野生動物を勝手に捕獲してはいけません│野生鳥獣捕獲許可制度について

野ウサギ

動物に関する法律といえば「動物愛護法」がメジャーですが、皆さまは鳥獣保護管理法という法律が存在することをご存じでしょうか。正式名称を「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」といいますが、この法律では捕獲や飼育を禁ずることで野生動物の保護や管理を図りつつ、例外的に捕獲等を行う際のルールも設けて、これらの事業についても適正化を図っています。

本稿では、鳥獣保護管理法及び条例をベースに、野生鳥獣の取扱について案内するとともに、捕獲等を行おうとする際に受けるべき許可の制度やその手続きについても詳しく解説していきたいと思います。

野生鳥獣捕獲許可制度

野生鳥獣捕獲許可制度

野生鳥獣又は鳥類の卵については、狩猟により捕獲する場合を除いて、原則としてその捕獲、殺傷又は採取することを禁止しています。

その一方で、生態系や農林水産業に対して鳥獣による被害等が生じている場合や、学術研究上の必要性が認められる場合などには、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けることによって、野生鳥獣又は鳥類の卵を捕獲等することが例外的に認められるようになります。これが標題にある野生鳥獣捕獲許可制度です。

なお、鳥獣保護管理法に定義する「鳥獣」とは、鳥類又は哺乳類に属する野生動物を指し、イエネコやイエイヌ、魚類・両生類・爬虫類に属する動物などは含んでいません。

野生鳥獣捕獲許可の概要

野生鳥獣の捕獲

許可権者

下の表にあるとおり、鳥獣の区分や区域等によって、許可を受けるべき機関は環境大臣又は都道府県知事のいずれかに分かれます。なお、多くの都道府県では、その捕獲許可権限の一部を市町村長に移譲しています。

環境大臣国指定鳥獣保護区内、希少鳥獣の捕獲等の場合及びかすみ網を用いた捕獲の場合
都道府県知事大臣許可の対象となるもの以外の鳥獣の捕獲等の場合

捕獲を許可できる鳥獣

許可により捕獲等を行うことができる鳥獣については、各自治体の判断に委ねられているため、地域ごとに捕獲等の対象となる鳥獣は異なります。下の表では兵庫県神戸市における対象鳥獣と大阪府大阪市における対象鳥獣を併記していますが、実際に捕獲等を行う際には、必ず管轄担当部局に確認するようにしましょう。

大阪市神戸市
鳥類カワウ、ゴイサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ヤマドリ、キジ、コジュケイ、バン、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ダイサギ、コサギ、アオサギ、トビ、カワラバトカワウ、カルガモ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト
哺乳類タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン、イタチ、チョウセンイタチ、ミンク、アナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、イノシシ、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌートリア、ユキウサギ、ノウサギ、ニホンザルノウサギ、イノシシ、ヌートリア、ノイヌ、ノネコ
、サル、アライグマ、ハクビシン、タイワンリス、シカ

許可の基準

許可の基準については、その目的ごとに、鳥獣の種類・員数・期間・区域・方法等に関する要件を定めています。都道府県の捕獲基準については、知事が策定する鳥獣保護管理事業計画の中に定められているため、詳細は、各都道府県担当部局に確認して下さい。

有害鳥獣捕獲については、農林水産物被害、生活環境の悪化、人身への危害、又は自然生態系の攪乱が現に生じているか、又はその恐れがある場合に、その防止及び軽減を目的に行うものです。被害の状況及び防除対策の実施状況を的確に把握した結果、被害等が生じており、原則として防除対策によって被害が防止できないと認められる場合に限り許可を受けることができます。

