水利権とは│流水占用許可申請について
水利権とは、河川法に規定される河川の流水、湖沼の水などの水資源を排他的に取水して利用することができる公法上の権利のことをいいます。どちらかといえば、「特許」としての側面の強い権利であるほか、公法の規定に反しない限りにおいて、行政機関に対する私法上の債権としての性質を持つ権利でもあります。
流水占用許可とは、まさにこの水利権を取得するために必要とされている許可のことを指しますが、その具体的内容は、その許可に付された「水利使用規則」によって定められることになります。
水利使用規則とは
水利使用規則とは、水利使用について許可の内容及び条件を定めた「取扱説明書」のようなものです。一般的には、以下に掲げる事項が水利権の内容とされています。
- 目的
- 占用の場所
- 占用の方法
- 占用の量
- 水力発電における落差
- 流水の貯留における貯留量
- 許可期間
目的
河川の流水を占用する目的について定めます。現在、水利使用規則においては、水力発電、かんがい、水道、工業用水、鉱業用水、養魚、し尿処理等の7区分で表示されています。したがって、目的が異なれば、占用の量が同じであったとしても、別の水利権として取り扱われることになります。
占用の場所
河川の占用場所は、取水に大きな影響を及ぼす事項であるため、水利権の重要な内容のひとつとなっています。たとえば、上流での取水は下流の水利権者に対して事実上の優先的地位を取得することになりますし、蛇行河川においては、取水口が河口から同一距離にある場合でも、左右岸によって取水の優劣が事実上異なることがあります。
占用の方法
自然流水による取水、堰による堰上げ取水、ポンプ取水、ダムの貯留水の取水、伏流水取水などの別です。当然ながら、占用の方法によって、許可取得の難易度は大きく変動します。
占用の量
占用の場所と並び、水利権の重要な内容となります。取水口ごとの1秒あたりの最大取水量のほかに、必要に応じて1日最大取水量、年間総取水量、最大使用水量等が定められます。
水力発電における落差
水利使用規則では、水力発電における落差を、以下の数値で表示しています。
理論水力(=使用水量(㎥/s)×有効落差(m)×9.8)
なお、有効落差は、水力発電所の放水面と取水口水面との落差から水路や水圧管などにおける摩擦による損失落差を減じて求めます。
流水の貯留における貯留量
水利使用規則では、貯留量を貯水池の水位(常時満水位、最低水位)として表示しています。また、取水制限、貯留制限、豊水条項、優先順位等についても条件が付されています。
許可期間
水利権の許可期間は、原則として、発電水利使用については、概ね20年、その他の水利使用については、概ね10年として、実務上処理されています。実務上、発電水利使用における概ね20年の原則の取扱いについては、一級河川において、当初許可から一定期間を経過しているものを中心に、原則に当てはまらないものを類型化して示し、これに基づき許可期間を短縮する処理を行っています。
水利権の内容の制約
水利権は、あくまでも河川の流水を直接支配する権利であって、河川管理者に対する債権ではないため、たとえば異常渇水などで取水が不能になったとしても、その権利の内容の実現を河川管理者に要求することはできません。
また、河川管理者が行う河川工事は、水利権者を含めた公共の利益のために実施されるものとして解されるため、流水の汚濁等、河川工事によって生じる流水の占用への支障も、通常生ずる程度の支障である場合は、受忍すべきものとされています。
水利権の性質上、これらの内在的制約は当然に受忍すべき内容ではありますが、水利使用規則においては、これらの制約についても、条項の一部として記載しています。
許可条件による制約
水利使用許可の内容及び条件は、水利使用規則において明示されています。一般的に水利使用規則においては、次のような事項について条件が付されますが、この条件は、適正な河川の管理を確保するため必要な最小限度のものに限られ、かつ、水利権者に対し不当な義務を課することとなるものであってはならないものとされています。
- 水利使用の目的
- 取水口等の位置
- 取水量等
- 取水及び流水貯留の条件
- 工作物及び土地の占用場所及び占用面積
