不動産特定共同事業許可│制度の概要と申請方法について

不動産投資物件を紹介するセールスマンとお客さん

不動産は預貯金や有価証券とならぶ重要な資産であることから、投資の対象物としての機能を持ち合わせています。資産価値は1筆1棟が億を超えることも珍しいことではなく、高い収益性がある一方で、運用が失敗した際に被る損失も巨額になる可能性があります。

不動産特定共同事業とは、投資家(事業参加者)との間で契約を締結し、出資を募って不動産の運用(売買又は賃貸等)を行い、その収益を出資者に対して分配する事業をいいます。すなわち不動産特定共同事業は、不動産投資におけるリターン(収益)を維持しながら、各投資家のリスク(損失)を抑えるために編み出された事業形態であるといえます。

このようなビジネスモデルであることから、不動産特定共同事業を行おうとする者、又は不動産特定共同事業契約の締結の代理若しくは媒介をする事業を行おうとする者は、不動産特定共同事業法に基づく許可を受ける必要があります。(以下、不動産特定共同事業許可)

そこで本稿では、不動産特定共同事業法を下敷きとして、不動産特定共同事業許可を取得するために必要となる要件や手続き等について詳しく解説していきたいと思います。

不動産特定共同事業契約

不動産特定共同事業契約とは、予約を含む以下の5つの契約形態をいいます。不動産特定共同事業法第2条第3項の1号から5号に定められていることから、○号契約と呼ばれています。

1号契約各当事者が出資を行い、その出資による共同の事業として、そのうちの一人又は数人の者にその業務の執行を委任して不動産取引を営み、不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを約する契約任意組合契約等
2号契約当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため出資を行い、相手方がその出資された財産により不動産取引を営み、不動産取引から生ずる利益の分配を行うことを約する契約匿名組合契約等
3号契約当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため自らの共有に属する不動産の賃貸をし、又はその賃貸の委任をし、相手方が当該不動産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを約する契約賃貸委任契約
4号契約外国の法令に基づく契約であって、1号から3号の契約に相当するもの
5号契約その他不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を行うことを約する契約(外国の法令に基づく契約を含む)であって、当該不動産取引に係る事業の公正及び当該不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を受ける者の保護を確保することが必要なものとして政令で定めるもの

該当しない契約

以下の契約形態については、契約の締結の態様、当事者の関係等を勘案して収益又は利益の分配を受ける者の保護が確保されているものとして、不動産特定共同事業契約からは除外されています。

  • 3号契約で、宅地建物取引業者が賃貸又は賃貸の委任の目的となることを示して行った販売又はその代理若しくは媒介に係る不動産以外の不動産を不動産取引の目的とするもの
  • 外国において締結される契約で、当該外国の法令の規定により収益又は利益の分配を受ける者の保護が確保されていると認められる契約(国内でその締結の勧誘が行われる契約で当該契約の当事者が一時的に外国に移動し当該外国において締結するもの以外のもの)

任意組合契約(1号契約)

事業者及び各投資家が出資をして、対象不動産の運用を共同の事業として営むことを約して組合を組成します。事業者が業務執行組合員として対象不動産を運用し、各組合員(投資家)に収益の分配を行います。

匿名組合契約(2号契約)

事業者が営業者となり、投資家が匿名組合員となって営業者の行う事業に出資をする契約を締結します。営業者は匿名組合事業として対象不動産を運用し、各匿名組合員(投資家)に収益の分配を行います。

賃貸委任契約(3号契約)

対象不動産を共有する事業者と各投資家との間で、投資家がその共有に属する対象不動産を事業者に賃貸又は賃貸の委任をする契約を締結します。事業者が対象不動産を運用し、各共有者(投資家)に収益の分配を行います。

事業区分

不動産特定共同事業法では、相当する行為を以下のように1号から4号までの類型に区分し、これらの行為を反復継続して遂行するものを不動産特定共同事業として定義しています。

1号事業締結した不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を行う行為
2号事業不動産特定共同事業契約の締結の代理又は媒介をする行為(4号事業に該当するもの及び適格特例投資家限定事業に係るものを除く)
3号事業特例事業者の委託を受けて当該特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を行う行為
4号事業特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約の締結の代理又は媒介をする行為

小規模不動産特定共同事業

不動産特定共同事業のうち、投資家一人あたりの出資額が原則として100万円を超えず、かつ投資家からの出資総額が1億円を超えない場合は、小規模不動産特定共同事業に該当します。不動産特定共同事業は許可を受けて行う許可制ですが、小規模不動産特定共同事業は登録を受けて行う登録制を採用しています。

