意外と知らないパチンコの景品ルール|景品の種類・取りそろえ・上限額・三店方式

パチンコの景品コーナー

パチンコの景品コーナーを眺めて、「なぜお菓子と金のカードが並んで置いてあるんだろう」と疑問に思ったことはないでしょうか。多くの人はそのまま景品を選ぶか、店の外で誰かに渡して帰るだけで、その背後にあるルールまで考えることはありません。

実はこの景品まわり、法律と業界の自主ルールでかなり細かく縛られています。何種類そろえる義務があるのか、価格の上限はいくらなのか、店側は何をしてはいけないのか。どれも普段の来店では意識しない話ですが、知ってしまうと「へえ、そうなんだ」と思うはずです。

本稿では、パチンコの景品にまつわる規制を、種類・取りそろえ・上限額・現金化の仕組みという4つの切り口でチェックリスト的に整理します。

景品には「2種類」ある

パチンコ店で渡される景品は、大きく分けて「一般景品」と「特殊景品」の2種類があります。

一般景品は、お菓子や日用品、家電など、店内の景品コーナーに並んでいる、そのまま持ち帰って使えるものです。特殊景品は、金の延べ板やプラチナのような貴金属製の小さなカードやチップのことで、それ自体を消費・使用する目的では作られていません。玉数が多く出た客の多くが選ぶのはこちらで、これが後述する事実上の「換金」の仕組みに使われます。

一見どちらも同じ「景品」ですが、店内で完結する一般景品と、店外の景品交換所に持ち込むことを前提にした特殊景品とでは、役割がまったく異なります。

景品の「数」にもルールがある

景品の価格に上限があることも意外と知られていませんが、景品の「種類の数」にもルールがあることは、輪をかけて知られていません。

風営適正化法施行規則第36条第2項第2号は、パチンコ店に対し、客の多様な要望を満たせるよう「できる限り多くの種類」の景品を取りそろえておくことを義務付けています。これがいわゆる「取りそろえ義務」です。

この義務を具体的にどこまで満たせば良いかについては、業界団体(全日本遊技事業協同組合連合会など4団体)が自主基準を設けています。2024年制定のガイドラインでは、ホールごとに「500種類以上、5品目以上」の景品を取りそろえることが目安とされました。品目は家庭用品・衣料品・食料品・飲料品・教養娯楽用品・嗜好品・身の回り品・その他の8区分に分類され、各ホールはこの中から幅広く景品を揃える必要があります。

また、陳列方法にも細かいルールがあり、原則は景品そのものを店内に並べることですが、写真やパネル、デジタル表示での代替も一定数まで認められています。ただし、すべてを代替表示にはできず、最低でも一部は現物または写真等で陳列し、残りをカタログ方式やタブレット選択方式で提供するという形が取られています。

現金・有価証券は絶対に渡せない

風営法第23条は、パチンコ店に対して、現金または有価証券を景品として提供することを明確に禁止しています。これは景品ルールの中でも最も基本的な規制です。

「それなら特殊景品はほぼ現金と同じでは」と思うかもしれませんが、法律上、特殊景品はあくまで貴金属という「物品」であり、現金そのものではありません。この物品としての体裁を保つことが、パチンコの景品制度全体の前提になっています。

景品の価格には上限がある

パチンコ店が提供できる景品の価格には上限があります。これは風営法第19条に基づき、国家公安委員会規則(風営法施行規則第36条第2項第3号)で定める基準に従うことが義務付けられている事項で、具体的には「9,600円に消費税等相当額を加えた金額」が上限とされています。

現在の消費税を加味して計算すると10,560円です。「景品の上限は1万円」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、正確にはこの数字です。この上限はあくまで景品1個あたりの金額であって、欲しい景品を複数個交換すること自体は制限されていません。

なお、来店した客に無条件で配られる「総付景品」(菓子・飲料水などのちょっとした配布物)は、この賞品上限とは別枠で、景品表示法に基づき1個あたり200円が上限とされています。「賞品」と「総付景品」は別のルールで動いている点も、あわせて覚えておくと分かりやすいところです。

なぜ現金に変わるのか|三店方式の仕組み

風営法第23条は、パチンコ店が客に提供した景品を店自身が買い取ることを禁止しています。あわせて、遊技球やメダルを客に店外へ持ち出させること、遊技球等を客のために保管したことを示す書面(預り証のようなもの)を発行することも禁止されています。

この2つの禁止行為があるからこそ、特殊景品を現金に換えるには、パチンコ店とは別の事業者を経由する必要が生まれます。実際に使われているのが、パチンコ店・景品交換所・景品問屋という資本関係のない3つの独立した事業者を介する仕組み(俗にいう三店方式)です。

景品交換所はパチンコ店とは別法人・別棟であることが求められ、経営者が同一であることも認められません。景品交換所側は、特殊景品の買取りが古物営業に該当するため、別途古物商許可も必要になります。

この仕組みが「なぜ成立するのか」という理屈は別記事に譲りますが、少なくとも実務上は、景品の買取禁止・持ち出し禁止という2つの規制と、三店方式という現金化の仕組みが、セットで運用されているという点は押さえておく必要があります。

まとめ

パチンコの景品まわりには、種類・数・上限額やその内容など、普段意識しない細かいルールが張り巡らされています。

こうした規制は、パチンコという遊技の仕組みを成立させるために、賭博罪との線引きを慎重に保ちながら組み立てられてきたものです。何気なく受け取っている景品の裏には、意外と知られていない歴史と法律の積み重ねがあります。

弊所ではパチンコ店(4号営業)の営業許可申請から各種届出まで対応しております。気になる点があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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