出会い系喫茶と相席居酒屋・相席ラウンジの違いとは?風営法上の扱いと「相席店が合法な理由」を行政書士が解説

見知らぬ異性と出会える店といえば、かつて繁華街の雑居ビルで営業していた「出会い系喫茶」(出会いカフェ)や、2010年代半ばにブームを巻き起こした「相席居酒屋」、そして近年人気を集める「相席ラウンジ」などが思い浮かびます。いずれも、面識のない男女が店で出会うという点では共通していますが、法律の上での扱いは大きく異なります。
出会い系喫茶は、風営法の「店舗型性風俗特殊営業」の一つとして、ソープランドやファッションヘルスと同じ枠組みで規制されています。これに対して相席居酒屋や相席ラウンジは、一般の飲食店として営業しているのが通常です。同じように男女の出会いを売りにしながら、なぜこれほど扱いが違うのか、その線引きを正確に説明できる人は多くありません。
その違いは、店の看板や呼び名ではなく、どのような目的の出会いを、どのような方法で提供しているかによって決まります。相席店が「合法」でいられるのにも理由があり、裏を返せば、営業の仕方を誤れば、相席店であっても風営法の規制対象となるおそれがあるのです。
本稿では、出会い系喫茶・相席居酒屋・相席ラウンジの違いを、仕組みと歴史、そして風営法上の扱いの観点から整理するとともに、相席店が出会い系喫茶に当たらない理由と、相席店を開業する際の注意点まで、風営法を十八番とする行政書士が詳しく解説していきます。
3つの違い早見表
まずは、出会い系喫茶・相席居酒屋・相席ラウンジの違いを一覧で整理しておきます。細かな説明は後のセクションで行いますので、ここでは全体像をつかんでください。
| 項目 | 出会い系喫茶 | 相席居酒屋 | 相席ラウンジ |
|---|---|---|---|
| 主な仕組み | 男女の席を仕切り、店が面会を取り次ぐ | 同性同士で来店し、異性のグループと相席 | スタッフが席をセッティング |
| 料金の傾向 | 男性有料・女性無料が中心 | 男性は時間制、女性は無料〜割安 | 男性は時間制、女性は無料〜割安 |
| 風営法上の扱い | 店舗型性風俗特殊営業(6号営業) | 一般の飲食店 | 一般の飲食店 |
| 必要な手続き | 公安委員会への届出 | 飲食店営業許可 | 飲食店営業許可(深夜営業は+届出) |
| 18歳未満 | 利用禁止 | 飲酒を伴うため20歳以上が前提 | 飲酒を伴うため20歳以上が前提 |
この表で押さえておきたいのは、3つの言葉の性質がそもそも違うという点です。「出会い系喫茶」は風営法上の営業区分を指す言葉であるのに対し、「相席居酒屋」は、男女の相席を売りにした飲食店の業態を指す一般的な呼び名にすぎず、法律上の定義があるわけではありません。つまり、前者は法律が規制の対象として定めた営業であり、後者は一般の飲食店が掲げる業態の看板であるという点で、出発点からまったく異なります。
また、相席居酒屋とよく似た業態に「相席ラウンジ」があります。相席居酒屋が、グループ同士が相席して即席の合コンのように飲食を楽しむ店であるのに対し、相席ラウンジは、スタッフが客の席をセッティングする落ち着いたバーのような空間で、一人でも利用しやすいのが特徴です。
出会い系喫茶と相席店の違いは、店の雰囲気や料金体系ではなく、風営法が定める出会い系喫茶の要件に当たるかどうかによって決まります。次のセクションから、それぞれの仕組みと法律上の扱いを順に見ていきましょう。
出会い系喫茶とは
出会い系喫茶は、「出会いカフェ」とも呼ばれ、店内で男性客と女性客が出会う機会を提供する店です。典型的な店では、男性席と女性席がマジックミラーやパーテーションで仕切られており、男性客は女性客を直接見たり、プロフィールを確認したりしたうえで、店を通じて会話を申し込みます。会話が成立すれば店内のトークルームで話をし、そのまま店外へ出かける場合には外出料を支払うという仕組みが一般的でした。
こうした店は2000年代に入って急増しましたが、やがて大きな社会問題となります。出会い系喫茶の利用をきっかけとした児童買春の検挙件数が増加し、店内の個室で売春が行われた事件も見られたほか、性的な好奇心をあおる派手な広告が店舗の周辺にあふれ、風俗環境を著しく害していると指摘されるようになりました。
