神戸市における簡易宿所営業許可について
古くからの港町であり、関西を代表する繁華街として認知されている神戸市ですが、北部には六甲山脈がそびえ立ち、その山間部には、日本三大名泉のひとつに数えられる有馬温泉を抱える一大観光地でもあります。北野異人館、生田神社、湊川、王子動物園に須磨海浜水族園等、観光資源を挙げていけば枚挙にいとまがありません。
これだけの観光資源を抱える神戸市ですから、観光事業がもたらす経済効果について、期待する声は少なくありません。実際弊所においても、比較的小規模な民泊として、観光事業に参入しようとされる方からのご相談は増加傾向にあります。
そこで本稿では、神戸市において観光事業への参入を検討する皆さまに向けて、民泊としての簡易宿所を営業するにあたり必要となる許可やその基準について、詳しく解説していきたいと思います。
簡易宿所営業
旅館業法では、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を旅館業として定義していますが、このうち簡易宿所営業とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいいます。
簡易宿所営業とは?
- 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を有すること
- 宿泊料を受けること
- 人を宿泊させること
- 下宿営業以外の営業を行うこと
人を宿泊させることが旅館業の構成要件であることから、生活の本拠を置くアパートや間借り部屋を賃貸する行為は旅館業には該当しません。また、寝具を提供しない場合や、宿泊料を徴収しない場合も旅館業には該当しないことになります。
旅館・ホテル営業 | 施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のもの |
簡易宿所営業 | 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のもの |
下宿営業 | 施設を設け、1か月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業 |
なお、名目のいかんを問わず実質的に寝具や部屋の使用料とみなされるものはすべて宿泊料に含まれるため、休憩料はもちろんのこと、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費又は室内清掃費についても宿泊料とみなされます。
★下宿営業
下宿営業とは、施設を設け、1か月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて人を宿泊させる営業をいいます。構造設備基準などが簡易宿所営業とは異なりますが、簡易宿所営業の許可を受けた者は、その施設において新たに下宿営業許可を受けることなく下宿営業を営むことが可能です。
宿泊の定義
寝具とは、仮眠若しくは睡眠又はこれらに類似する行為において使用されるものを指します。寝台(ベッド)、敷布団、掛け布団、毛布、敷布又はシーツ、枕、カバー(包布等)、寝衣(浴衣を含む)等がこれに該当しますが、これらを使用して施設を利用することを「宿泊」と定義しています。
したがって、「宿泊させる」とは、これらの寝具を提供して施設を利用させる行為を指すのであって、単に明け方まで客を滞在させる行為は宿泊には該当しないことになります。ただし、この解釈については逆説的に「寝具を提供しなければ宿泊には該当しない」とも取れるため、議論の対象となる場合があります。(例:インターネットカフェの個室、スーパー銭湯のざこ寝スペース等)
こういったケースでは「宿泊」に該当しないよう工夫していることがほとんどなので、類似する形態でご不安な点があれば、所轄の保健所や民泊に詳しい行政書士に相談することをお薦めしておきます。
民泊としての簡易宿所営業
一般的に民泊とは、自宅の一部や空き別荘、マンションの空室などを活用して宿泊サービスを提供するものを指します。ひとことで民泊といっても、法的には以下の3タイプが混在しており、民泊事業をはじめようとする際は、事業規模や地域性によってこれらのうちから事業形態を選択する必要があります。
事業形態 | 手続き | 難易度 |
---|---|---|
簡易宿所 | 許可 | 高 |
特区民泊 | 認定 | 中 |
住宅宿泊事業 | 届出 | 低 |
旅館業として考えれば、旅館・ホテル営業よりも参入しやすいと言える簡易宿所営業ですが、民泊事業として考えた場合には、特区民泊や住宅宿泊事業よりも参入難易度は高いという位置づけになっています。
民泊の代表格ともいえる住宅宿泊事業では、民泊としての営業が年間最大180日に限られるという縛りがあり、特区民泊においても「2泊3日以上の滞在」が条件とされていることから、手続的な難易度が高い分、このようなデメリットのない簡易宿所営業の方が、ビジネス面でのメリットもより大きなものとなっています。
また最近は、融資を受ける際の条件として、住宅宿泊事業や特区民泊ではなく、旅館業の営業許可を取得するよう促す金融機関も増えているという事情があります。