- 許可期限
- 工事の条件
- 取水量の測定義務
- 排水量及び排水の水質
- ポンプ施設の取水能力の変更承認
水利権の分類
安定水利権 | 通年取水が可能な水利権 |
豊水水利権 | 河川の流量が一定流量を超える場合に限り取水することができる権利 |
暫定豊水水利権 | 許可期限とともに基準渇水流量を超える場合に限りその超える部分の範囲内で取水することができる権利 |
慣行水利権 | 特定の者による排他継続的な事実上の水の支配をもとに社会的に承認された権利 |
安定水利権
10年に1回程度の渇水年における取水予定地点の渇水流量(年間355日流量)を基準渇水流量といいますが、この基準渇水流量から既得水利権者の水利権量及び河川管理上必要な水量を控除し、残余の流量に比して、申請された取水量が当該流量の範囲内である場合に、新規に水利権が許可されるという基準があります。
この基準により許可された水利権は、取水が通年安定的に継続されることから安定水利権と呼ばれています。また、ダム等の水資源開発施設を設置して、人為的に基準渇水流量を増大させてダム補給を受ける水利権も安定水利権に該当します。
豊水水利権
豊水とは、基準渇水流量を上回る部分の流量をいい、豊水水利権とは、河川の流量が一定流量を超える場合に限り取水することができる権利をいいます。通年取水が可能な安定水利権とは異なり、豊水水利権では、渇水年など流況が悪い年においては、取水可能量が減少し、若しくは不可能となります。
この豊水水利権は、水利使用の目的が十分に達成されないおそれがあること、下流の既得水利や河川の正常な機能を侵害しうること、安定的取水を行う者との間に費用負担の差が生じること、後発の水資源開発によって利用可能な豊水が減少し、権利の形骸化を来す、あるいは後発の水資源開発の妨げとなるおそれがあること等の課題をはらんでいます。
ただし、水力発電については、水力発電は河川水を消費しない水利使用という特色を有していることから、発電用水利権は、豊水水利権として認められています。
暫定豊水水利権
水道用水等の需要が現実に発生しているにも拘らず、ダムが未完成であること等の理由から、安定的な水利使用が阻害される場合があります。このような社会的要請により緊急に用水を必要とする場合には、許可期限とともに基準渇水流量を超える場合に限りその超える部分の範囲内で取水することができる旨の豊水条項を付して、暫定的な水利権が許可されることがあります。このような水利権を、暫定豊水水利権と呼んでいます。
慣行水利権
旧河川法施行以前あるいは河川法の適用を受ける法定河川(一級、二級、準用河川)として指定される以前から、特定の者による排他継続的な事実上の水の支配をもとに社会的に承認された権利を、便宜上「慣行水利権」と呼んでいます。
おもに明治期以前から取水を行っていた農業用水などに認められており、これらの事実上の占用については、改めて取水の許可申請を要することなく、許可を受けたものとして取り扱われています。
許可は不要でも、本来ならば届出が必要とされていますが、河川の指定を受ける以前から取水を行っていたことが社会的に認知されていれば成立するため、届出のない慣行水利権も多く存在しています。
流水占用(水利権)許可
河川からの取水など、流水を占用しようとする者は、あらかじめ河川管理者に対して流水占用の許可の申請を行う必要があります。
多くの場合、流水の占用には複数の手続きを伴います。たとえば、河川区域内にダム、堰等の施設を設けて取水を行う場合には工作物の新築等の許可を、工事により公共用地を占用する場合には土地の占用の許可を、河床を掘削し、ダム等の基礎地盤の掘削によって生じた土石を河川区域内に捨てる場合には河川保全区域における行為の許可などを取得する必要があります。
この一連の手続きは、流水の占用を行うために不可分な手続きであり、河川管理上も同時に進める必要があることから、そのすべてを同時に申請するものとされています。
水利権の対象
河川法においては、「河川」を一級河川、二級河川及び準用河川に限定して定義しています。したがって、河川法上の河川でない普通河川や溜池、地下水(取水による河川への影響が明らかに認められるものは除く)、海水等の取水は水利権の対象とはされていません。ただし、河川の流水が一時的に伏流しているものや、海水であっても河口に近い感潮区域の取水については、水利権の対象となります。
