薬局開設許可申請ガイド│要件・必要書類から保険薬局の指定までを行政書士が解説

薬局で薬を処方する薬剤師

処方箋に基づいて薬を調剤し、患者に渡すことができるのは「薬局」だけです。この薬局を開設するには、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)に基づき、薬局ごとに開設の許可を受けることが求められます。一般用医薬品の販売だけを行うドラッグストアとは、受けるべき許可の種類も、満たすべき基準も大きく異なります。

薬局開設許可の申請では、店舗の面積や調剤室の広さといった構造設備の基準に加え、薬剤師の人数や勤務時間などの業務体制の基準、申請者の欠格事由など、数多くの要件を満たすことになります。さらに、健康保険を使った調剤を行うには、薬局開設許可とは別に、地方厚生局から保険薬局の指定を受ける手続きも欠かせません。

これらの手続きは、申請先も締切も異なるうえ、保険薬局の指定は月に1回しか行われないため、スケジュールを一つ誤るだけで、開局が1か月単位で遅れることもあります。

そこで本稿では、これから薬局を開設したい方に向けて、薬局開設許可の要件と申請手続き、保険薬局の指定までの流れを、全国共通の基準をもとに行政書士が詳しく解説します。

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薬局とは│店舗販売業との違い

薬機法上の「薬局」とは、薬剤師が販売または授与の目的で調剤の業務を行う場所をいい、開設者が医薬品の販売業を併せて行う場合には、その販売業に必要な場所も含まれます。なお、病院や診療所の調剤所は薬局にはあたりません。処方箋に基づく調剤を行うには、この薬局の許可を受けることが必要です。

一方、調剤を行わずに、要指導医薬品や一般用医薬品の販売だけを行う場合には、薬局ではなく「店舗販売業」の許可を受けることになります。店舗販売業では、薬剤師はすべての一般用医薬品を販売できますが、登録販売者が販売できるのは第2類医薬品と第3類医薬品に限られ、第1類医薬品は販売することができません。

区分調剤販売できる医薬品店舗の面積の基準
薬局できる医療用医薬品(調剤)、要指導医薬品、一般用医薬品おおむね19.8㎡以上
店舗販売業できない要指導医薬品、一般用医薬品(登録販売者は第2類・第3類のみ)13.2㎡以上

ドラッグストアの中には、店舗販売業の許可を受けた売場と、薬局の許可を受けた調剤コーナーとを併設しているところもあります。この場合、それぞれの許可を別々に受け、区画や出入りの方法についても、それぞれの基準を満たすように設計することになります。

★薬局開設許可のポイント
  • 処方箋に基づく調剤を行うには薬局開設許可が必要
  • 許可は薬局ごとに必要で、有効期間は6年(更新制)
  • 開設者は薬剤師でなくてもよいが、薬剤師の管理者を置くことが必須
  • 保険調剤を行うには、別途地方厚生局から保険薬局の指定を受ける必要がある

許可の申請先

薬局開設許可の許可権者は、原則として薬局の所在地の都道府県知事です。ただし、薬局の所在地が保健所を設置する市(政令指定都市や中核市など)や東京23区の区域にある場合は、その市長または区長が許可権者となります。実際の申請窓口は、いずれの場合も薬局の所在地を管轄する保健所です。

同じ都道府県内であっても、保健所を設置している市では市の保健所に、それ以外の市町村では都道府県の保健所に申請することになります。複数の店舗を展開する場合、出店先の市によって申請窓口や手続きの運用が変わることがあるため、店舗ごとに確認しておくことが大切です。

また、構造設備や業務体制の基準は全国共通の省令で定められていますが、その運用の細部は、各自治体が定める審査基準や指導基準によって少しずつ異なります。必要書類や手数料、標準処理期間も自治体ごとに定められているため、申請先の保健所が公表している審査基準や申請の手引きを、必ず事前に確認しておきましょう。

許可の要件

薬局開設許可を受けるには、薬機法第5条に定める基準に基づき、構造設備、業務体制、人的要件の3つの観点からの審査をクリアすることが求められます。あわせて、薬局を実際に管理する管理者を置くことも欠かせません。

要件概要
構造設備要件薬局の面積、調剤室の広さ、設備などが薬局等構造設備規則の基準に適合していること
業務体制要件薬剤師の人数や勤務時間などが、体制省令の基準に適合していること
人的要件申請者(法人の場合は薬事に関する業務に責任を有する役員)が欠格事由に該当しないこと
管理者薬剤師の中から、薬局を実地に管理する管理者を置くこと

