日本版DBSの対象となる教室・ならない教室│職員やボランティアの扱いを行政書士が解説

学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(以下、こども性暴力防止法)の認定制度について、学習塾やスポーツクラブ、音楽教室を営む事業者からは、「うちの教室は認定の対象になるのか」「受付の職員やボランティアの学生も、性犯罪歴の確認が必要なのか」という声が多く聞かれます。
認定を受けられるかどうかは、事業が法律の定める要件を満たすかどうかで決まり、性犯罪歴の確認が必要な人の範囲も、職種の名前ではなく、子どもと関わる業務の実態によって判断されます。
本記事では、こども家庭庁のガイドラインとQ&Aに沿って、民間教育事業の五つの要件を習い事ごとに当てはめたうえで、フランチャイズや複数の教室を営む場合の扱い、職種ごとの従事者の判断、ボランティアやスポットワークで関わる人の扱いまでを行政書士が解説します。
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対象かどうかを判断する順番
認定の対象になるかどうかを判断するには、まず、放課後児童クラブや認可外保育施設のように、法律で認定の対象として名前が挙げられている事業に当たるかを確かめます。これに当たらない場合でも、学習塾やスポーツクラブといった「民間教育事業」の要件を満たしていれば認定の対象となりますが、そのどちらにも当たらない事業は、認定を受けることができません。
事業が認定の対象に当たる場合は、続いて、その事業に関わる人のうち誰が性犯罪歴の確認や研修の対象となる「教育保育等従事者」に当たるかを、業務の実態に沿って判断していきます。事業の判断と従事者の判断は別のものであり、事業が対象となっても、そこで働くすべての人が確認の対象となるわけではありません。
民間教育事業の五つの要件
学習塾やスポーツクラブ、習い事の教室が認定の対象となるには、民間教育事業の五つの要件をすべて満たす必要があります。一つでも欠ければ認定を受けることはできないため、事業の実態に照らして、要件ごとに確かめることが大切です。
子どもに技芸や知識を教えること
一つ目の要件は、子どもに技芸や知識を教えることを目的とし、実際に教えているか、教える予定があることです。子どもに教えることが事業の中心である必要はなく、こども食堂で行う学習支援のように、別の目的の活動の一部として教える場合も対象になり得ます。
大人と子どもの両方を対象とする教室も対象となりますが、大人だけを対象とし、子どもが例外的に参加するにとどまる教室は対象外です。また、実際には子どもが通っておらず、受け入れる予定もない教室も、対象とはなりません。
標準的な修業期間が6か月以上であること
二つ目の要件を満たすには、6か月以上にわたって事業を行い、その間に子どもに教える機会が複数回あり、同じ子どもが複数回参加できることが求められます。教える間隔は問われないため、月1回や週2回の定期的な教室のほか、夏のキャンプと冬のスキー合宿のように、1年の中で一連のプログラムとして複数回行う事業も対象になります。
一方、7月に2時間、12月に2時間というように、互いに独立したプログラムを単発で行うだけの事業は、同じ子どもが続けて参加する一連のプログラムとはいえないため、この要件を満たしません。期間の長さだけでなく、複数回の参加を前提とした事業かどうかが判断の分かれ目となります。
対面で指導すること
三つ目の要件は、子どもに対面で指導することです。オンラインだけで授業を行う塾は対象外ですが、オンラインを基本としながら、子どもの希望に応じて教室で対面の指導を行うことがある場合は、対象になります。
事業者が用意する場所で指導すること
四つ目の要件は、子どもの自宅や保護者が指定した場所ではなく、事業者が用意した場所で指導することです。ガイドラインは、事業者のオフィスのほか、講師の自宅、カフェ、公民館の個室、公園、山や海も、事業者が用意する場所の例として挙げています。
そのため、講師が自宅で開くピアノ教室は、この要件を満たします。家庭教師も、子どもの自宅で教えるだけなら対象外ですが、教室やシェアオフィスで教える場合があれば、対象となります。
教える人が3人以上いること
五つ目の要件は、子どもに技芸や知識を教える人が3人以上いることです。数えるのは事務職員を含めた職員全体ではなく、実際に教えている人の数で、派遣で来ている講師やボランティアも、雇用の形態を問わず人数に含まれます。