これを受けて、警察庁の有識者会議である風俗行政研究会は、2009年(平成21年)に、出会い系喫茶を風営法の規制対象とすべきとする提言をまとめました。提言は、法規制の及んでいない出会い系喫茶が全国に急速に広がり、児童買春の温床となるおそれがあるとして、拡散してからでは対応が後手に回るため、先手を打って規制することを求めています。
この提言を受けて風営法施行令が改正され、2011年(平成23年)1月1日から、出会い系喫茶は「店舗型性風俗特殊営業」の6号営業として規制されることになりました。施行令第5条は、出会い系喫茶営業を次のように定義しています。
店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む。)を希望する者に対し、当該店舗内においてその者が異性の姿態若しくはその画像を見てした面会の申込みを当該異性に取り次ぐこと又は当該店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設において異性と面会する機会を提供することにより異性を紹介する営業
この定義に当たる営業を行うには、公安委員会への届出が必要となり、営業できる地域は厳しく制限され、18歳未満の客の利用も禁じられています。ソープランドなどと同じ規制のもとに置かれたことで、多くの地域では、出会い系喫茶を新たに開業することは事実上できなくなりました。
相席居酒屋・相席ラウンジとは
相席居酒屋は、来店した見知らぬ男女を相席させ、飲食をしながら交流してもらう居酒屋です。同性同士のグループで来店し、店員の案内で異性のグループと相席して会話を楽しむのが一般的な形で、女性は無料または割安、男性は飲み放題とシステム料を合わせた時間制の料金となっていることが多く、入店時には年齢確認のために身分証の提示を求める店がほとんどです。いわば、店が即席の合コンをセッティングしてくれる居酒屋といえるでしょう。
2010年代半ばに一大ブームとなり、当時は街コンなどの婚活イベントが各地で盛んに開かれ、出会いの形が多様化する流れに乗って、全国の繁華街へと急速に広がっていきます。その後は、マッチングアプリの普及で出会いの選択肢が増えたことなどもあり、ブームは落ち着きを見せています。
一方、相席ラウンジは、スタッフが客の席をセッティングする、落ち着いたバーのような空間で男女が交流する業態です。男性の料金はチャージと延長料金による時間課金が中心で、一人でも利用しやすいのが特徴です。メッセージのやり取りや一対一のデートが前提となるマッチングアプリを面倒に感じ、その場で気軽に会話を楽しみたいという利用者のニーズを受けて、近年は相席ラウンジが人気を集めているといわれます。
最近では、全席を個室にして一対一で相席する会員制の業態なども登場しています。出会いの形が多様化する中で、相席という業態もまた時代に合わせて姿を変え続けていますが、後述するように、個室型の業態は風営法の観点から注意すべき点が増えることになります。
相席居酒屋はなぜ出会い系喫茶にならないのか
相席居酒屋の仕組みを聞くと、男性有料・女性無料という料金体系や、見知らぬ異性と出会う場を提供するという点で、出会い系喫茶とよく似ているように感じる方も多いでしょう。それにもかかわらず、相席居酒屋が一般の飲食店として営業できるのは、出会い系喫茶の要件に当たらないと考えられているからです。
最大のポイントは、「一時の性的好奇心を満たすための交際」を目的としているかどうかです。警察庁の解釈運用基準によれば、ここでいう「一時の性的好奇心」とは、典型的には「あるときふと催した性的感情」を意味し、結婚やそれに準ずる安定した関係を異性と築きたいという真摯な動機に基づく感情は除かれるとされています。相席居酒屋は、婚活や友人作り、飲食を楽しむ場として営業しており、性的好奇心を満たすための交際を目的とした店ではないことから、この要件に当たらないと考えられているのです。