適格特例投資家限定事業

投資家を適格特例投資家に限定して1号事業を行う場合には、適格特例投資家限定事業として届け出ることにより事業を行うことができます。

特例事業者

専ら1号事業を行うことを目的とする法人は、届出をすることにより特例事業者となることができます。1号事業を行うことのみを目的として設立された特別目的会社(SPC)が届出を行った場合がこれに該当します。

不動産特定共同事業許可

不動産特定共同事業を営もうとする者は、以下の区分に従い、国土交通大臣及び金融庁長官、又は都道府県知事に対して申請し、その許可を受ける必要があります。

区分申請内容許可庁
大臣許可2以上の都道府県の区域内に事務所を設けて1号事業又は2号事業を行う場合国土交通大臣及び金融庁長官
2以上の都道府県の区域内に事務所を設けて1号事業又は2号事業を行う場合(現物出資型のみを取り扱う場合)国土交通大臣
3号事業又は4号事業を行う場合国土交通大臣及び金融庁長官
知事許可一の都道府県の区域内に事務所を設けて1号事業又は2号事業を行う場合都道府県知事

許可申請の手続き

知事許可に際する申請手続きの方法は各都道府県ごとに異なるため、本稿では大臣許可を受けようとする際の手続方法を参考に記述しています。

事前面談

申請先の担当者に問い合わせた後、事前面談を実施するにあたって必要となる以下の資料を電子メールで送付します。

  • 会社のパンフレット等会社概要が分かる資料(関連会社がある場合は、関連会社全体の組織図、各事業内容が分かるもの)
  • 組織図(会社の全体の構成と不動産特定共同事業の担当部署が分かるもの)
  • 直近3年分の監査証明付きの貸借対照表及び損益計算書(監査証明を受けていない場合は要相談)
  • 不動産特定共同事業の許可申請を検討した背景
  • 想定している不動産特定共同事業の概要(事業の種別、契約の種別、対象不動産のエ リア・規模・用途等、一般投資家の対象の有無、投資家層、借入予定の有無、電子取引業務の有無等)の説明資料
  • 業務管理者候補者の資格証明書等
  • 私募ファンドの組成・運用実績がある場合はその概要が分かる資料

事前面談(対面又はビデオ通話システム)では、提出した上記資料に基づいて、申請事業者の事業内容、組織体制や想定している不動産特定共同事業等について説明し、担当者からの質疑に応答します。

事前相談

事前面談後、以下の書類を作成して電子メールで提出します。

  • 許可申請書の草稿(様式あり)
  • 添付書類の草稿(様式あり)
  • 定款の写し
  • 約款(特例投資家のみを相手方とする場合は不要)の草稿
  • モデル約款との比較表
  • 直前3年の各事業年度分の監査証明付きの賃借対照表及び損益計算書の写し
  • 今期及び中長期(3~5年程度)の収支見込み
  • 業務管理者候補者の資格証明書等の写し
  • 業務管理者候補者の宅地建物取引士証の写し
  • 事務ガイドラインチェックリスト(マネー・ロンダリング及び反社会的勢力に対する体制整備状況の確認)
  • 不動産特定共同事業に関係する社内規程・マニュアル等(許可申請書中の「不動産特定共同事業に係る」及び添付書類中の「組織に関する事項」の記載で引用されているもの)
  • 申請事業者の事業内容の詳細(各事業の具体的な内容や構成比率等)
  • 不動産特定共同事業の許可申請を検討した背景の詳細
  • 想定している不動産特定共同事業の詳細
  • 取引金融機関(主要取引先・借入状況等)
  • 電子取引業務における基本方針(電子取引業務を行う場合)
  • 電子取引業務の実際の画面が分かるような資料(電子取引業務を行う場合)
  • ISO、JIS、Pマーク等の個人情報保護等の体制に係る認証取得が分かる書類(未認証の場合は要相談)(電子取引業務を行う場合)
  • 関連する社内規程・マニュアル等(電子取引業務を行う場合)
  • 電子取引業務に係る重要事項説明書のひな形(電子取引業務を行う場合)

事前相談は原則として質問票(電子メール)のやり取りで実施されます。なお、このやり取りは、原則として業務管理者候補者が担当することとされています。

★業務方法書の記載内容

許可申請書の第四面「不動産特定共同事業に係る業務の方法」(業務方法書)の記載内容は、申請事業者が想定する業務の内容等によって大きく異なります。以下は記載項目の一例ですが、作成時には申請事業者の業務の実態に即して記載する必要があります。