なお、水力発電については、その水利用が農業用水や都市用水の水利用とは異なり、水を消費することなく位置エネルギーを利用するものに過ぎないことから、使用した流水を河川に還元する以前に再度使用する場合、河川区域外の取水であっても水利権の対象とされています。
水利使用の分類
特定水利使用 | 大規模な水利使用 |
準特定水利使用 | 中規模な水利使用 |
その他の水利使用 | 小規模な水利使用 |
水利使用は、それぞれの規模に応じて、上表のように分類されており、一級河川・二級河川・準用河川の別と併せて、許可に関与する行政庁が異なります。
特定水利使用
- 出力が最大1,000kW以上の発電のためにするもの(流水占用の登録の対象となる流水の占用に係るものを除く)
- 取水量が1日につき最大2,500㎥以上又は給水人口が10,000人以上の水道のためにするもの
- 取水量が1日につき最大2,500㎥以上の鉱工業用水道のためにするもの
- 取水量が1秒につき最大1㎥以上又はかんがい面積が300ha以上のかんがいのためにするもの
- 流水占用の登録の対象となる流水の占用に係るものであって上記の水利使用のために貯留し、又は取水した流水を利用する発電のためにするもの
準特定水利使用
- 出力が最大200kW以上の発電のためにするもの
- 取水量が1日につき最大1,200㎥以上又は給水人口が5,000人以上の水道のためにするもの
- 取水量が1秒につき最大0.3㎥以上又はかんがい面積が100ha以上のかんがいのためにするもの
- 取水量が1日につき最大1,200㎥以上の水利使用であって、発電、水道又はかんがい以外のためにするもの
その他の水利使用
特定水利使用、準特定水利使用以外の比較的小規模な水利使用ことをいいます。
水利権の許可権者
種別 | 特定水利使用 | 準特定水利使用 | その他の水利使用 |
---|---|---|---|
一級河川(指定区間内) | 国土交通大臣(一定の許可権限は地方整備局長又は北海道開発局長に委任) | 都道府県知事又は指定都市の長 | 都道府県知事又は指定都市の長 |
一級河川(指定区間外) | 国土交通大臣(一定の許可権限は地方整備局長又は北海道開発局長に委任) | 地方整備局長又は北海道開発局長 | 地方整備局長又は北海道開発局長 |
二級級河川 | 都道府県知事又は指定都市の長 | 都道府県知事又は指定都市の長 | 都道府県知事又は指定都市の長 |
準用河川 | 市町村長 | 市町村長 | 市町村長 |
普通河川 | 河川法の適用なし | 河川法の適用なし | 河川法の適用なし |
関係河川使用者との調整
河川管理者は、水利使用許可申請があった場合においては、水利使用により損失を受けないことが明らかである関係河川使用者及び水利使用について同意をした関係河川使用者を除き、関係河川使用者(既得水利権者及び漁業権者)にその旨を通知しなければなりません。通知を受けた者は、その者が受ける損失を明らかにして、河川管理者に意見を申し出ることができます。
河川管理者は、損失を受ける者がある場合には、関係河川使用者のすべての同意があるとき、新規の水利使用の公益性が相対的に著しく大きいとき又は損失防止施設を設置すれば支障がないときでなければ、許可をすることはできません。
もちろん、河川管理者が同意を取り付けてくれるようなことはありません。実務上、申請者は、許可申請に先立って同意を得ることになります。ただし、同意が必要とされるのは、あくまでも取水量や水質等に悪影響が出ることにより損失を受ける関係河川使用者に限られます。また、河川管理者は、申請者に過度な負担を強いることがないよう、同意を得る者の範囲について慎重に検討し、必要最低限のものとしなければなりません。
許可基準
水利使用許可の判断基準は、大きく分けて以下の4つがあります。
- 公共の福祉の増進
- 実行の確実性
- 河川流量と取水量の関係
- 公益上の支障の有無
公共の福祉の増進
水利使用の目的及び事業内容は、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与し、公共の福祉の増進に資するものであることが必要です。
