採用と犯罪事実確認の進め方│日本版DBSの求人票・誓約書・内定通知書と確認の流れを行政書士が解説

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学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(以下、こども性暴力防止法)の認定を受けた事業者は、子どもと接する業務に新たに人を就かせる前に、その人に性犯罪の前科がないかを、こども家庭庁の犯罪事実確認で確かめる必要があります。

確認書が交付されるまでには、日本国籍の人で2週間から1か月、外国籍の人で1か月から2か月かかるため、募集から内定、従事の開始までの段取りを、これまでの採用の進め方から組み直すことが求められます。

本記事では、こども家庭庁のQ&Aに沿って、求人票や募集要項への記載、応募者からの誓約書の受け取り方、内定と確認の申請の時期、内定者本人による戸籍の情報の提出、確認書が交付されるまでの期間、性犯罪歴があった場合の内定の扱い、いとま特例の使い方までを行政書士が解説します。

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採用の流れと犯罪事実確認

犯罪事実確認は、事業者が人を採用すると決めた後に申請するもので、内定を出す前に申請することはできません。そのため、採用の流れは、募集の段階で応募者に確認の対象となることを伝え、内定を出してから確認を申請し、確認書の交付と研修を終えてから従事させる、という順番で組み立てることになります。

段階事業者が行うこと
募集求人票や募集要項に、特定性犯罪の前科がないことを採用の条件として明示すること
応募履歴書の提出とあわせて、前科がないことを誓約書で確かめること
内定内定通知書を交付し、確認の申請に必要な書類をそろえること
確認の申請こまもろうシステムで確認を申請し、内定者本人が戸籍の情報を提出すること
確認書の交付交付された確認書をシステムの画面で確かめること
従事の開始研修を終えたうえで、子どもと接する業務に就かせること

募集の段階

犯罪事実確認を円滑に進め、内定の後のトラブルを防ぐには、募集の段階から、確認の対象となる仕事であることを応募者に伝えておくことが大切です。Q&Aは、求人票や募集要項への明示と、誓約書による確認を、そのための取組として示しています。

求人票と募集要項への明示

子どもと接する業務の求人では、求人票や募集要項の採用の条件として、特定性犯罪の前科がないことを明示しておく方法が示されています。求人サイトに採用の条件として掲載する場合も、こども家庭庁のガイドラインの考え方を踏まえて対応することが求められており、こども家庭庁は、募集要項と求人票の参考例を公表しています。

誓約書

応募の段階では、履歴書の提出とあわせて、特定性犯罪の前科がないことを誓約書で確かめる方法が示されています。誓約書で前科を偽ったり隠したりしていたことが、内定の後の犯罪事実確認で分かった場合は、内定を取り消す理由である「重要な経歴の詐称」に当たり得るとされています。

一方、すでに働いている人に後から誓約書を書いてもらった場合は、その内容に偽りがあっても、「重要な経歴を詐称して雇用されたとき」には当たらないと考えられています。経歴の詐称を理由とする対応の根拠とするのであれば、誓約書は採用の前に受け取っておく必要があります。

なお、将来子どもと接する業務に就く可能性がある総合職の採用で誓約書を求めることは、一概に不適切とはいえないとされています。ただし、その場合は、誓約書を求める必要性を慎重に判断し、応募者に説明することが望ましいとされています。

内定と確認の申請

犯罪事実確認は、子どもと接する業務に就かせることが決まった人について申請するもので、本人が承諾していても、内定を出す前に申請することはできません。内定を出した後は、従事を始める日から逆算して、速やかに確認を申請することが求められます。

申請に添付する書類

事業者がこまもろうシステムで確認を申請する際は、その人が業務に従事することを証する書類として、内定通知書や雇用契約書を添付する必要があります。こども家庭庁は、誓約書とあわせて内定通知書の参考例も公表しているため、これを参考に、確認の対象となる業務に就くことが分かる内定通知書を用意しておくと、手続きが円滑に進みます。

内定者本人による提出

事業者が確認を申請すると、内定者本人がこまもろうシステムで自らアカウントを作成し、マイナンバーカードといった方法で本人確認を行ったうえで、戸籍の情報を提出します。日本国籍の人は、マイナアプリを使い、マイナンバーカードをスマートフォンにかざして戸籍の情報を提出でき、外国籍の人は、在留カードや住民票、旅券の写しといった書類の提出が必要です。

戸籍の情報は、システムを通じて本人から直接こども家庭庁に提出されるため、事業者がその内容を知ることはなく、取得にかかる費用も本人の負担とされています。事業者が知ることができるのは、本人が提出を済ませたかどうかという状況だけで、これはシステム上で確かめることができます。

確認書が交付されるまで

確認書が交付されるまでの期間を見込んでおかなければ、従事を始める日に確認が間に合わず、予定していた業務に就かせられなくなります。申請の時期と、交付の前に本人に届く通知について、あらかじめ押さえておくことが大切です。

標準処理期間と申請の時期

確認書が交付されるまでの標準処理期間は、日本国籍の人で2週間から1か月、外国籍の人で1か月から2か月とされています。Q&Aは、確認の申請から従事の開始までに、この期間の最も長い期間、つまり日本国籍の人で1か月、外国籍の人で2か月を確保しておくことを、十分な余裕をもった申請としており、4月1日に従事を始める人であれば、日本国籍の人は3月1日まで、外国籍の人は2月1日までに申請できるよう、内定の時期を組み立てておく必要があります。

