古物商許可を取得するメリットについて
「古物商許可 メリット」
弊サイトが検索でヒットする機会の多いワードです。何か新しいチャレンジをしようとする際、そのメリットデメリットを事前に確認することは非常に重要かつ有意義なことであるように思います。
そこで本稿では、せっかく検索してたどり着いて来てくださった皆さまのために、古物商許可を取得するメリットについてご案内したいと思います。
古物商についてまったく予備知識がない方については、まずはこちらの埋め込み記事で全体像をつかむことからオススメします^^
古物商、古物営業の全体像
古物商、古物営業について丨開業丨許可丨届出
目 次
古物商の許可制度
この法律は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もって窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。
(古物営業法第1条)
こちらが古物商と古物営業について規定した古物営業法の最初の条文です。このように、古物営業に許可制を採用しているのは、古物商を各都道府県の公安委員会(警察署)の監理下に置くことで、窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的としているからです。
ある日、大切にしていた腕時計を盗まれたとしましょう。窃盗犯はこの腕時計を買い取ってくれる業者に盗品を売って換金を行います。この時、買取を行う業者が素性のしれない人物であったりすると、盗品である腕時計の流通経路を追えなくなってしまう訳です。だからこそ古物の売買には許可制を採用し、窃盗被害の迅速な回復に資することに期待しているのです。
何となくご理解いただけたのではないでしょうか^^
古物商許可のデメリット
メリットを知る前に、まずはデメリットについて考えてみましょう。これには「許可を取得しない場合のデメリット」と「許可を取得する場合のデメリット」という2つの観点があります。それぞれ分けて論じてみることにしましょう。
許可を取得しない場合のデメリット
許可を受けないで古物営業を営んだ者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(古物営業法第31条第1項)
ハイ、ドン。ずばりコレ。
非常に分かりやすいデメリットですね。そもそも許可を受けることなく古物営業を行うことは禁止されていますので、無許可=営業は不可能という当然の帰結となります。
許可を取得する場合のデメリット
古物商でビジネスを始めたい。古物商許可もちゃんと取得するつもりでいる。そんなしっかり者の皆さまが許可を取得する上で被るデメリットはあるのでしょうか?
検討した結果、次のような事項が思い浮かびました。
- 申請が面倒
- 取引の手間が増える
- 手続きが増える
申請が面倒
分かります。古物商許可を取得するためには当然ながら前提となる申請手続きが発生します。申請書類に記載したり添付書類を集めたり警察署との問答を繰り返したり。。これらの行為は、案外手間暇とストレスがかかってしまうものです。まぁだからこそわれわれ行政書士が活躍できる場が与えられているともいえる訳です^^
取引の手間が増える
古物商が古物取引をするときは、3つの義務が課されます。これを古物商の三大義務と表現することがありますが、この義務を手間として捉えると、確かにデメリットといえるかもしれません。
古物商の三大義務
- 本人確認義務
- 古物台帳への記録義務
- 不正品申告義務
本人確認義務
古物商が古物の買取りをする場合には、原則として相手方の氏名・住所・職業・年齢を確認する必要があります。確認を行う目的は、盗品の流通を防ぐことにあるため、盗品のおそれが少ない場合には、この義務が免除されることもあります。
古物台帳への記録義務
古物商は、古物台帳を営業所に備え置き、古物取引の内容を記録した上で3年間保存しておかなければなりません。この記録はやはり盗品の流通を防ぐことを目的としているため、盗品のおそれが少ない場合には、この義務が免除されることがあります。なお、記録すべき内容は以下のとおりです。
- 取引相手の氏名・住所・職業・年齢
- 取引内容
- 取引年月日
- 古物の特徴
不正品申告義務
古物商は、取引された古物に盗品の疑いがある場合には、直ちに警察に通報しなければなりません。また、盗品であることを知りつつ買取りを行った場合には、刑法上の罪に問われることがあります。
手続きが増える
営業所や取扱品目、管理者などに変更が生じた場合には、変更届や書換申請といった手続きを行う必要があります。新規で許可申請を行うことと比較すれば別段難しい手続きでもありませんが、手続きが苦手な方にとってはデメリットといえるかもしれません。
なお、古物商許可自体は更新する必要はなく、一生使える永久ライセンスとなっています。