構造設備要件

薬局の構造設備は、薬局等構造設備規則第1条等に定める基準(以下)に適合していることが求められます。

  • 調剤された薬剤又は医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者が容易に出入りできる構造であり、薬局であることがその外観から明らかであること
  • 換気が十分であり、かつ、清潔であること
  • 当該薬局以外の薬局又は店舗販売業の店舗の場所、常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること
  • 面積は、おおむね19.8㎡以上とし、薬局の業務を適切に行うことができるものであること
  • 医薬品を通常陳列し、又は調剤された薬剤若しくは医薬品を交付する場所は60ルクス以上、調剤台の上は120ルクス以上の明るさを有すること
  • 要指導医薬品又は一般用医薬品を販売・授与する薬局で、開店時間のうちそれらを販売・授与しない時間がある場合は、それらを通常陳列し、又は交付する場所を閉鎖することができる構造であること
  • 冷暗貯蔵のための設備を有すること
  • 鍵のかかる貯蔵設備を有すること
  • 貯蔵設備を設ける区域が、他の区域から明確に区別されていること
  • 次に適合する調剤室を有すること
    • 6.6㎡以上の面積を有すること
    • 天井及び床は、板張り、コンクリート又はこれらに準ずるものであること
    • 調剤された薬剤や医薬品を購入する者などが進入することができないよう、必要な措置が採られていること
    • 薬剤師不在時間がある薬局にあっては、閉鎖することができる構造であること
  • 薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、第1類医薬品を販売・授与する薬局にあっては、それぞれ次に適合すること
    • 陳列のために必要な陳列設備を有すること
    • 陳列設備から1.2m以内の範囲(陳列区画)に、購入者などが進入することができないよう必要な措置が採られていること(陳列しない場合や、鍵をかけた陳列設備など購入者が直接手を触れられない陳列設備に陳列する場合を除く)
    • 開店時間のうち、それらを販売・授与しない時間がある場合には、陳列区画を閉鎖することができる構造であること
  • 指定濫用防止医薬品(第2類・第3類医薬品に限る)を販売・授与する薬局にあっては、次に適合すること
  • 陳列のために必要な陳列設備を有すること
  • 陳列設備から1.2m以内の範囲に購入者などが進入することができないよう必要な措置が採られているか、購入者が直接手を触れられない陳列設備を有すること(陳列しない場合や、陳列設備から7m以内に情報提供設備を置き、薬剤師又は登録販売者を継続的に配置する場合を除く)
  • 開店時間のうち、販売・授与しない時間がある場合には、陳列区画を閉鎖することができる構造であること
  • 情報の提供や指導を行うための設備を有し、その設備が次に適合すること(複数ある場合はいずれかが適合すれば足りる)
    • 調剤室に近接する場所にあること
    • 薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、第1類医薬品を陳列する場合は、それぞれの陳列区画の内部又は近接する場所にあること
    • 指定第2類医薬品を陳列する場合は、その陳列設備から7m以内にあること(鍵をかけた陳列設備に陳列する場合や、1.2m以内の進入防止措置が採られている場合を除く)
    • 指定濫用防止医薬品を陳列する場合は、その陳列設備から7m以内にあること(進入防止措置が採られている場合や、購入者が直接手を触れられない陳列設備に陳列する場合を除く)
    • 2以上の階に医薬品を陳列し、又は交付する場所がある場合は、各階のその場所の内部にあること
  • 液量器、温度計(100度)、水浴、調剤台、軟膏板、乳鉢(散剤用)及び乳棒、はかり(感量10mgのもの及び感量100mgのもの)、ビーカー、ふるい器、へら(金属製のもの及び角製又はこれに類するもの)、メスピペット、メスフラスコ又はメスシリンダー、薬匙(金属製のもの及び角製又はこれに類するもの)、ロート、調剤に必要な書籍(電子媒体を含む)を備えていること(書籍以外は、同等以上の性質を有するもので足りる)
  • 営業時間のうち特定販売のみを行う時間がある場合には、都道府県知事等又は厚生労働大臣が、特定販売の実施方法を適切に監督するために必要な設備を備えていること
  • 放射性医薬品を取り扱う場合には、別に定める基準に適合すること

面積は内法(壁の内側)で計測し、「おおむね」とは基準面積から10%以内の減少をいうとする自治体が一般的です。また、更衣室やトイレ、事務室などを薬局の面積に含めない扱いや、待合室を6.6㎡以上とする指導基準など、自治体ごとの審査基準や指導基準で、運用の細部が定められています。

