飲食店のテイクアウト・デリバリーの意外な落とし穴とは

コロナ禍の影響を受け一時元気をなくしていた外食産業ですが、デリバリーをはじめとする食品物流業界は好調をキープしており、軽減税率の適用によってテイクアウト事業もさらに活発化しており、いまやテイクアウトやデリバリーの活用は、外食産業にとってスタンダードな営業方法のひとつとなっています。
他方、食品の取扱いについて定める食品衛生法は、営業業種を32業種に細分化しているなどして案外複雑で、飲食店の手続きに携わる機会の多い弊所にとっても分かりやすい法律ではありません。
そこで本稿では、飲食店におけるテイクアウトとデリバリーにスポットを当て、これらを行うために必要となる手続きについて詳しく解説していきたいと思います。
営業許可の要否と適否

ひとことで食品を取り扱う営業と言っても、食品衛生法に定める営業業種は、下表のとおり、実に32の業種細分化されています。
業種名 | 定義 |
---|---|
飲食店営業 | 食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業。 |
調理の機能を有する自動販売機により調理し、調理された食品を販売する営業 | 調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業 |
食肉販売業 | 鳥獣の生肉(骨及び臓器を含む)を販売する営業 |
魚介類販売業 | 店舗を設け、鮮魚介類(冷凍したものを含む)を販売する営業 |
魚介類競り売り営業 | 鮮魚介類を魚介類市場において競り売り、入札、相対による取引の方法で販売する営業 |
集乳業 | 生乳を集荷し、これを保存する営業 |
乳処理業 | 生乳を処理し、若しくは飲用に供される乳の製造(小分けを含む)をする営業又は生乳を処理し、若しくは飲用に供される乳の製造をし、併せて乳製品(飲料に限る)若しくは清涼飲料水の製造をする営業 |
特別牛乳搾取処理業 | 牛乳を搾取し、殺菌しないか、又は低温殺菌の方法によって、これを厚生労働省令で定める成分規格を有する牛乳に処理する営業 |
食肉処理業 | 食鳥(鶏、あひる、七面鳥)以外の鳥若しくは獣畜(牛、馬、豚、めん羊及び山羊)以外の獣畜をとさつし、若しくは解体し、又は解体された鳥獣の肉、内臓等を分割し、若しくは細切する営業 |
食品の放射線照射業 | 放射線を照射する営業 |
菓子製造業 | 菓子(パン及びあん類を含む)を製造する営業 |
アイスクリーム類製造業 | アイスクリーム、アイスシャーベット、アイスキャンデーその他液体食品又はこれに他の食品を混和したものを凍結させた食品を製造する営業 |
乳製品製造業 | 粉乳、練乳、発酵乳、クリーム、バター、チーズ、乳酸菌飲料その他の厚生労働省令で定める乳を主原料とする食品の製造(小分け(固形物の小分けを除く。)を含む)をする営業 |
清涼飲料水製造業 | 生乳を使用しない清涼飲料水又は生乳を使用しない乳製品(飲料に限る)の製造(小分けを含む)をする営業 |
食肉製品製造業 | ハム、ソーセージ、ベーコンその他これらに類するものを製造する営業又は食肉製品と併せて食肉若しくは食肉製品を使用したそうざいを製造する営業 |
水産製品製造業 | 魚介類その他の水産動物若しくはその卵を主原料とする食品を製造する営業又はこれらと併せて水産動物等を使用したそうざいを製造する営業 |
氷雪製造業 | 氷を製造する営業。 |
液卵製造業 | 鶏卵から卵殻を取り除いたものの製造(小分けを含む)をする営業 |
食用油脂製造業 | 食用油脂を製造する営業。(マーガリン又はショートニング製造業を含む) |
みそ又はしょうゆ製造業 | みそ若しくはしょうゆを製造する営業又はこれらと併せてこれらを主原料とする食品を製造する営業 |
酒類製造業 | 酒類の製造(小分けを含む)をする営業 |
豆腐製造業 | 豆腐を製造する営業又は豆腐と併せて豆腐もしくは豆腐の製造に伴う副産物を主原料とする食品を製造する営業 |
納豆製造業 | 納豆を製造する営業。 |
麺類製造業 | 麺類を製造する営業 |
そうざい製造業 | 通常、副食物として供される煮物(つくだ煮を含む)、焼物(いため物を含む)、揚物、蒸し物、酢の物若しくはあえ物又はこれらの食品と米飯その他の通常主食と認められる食品を組み合わせた食品を製造する営業 |
複合型そうざい製造業 | HACCPに基づく衛生管理を行う場合に限り、そうざい製造業と併せて食肉処理業、菓子製造業、水産製品製造業(魚肉練り製品の製造に係る営業を除く)又は麺類製造業を行う営業 |