また、そもそも兵庫県及び神戸市では、特区民泊の制度が実施されていないことから、必然的に、神戸市における民泊は、旅館業(簡易宿所)と住宅宿泊事業のどちらかを選択することになります。
民泊事業としての参入を検討する際は、このようなこともしっかり頭に入れながら準備を進めるようにしましょう。
簡易宿所営業許可申請
神戸市において簡易宿所を営もうとする者は、旅館業関連法令、神戸市旅館業法施行条例及び神戸市旅館業法施行細則に基づき、後述する人的基準、設置場所基準、及び構造設備基準のすべての基準について適合させた上で申請し、神戸市長から許可を受ける必要があります。
★申請先
神戸市保健所健康局環境衛生課
〒650-8570 神戸市中央区加納町6-5-1
TEL:078-771-7497(平日8時45分~17時30分)
FAX:050-3156-2902
Mail:pwd-kobe-eisei@persol.co.jp
各種手続きの際は、事前相談後に予約の上、図面を含む計画の内容が分かる書類を用意して訪庁するようにしましょう。
人的基準
日本語に「寝首をかく」という表現があるように、通常宿泊中の人は無防備な状態に置かれます。このような状態で身体や財産を他人に預けるわけですから、旅館業に携わる「ヒト」については一定の信用性が要求されています。
具体的に、旅館業法では、旅館業全般について以下の事由を欠格事由として定め、このうちいずれかひとつでも該当する者を、資格に欠ける者として当初から旅館業営業許可の対象から排除しています。
- 精神の機能の障害により、旅館業を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、又は旅館業法若しくは旅館業法に基づく処分に違反して罰金以下の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
- 許可を取り消され、取消しの日から起算して3年を経過していない者
- 暴力団対策法に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記のいずれかに該当するもの法人であって、その業務を行う役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
構造設備基準
簡易宿所営業を営むためには、使用する施設や設備について、国の法令(旅館業法、旅館業施行令、旅館業施行規則)及び各自治体の条例に定められた構造上の基準をクリアする必要があります。以下の基準は、神戸市旅館業法の施行等に関する条例に定められている構造設備基準です。
なお、市長は営業施設の特殊性によりこの基準によることが適当でないと認めるときは、公衆衛生の維持のために必要な特別の措置を命ずることができます。
設備の外観
- 外壁、屋根その他建築物の部分の形状及び色彩が善良な風俗を害しないものであること
- 周囲の環境と調和が保たれているものであること
- 性的好奇心をそそるおそれのある広告物が備えられていないこと
施設全体の構造設備
- 客室の延床面積は、33㎡(宿泊者の数を10人未満とする場合には、3.3㎡に宿泊者の数を乗じて得た面積)以上であること
- 階層式寝台を有する場合には、上段と下段の間隔は、おおむね1m以上であること
- 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること
- 施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障をきたさないと認められる場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる規模の入浴設備を有すること
- 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること
- 適当な数の便所を有すること
- 多数人で共有することを目的としない客室を設ける場合にあっては、客室に係る寝室の床面積の施設内における合計は、施設内に設ける全ての客室に係る寝室の床面積の合計の2分の1未満とすること
- 宿泊者等に食事を提供する施設にあっては、適当な規模の調理室を有すること
- 宿泊者の需要を満たすことができる能力を有し、かつ、設備の外部から汚染されない構造である給水設備を有すること
- 客室外の適当な場所に、施設の規模及び収容人数に応じた量の寝具類を衛生的に保管することができる保管室又はこれに類する収納設備を有すること
- 屋内の共有施設には、性的好奇心をそそるおそれのある鏡、寝具その他の物品が備えられていないこと
- 施設は、玄関、客室その他宿泊者等の用途に供する施設を一体的に管理することができる構造であること
- 共同住宅の一部で旅館業を営む場合(旅館業を営む者が共同住宅の共用部分であって、かつ、宿泊者が宿泊者が使用できる部分の管理を行うことができる場合を除く)にあっては宿泊者の区画と共同住宅の住民の区画とを明確にすること
客室の構造設備