  • 業務の運営に関する基本原則
  • 業務の種別及び内容(契約の種別、事業参加者の範囲、電子取引業務の有無等)
  • 業務執行の方法(案件組成から運用終了までの各段階の業務内容や決裁フロー等)
  • 不動産の鑑定評価の取得方針に関する事項
  • 利害関係人取引に関する事項
  • 分別管理に関する事項
  • 勧誘・説明態勢に関する事項
  • 法令遵守体制(体制整備、内部監査、研修等)に関する事項
  • マネー・ロンダリング及び反社会的勢力に対する対応等に関する事項
  • 顧客情報の管理に関する事項
  • 苦情処理態勢に関する事項

許可申請

事前相談での確認完了後は、以下の必要書類を正本1部、副本4部ずつ準備して窓口に提出します。大臣許可の提出先は管轄の地方整備局になりますが、知事許可の提出先については各都道府県の窓口にお問い合わせください。

  • 許可申請書
  • 定款又はこれに代わる書面登記事項証明書又はこれに代わる書面
  • 業務管理者名簿
  • 不動産特定共同事業契約約款
  • 株主名簿又は出資者名簿
  • 役員、使用人及び業務管理者の略歴(沿革)書
  • 業務管理者の資格等を証する書類
  • 不動産特定共同事業の業務を執行するための組織に関する事項を記載した書類
  • 誓約書
  • 直前3年の各事業年度の貸借対照表及び損益計算書又はこれらに代わる書面(公認会計士又は監査法人の監査を受けたものに限る)
  • 直前3年の法人税納税証明書(その1)
  • 不動産特定共同事業に関して親会社が連帯して債務を負担する旨を記載した書面(資産要件の特例対象となる法人)

なお、大臣許可の場合、登録免許税として15万円の納付が必要になりますが、知事許可の場合に必要となる登録免許税については各都道府県の窓口にお問い合わせください。

審査

許可申請書類の提出後は許可審査が行われますが、内容の修正が必要となった場合は、再度申請窓口において修正後の書類を提出します。

許可書の発行及び交付

許可審査を通過すると許可書が発行され、手渡し又は郵送により交付されます。詳しい手続きについては各担当窓口にてご確認ください。

許可の基準

不動産特定共同事業は投資家の財産を長期間預かる事業であることから、運営にあたっては一定の信用を担保することが求められます。そのため許可を受けようとする際には、以下の適格要件資本金要件純資産要件体制要件財産的基礎要件及び人的構成要件のすべてをクリアする必要があります。

適格要件

申請者又はその役員若しくは政令使用人が申請前5年以内に不動産特定共同事業に関し不正又は著しく不当な行為をしたものである場合、又は申請者が以下の欠格事由のいずれかに該当する者である場合は、不動産特定共同事業を遂行する適格性を欠くものとして許可を受けることができません。

  • 法人でない者(外国法人で国内に事務所を有しないものを含む)
  • 宅地建物取引業法の免許を受けていない法人
  • 許可もしくは登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない法人又は不動産特定共同事業法に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種の許可(当該許可に類する登録その他の行政処分を含む)を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない法人
  • 許可もしくは小規模不動産特定共同事業の登録の取消しの処分に係る通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に廃業の届出をした法人で当該届出の日から5年を経過しないもの
  • 適格特例投資家限定事業の廃止を命ぜられ、その命令の日から5年を経過しない法人
  • 適格特例投資家限定事業の廃止の処分に係る通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に廃業の届出をした法人で当該届出の日から5年を経過しないもの
  • 不動産特定共同事業法、宅地建物取引業法若しくは出資法又はこれらに相当する外国の法令の規定により罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない法人
  • 役員(法人に対し業務を執行する社員、取締役若しくは執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む)又は使用人のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
    • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
    • 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
    • 不動産特定共同事業法、宅地建物取引業法、出資法若しくはこれらに相当する外国の法令又は暴力団対策法若しくはこれらに相当する外国の法令の規定に違反したことにより、又は刑法上の一定の罪若しくは暴力行為等処罰法の罪を犯したことにより、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
    • 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
    • 許可もしくは登録を取り消された場合において、その取消しの処分に係る通知があった日前60日以内に当該不動産特定共同事業者の役員であった者で当該取消しの日から5年を経過しないもの
    • 許可もしくは登録の取消しの処分に係る通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に廃業の届出をした場合において、当該通知があった日前60日以内に当該不動産特定共同事業者の役員であった者で当該届出の日から5年を経過しないもの
    • 適格特例投資家限定事業の廃止を命ぜられた場合において、その廃止の処分に係る通知があった日前60日以内に当該適格特例投資家限定事業者の役員であった者で当該処分の日から5年を経過しないもの
    • 適格特例投資家限定事業の廃止の処分に係る通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に廃業の届出をした場合において、当該通知があった日前60日以内に当該適格特例投資家限定事業者の役員であった者で当該届出の日から5年を経過しないもの
    • 不動産特定共同事業法に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(当該許可を取り消された法人の当該取消しの日前60日以内に役員に相当する者であった者で当該取消しの日から5年を経過しないものを含む)
    • 精神の機能の障害により不動産特定共同事業の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する法人
  • 4号事業を行おうとする場合にあっては、金融商品取引法の登録を受けていない法人