また、出会い系喫茶の定義は、①客が異性の姿や画像を見て面会を申し込み、店がそれを取り次ぐこと、または②店内の個室などで異性と面会する機会を提供することにより、異性を紹介する営業とされています。マジックミラー越しに相手を選んだり、個室で面会させたりする出会い系喫茶とは異なり、オープンな客席でグループ同士が相席するという一般的な相席居酒屋の形態は、こうした仕組みとも距離があります。
もっとも、これは裏を返せば、営業の仕方によっては、相席店であっても出会い系喫茶に当たるおそれがあるということです。性的な出会いをあおるような広告を出したり、個室で異性と一対一で面会させたり、店外へ連れ出すことを前提とした料金体系を設けたりすれば、出会い系喫茶の要件に近づいていきます。さらに、出会い系喫茶の定義には、客の相手方として客を装った従業員、いわゆる「サクラ」を使う場合も含まれるとされており、サクラの起用は特に危険な行為といえます。
相席店を開業する際の注意点
相席居酒屋や相席ラウンジを開業する場合、基本となる手続きは、保健所での飲食店営業許可です。深夜0時以降も酒類を提供して営業する場合には、あわせて公安委員会への深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要となります。そのうえで、営業の内容が風営法の他の規制に触れないかを確認しておくことが欠かせません。
まず注意したいのが、「接待」の問題です。相席店では、スタッフが客の席を案内したり、会話のきっかけを作ったりする場面がありますが、スタッフ自身が客の席に座って継続的に会話の相手をしたり、一緒に酒を飲んだりすれば、風営法上の接待に当たるおそれがあります。接待を行う場合には、キャバクラなどと同じ風俗営業(1号営業)の許可が必要となり、深夜の営業もできなくなります。また、スタッフが客を装って相席する行為は、接待の問題にとどまらず、先に見たとおり出会い系喫茶の要件にも関わってきます。
次に、店の構造にも注意が必要です。個室や仕切られた区画で男女を相席させる業態の場合、区画された客席の広さが5㎡以下であれば、風営法上の「区画席飲食店」(3号営業)に当たり、風俗営業の許可が必要となることがあります。さらに、個室で異性と面会させる仕組みは、出会い系喫茶の要件にも直結するため、一対一の個室型の業態を検討する場合には、設計の段階から慎重な検討が求められます。
このほか、20歳未満の者への酒類の提供が禁じられているのはもちろん、身分証による年齢確認を徹底することも欠かせません。相席店の利用をきっかけとした未成年者のトラブルが起これば、店の責任が問われることにもなりかねません。手続きそのものは飲食店と変わらなくても、営業の中身次第で規制の網がかかってくるのが相席店の難しいところであり、開業前に専門家に相談して、営業の方法を整理しておくことをおすすめします。
マッチング系飲食店サポート
ここまで見てきたように、出会い系喫茶と相席居酒屋は、男女の出会いを提供するという点では似ていても、法律の上ではまったく別の営業として扱われています。その違いは、出会いの目的と、出会いを提供する方法によって決まり、営業の仕方を少し誤るだけで、一般の飲食店のつもりが風営法の規制対象となってしまうこともあり得ます。
特に、新しい業態の出会いの場を企画する場合には、接待に当たらないか、区画席飲食店に当たらないか、出会い系喫茶の要件に近づいていないかといった点を、店の構造やスタッフの動き方、料金体系、広告の内容まで含めて総合的に検討することになります。どの規制に当たるかによって、必要な手続きも、営業できる場所も、営業時間も大きく変わってきます。
弊所では、飲食店営業許可や深夜酒類提供飲食店営業の届出、風俗営業許可、性風俗関連特殊営業の届出まで、夜の業態に関わる手続きを幅広く取り扱っており、新しい業態の企画段階からのご相談にも対応しています。弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。相席店や出会いの場を提供する店の開業でお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
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