★行政書士実務メモ①

構造設備は、内装工事が終わってから基準に合わないことが分かっても、やり直しがききません。調剤室の広さや他の店舗との区画、出入口の位置、照明の配置などは、図面の段階で保健所に事前相談し、基準に適合することを確認してから工事に入るのが鉄則です。商業施設の一角や、ドラッグストアに併設する場合は、区画の方法や営業時間が異なる場合の遮断措置について、特に慎重な確認が必要です。

業務体制要件

薬局の業務を行う体制は、「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」(体制省令)第1条に定める基準に適合していることが求められます。同条第1項は、次の各号を定めています。

  • 薬局の開店時間内は、常時、当該薬局において調剤に従事する薬剤師が勤務していること(薬剤師不在時間内は、調剤に従事する薬剤師が当該薬局以外の場所において当該薬局の業務を行うために勤務していること)
  • 調剤に従事する薬剤師の員数が、1日平均取扱処方箋数を40で除して得た数(1に満たないときは1とし、1に満たない端数は1とする)以上であること
  • 要指導医薬品又は第1類医薬品を販売・授与する薬局にあっては、それらを販売・授与する営業時間内は、常時、医薬品の販売・授与に従事する薬剤師が勤務していること
  • 第2類医薬品又は第3類医薬品を販売・授与する薬局にあっては、それらを販売・授与する営業時間内は、常時、医薬品の販売・授与に従事する薬剤師又は登録販売者が勤務していること
  • 営業時間又は営業時間外で相談を受ける時間内は、相談があった場合に、情報の提供又は指導を行うための体制を備えていること
  • 調剤に従事する薬剤師の週当たり勤務時間数の総和が、当該薬局の開店時間の1週間の総和以上であること
  • 1日当たりの薬剤師不在時間は、4時間又は当該薬局の1日の開店時間の2分の1のうち、いずれか短い時間を超えないこと
  • 薬剤師不在時間内は、薬局の管理を行う薬剤師が、当該薬局で勤務している従事者と連絡ができる体制を備えていること
  • 薬剤師不在時間内に調剤を行う必要が生じた場合に、近隣の薬局を紹介すること、又は調剤に従事する薬剤師が速やかに当該薬局に戻ることその他必要な措置を講じる体制を備えていること
  • 要指導医薬品又は一般用医薬品を販売・授与する薬局にあっては、その販売・授与に従事する薬剤師及び登録販売者の週当たり勤務時間数の総和を、情報の提供・指導を行う場所の数で除して得た数が、それらを販売・授与する開店時間の1週間の総和以上であること
  • 要指導医薬品又は第1類医薬品を販売・授与する薬局にあっては、その販売・授与に従事する薬剤師の週当たり勤務時間数の総和を、情報の提供・指導を行う場所の数で除して得た数が、それらを販売・授与する開店時間の1週間の総和以上であること
  • 調剤の業務に係る医療の安全を確保するため、指針の策定、従事者に対する研修の実施その他必要な措置が講じられていること(※)
  • 調剤された薬剤に関する情報の提供及び指導その他の調剤の業務(調剤のために使用される医薬品の貯蔵に関する業務を含む)に係る適正な管理を確保するため、指針の策定、従事者に対する研修の実施その他必要な措置が講じられていること(※)
  • 医薬品を販売・授与する薬局にあっては、医薬品に関する情報の提供及び指導その他の販売・授与の業務に係る適正な管理を確保するため、指針の策定、従事者に対する研修の実施その他必要な措置が講じられていること(※)

また、(※)の「必要な措置」として、次の措置を定めています。

  • 医薬品の使用に係る安全な管理のための責任者の設置
  • 従事者から薬局開設者への事故報告の体制の整備
  • 医薬品の貯蔵設備を設ける区域に立ち入ることができる者の特定
  • 医薬品の安全使用並びに調剤された薬剤及び医薬品の情報提供のための業務に関する手順書の作成と、その手順書に基づく業務の実施
  • 調剤及び医薬品の販売・授与の業務に係る適正な管理のための業務に関する手順書の作成と、その手順書に基づく業務の実施
  • 薬剤師不在時間がある薬局にあっては、薬剤師不在時間における薬局の適正な管理のための業務に関する手順書の作成と、その手順書に基づく業務の実施
  • 医薬品の安全な管理や情報提供に必要な情報の収集その他、調剤の業務に係る医療の安全及び適正な管理並びに医薬品の販売・授与の業務に係る適正な管理の確保を目的とした改善のための方策の実施

1日平均取扱処方箋数は、前年における総取扱処方箋数を、前年において業務を行った日数で除して計算します。このとき、眼科、耳鼻咽喉科及び歯科の処方箋は、3分の2を乗じた数で計算します。新規開設の場合は前年の実績がないため、見込みの処方箋数をもとに薬剤師の配置を組み立てることになります。