冷凍食品製造業 | 第25号のそうざい製造業に係る食品を製造し、その製造された食品の冷凍品を製造する営業 |
複合型冷凍食品製造業 | HACCPに基づく衛生管理を行う場合に限り、冷凍食品製造業と併せて食肉処理業、菓子製造業、水産製品製造業(魚肉練り製品の製造に係る営業を除く)又は麺類製造業を行う営業 |
漬物製造業 | 漬物を製造する営業又は漬物と併せて漬物を主原料とする食品を製造する営業 |
密封包装食品製造業 | 密封包装食品(レトルトパウチ食品、缶詰、瓶詰その他の容器包装に密封された食品をいう)であって、その保存に冷凍又は冷蔵を要しないもの(冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合においてボツリヌス菌その他の耐熱性の芽胞を形成する嫌気性の細菌が増殖するおそれのないことが明らかな食品であって厚生労働省令で定めるもの(食酢、はちみつ)を除く)を製造する営業 |
食品の小分け業 | 専ら、菓子製造業、乳製品製造業(固形物の製造に係る営業に限る)、第食肉製品製造業、水産製品製造業、食用油脂製造業、みそ又はしょうゆ製造業、豆腐製造業、納豆製造業、麺類製造業、そうざい製造業、複合型そうざい製造業、冷凍食品製造業、複合型冷凍食品製造業、漬物製造業に該当する営業において製造された食品を小分けして容器包装に入れ、又は容器包装で包む営業 |
添加物製造業 | 規格が定められた添加物の製造(小分けを含む)をする営業 |
このうち、既に飲食店営業許可を取得している店舗であれば、基本的にはテイクアウトやデリバリーについて、新たに営業許可を取得する必要はありません。
ただし、これは現に許可を受けている営業の範囲内における話しであって、例えばテイクアウトやデリバリー用に新メニューを開発した際には、開発した食品の種類や販売方法によっては、新たな業種で許可を取得する必要性が生じます。
そもそも食品衛生法上の営業許可制度は、食品の衛生を維持し、食中毒の危険性を排除するためのものであることから、消費者の立場から考えてみるとこの規制についての理解が早まるように思います。
弁当や惣菜をあらかじめ調理・製造する場合
そのまま店内で食べることを前提として飲食店で作った弁当や惣菜をテイクアウトさせることは飲食店営業許可の範囲で行うことができますが、店内における消費の見込みを超えて作り置きをしたり、日持ちさせることを前提として製造する場合にはそうざい製造業等の営業許可が必要となります。
製造業の許可が必要な食品を取り扱う場合
飲食店営業以外の営業業種として、製造するための営業許可を要する代表的な食品が菓子、パン、アイスクリーム等です。
これらの食品を店内において提供する場合は、飲食店営業許可の範囲でこれを行うことが可能ですが、テイクアウトの形態で販売しようとする場合には、これらの製造について新たに許可を取得する必要があります。
また、お酒を開栓したお酒をコップに注ぐなどして店内で提供する場合には酒、飲食店営業の範囲でこれを行うことができますが、開栓しないままの状態(瓶や缶)でお酒を販売しようとするときは、酒類販売業の免許を取得する必要があります。
食品を飲食店以外の場所で販売する場合
そもそも飲食店の営業許可は、営業所(お店)ごとに取得する必要があるため、食品をその営業所以外の場所で販売しようとするは、販売する食品に応じて販売業の営業許可が必要になります。
飲食店で作った食品を卸販売する場合
飲食店で作った食品を、小売店やスーパーに対して卸販売する場合は、販売する食品に応じて販売業の営業許可が必要になります。
精肉、鮮魚の販売をする場合
食肉や魚介類又はこれらの具材が入った鍋セット等を店頭で販売しようとする場合は、食肉販売業や魚介類販売業の営業許可が必要になります。
店内で作った惣菜を通信販売で販売する場合
店内で作った惣菜を通信販売で販売しようとする場合は、販売する食品に応じて販売業の営業許可が必要になります。
その他の注意事項
排気量125cc以上のバイク便でデリバリーのみの事業を行う際は、貨物軽自動車運送事業(いわゆる黒ナンバー)の届出が必要となります。
自社で調理した食品を客先に配達することについては特に問題は生じませんが、「配達料」として運賃を上乗せする場合は、やはり黒ナンバーの取得が必要になります。
また、自治体によってはデリバリーについて確認書類の届出を求めるケースもあります。デリバリー事業を始める際は、地方運輸局に対しても事前に確認するようにしてください。
飲食店営業手続きサポート
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