河川はそもそも公共用地ですから、排他的に利用するからには「公共の福祉」の観点が必要です。審査にあたっては、水利使用に係る事業計画の国民生活や産業活動への影響、国土開発、水資源開発、電源開発、土地改良等に関する国又は地方の計画との整合性、河川水以外の水源への代替可能性等を勘案し、総合的に判断する必要があります。
実行の確実性
申請者の事業計画が妥当であるとともに、関係法令の許可、事業を遂行するための能力及び信用など、水利使用の実行の確実性が確保されていることが必要とされています。
事業計画の妥当性 | 水利使用に係る事業計画が、関係法令に基づく許可等を受けているか、又は受ける見込みが確実であり、かつ、当該水利使用の内容が関係法令による許可等に係る事業内容と整合が図られていること |
事業の遂行能力 | 事業を遂行する能力及び信用を有すると客観的に判断される者であること |
取水必要量の算定 | 水利使用の許可に係る取水量が合理的な根拠に基づいて算定されたものであり、その目的、事業計画等からみて、必要かつ妥当な範囲内のものであること |
他の水利使用、漁業等との調整 | 他の水利使用、漁業等との調整がなされ、当該水利使用により損失を受けるおそれがある者が存する場合には、事前に当該水利使用についてその者の同意を得ておくこと |
水道用水
水道水需要量(Q1)= 河川からの取水量(Q2)+ 他水源からの供給量(Q3)
Q1 = 1人1日最大給水量 × 計画給水人口 ×(1 -ロス率)
Q3 = 地下水供給量 + 他事業者からの分水量
Q2 = Q1 - Q3
工業用水(個別事業者の場合)
工業用水需要量(Q1)= 河川からの取水量(Q2)+{他水源からの供給量(Q3)+ 回収水(Q4)}
Q1 = 工業生産量 × 原単位
Q3 = 地下水 + 水道
Q2 = Q1 -(Q3+Q4)
農業用水
農業用水需要量(Q1)={かんがい面積 ×(減水深(蒸発、浸透の量)}+(水路損失量)-{(有効雨量)+(反復利用水量)}
発電用水
使用水量(Q1)= 出力(P)÷{9.8 ×(落差H)}
河川流量と取水量の関係
河川の流況等に照らし、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に支障を与えることなく安定的に当該水利使用の許可に係る取水を行えるものであることが必要とされています。
取水予定量
取水予定量は、基準渇水流量から、河川の維持流量と他の水利使用者の取水量の双方を満足する水量(正常流量)を控除した水量の範囲内のものである必要があります。
また、河川維持流量とは、塩害防止、各種排水の希釈浄化、河道の維持、河口埋塞防止、水生動植物の生存繁殖等、河川に関する公利の確保、公害の除去若しくは軽減のため流水の果たす機能を確保するための流量をいいます。
河川流水の管理 | 流水占用、舟運、漁業、観光、河川管理施設の保護、地下水の維持 |
河川環境の保全 | 流水の清潔の保持、塩害の防止、河口の閉塞の防止 |
河川流量の測定
河川を流れる水の流下量を一定時間単位で表現したものを「流量」と呼び、測定の期間により、以下のように分類されています。
最大流量 | 期間中の最大流入量値 |
豊水流量 | 年間を通じて95日を下回らない程度の流量値 |
平水流量 | 年間を通じて185日を下回らない程度の流量値 |
低水流量 | 年間を通じて275日を下回らない程度の流量値 |
渇水流量 | 年間を通じて355日を下回らない程度の流量値 |
最小流量 | 期間中の最小流量値 |
取水予定地点の流量
取水行為を行おうとする場合、取水予定地点において取水予定量が存在するか、また、関係河川使用者の取水量への影響の有無の検討がなされなければなりません。多くの場合、ある地点における長期の実測流量資料から取水予定地点の河川流量の推定を行う必要があります。
推定方法
流量の推定を行う場合、降雨量や地形等が取水予定地点の河川流量に最も類似した流量資料を用いるほか、推定による計算流量と取水予定地点の短期間の実測との間の相関度を検討します。降雨資料から推定を行うことも可能ですが、相関性は低く、やや信頼性に欠けるといった欠点があります。