申請の際には、開店時間や薬剤師・登録販売者の勤務時間、情報提供を行う場所の数などをまとめた書類を提出し、これらの基準に適合していることを示します。あわせて、第2項の手順書や指針も、開局前に整備しておくことが求められます。勤務シフトの組み方によっては基準を満たさないこともあるため、開局前に薬剤師の採用計画と勤務体制を固めておくことが欠かせません。

欠格事由

申請者(法人の場合は、薬事に関する業務に責任を有する役員)が、次のいずれかに該当するときは、許可を受けることができません。

  • 薬機法第75条第1項の規定により許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
  • 薬機法第75条の2第1項の規定により登録を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった後、3年を経過していない者
  • 薬機法、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法その他薬事に関する法令で政令で定めるもの(大麻草の栽培の規制に関する法律、覚醒剤取締法、あへん法、薬剤師法など)又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過していない者
  • 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
  • 精神の機能の障害により薬局開設者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  • 薬局開設者の業務を適切に行うことができる知識及び経験を有すると認められない者

精神の機能の障害に関しては、医師の診断書の提出を求める自治体が多くなっていますが、一定の場合には疎明書で足りるとする自治体もあります。申請先の保健所の取扱いを確認してください。

管理者(管理薬剤師)

薬局の開設者は、薬剤師でなくても構いません。薬機法第7条第1項により、開設者が薬剤師である場合は、自らその薬局を実地に管理するか、その薬局で薬事に関する実務に従事する他の薬剤師を管理者に指定して実地に管理させます。同条第2項により、開設者が薬剤師でない場合は、その薬局で実務に従事する薬剤師の中から管理者を指定し、実地に管理させることが義務づけられています。

この管理者は、一般に「管理薬剤師」と呼ばれます。薬機法は、管理者に対し、保健衛生上の支障が生じないよう、薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、構造設備や医薬品その他の物品を管理するなど、薬局の業務について必要な注意をすることを求めています。

さらに、薬機法第7条第3項により、管理者は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他の薬事に関する実務に従事してはならないとされています。薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合は例外となりますが、原則として他の薬局との掛け持ちは認められないため、管理薬剤師となる人材の確保は、薬局開設の計画の中でも最も重要なポイントの一つです。

手続きの流れ

薬局開設の許可の手続きは、おおむね次の流れで進みます。

事前相談

まずは、薬局の図面を持って、申請先の保健所に事前相談を行います。構造設備の基準に適合しているかを内装工事の前に確認してもらうことで、工事のやり直しを防ぐことができます。あわせて、必要書類や検査の日程、申請のタイミングについても確認しておきましょう。

申請書類の提出

工事の進捗に合わせて、以下の申請書類を提出します。保健所によっては、施設の検査のおおむね2週間前までに書類を提出するよう求めているところもあります。

  • 薬局開設許可申請書
  • 薬局の付近の見取図
  • 薬局の平面図
  • 構造設備の概要
  • 業務を行う体制の概要
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 申請者(法人の場合は薬事に関する業務に責任を有する役員)の医師の診断書または疎明書
  • 管理者の薬剤師免許証の写し
  • 管理者や勤務する薬剤師との雇用関係を証明する書類
  • 薬局で勤務する薬剤師・登録販売者の一覧
  • 特定販売を行う場合は、その内容を記載した書類

申請時には、自治体ごとに定められた手数料を納付します。新規の申請手数料は、たとえば大阪府では29,000円、東京都では34,100円とされており、申請から許可までの標準的な事務処理期間も、大阪府では20日、滋賀県では7日とされているなど、自治体によって異なります。

実地検査

保健所の薬事監視員が薬局を訪れ、構造設備や業務体制が基準に適合しているかを検査します。内装工事や設備の搬入、医薬品の陳列方法などが整った状態で検査を受けることになります。

許可証の交付

検査で問題がなければ、許可証が交付されます。許可を受けるまでは、薬局として営業することはできません。許可は6年ごとに更新を受けなければ効力を失うため、引き続き営業する場合は、有効期間が満了する前に更新の申請を行います。

保険薬局の指定

薬局開設の許可を受けただけでは、健康保険を使った調剤(保険調剤)を行うことはできません。保険調剤を行うには、薬局の所在地を管轄する地方厚生局(または厚生支局)から、「保険薬局」の指定を受けることが必要です。申請窓口は、地方厚生局の各都府県の事務所などになります。保険薬局の指定申請に手数料はかかりません。

