河川占用許可│河川の利用に関する許可の申請について

河川敷の風景

川や水路は、基本的には誰でも自由に利用することができる公共用地です。一方で、これらの管理には防災や保全という観点が不可欠であるため、河川周辺を含めた河川内の利用には一定の制限が設けられており、河川に及ぼす影響が特に大きいと認められる場合については、河川管理者の許可を受ける必要があります。

本稿では、河川を利用する際に必要とされる許可について、どのようなケースが該当するのか等、河川にまつわる様々な規定を紹介しつつ詳しく解説していきたいと思います。

河川とは

等級概説兵庫県内の河川例河川管理者
一級河川国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川で国土交通大臣が指定したもの由良川、淀川、円山川、揖保川、加古川国土交通省
二級河川一級水系以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係る河川で都道府県知事が指定したもの蓬川、武庫川、夙川、宮川、芦屋川、住吉川、石屋川、生田川、宇治川、新湊川、塩屋谷川都道府県知事
準用河川一級河川及び二級河川以外の河川で市町村長が指定したもの穴部川、地蔵川、 濠川、 清住川、 雑郷川、大釜川、 八重畑川、清水川、 北山川、上原田川、 明田川、 藪田川、山田川、 書写川、広畑川、 笹川、 辻井川、辻井南川、太市川、 宮内川、中島川、松原川、堂崎川市町村長
普通河川一級河川、二級河川及び準用河川以外の河川であって河川法の適用を受けないもの市町村長

河川にも等級が存在しており、河川法という法律においては、一級河川と二級河川のみが「河川」であるとされています。これらはいずれも比較的大きな川ですが、一級・二級に該当しない小さな川(準用河川・普通河川)についても「河川」と呼称するのが一般的です。

河川区域とは

河川を管理するために必要な区域で、基本的には堤防と堤防に挟まれた間の区間をいいます。下表のとおり、一号地から三号地まで設定されています。

一号地通常水が流れている土地
二号地堤防や護岸など、河川を管理するための施設
三号地一号地と二号地に挟まれている土地で、一号地と一体化して管理を行う必要のある土地

河川保全区域とは

堤防や護岸など洪水・高潮等の災害を防止するための施設や河岸を守るために、一定の制限を設けている区域のことです。河川保全区域の範囲は、それぞれの河川で異なります。

河川管理者とは

河川の管理について権限をもち、その義務を負う者が河川管理者です。一級河川については国土交通大臣、二級河川については都道府県知事、準用河川については市町村長と河川法に定められています。

河川の利用

自由使用一般的に認められている河川使用河川敷地での散歩・サイクリング、釣り等
許可使用申請に基づく河川管理者の許可を受けた者に認める河川使用工作物の設置、土地の掘削等
特許使用一般には許されない特別の排他独占的な使用権を設定することにより行われる河川使用土地の占用、土石(砂)の採取、流水の占用等

冒頭に記述したように、河川は自由利用されることが原則です。ただし、上の表にあるような河川に及ぼす影響が大きいと認められる行為については、河川管理者の許可を受けて行う必要があります。

河川占用(使用)許可

河川区域内の土地を占用しようとする場合には、河川管理者以外の者がその権原に基づいて管理する土地について行う場合を除き、河川管理者の許可を受ける必要があります。ここでいう「河川の占用」とは、特定の者が継続的に河川を使用することを指し、河川区域内に道路橋や水管橋といった工作物を設置するような行為が該当します。

土石等の採取の許可

河川区域内の土地において土石(砂)や土石(砂)以外の河川の産出物で政令で指定したものを採取しようとする場合も、河川管理者以外の者がその権原に基づいて管理する土地について行う場合を除き、河川管理者の許可を受ける必要があります。

工作物の新築等の許可

河川区域内の土地において工作物を新築し、改築し、又は除却しようとする者や、河口付近の海面において河川の流水を貯留し、又は停滞させるための工作物を新築し、改築し、又は除却しようとする者は、河川管理者以外の者がその権原に基づいて管理する土地について行う場合を除き、原則として河川管理者の許可を受ける必要があります。

高規格堤防とは、いわゆるスーパー堤防といわれる堤防ですが、高規格堤防特別区域内の土地において行う一定の軽微な行為については、河川管理者の許可を受ける必要はありません。

土地の掘削等の許可

河川区域内の土地において土地の掘削、盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為又は竹木の栽植若しくは伐採をしようとする者は、政令で定める軽易な行為を除き、河川管理者の許可を受ける必要があります。

高規格堤防特別区域内の土地において行う一定の軽微な行為については、河川管理者の許可を受ける必要はありません。

許可申請手続き

現場や河川周辺の状況、行為により予見される危険性等、各事案について個別的具体的に判断する必要があるため、この申請は定型的、類型的なものとはなりません。このため、事前の現場調査や河川管理者との協議が、欠かすことのできない重要なポイントになってきます。

まずは現場を調査、確認した上で協議用の資料を作成し、河川管理者との協議に臨むことになります。この協議を経ることにより、ようやく許可の可否の見通しが立ち、必要な書類や手続きの内容などが確定することになります。また、場合によっては河川管理者以外の周辺住民に対する説明や承諾を求められるケースもあります。大まかな流れは以下のとおりです。

①現場調査と事前協議の資料作成
②河川管理者との事前協議
③申請書の提出→補正や追加資料の添付
④河川管理者による現地調査等
⑤許可の決済→許可書の交付
⑥着手届の提出
⑦事業開始→事業完成
⑧完成届の提出→完成の決済

まとめ

公共物や公共用地に関する許可は、管理する行政官庁の裁量が大きく反映される手続きです。このため、すべての許可申請に対して当然に許可が下りる性質のものではありません。河川や水路に水が流れる上で支障があるかどうか、設置物は必要以上に大きなものでないかなど、個別具体的な事情に対応させた資料を提示して河川管理者との協議に臨むことになります。

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