本人への事前通知と内定の辞退

確認の結果、特定性犯罪の前科があると分かった場合は、確認書が事業者に交付される前に、こども家庭庁から本人に通知されます。本人は、通知を受けてから2週間以内に、記録の訂正を求めたり、手続きの中止を求めたりすることができます。

本人が内定を辞退して従事しないことになった場合も、本人は手続きの中止を求めることができます。ただし、その場合でも、事業者への連絡と、システム上での申請の取下げが必要とされています。

性犯罪歴があった場合の内定の扱い

確認の結果、特定性犯罪の前科があると分かった内定者は、内定の取消しの対象となります。試用期間中の人であれば本採用を拒否し、すでに働いている人であれば、配置転換によって子どもと接する業務から外すことになります。

こうした対応を円滑に進めるには、就業規則や内定通知書、雇用契約書に、あらかじめ根拠を定めておくことが大切です。報酬を得て就業規則を作成したり変更したりする業務は社会保険労務士に限られており、個別の内定の取消しが争いになった場合は弁護士の領域となるため、採用の書類を整える段階から、専門家と連携して進めることが望まれます。

いとま特例

急な欠員のように、従事を始める日までに確認が間に合わず、すぐに人を就かせなければ事業の運営に著しい支障が生じる場合に限って、従事を始めてから3か月以内に確認することを認める「いとま特例」が設けられています。事業者の合併や新設、国の確認の遅れといった事情がある場合は、この期限が6か月以内まで延びます。

ただし、内示が直前になる人事の慣行のように、事業者の都合で申請が遅れた場合は、やむを得ない事情には当たりません。特例の範囲は法令で定められており、事業者が独自に広げることもできないため、特例を使えるのは、本当にやむを得ない場合に限られます。

特例を使って従事させる場合は、確認が済むまでの間、以下の措置を講じる必要があります。犯罪事実確認が済んでいない人を子どもと接する業務に就かせることになるため、これらの措置で子どもの安全を確保することが求められます。

  • 採用の段階で、特例の対象であることと講じる措置、違反した場合の処分を本人に伝えること
  • 原則として、子どもと1対1にさせないこと
  • 性暴力の防止に関する研修を受講させること
  • 管理職が定期的に巡回すること

派遣労働者と求人サイト

派遣労働者を子どもと接する業務に就かせる場合は、派遣先の事業者が犯罪事実確認を行います。派遣先が確認の結果そのものを派遣元に伝えることは禁じられているため、前科があると分かった場合は、防止措置を講じる必要があることだけを伝え、派遣契約に基づいて人の交代を求めることになります。

また、求人サイトや人材紹介会社といった雇用仲介事業者が求職者に誓約書の提出を求めることができるのは、対象の事業者から依頼があった場合に限られ、受け取った誓約書を他の求人者に渡すことは想定されていません。雇用仲介事業者に誓約書の受け取りを任せる場合は、その取扱いの範囲を、あらかじめ取り決めておくことが大切です。

Q. 内定を出す前に犯罪事実確認を申請できますか?
A. 本人が承諾していても、内定を出す前に申請することはできません。子どもと接する業務に就かせることが決まってから申請します。


Q. 確認書が出るまでどのくらいかかりますか?
A. 日本国籍の人で2週間から1か月、外国籍の人で1か月から2か月とされています。従事を始める日から、それぞれ1か月、2か月の余裕をもって申請する必要があります。


Q. 内定者の戸籍の内容を事業者が知ることはありますか?
A. 戸籍の情報は本人から直接こども家庭庁に提出されるため、事業者が内容を知ることはありません。


Q. 前科があると分かったら内定を取り消せますか?
A. 特定性犯罪の前科があると分かった内定者は、内定の取消しの対象となります。就業規則や内定通知書に、あらかじめ根拠を定めておくことが大切です。


Q. 急な欠員で確認が間に合わないときはどうすればよいですか?
A. やむを得ない事情があれば、いとま特例により、従事を始めてから3か月以内に確認することが認められます。その間は、原則として子どもと1対1にさせないといった措置が必要です。

こども性暴力防止法の認定申請サポート

日本版DBSの認定を受けた事業者は、募集の段階で確認の対象となることを伝え、内定を出してから犯罪事実確認を申請し、確認書の交付と研修を終えてから、新たな人を子どもと接する業務に就かせる必要があります。確認書の交付には最長で日本国籍の人で1か月、外国籍の人で2か月かかるため、内定の時期を含めた採用の段取りを組み直すことが求められます。

弊所では、こども性暴力防止法の認定申請と、認定後の手続きを代行しています。求人票や募集要項、誓約書、内定通知書の整備から、犯罪事実確認の申請の段取り、児童対象性暴力等対処規程と情報管理規程の作成、申請書と添付書類の作成に至るまで、しっかりまるっとサポートいたします。

さらに、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。学習塾やスポーツクラブ、放課後児童クラブ、認可外保育施設で認定の取得をお考えの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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