保険薬局の指定の申請には、薬局開設の許可証の写しを添付することが、「保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令」第3条で定められています。そのほか、勤務する保険薬剤師の登録の記号・番号を記載した書類や、開局日・開局時間を記載した書類、法人の場合は登記事項証明書の写しなどを添付します。添付書類は地方厚生局によって細部が異なるため、事前相談の段階で確認しておくと安心です。

保険薬局の指定は、地方社会保険医療協議会の部会への諮問を経て行われ、この部会が月1回開かれることから、指定日は原則として、指定申請をした翌月の1日とされています。申請者の希望により、翌月1日以降の別の日を指定日とすることも可能です。毎月の申請締切は地方厚生局や事務所ごとに異なり、前月の15日前後としているところもあれば、前月の上旬としているところもあります。

なお、保険薬局の指定申請は、健康保険法第65条に基づく手続きであり、社会保険労務士法第2条に定める社会保険労務士の業務にあたります。そのため、行政書士が指定申請書を作成したり、代理で提出したりすることはできません。指定申請を専門家に依頼する場合は、社会保険労務士に相談することになります。

★行政書士実務メモ②

新規開設で最も多い失敗は、保険薬局の指定のスケジュールの読み違いです。指定の申請には薬局開設の許可証の写しが必要なため、薬局開設の許可の取得が厚生局の締切に間に合わなければ、保険調剤の開始が1か月後ろにずれ込みます。開局予定日から逆算して、厚生局の締切日、保健所の検査日、申請書類の提出日、内装工事の完了日を順に押さえておきましょう。

その他の手続き

麻薬を含む医薬品の処方箋を調剤するには、薬局開設許可とは別に、麻薬小売業者の免許を受けることが必要です。このほか、生活保護法の指定医療機関や自立支援医療の指定など、取り扱う患者に応じて、別の指定申請が必要になることもあります。

薬局を開設した後も、許可の内容に変更があった場合には変更届を、薬局を休止・廃止・再開した場合には、その後30日以内に届出を提出します。変更の内容によっては、事前の届出が必要なものもあります。

また、前年の業務を行った期間が3か月以上で、1日平均取扱処方箋数が40枚を超える薬局は、毎年3月末日までに、前年の取扱処方箋数を届け出ることが求められます。許可の有効期間である6年が経過する前には、更新の申請も忘れないようにしましょう。

Q. 薬剤師でなくても薬局を開設できますか?
A. 開設者は薬剤師である必要はありません。ただし、その薬局で実務に従事する薬剤師の中から管理者を指定し、実地に管理させることが必要です。


Q. ドラッグストアで薬も売りたい場合、薬局の許可が必要ですか?
A. 調剤を行わず、要指導医薬品や一般用医薬品の販売だけであれば、店舗販売業の許可で足ります。調剤を行う場合は薬局開設許可が必要です。


Q. 管理薬剤師は、他の薬局と掛け持ちできますか?
A. 原則としてできません。管理者は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他の薬事に関する実務に従事することが禁じられています。


Q. 薬局開設許可を受ければ、すぐに保険調剤ができますか?
A. できません。地方厚生局から保険薬局の指定を受ける必要があり、指定日は原則として申請した翌月の1日です。


Q. 薬局の開設に距離制限はありますか?
A. かつての薬事法には、薬局の配置を規制する規定がありましたが、昭和50年の最高裁判所の判決で違憲とされ、同年の法改正で削除されました。現在の薬機法に、薬局の開設についての距離制限はありません。


Q. 保険薬局の指定申請も行政書士に依頼できますか?
A. できません。保険薬局の指定申請は健康保険法に基づく手続きであり、社会保険労務士の業務にあたります。行政書士が担当できるのは、保健所への薬局開設の許可の申請などです。

薬局開設サポート

薬局の開設は、保健所への薬局開設許可申請だけでなく、地方厚生局への保険薬局の指定申請、麻薬小売業者の免許、各種の指定申請など、申請先もタイミングも異なる手続きが重なります。手続きの順番や締切を一つでも誤れば、開局が1か月単位で遅れ、その間の家賃や人件費が無駄になってしまいます。

弊所では、保健所への薬局開設の許可の申請を中心に、薬局の開設に関わる手続きをサポートしています。内装工事前の図面段階での保健所との事前相談から、構造設備規則や体制省令への適合の確認、申請書類の作成、実地検査への立会いまで、事業の状況に合わせて対応します。また、保険薬局の指定申請は社会保険労務士の業務となるため弊所では代行できませんが、厚生局の締切から逆算して、薬局開設の許可を間に合わせるためのスケジュールを組み立てます。薬局の新規開設や開設者の変更、店舗販売業からの転換などで、薬局開設の許可の申請にお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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