レンタル彼氏・彼女に許可や届出は必要?風営法の考え方を行政書士が解説

レンタル彼氏・彼女は、依頼者と食事や買い物、映画鑑賞などを楽しむ疑似恋愛サービスとして知られています。ホストクラブやキャバクラのように異性との時間を提供するという点では共通点もあるため、「風俗営業許可は必要なのではないか」と疑問を持つ人も少なくありません。
しかし、一般的なレンタル彼氏・彼女の営業形態であれば、通常は風俗営業許可(1号営業)の対象にはならないと考えられます。その理由は、サービス内容ではなく、風営法が規制している営業形態そのものにあります。
本記事では、レンタル彼氏・彼女とホストクラブ・キャバクラを比較しながら、なぜ風俗営業許可が不要と考えられるのかを、営業所と接待という二つの観点から考察します。
風営法が問題としているのは設備を設けての接待営業
風営法は「接待」という言葉だけが一人歩きしがちですが、実際には接待さえ行えば風俗営業になるという法律ではありません。風営法第2条第1項第1号では、「設備を設けて客の接待をし、客に遊興又は飲食をさせる営業」を風俗営業(1号営業)として規定しています。
つまり、重要なのは接待という行為だけではなく、「設備を設けて営業すること」という点です。分かりやすく言えば、営業所が存在し、その場所で接待を伴う営業を行うという構造があって初めて、風俗営業許可の要否が問題となります。
そのため、接待に似た行為が存在するという理由だけで、直ちに風俗営業へ該当するわけではありません。営業実態を総合的に見て判断する必要があります。
レンタル彼氏・彼女には営業所という概念がない
一般的なレンタル彼氏・彼女は、駅や商業施設などで待ち合わせを行い、その後に食事やショッピングを楽しむサービスです。事業者が店舗へ客を迎え入れ、その場所で接客する営業形態ではありません。
一方、ホストクラブやキャバクラは店舗や客席などの設備を設け、その場所で指名を受け、酒類を提供しながら接待を行います。同じように会話や疑似恋愛を提供しているように見えても、営業の仕組みは大きく異なります。
この違いこそが、レンタル彼氏・彼女と風俗営業を法的に区別する重要なポイントであり、風営法上の評価にも大きく影響すると考えられます。
疑似恋愛サービスだから風俗営業になるわけではない
レンタル彼氏・彼女は、依頼者を楽しませたり、恋人のような時間を演出したりすることを目的としたサービスです。そのため、「ホストクラブやキャバクラと実質的には同じではないか」と感じる人もいるでしょう。
しかし、風営法はサービスの名称やイメージによって適用される法律ではありません。レンタル彼氏という名称で営業していても、実態が店舗型ホストクラブであれば風営法の問題となる可能性があります。逆に、ホストのような接客を意識したサービスであっても、設備を設けて接待営業を行っていなければ、通常は風俗営業許可の対象とは考えられません。
店舗型へ発展すれば評価が変わる可能性もある
もっとも、「レンタル彼氏だから絶対に許可は不要」と断言できるわけではありません。例えば、店舗という設備を設けて客を迎え入れ、店内で飲酒を伴う接客や指名制度を採用するようになれば、営業実態はホストクラブやキャバクラへ近づいていきます。
結局のところ、風営法が見ているのは「何というサービスか」ではなく、「どのような営業実態なのか」という点です。この考え方は、風営法全体を理解するうえでも非常に重要な視点といえるでしょう。
営業形態が変化すれば、風営法上の評価も変わります。名称がレンタル彼氏・彼女であっても、設備を設けて接待営業を行う実態が認められれば、風俗営業許可の要否が問題となる可能性は十分考えられます。
したがって、「レンタル彼氏だから大丈夫」という名称だけの判断は危険です。実際にどのような営業を行っているのかという実態こそが、最終的な判断基準になります。
無店舗型性風俗特殊営業との違いにも注意
ここまで説明したとおり、一般的なレンタル彼氏・彼女は設備を設けて接待営業を行うものではないため、通常は風俗営業(1号営業)の対象とは考えられません。
もっとも、「店舗のような設備がないから風営法とは無関係」というわけでもありません。風営法には、店舗を設けずに性的サービスを提供する営業について、「無店舗型性風俗特殊営業」という別の制度が設けられています。そのため、店舗の有無だけで判断できるものではなく、実際にどのようなサービスを提供するのかも重要な判断要素となります。
したがって、一般的なレンタル彼氏・彼女と称していても、実態として性的サービスを提供しているのであれば、風俗営業ではなく、無店舗型性風俗特殊営業の問題として検討しなければならないケースもあるでしょう。
保険として届出だけしておきたいというご相談
実務では、「レンタル彼氏・彼女として営業する予定だが、万が一に備えて無店舗型性風俗特殊営業の届出もしておきたい」という相談を受けることがあります。その理由は、将来的な営業内容の変更や警察とのトラブルを懸念し、「保険」として届出を済ませておきたいというものです。一方で、「デリヘルの届出をしていることは公表したくない」「レンタル彼氏・彼女というブランドイメージを損ないたくない」という悩みも少なくありません。
無店舗型性風俗特殊営業の届出をしたからといって、その事実をホームページや広告などで積極的に公表しなければならないという一般的な義務はありません。そのため、届出を行ったこと自体と、事業者のブランディングとは、本来は別の問題として考えることができます。
もっとも、届出は営業実態に応じて行うべきものであり、「保険になるから」という理由だけで判断すべきものではありません。実際に予定している営業内容と届出制度との関係を十分に整理したうえで、届出の要否を検討することが重要です。不安がある場合は、事前に行政書士などの専門家へ相談し、自社の営業形態に応じたアドバイスを受けることをおすすめします。
まとめ
レンタル彼氏・彼女はホストクラブやキャバクラと似た印象を持たれやすいサービスですが、一般的な営業形態であれば、設備を設けて接待営業を営むものではないため、通常は風俗営業許可の対象にはならないと考えられます。
一方で、営業形態が店舗型へ変化したり、設備を設けての接待営業を行う実態が生じたりすれば、風営法上の評価も変わる可能性があります。サービスの名称ではなく営業実態によって判断されるという点を理解することが重要です。
レンタル彼氏・彼女というサービスは、ホストクラブやキャバクラとの共通点ばかりが注目されがちですが、法的には「設備を設けているかどうか」という視点が決定的な違いとなります。この点を押さえることで、風営法がどのような営業を規制する法律なのかも、より理解しやすくなるでしょう。
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