3人が同時に教室にいる必要はなく、3人が交替で1人ずつ教える場合も、この要件を満たします。一方、講師が自分1人だけの教室や、2人で営む教室は、他の要件をすべて満たしていても認定を受けることができません。
習い事別の当てはめ
五つの要件を、よくある習い事に当てはめると、以下のようになります。いずれも教える人が3人以上いることが前提で、要件を一つでも満たさない場合は対象外となります。
| 習い事 | 判断の要点 |
|---|---|
| 学習塾、英会話教室、そろばん教室 | ガイドラインで民間教育事業の例として挙げられており、教室で定期的に教えていれば対象 |
| スポーツクラブ、クラブチーム、スイミングスクール | ガイドラインは地域スポーツクラブやクラブチーム、スポーツの教授を行う事業を例として挙げており、定期的に指導していれば対象 |
| ピアノ教室、書道教室、茶道・生花の教室 | 音楽や書道、生花・茶道の教授を行う事業として例示されており、定期的に教えていれば対象(講師の自宅で教える場合も、事業者が用意する場所に当たる) |
| 家庭教師 | 子どもの自宅だけで教える場合は対象外(教室やシェアオフィスで教える場合があれば対象となる) |
| オンライン塾 | オンラインだけで教える場合は対象外(子どもの自宅以外の場所で対面の授業を行う場合があれば対象となる) |
| 自然体験やキャンプ | 1年の中で一連のプログラムとして複数回行い、同じ子どもが続けて参加できる場合は対象(単発のイベントだけの場合は対象外) |
| こども食堂の学習支援 | 子どもへの学習支援が五つの要件を満たせば対象 |
| 大人向けの教室 | 大人だけを対象とし、子どもが例外的に参加するだけの場合は対象外 |
ダンス教室やプログラミング教室のように、ガイドラインに例として挙げられていない習い事も、五つの要件に当てはまれば対象となります。判断に迷う場合は、教える場所や頻度、講師の人数といった事業の実態を整理したうえで、要件ごとに確かめていくことになります。
フランチャイズと複数の教室
フランチャイズの本部と加盟店の経営者が別の事業者である場合は、それぞれが自ら認定を申請する必要があり、加盟店は本部の認定を使うことができません。加盟店で教える人が3人に満たない場合、その加盟店は認定を受けられず、本部と個人事業主の加盟店とで共同認定を受けることも認められていません。
本部のウェブサイトに認定を受けていない加盟店を載せる場合は、認定を受けた教室がどれかを明らかにし、認定を受けていない理由を示す必要があります。一方、同じ事業者が複数の教室を営む場合は、事業全体で要件を満たせばよく、すべての教室に3人以上の講師がいる必要はありません。
対象となる従事者の判断
事業が認定の対象に当たる場合、性犯罪歴の確認や研修の対象となるのは、子どもに対して「支配性」「継続性」「閉鎖性」の三つの要件をすべて満たす業務に就く人です。ガイドラインは、職種全体が対象となるものと、業務の内容によって一部が対象になり得るものとに分けて、職種の例を示しています。
職種全体が対象となる職種
子どもに直接教える講師や指導員は、職種全体が対象とされており、事業者の判断で対象から外すことはできません。民間教育事業でガイドラインが挙げている職種は、以下のとおりです。
| 分野 | 職種全体が対象となる職種 |
|---|---|
| 学習関係(学習塾、そろばん教室、外国語会話教室) | 指導員、講師 |
| 運動関係(地域スポーツクラブ、クラブチーム、フィットネスクラブ) | 講師、指導者、指導員 |
| 文化・芸術関係(音楽、書道、生花・茶道の教室) | 講師、トレーナー、師範、教授、家元 |
| 青少年の自然体験活動 | 指導者、育成者、職員 |
業務の内容で判断する職種
受付や清掃、警備といった職種は、業務の内容によって対象になるかどうかが分かれます。ガイドラインは、職種ごとに以下のような例を示しています。
| 職種 | 対象となる例 | 対象とならない例 |
|---|---|---|
| 事務職員 | 保護者面談の間に、別の部屋で子どもの面倒を見るといった業務がある。 | 電話の対応や書類の整理に限られ、子どもとほとんど接しない。 |
| 送迎の運転手 | 他の職員が同乗しない車で、子どもと1対1になる。 | 他の職員が同乗することが前提となっている。 |
| 受付 | 他の職員がいない状況で子どもと接する。 | 外から見える受付での応対が中心である。 |
| 清掃員 | 授業や保育の時間中に、日常的に子どもと接する。 | 子どもがいない時間帯だけ清掃する。 |