- 性的好奇心をそそるおそれのある鏡、寝具その他の物品が備え付けられていないこと
- 出入口には客室の名称の表示がなされていること
- 出入口は宿泊者が自由に開閉できる構造であること
- 客室内において宿泊料の支払いができる設備が設けられていないこと
- 寝室(浴室、便所その他これらに類する部分を除く)の有効幅員は1.8m以上であること
- 寝室の1人当たりの床面積は2.25㎡以上であること
- 寝室には、直接外気に接する箇所に採光窓を設けること
- 宿泊者等が自動車の駐車の用に供するための建築物又は区画から玄関帳場を経由することなく直接個々の客室へ出入りすることのできる構造になっていないこと
寝室の構造設備
- 寝室の1人当たりの床面積は2.25㎡以上であること
- 階層式寝台を有する場合、階層式寝台は、3層以上ではないこと
- 階層式寝台を有する場合、階層式寝台の上段の上方には、おおむね1m以上の高さの空間があること
- 階層式寝台を有する場合、安全に階層式寝台の上段へ昇り、及び階層式寝台の上段から降りることが可能とするための堅固な階段又ははしごがそれぞれの階層式寝台に設置されていること
- 階層式寝台を有する場合、 階層式寝台の大きさは幅0.9m以上、長さ1.8m以上あること
玄関帳場の構造設備
神戸市における簡易宿所は、以下の基準を満たす玄関帳場を備えることが求められます。
- 宿泊者及び宿泊しようとする者の出入りを直接確認することができる場所に設けられていること
- 玄関帳場の設置箇所は、1施設につき1箇所とすること(施設の規模その他の事情を考慮して、宿泊者等の出入りを直接確認する上で支障がないと認められる場合はこの限りでない)
- 玄関帳場及びその周囲に、宿泊者等の往来を容易に見通すことができなくなるようなカーテン、囲いその他障壁が設けられていないこと
- 玄関帳場の受付台は、事務を執るのに適した広さを有し、当該受付台を挟んで宿泊者等と従業者が直接面接することができる構造であること
- 玄関帳場の受付台の上方には、1m以上の高さの空間があること
- 必要に応じて、玄関帳場に接する事務室その他の宿泊者等との面接に係る事務を処理するための居室が設けられていること
- 必要に応じて、玄関帳場に、客室を開閉するための鍵その他これに類するものを収納するための設備が設けられていること
- 玄関帳場及びその周辺に、宿泊者等との面接に適した照度を有する照明設備が設けられていること
- 玄関帳場に、宿泊者等が宿泊者名簿に記載するための設備が設けられていること
- 客室の扉を自動的に施錠し又は開錠することができる装置と連動した客室案内板その他の設備であって玄関帳場での宿泊者等との面接を妨げる設備が設けられていないこと
ただし、事故が発生したときその他の緊急時における迅速な対応を可能とする設備を備え、かつ、宿泊者名簿の正確な記載、宿泊者との間の客室の鍵の適切な受渡し及び宿泊者以外の出入りの状況の確認を可能とする設備を備えている施設であって、以下の要件を満たすものについては、例外的に玄関帳場を有しないものも認められます。
- 施設へおおむね10分以内で駆け付けることができる範囲内に、宿泊者等との面接を行うことができる事務所(以下、管理事務所)を設けること
- 宿泊者等の出入りの状況を鮮明な画像により確認することができるビデオカメラその他の撮影機器を設置し、及び当該機器を利用して宿泊者等の本人確認を行うこと
- 施設及び管理事務所に双方の間で連絡を取ることができる通話機器を設置すること
- 施設の出入口に、施設の名称及び営業者名、管理事務所の所在地並びに事故が発生したときその他の緊急を要する事態が発生した場合に対応する者の連絡先が表示されていること
- 管理事務所の出入口に、当該管理事務所が施設の一部である旨、施設の名称及び所在地並びに事故が発生したときその他の緊急を要する事態が発生した場合に対応する者の連絡先が表示されていること
入浴設備の構造設備
- 壁その他の区画により、外部から見通すことができない構造であること
- 共同用の浴室を有する場合、浴槽は汚水が流入しない構造であること
- 共同用の浴室を有する場合は、脱衣室を設け、脱衣室には衣類その他携帯品を入浴者ごとに区分して保管することができる設備が設けられていること
- 共同用の浴室を有する場合、脱衣室には、洗面設備が1個以上設けられていること(洗面設備に供給する水は、原則として上水道の水を使用することとし、井戸水その他の上水道以外の水を使用するときは、消毒し、飲用に適する旨の確認を受けておくこと)
洗面設備の構造設備
- 宿泊者の利用しやすい場所に設けられていること
- 洗面器は、不浸透性の材料で作られており、かつ、流水受槽式であること
便所の構造設備
便所には、流水式手洗い設備(共同用の便所にあっては、流水式手洗い設備及び手指の消毒設備)が設けられていること
構造設備基準の特例及び緩和
季節的な事情、地理的な事情その他特別な事情により施設の構造設備が基準に適合しないことにつきやむを得ない理由があり、かつ、市長が公衆衛生上及び善良の風俗の保持上支障がないと認める場合に限り、これを緩和することができるものとされています。
