酬は、市場価格を反映したものですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。液卵製造業手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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