古物商許可のメリット
ここまでデメリットについて解説してまいりましたが、いよいよ次は許可を取得した際のメリットについてです。落としてから持ち上げる。そう。これはツンデレ作戦なのです。
以下、古物商許可を取得した際のメリットを列挙いたします。
- 古物取引を事業として営むことができる
- 古物市場へ参加することができる
- 節税対策ができる
- 信頼性が向上する
- 他業種と相性が良い
古物ビジネスへの参入
既述のとおり、堂々と古物ビジネスを行うためには前提として古物商許可を受ける必要があります。これも既述ですが、無許可営業には逮捕や刑罰のリスクが常につきまといます。
また、最近ではコンプライアンス意識の高まりから、ネットショップのサイト運営者から出品者に対して古物商許可を取得するように促すケースが増えているようです。弊所でもこのパターンでのお問い合わせが増加傾向にあります。つまりは「適法に許可を取得しないとうちのサイトは使わせませんよ」というものです。
腰を据えて古物ビジネスに参入するためには、やはり古物商許可は必須のライセンスであるといえるでしょう。
古物市場への参加
古物市場とは、許可を取得した古物商のみが取引を行うことができる市場のことです。古物取引をビジネスとして成立させるためには魅力的なラインナップを揃えることが不可欠です。商品となる古物を安定的に供給するためには、個人からの買付けのみでは心もとありません。また、逆に在庫処分の場として市場を活用することも可能です。
いずれにせよ古物商許可を取得することが古物市場への参加要件となりますので、新たなビジネスチャンスをつかむためにも、古物商許可は取得すべきライセンスだと考えます。
節税対策
あくまで「自分の物の売買」を主張するのであれば古物商許可の取得は必要とされませんが、この場合には売上金額すべてについて税金が課されます。
しかし、古物商として税務署に対して開業届を提出している場合は、売上金額から仕入れ費用を差し引いた金額にのみ税金が課されることになります。
例えば80万円で購入した中古車を100万円で販売したとしましょう。これが単なる個人の売買であるならば、受け取った100万円すべてについて課税されることになります。
ところがこれが古物商による事業としての売買であると認められると、100万円から仕入れに支払った80万円を控除した20万円のみが課税対象となるのです。
継続的な取引で利益を追求するのであれば、古物商として開業届を提出して事業化した方が、節税という観点からみてもメリットがあると言えそうです。
なお、最初から転売目的で商品を売買する場合は、例え「自分の物」であることを主張したとしても「古物商」に該当するため、許可なく売買を行えば先述の刑罰の対象となる可能性がありますのでご注意ください。
信頼性の向上
おかげさまで弊サイトも毎日それなりの閲覧者数をいただけるようになりました。しかし、例えばこれがまったくの一個人による趣味サイトならばどうだったのでしょうか。「行政書士が運営するサイト」だからこそ閲覧していただけている事実も大いにありうるのではないかと推察します。
このように、資格や営業許可といったものには、有形無形に「信頼性」を向上させる効果があります。
有形の効果でいいますと、融資や補助金等を受ける際の大きな武器となりえます。実際に融資や補助金のサポートをさせていただく場合には「許可は取得されていますか?」と尋ねられることがありますので、やはり営業許可の取得が「信頼性」の向上に寄与していることについては間違いなさそうです。
他業種との相性
古物商は、取り扱うことができる品目も多く、他の業種との相性が良い業種であるといえます。以下の埋め込み記事において代表的な事例となる産業廃棄物収集運搬業とのWライセンスのメリットについてご案内していますのでぜひご確認ください。
収集運搬業とのWライセンスについて
古物商許可と産業廃棄物収集運搬業許可をダブル取得するメリット
まとめ
古物商許可取得のメリットとデメリットについて長々と解説させていただきました。まぁこれはすべての業種に当てはまることですが、「絶対に成功するビジネスモデル」なんていうものは存在しません。ただ事前に情報を収集し、メリット・デメリットを分析して事業計画を立てることは起業をする上で非常に有意義なことだと思います。
本稿が古物商許可の取得を目指す方の一助となれば幸いです^^
弊所では面倒な警察とのやり取りを含め古物商許可申請のサポートをさせていただいています。市場価格を反映した報酬額を提示しますが、柔軟な対応にも自信があります。まずは一度お問い合わせくださいませ。
新規申請 | 38,500円~ |
変更届 | 22,000円~ |
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