避難経路に必要な通路幅とは│消防法と建築基準法による規制について

オフィスの廊下

災害時の避難経路の確保は、防火対象物とされる屋内施設には必須の課題です。屋内施設には多くの場合、火災などの災害が発生した際に備えて、設計段階から安全に退避するための経路が設定されています。また、経路には緑色の誘導灯と非常灯が設置されており、廊下や居室などの見やすい場所には避難経路図が掲示されています。これらは消防法や建築基準法等による基準に基づいた措置であり、地域や用途ごとに細かい違いはあるものの、すべての防火対象物において適用される義務事項となっています。

ところで弊所への消防関連のご相談の中でとりわけ多いものに、「避難経路の幅が狭くて違反になるのではないか不安」というものがあります。

そこで本稿では、防火対象物に求められている数ある基準の中で、「避難経路」に関するものをピックアップし、できる限り分かりやすく解説していきたいと思います。

消防法による規制

火災予防行政制度の概要

建築物の災害といえば「火災」、火災といえば「消防法」といった風に、大方の人がまず思い浮かべるのが「消防法」による規制ではないかと思います。

学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない。

(消防法第8条2の4)

消防法にはこのような条文がありますが、実は避難経路の通路幅に関する数値などについては、特に細則が設けられていません。消防法は、実際に火災が発生した場合に被害を最小限に抑えることも想定しているため、建築物の寸法などは「建築基準法」に、地域の特性に応じた細やかな建築基準については市町村の「火災予防条例」に委ねて、おもに日頃の管理や体制について重点的に規定しています。

防火安全性の確保策

基本的に通路幅については、後述する建築基準法による基準を満たしていれば問題はありません。ただし、消防法では区画や内装、排煙設備の設置など、ソフト面に対する規制が手厚く設定されているため、下記の点については、しっかりと頭に入れるようにしておきましょう。

消防用設備等の設置・維持
防炎規制

建築基準法による規制

廊下の用途両側に居室がある廊下その他の廊下
小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校における児童用又は生徒用のもの2.3m1.8m
病院における患者用のもの、共同住宅の住戸若しくは住室の床面積の合計が100㎡における共用のもの又は3室以下の専用のものを除き居室の床面積の合計が200㎡(地階は100㎡)を超える階におけるもの1.6m1.2m

建築基準法施行令において定められている廊下の幅は、廊下の両側に居室がある場合と片側だけに居室がある場合とで異なります。両側に居室があればその両方に入居者がいるわけですから、それに合わせて必要な避難経路の通路幅が変わってくることも当然といえば当然です。

この場合の廊下の幅は、内法寸法であることに注意しましょう。

内法とは、建物の内側にある壁面と、向かい側にある壁面の幅の寸法です。建物の壁や柱には厚みがあるため、それらを考慮するのかしないのかによって、寸法に数十cmほどの違いが生じてしまいます。このため、どこを基準にして計測するのかについては、しっかりと把握する必要があります。なお、壁の中心部から計測する寸法は「壁芯寸法」と呼ばれています。

通路幅を考える際は、内法で計測するのが一般的であるため、柱などがある場合には、それらの出幅も考慮した最も狭い部分で計測したもので判断することになります。

市町村条例による規制

基本的には建築基準法に準ずる規定を設けていることが多いですが、各自治体によって細則は異なるため、テナントに入居しようとする際は、事前に所轄の消防に必ず確認を行うようにしましょう。

まとめ

この辺りの予備知識を得ることなくテナントを賃貸してしまい、後日消防署の立入検査によって違反が発覚し、警告や改善命令を出されてしまうケースは、実はそう珍しいことではありません。居抜物件などでは、オーナーや前入居者が勝手に改築してしまった結果、法令に違反したままの状態になってしまっていることも経験上「まれに」見受けられます。このようなことにならないよう消防署には必要に応じて以下のように立入検査を行う権限が付与されています。

たとえ悪意はなかったにせよ違反は違反ですので、義務やペナルティが課せられることは回避することができません。「届出さえクリアできたらいいから」といったご意見を頂戴することもありますが、そんなに甘いものではありません。いずれにせよ、これらの規制がどのような目的によってなされているものなのかを含めて、いまいちどしっかりと確認するように心がけましょう。

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各種届出の作成・提出30,800円~
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※税込み

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