推定方法の妥当性についても検証が必要です。流域比換算による推定の場合であれば、取水予定地点との同時流量観測あるいは流量と降雨量の相関等を検証することが必要になります。
基準地点
関係河川使用者の取水量に対する影響を計算する際の基準となる任意の地点を基準地点といいます。基準地点における流量は、取水予定地点における流量推定と同一の推定方法であり、また、同一河川に先発水利権がある場合、その基準点として使用された地点の影響範囲内であれば原則としてその地点での検討が必要になります。
基準年及び基準渇水流量
取水予定地点における河川流量のうち10年間の渇水流量値を抽出し、そのうちの最小値(基準渇水流量)となった年を基準年とします。また、ダム補給の場合は、補給容量の最大値年を基準年とすることが通例となっています。河川維持流量、取水予定量及び関係河川使用者の取水量は、この基準渇水流量の範囲内に収まっている必要があります。
基準渇水流量-(河川維持流量+関係河川使用者取水量)-取水予定量≧0
公益上の支障の有無
流水の占用のためのダム、堰、水門等の工作物の新築等が、工作物の新築等の許可の審査基準を満たしているなど、当該水利使用により治水上その他の公益上の支障を生じるおそれがないことが必要とされています。
また、水利使用に係る土地の占用及び工作物の新築等は、審査基準を満たしている場合でも、当該水利使用の目的を達成するために必要な最小限度のものである必要があります。
許可申請に必要となる書類
- 許可申請書(PDF)
- 水利使用に係る事業の計画の概要
- 使用水量の算出の根拠
- 河川の流量と申請に係る取水量及び関係河川使用者の取水量との関係を明らかにする計算
- 水利使用による影響で次の掲げる事項に関するもの及びその対策の概要
- 治水
- 関係河川使用者の河川の使用
- 竹木の流送又は舟若しくはいかだの通航
- 漁業
- 史跡、名勝及び天然記念物
- ダムを設置するときは、貯水池となるべき土地の現況及び当該ダムによる流水の貯留により損失を受ける者に対する措置の概要
- 水利使用を行うことについて同意をした者があるときはその同意書の写し並びに同意をしない者があるときはその者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び住所並びに代表者の氏名)並びに同意をするに至らない事情を記載した書面
- 河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地、施設若しくは工作物を使用して水利使用を行う場合又は河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する工作物を改築し、若しくは除却して水利使用を行う場合にあっては、その使用又は改築若しくは除却について申請者が権原を有すること又は権原を取得する見込みが十分であることを示す書面
- 水利使用に係る行為又は事業に関し、他の行政庁の許可、認可その他の処分を受けることを必要とするときは、その処分を受けていることを示す書面又は受ける見込みに関する書面
- 許可等の同時申請をすべきところ、これをしないことについてやむを得ない理由があるときは、その理由及び同時に行うべき他の許可の申請の経過又は予定を記載した書面
- その他参考となるべき事項を記載した図書
工作物の新築、改築又は除却を伴う水利使用の許可の申請にあっては、工事計画に係る次の図書(工作物の新築等の許可の申請が含まれていないときは、工事計画の概要を記載した図書)を添付します。
ダムの新築又は改築に関する工事計画
- ダムの新築又は改築に関する工事計画一覧表
- 洪水流量に関する計算書
- ダムの安定に関する計算書
- 施設又は工作物に関する水理計算書
- 施設又は工作物に関する構造計算書
- 背水に関する計算書
- 貯水池容量計算書
- 占用面積計算書
- 降水量表(日降水量、月降水量及び年降水量)
- 最高最低気温表(月の最高気温及び最低気温)
- 水位及び流量表
- 掘削土石処理計画表
- 工程表
- 一般平面図(縮尺50,000分の1の地形図)
- 集水地域
