飲食店における保健所の現地調査で気をつけるべきポイントについて

飲食店の営業許可を申請する際に、最も気を使うのは、やはり保健所による現地調査ではないかと思います。そう言えば学生の頃、家庭訪問や授業参観というイベントがあるたびに、いちいちそわそわしていたことを思い出します。
そもそも飲食店営業が許可制となっているのは、飲食物を提供するにあたり、衛生面を維持向上する措置や管理を店側に徹底させるためであり、現地調査は、保健所の担当者(食品衛生監視員)が現地に訪れて実際にこれを確認するために実施される手続きです。
とは言え、以下のポイントさえしっかりと押さえていれば、そこまで仰々しく構える必要はありません。
シンクについて
営業所の調理場には、洗い物をするシンクと従業員が手洗いをするシンクと、少なくとも2槽以上のシンクを備え付け、これを分けて使用する必要があります。
また、シンクが2槽あっても蛇口が1箇所しか付いていないような場合は許可が下りず、蛇口はそれぞれのシンクごとに個別に付いていることが求められています。
自治体によっては、2槽シンクでなくても、別に従業員専用の手洗いを設けていれば通してくれることもありますが、設備の基準については、申請時点でしっかりと確認するようにしてください。
居抜物件で直前まで他の飲食店が入居していた場合、自己判断で改装を行っているケースもあるため、この点はしっかりとチェックしてください。
手洗いについて
従業員が使用する手洗いの蛇口は、ひねって水を止めるタイプのコック式のもこでは許可が下りず、レバー式やセンサー式のように、水を止める際に手が触れずに済む形状のものを備え付ける必要があります。
調理場・トイレについて
調理場及びトイレには、手洗い器を設け、消毒設備を備え付ける必要があります。これはよくあるトイレのタンク上部に付属する簡易的な一体型の手洗い器では足りず、必ず独立型の手洗い器を備えるようにしてください。
また、従業員の手洗い場や店が使用するトイレには、通常のものではなく、薬用の石鹸を準備してください。
トイレの戸については、調理場に開口していたり、連絡しているような構造は認められません。
客席と調理場の区画について
客席と調理場とは完全に区画し、客が調理場へ自由に出入りすることがないように工夫する必要があります。
ドアや扉等により区画することまでは求められていませんが、少なくともひとめで明確に区画していることが確認できる程度にはするよう指摘を受けます。
調理場の床と壁の材質について
調理場では日常的に水を多量使用することから、調理場の床は耐水性材質を使用し排水が良好であること、壁は床から1m以上の部分まで耐水性の材質を使用する必要があります。
木目が外気にさらされているような環境では許可が下りないため、仮に床や壁調理場が木製であった場合は、耐水性のある塩化ビニールのシートでコーティングするなどして耐水性を確保するようにしてください。
戸棚について
グラスや食器が直接外気に触れる状態はホコリや雑菌が付着する原因となるため、これらを十分に収納できる扉つきの戸棚を備える必要があります。「清潔なタオルを被せていればいいの?」という質問を受けることがありますが、タオルを被せているだけでは基準を満たしません。
お酒のボトル等については大目に見てくれることもありますが、食器類についてはガラス戸のついた戸棚などにきちんと収納するようにしましょう。
調理場の壁・天井の構造について
ホコリが付着しないようにするため、調理場の壁・天井は隙間がなく平滑で掃除しやすい構造である必要があります。
冷蔵設備等について
食品を保存するために、十分な大きさを有する冷蔵設備を設け、温度計を冷蔵庫・冷凍庫等に備える必要があります。
業務用であれば標準で温度計が内蔵されている冷蔵庫や冷凍庫が多いですが、家庭用のものを使用する場合は、各室に温度計をセットするようにしてください。
消毒設備について
食器等の器具を殺菌するための大層な設備は必要ありませんが、煮沸できる給湯設備や、塩素系の洗剤を用意する等、消毒することができる環境を整えるようにしましょう。
ゴミ箱について
開けっ放しのゴミ箱は臭気や汚染の元となり、客席から見ても印象の良いものではないため、木製の汚れやすい材質ではなく、汚液が漏れない合成樹脂等の材質のものであって、ふた付きのものを用意するようにしてください。
害虫等の対策について
病原菌を媒介するおそれのある害虫やネズミの侵入経路を塞ぐため、開閉する窓には網戸、排水口には金剛網等を付けてネズミや虫が侵入しないような設備にする必要があります。
なお、ホウ酸団子や市販のゴキブリ駆除用品は「設備」には該当しないため、これを備え付けただけの状態では許可は下りません。
飲用水の供給について
井戸水や貯水槽の水であっても、水質基準を満たしたものを使用することはできますが、飲用に適さない水は、当然ながら使用することはできません。
まとめ
弊所は年間100件近くの現地調査に立ち会いますが、現場で担当者からのOKを貰えるまでは、今でもそれなりに気をつかいます。これが手続きについて不慣れな方であれば、突然の指摘にパニックに陥ってしまうこともありうるのではないかと思います。
また、申請したはいいものの、調査の結果によって却下されてしまい、当初のオープン予定が大幅に遅れてしまったなんてことも珍しくはありません。すんなりと手続きを進めるためには専門家との連携が重要なポイントになります。
弊所では、兵庫県及び大阪府の全域にわたり、飲食店営業許可申請の代行を承(うけたまわ)っております。飲食店営業許可申請については、面倒な書類の作成から、保健所との協議及び調整、申請代行並びに立入調査の同行に至るまで、まるっとしっかりフルサポートいたします。また、風俗営業許可申請については、全国各地での代行を承っています。
弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。飲食店の開業でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
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