| 警備員 | 施設の中を日常的に巡回し、子どもと接する。 | 門や施設の外の警備だけを行う。 |
| 看護師 | 日常的に健康管理を行い、体調を崩した子どもに別室で1対1で対応する。 | 緊急時の応急手当だけを行う。 |
なお、指導者1人が子ども2人以上を同時に見る場面も、閉鎖性を満たすとされています。「1対1にならないから対象外」とは限らないため、業務の実態に沿って判断する必要があります。
経営者や管理者
教育保育等従事者の範囲には、子どもに教える人だけでなく、民間教育事業を行う事業所の管理者も含まれています。経営者自身が講師として教えている場合や、教室の管理者として子どもと接する場合は、三つの要件に照らして判断し、当てはまれば性犯罪歴の確認の対象となります。
ボランティアやスポットワークで関わる人
ボランティアや単発のスポットワークで関わる人も、雇用関係の有無にかかわらず、三つの要件を満たす業務に就くのであれば対象となり、従事する期間が短いことを理由とした例外はありません。ガイドラインは、定期的に参加して子どもに1対1で教えるボランティアを対象となる例とする一方、年1回のバザーに参加するだけの人や、夏休みに1日だけ教える人を対象とならない例として挙げています。
また、1回の従事は1日だけでも、1年を通じて何度も依頼する外部の講師は、継続性を満たして対象となる場合があります。実習生については、子どもと1対1にさせず、職員の監督のもとで接する計画であれば、性犯罪歴の確認は必要ないとされています。
意向確認書面
従事する期間が短い人は、従事を終えるたびに確認の記録を廃棄し、次に従事するときに改めて確認を行うことになるため、事業者にとっても本人にとっても負担が大きくなります。そこで、最長6か月の一定の期間内に、同じ事業者で再び対象の業務に就く可能性があることを記した「意向確認書面」を取り交わしておけば、その期間内は記録を持ち続けることができ、再び従事する際に改めて確認を行う必要はありません。
こども家庭庁は、意向確認書面の作成例を公表しています。春期講習で教えた大学生の講師に、数か月後の夏期講習でも教えてもらうといったように、6か月以内に同じ人が再び従事する見込みがある場合に、活用することが考えられます。
★関連資料
Q. 講師が自分1人だけのピアノ教室は認定を受けられますか?
A. 民間教育事業は、教える人が3人以上いることが要件のため、講師が1人だけの教室は認定を受けられません。
Q. 講師の自宅で開く教室も対象になりますか?
A. 講師の自宅は、事業者が用意する場所に当たります。他の要件も満たしていれば対象となります。
Q. フランチャイズの加盟店は本部の認定を使えますか?
A. 本部と加盟店の経営者が別の事業者である場合は、それぞれが認定を申請する必要があります。加盟店で教える人が3人に満たない場合は、認定を受けられません。
Q. 受付の職員も性犯罪歴の確認が必要ですか?
A. 他の職員がいない状況で子どもと接する業務があれば対象となります。外から見える受付での応対が中心であれば、対象とならないとされています。
Q. 夏休みに1日だけ手伝うボランティアも確認が必要ですか?
A. ガイドラインは、夏休みに1日だけ教える人を対象とならない例として挙げています。ただし、1年を通じて何度も従事する場合は、対象となることがあります。
こども性暴力防止法の認定申請サポート
民間教育事業が認定の対象となるには、子どもに技芸や知識を教えること、標準的な修業期間が6か月以上であること、対面で指導すること、事業者が用意する場所で指導すること、教える人が3人以上いることの五つの要件をすべて満たす必要があります。認定の対象となる場合は、講師や指導員に加えて、業務の内容によっては受付や清掃、送迎の担当者、ボランティアや短期で関わる人も、性犯罪歴の確認の対象となります。
弊所では、こども性暴力防止法の認定申請を代行しています。対象となる事業や従事者の整理から、児童対象性暴力等対処規程と情報管理規程の作成、申請書と添付書類の作成、認定後の変更の届出に至るまで、しっかりまるっとサポートいたします。
さらに、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。学習塾やスポーツクラブ、放課後児童クラブ、認可外保育施設で認定の取得をお考えの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
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