- ダム、水路、観測施設その他水利使用に関する主要な施設又は工作物の位置
- 水利使用により影響を受ける施設又は工作物のうち、他の水利使用のためのもの、道路、橋その他主要なものの位置
- その他参考となるべき事項
- 貯水池実測平面図(縮尺5,000分の1の地形図)
- 湛水区域
- ダム及びこれに附属する施設又は工作物の位置
- 土捨場その他ダムに関する工事に附帯して設置する施設又は工作物で主要なものの位置
- 測点の番号及び位置
- その他参考となるべき事項
- 貯水池実測縦断面図(縮尺縦200分の1以上、横5,000分の1以上)
- 最低河床
- ダムの位置
- ダムの新築又は改築前における計画洪水位並びに新築又は改築後における計画洪水位、常時満水位及び最低の水位
- 推定堆砂面
- 測点の番号及び標高
- 測点間の距離及び逓加距離
- その他参考となるべき事項
- 貯水池実測横断面図(縮尺500分の1以上)
- 最高の水位から20mの高さまでの地盤面
- ダムの新築又は改築前における計画洪水位並びに新築又は改築後における計画洪水位、常時満水位及び最低の水位
- 推定堆砂面
- 測点の番号及び標高
- その他参考となるべき事項
- 地質に関する図面
- ダムの設計図(ダムの基礎処理に関するものを含む)
- ダムに関する工事を施行するための設備に関する図面
- 流況曲線図
- 流量累加曲線図
- 貯水量曲線図
- 貯水面積曲線図
- 占用する土地の丈量図
- ダムの新築又は改築の場所をその上流側及び下流側から撮影した写真にダムの外形を記載したもの
- 工事費概算書
- 資金計画の概要を記載した書面
- その他工事計画に関し参考となるべき事項を記載した図書
ダム以外の工作物の新築又は改築に関する工事計画
- 工作物に関する水理計算書
- 工作物に関する構造計算書
- 計画洪水流量及び背水に関する計算書(ダム又は堰せき以外の工作物については不要)
- 占用面積計算書
- 水位及び流量表
- 工程表
- 位置図(縮尺50,000分の1の地形図)
- 実測平面図
- 実測縦断面図(ダム又は堰せき以外の工作物については不要)
- 実測横断面図(ダム又は堰せき以外の工作物については不要)
- 工作物の設計図
- 工事費概算書
- その他工事計画に関し参考となるべき事項を記載した図書
工作物の除却に関する工事計画
- 位置図(縮尺50,000分の1の地形図)
- 工作物の構造図
- 工事の実施方法を記載した図書
- 工事費概算書
- その他工事計画に関し参考となるべき事項を記載した図書
流水占用登録
許可を受けた水利権に基づき取水した流水のみを利用する発電のために河川の流水を占用しようとする者については、河川管理者の登録を受ける必要があります。
他の水利使用に従属して、発電を行う場合やダム等から放流される維持流量等を利用して、新たに減水区間を生じさせることなく発電を行う場合には、河川環境等に新たな影響を与えるおそれが少ないことから、許可よりも簡素化された手続きである登録で足りることとされています。
まとめ
このように、水利権は複雑な仕組みが絡み合って構成されています。また、関係河川使用者の意見や河川管理者の裁量が大きく反映される手続きでもあります。このため、すべての許可申請に対して当然に許可が下りる性質のものではありません。あくまでも、個別具体的な事情に対応させた資料を提示して河川管理者との協議に臨むことになります。いずれにせよ、人縄筋では進まない手続きであることはご理解ください。
弊所では、河川に関する面倒な手続きをサポートさせていただいております。個別の事情や難易度、求められる資料の数等に応じて見積もりは増減させていただきますが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」でもあります。さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応には自信があります。また、海事代理士事務所を併設しているため、水際の手続きにも専門性を有しています。河川法に関する手続きでお困りの際は、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。