資産要件

長期にわたる事業の運営に備えるため、申請する法人には十分な財産的基礎を有することが求められています。具体的には、許可を受けようとする者の資本金又は出資の額が事業の種別ごとに以下の金額以上であることが必要とされています。

1号事業者1億円(※一定の条件を満たす法人にあっては2,000万円
2号事業者1,000万円
3号事業者5,000万円
4号事業者1,000万円

なお、許可後において資本金に変更があった場合には、30日以内に変更届を提出し、仮に減資等により資本金要件を充足しなくなった場合には、許可取消しの対象になります。

(※)1号事業を行う資本金又は出資の額が1億円以上の不動産特定共同事業者を親会社とする100%子会社であって、不動産特定共同事業以外の事業を営まず、かつ親会社が連帯して債務を負担するものについては、必要とされる額が1億円から2,000万円に減額されます。

純資産要件

財務の健全性を確保するという観点から、許可を受けようとする者の資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本金又は出資の額の100分の90に相当する額以上であることが必要とされています。

この要件は原則として直近年度の貸借対照表から判断されます。なお、許可後において純資産要件を充足しなくなった場合には、許可取消しの対象となります。

体制要件

投資家に対する勧誘、契約内容の説明等の業務の適切な遂行を担保するため、不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業を行う事務所ごとに、以下の要件をすべて満たす業務管理者を1名以上設置し、不動産特定共同事業の各種業務の実施に関し必要な助言、指導その他の監督管理を行わせる必要があります。

  • 許可を受けようとする者の従業者であること
  • 宅地建物取引士であること
  • 次のいずれかに該当する者であること
    • 不動産特定共同事業の業務に関し3年以上の実務の経験を有する者
    • 主務大臣が指定する不動産特定共同事業に関する実務についての講習(令和4年12月末時点では未指定)を修了した者
    • 登録証明事業から実務経験者と同等の能力を有するとの証明を受けている者

退職等の理由により業務管理者が不在となった場合には、その日から2週間以内に要件を満たす業務管理者を新たに選任して設置する必要があります。また、業務管理者について変更があった場合には、30日以内に変更届を提出する必要があります。

★登録証明事業

令和4年12月末時点では、ビル経営管理士登録証明事業、不動産コンサルティング技能試験・登録事業、一般社団法人不動産証券化協会認定マスターが登録されています。

約款の適合性

投資家保護を図るに当たって、不動産特定共同事業契約が一定の基準に適合した適正な内容で行われることを確保するため、1号事業又は3号事業を行おうとする者で、一般投資家を対象に事業を行うことを予定している者は、不動産特定共同事業契約約款の内容が法定の基準に適合するものであることが要件とされています。

電子取引業務の体制整備

電子取引業務(いわゆるクラウドファンディング事業)を取り扱う場合には、投資家が事業に係る重要な事項についての情報を十分に得ないまま投資の意思決定を行うことのないよう、許可を受けようとする者が、電子取引業務を適確に遂行するために必要な体制が整備されているものであることが要件とされています。

財産的基礎要件

不動産特定共同事業者には経営基盤の安定が求められることから、許可を受けようとする者には、不動産特定共同事業を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有することが必要とされています。

具体的には、直近事業年度における財産及び損益の状況が良好であり、かつ財産及び損益の状況が許可申請日を含む事業年度以降良好に推移することが見込まれることが要件とされています。

財産的基礎の審査では、直近3事業年度分の貸借対照表及び損益計算書、許可申請日を含む事業年度の収支見込み、その後の概ね3事業年度分の収支見込みについて確認が行われます。

財務状況が良好であることの一つの指標として、直近の事業年度末において当期利益を有し、かつ、金融支援(経営再建等を目的とする金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄等)を受けていないことが挙げられます。

人的構成要件

不動産特定共同事業者には、法令を遵守した適正な業務運営が求められることから、許可を受けようとする者には、不動産特定共同事業を公正かつ適確に遂行できる組織構成を有することが必要とされています。

また、申請法人の役員がその法人以外の法人の常務に従事し、又は事業を営んでいる場合にあっては、申請法人の不動産特定共同事業の公正かつ適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないものであることも要件となります。

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