鳥獣飼養の登録

学術研究等のために許可を得て捕獲された鳥獣を飼養する場合には、対象狩猟鳥獣を除き、住所地を管轄する都道府県知事の登録を受ける必要があります。

鳥獣の販売等の規制

鳥獣保護管理法では、販売されることによりその保護に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣を販売禁止鳥獣として指定していますが、学術研究の目的、養殖の目的その他環境省令で定める目的で販売禁止鳥獣又は鳥類の卵であって環境省令で定めるものを販売しようとする者は、都道府県知事の許可を受ける必要があります。

捕獲許可申請手続き

狩猟許可捕獲
定義狩猟期間に、法定猟法により狩猟鳥獣の捕獲又は殺傷を行うこと法で定める目的で捕獲許可を受けて行う鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵採取等
対象鳥獣狩猟鳥獣(48種、鳥類のひな及び卵を除く)鳥獣及び卵(狩猟鳥獣以外の鳥獣も含む)
捕獲及び採取の事由問わない鳥獣による生態系等の被害防止、特定計画に基づく個体数調整等のため
個別の手続き狩猟免許の取得、毎年度猟期前の登録が必要許可申請が必要
申請先:都道府県知事等
捕獲できる時期法令に基づき定められた狩猟期間中許可された期間
(いつでも可能)
方法法定猟法(網・わな猟、銃猟)方法は問わない(危険猟法等については制限あり)

手続きの流れ

大阪府大阪市においては本人の出頭が必要となりますが、兵庫県神戸市においては申請先への郵送によって手続きを行います。このように各自治体によって手続きもまったく異なる方法となりますので、それぞれ各担当部局に必ず確認するようにしてください。なお、大阪も兵庫も捕獲許可申請にかかる手数料は不要です。

申請書類が適正である場合は、申請受理後おおむね1週間ほどで捕獲許可証が発行されます。捕獲の実施に際しては、捕獲許可証を携帯し、注意事項を遵守して実施するようにしてください。

兵庫県における申請先

捕獲場所申請先所在地電話番号
北区・西区以外神戸市経済観光局農政計画課〒651-0087
神戸市中央区御幸通6丁目1番12号
三宮ビル東館3階
078-984-0370
西区神戸市経済観光局西農業振興センター〒651-2124
神戸市西区伊川谷町潤和1058
西神文化センター2階
078-975-5800
北区神戸市経済観光局北農業振興センター〒651-1302
神戸市北区藤原台中町1-2-1
北神中央ビル6階
078-982-7111

必要となる書類

  1. 許可申請書
  2. 鳥獣の捕獲等許可申請者名簿
  3. 鳥獣捕獲依頼書(被害者が第三者に捕獲等を依頼する場合)
  4. 狩猟免状の写し(捕獲箱等の狩猟用具を使用する場合)
  5. 使用する捕獲用具の構造、設置方法等を示す図面(素手の場合は不要)
  6. 被害状況が分かる写真
  7. 捕獲等又は採取等をしようとする場所を明らかにした図面

活動完了後の手続き

捕獲許可証の有効期間の満了後30日以内に、申請先までに以下の書類を提出します。

  1. 捕獲許可証
  2. 有害鳥獣捕獲活動報告書
  3. 捕獲活動出動者名簿

認定鳥獣捕獲等事業者制度

主に公的な捕獲等の事業において安全を確保して効果的な捕獲等を行い円滑な業務を実施できる担い手を育成・確保するため、鳥獣の捕獲等に専門性を有し、安全を確保して適切かつ効果的に鳥獣の捕獲等を実施する事業者を都道府県知事が認定できることとする制度です。兵庫県においては、県内で認定を受けようとする事業者の申請は、随時鳥獣対策課で受付をしています。

まとめ

近年では、動物愛護法や外来生物法に代表される法令の拡充により、生態系の保護や鳥獣を含む動物保護・愛護の分野において詳細な対策が図られつつあります。その一方で、各方面に属する団体間においては根深い意見の対立も存在するため、これらを調整する施策をなすことも、重要な政策的課題として要求されています。まずは制度を知って理解を深め、法令の適切な運用を心がけるようにしましょう。

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