また、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(兵庫県風営条例)に規定する第3種地域(風営法の規定により店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止されている区域を除く)及び第4種地域(風営法の規定により店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止されている区域を除く)内に所在する施設については、設備の外観等、風俗環境に関する構造設備基準の一部が適用除外となります。
衛生基準
旅館業の施設については、換気、採光、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の衛生に関し必要な措置を講ずることが義務付けられています。この基準は各自治体ごとに異なりますが、神戸市においては、以下のような基準が定められています。
- 客室の定員を超えて宿泊させないこと
- 機械換気設備及び照明設備は、適切に維持管理し、その機能を保つこと
- 冷房又は暖房を行うときは、適当な温度及び湿度を保ち、かつ、有害ガス等による被害を防止する措置を講ずること
- 寝具類は、常に清潔に保つこと布団カバー、敷布及び枕カバーは、1宿泊者ごとに洗濯したものを用いること
- 浴衣その他の就寝用の衣類を備えるときは、1宿泊者ごとに洗濯したものを用いること
- 宿泊者が伝染性の病気にかかっていることが明らかになったときは、その宿泊者が使用した客室、寝具類及び器具類を消毒すること
- 常に営業施設の内外を清掃し、ねずみ、昆虫等の駆除に努めること
- 水は、原則として上水道を使用し、井戸水等を使用するときは、毎年2回以上水質検査を受け、飲用に適する旨の確認を受けておくこと浴室には、水及び摂氏38度以上の湯を供給すること
- 浴槽、浴用の水及び湯は、神戸市公衆浴場法施行条例の基準に適合するものであること
- 宿泊しようとする者と必ず面接すること(厚生労働省令で定める基準に適合する設備を有した施設又は神戸市条例で定める基準に適合する施設において、面接と同等の効果を有すると認められる措置を講じている場合はこの限りではない)
その他の基準
神戸市では、その他にも遵守すべき基準として以下のような規定が設けられています。また、営業施設の特殊性によりこれらの基準によることが適当でないと認めるときは、市長は公衆衛生の維持のために必要な特別の措置を命ずることができます。
- 厚生労働省令で定める基準に適合する設備を有した施設又は神戸市条例で定める基準に適合する施設として、本来であれば宿泊しようとする者と面接すべき基準を、面接と同等の効果を有すると認められる措置を講じている施設として例外的に免除される場合にあっては、宿泊者名簿の正確な記載を可能とするための措置として、宿泊者の顔及び旅券を鮮明な画像により確認し、その画像の保存を行うこと
- 宿泊者等に緊急を要する事態が発生した場合において、その求めに応じておおむね10分以内で従業者その他の対応可能な者が駆け付けることができる体制を整備すること
- 鍵の受渡しを適切に行うこと
- 上記の基準による措置を適正に行うため、旅館業の施設ごとに当該施設を管理する者を置くこと(営業者自らが管理を行う旅館業の施設についてはこの限りではない)
設置場所基準
施設の設置場所が、以下の施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む)の周囲おおむね100mの区域内にある場合において、旅館・ホテルの設置によってこれらの施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると認められるときは、原則として旅館業営業許可を受けることはできません。
- 学校教育法に規定する学校(大学を除く)
- 幼保連携型認定こども園
- 児童福祉施設
- 図書館
- 博物館及び博物館に相当する施設
- 公民館
- スポーツ基本法に規定するスポーツ施設及びこれに類する施設で、国又は地方公共団体が設置するもの
- 都市公園
- その他青少年の教育その他その健全な育成を目的として青少年の利用に供される施設で市長が指定するもの
ただし、許可不許可の判断は市長に委ねられており、上記のケースについて許可を与える場合には、あらかじめ、簡易宿所の設置によって清純な施設環境が著しく害されるおそれがないかどうかについて、上記施設の学長等の意見を求めなければならないものとされています。
簡易宿所営業許可申請の流れ
すでに説明したとおり、神戸市において簡易宿所を営もうとする者は、神戸市長に対して申請し、その許可を受ける必要があります。手続きについては、おおむね以下の流れにのっとって行います。
STEP1:事前調査
候補地を選定後、まずは旅館業法と関係法令による規制について調査を行います。土地の利用には都市計画法上の用途地域による規制があり、以下の用途地域以外では、そもそも旅館業を行うことはできません。
- 第一種住居地域(旅館業の用途に供する部分が3000㎡以下の場合に限る)
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
併せてよく問題になるのが、農地法との兼ね合いです。農地は農業という重要な産業の基盤となるものなので、たとえ所有者であっても、自由に農地を潰すことは認められていません。このため、農地の転用を行う際には、農業委員会から農地転用許可を受ける必要があります。また、場合によっては、都市計画法上の開発許可を必要とするケースも想定されます。
農地転用許可について
都市計画法上の開発許可について
このほかにも、建築基準法、消防法、自然公園法、景観法などによる規制も想定して計画を進めます。
★用途変更
旅館・ホテルの用途となる部分の床面積が200㎡を超える場合には、元々その建物が旅館やホテルであった場合を除き、建築確認申請による「用途変更」が必要となります。なお、床面積が200㎡以下の場合であっても、建物は建築基準法に沿った建築物でなければなりません。
旅館業における建築基準法の基準について
旅館業における消防法の基準について
自然公園法に基づく規制について
景観法16条の届出について
STEP2:事前協議
旅館業営業許可申請は大掛かりな手続きとなることが多いため、施設の工事着工前に設計図等を持参の上、事前に保健所(保健福祉事務所)と協議を行う必要があります。また、建設や改築工事などについては管轄の土木事務所、消防関連の手続きについては、消防本部などと事前協議を行います。
STEP3:事業計画の周知
神戸市において旅館業(下宿営業を除く)を営もうとする場合は、許可申請前に、周辺地域の住民に対し、申請内容を記載した書面を配布し、及び説明会を開催することが義務付けられています。この場合において、周辺地域の住民から意見を聴き、又は要望を受けたときは、適切かつ迅速な対応をするよう努めるものとされています。
また、書面の配布及び説明会の開催後は、許可申請前に、その状況と対応の結果を記載した書面を市長に提出する必要があります。
STEP4:書類の準備
関係機関から求められた膨大な数の書類を準備します。図面も多く求められるため、広ければ広いほど、規制が多ければ多いほど大変な作業となります。また、簡易宿所の予定施設から100mの区域内に学校・児童福祉施設等の一定の施設がある場合には、譲受けや種別変更の場合を除き、証明願(距離証明)の手続きも必要となります。
STEP5:書類の提出
以下の書類をそろえて保健所(保健福祉事務所)の窓口に提出し、申請手数料は22,000円を納付します。同時に公衆浴場営業許可を申請する場合にはさらに22,000円、温泉利用許可を申請する場合には36,000円を納付します。
- 旅館業営業許可申請書
- 定款若しくは寄付行為の写し又は登記事項証明書(法人)
- 営業施設の敷地周辺の見取り図
- 営業施設の配置図
- 営業施設の平面図面及び立面図
- 玄関帳場の展開図(旅館・ホテル営業)
- 水質検査成績書(水道水以外の水を使用する場合)
- 構造設備の基準の特例に該当する場合には、特例に該当することを確認するために必要な事項が記載された書類
- その他都道府県知事等が公衆衛生上又は善良の保持上必要があると認める書類
STEP6:現地調査
調査員が現地を訪れ、施設の構造設備について、申請内容と相違がないかを調査します。この際にはヒヤリングによる調査も行われるため、必ず立会いが必要になります。
STEP7:許可書の交付
申請書提出後、土日祝日・年末年始休暇を除く15日の間に許可不許可の処分が下されます。許可書が交付されることによりようやく営業を開始することができるようになります。
営業者の義務
営業者は、次のいずれかに該当する場合を除いては、宿泊を拒むことはできません。
- 宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき
- 宿泊しようとする者が賭博、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき
- 宿泊施設に余裕がないとき
- 宿泊しようとする者が宿泊料を支払う能力を有しないと認められるとき
- 宿泊しようとする者の身体、衣服等が著しく不潔で、他の宿泊者に迷惑をかけるおそれがあると認められるとき
- 宿泊しようとする者が泥酔し、又は宿泊しようとする者の言動が著しく異状で、他の宿泊者に迷惑をかけるおそれがあると認められるとき
また、営業者は旅館業の施設又は営業者の事務所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業、国籍及び旅券番号(外国人)その他市長が必要と認める事項を記載し、市長の要求があったときは、これを提出しなければなりません。
宿泊者についても、営業者から請求があったときは、営業者に対して上記の事項を告げなければならないものとされています。
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