都市計画法の許可申請│開発許可の概要について

宅地を造成するショベルカー

都市計画法という法律では、一定規模以上の開発行為を行おうとする場合に、あらかじめ都道府県知事(または指定都市等の市長)の許可を受ける必要がある旨を定めています。

開発の分野は、とにかく制度が複雑で、また、ほとんどのケースで数次の手続きを要求されるため、それを調べ上げるだけで無駄に時間を浪費してしまいます。

そこで本稿では、開発許可を取得しようと検討される方に向け、制度の概要についてざっくりとまとめたうえで、出来る限り分かりやすく解説していきたいと思います。

開発行為

開発行為とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。

(都市計画法第4条第12項)

都市計画法では、開発行為をこのように定義して規制を行っています。条文に登場する「特定工作物」は、さらに「第一種特定工作物」「第二種特定工作物」の2つに区分されています。

第一種特定工作物

  • コンクリートプラント
  • アスファルトプラント
  • クラッシャープラント
  • 危険物貯蔵処理施設に供する工作物
コンクリートプラント

具体的には、セメント、水、砂、砂利、混和材料などを所定の配合で計量し、これを練り混ぜてコンクリートを製造する設備を指します。

アスファルトプラント

具体的には、骨材、フィラー、アスファルトをそれぞれ所要量だけ計量してミキサーで混合し、アスファルト合材を生産する設備を指します。

クラッシャープラント

具体的には、鉱物、岩石、土砂、コンクリート、アスファルト・コンクリート、硫黄、金属、ガラス、れんが、陶磁器、骨又は貝殻の粉砕で原動機を使用するものの用途に供する工作物を指します。

危険物の貯蔵・処理用工作物

危険物とは、火薬類(花火等を除く)やマッチ、可燃性ガス等を指します。

第二種特定工作物

  • ゴルフコース
  • 野球場、サッカーグラウンド、陸上競技場、遊園地、動物園、観光植物園、ゴルフ練習場に該当する施設で、1ha以上のもの
  • 1ha以上の墓園、ペット霊園

レストラン等の施設が併設されるケースにおいて、その施設が誰でも利用できる場合には第二種特定工作物には該当しませんが、入場者のみの利用に供される場合には附属施設とみなされ第二種特定工作物に該当します。

土地の区画形質の変更

土地の区画形質の変更とは、宅地造成だけでなく、道路の新設などを伴う土地区画の変更や、農地から宅地への変更などを含む広い概念です。ただし、建築確認をうけた建築工事に伴う掘削や基礎打ちは、区画形質の変更には含まれません。

具体的な運用や解釈については、各自治体の条例などで定められています。

建築物土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの等
建築建築物の新築、改築、増築又は移転

市街化区域と市街化調整区域

市街化区域

市街化区域とは、既に市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のことです。

端的に言えば、積極的に開発が推し進められている区域です。この区域においては比較的自由に開発行為を行うことが認められています。

市街化調整区域

市街化調整区域とは、市街化を抑制し、優れた自然環境等を保護するための区域です。原則として自治体などによる都市基盤の整備もしないこととされているため、新たに開発行為を行うことは制限されています。

原則として市街化調整区域内における建築や開発行為は禁止されており、市街化調整区域内において新たに開発行為を行おうとする場合は、規模の大小にかかわらず、都市計画法上の許可を取得する必要があります。

開発許可(29条許可)

都市計画法では、無秩序な開発を規制するために、一定規模以上の開発行為に対する許可制度を設けています。対象となるのは、前項に掲げた開発行為のうち、次の表に該当する行為です。

許可が必要な開発行為

上記の開発行為を行おうとする者は、開発行為に着手する前に都道府県知事(指定都市等では市長)の許可を受ける必要があります。

許可が不要な開発行為

例外として、次のような開発行為については、許可を受けることなく行うことができるものとされています。

  • 市街化調整区域・区域区分が定められていない都市計画区域・準都市計画区域における、農林漁業者の住宅を建築するための開発行為および農林漁業用の建築物を建築するための開発行為
  • 駅舎、医療施設、小中学校、高校、公民館、郵便局、図書館、墓地、火葬場、と畜場、し尿処理施設、ごみ処理施設、卸売市場など政令で指定する公益施設のうち周辺の土地利用上支障がないものの建築のための開発行為
  • 土地区画整理事業等の施行として行うもの
  • 国・都道府県・一定の市町村が行なう開発行為
  • 都市計画事業の施行として行なう開発行為
  • 市街地再開発事業の施行、住宅街区整備事業の施行、土地区画整理事業の施行として行なう開発行為
  • 非常災害のため必要な応急措置、通常の管理行為・軽易な行為に該当する開発行為
    • 仮設建築物の建築
    • 土木事業などに一時的に使用するための第一種特定工作物の建設
    • 車庫・物置その他附属建築物の建築
    • 建築物の増築で増築に係る床面積の合計が10㎡以内のもの
    • 建築物の改築で用途の変更を伴わないもの
    • 建築物の改築で改築に係る床面積の合計が10㎡以内のもの
    • 主として当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売加工修理等の業務を営む店舗・事業場などの新築(延べ面積が50㎡以内)であって当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者が自ら当該業務を営むために行なう開発行為(開発規模が100㎡以内に限る)など

市街化調整区域における開発行為

既に説明したとおり、原則として市街化調整区域内における建築や開発行為は禁止されています。ただし、次のような場合には、開発行為や建築を行うことができるものとされています。

  • 開発許可を受けて行う開発許可条件に適合する開発行為
  • 開発許可を受けた区域内で行う開発許可条件に適合する建築
  • 開発行為を伴わない建築であって、都道府県知事の許可を得て行う建築(43条許可:後述)
  • 許可が不要な建築を行う場合

市街化調整区域における建築許可(43条許可)

建築許可とは、市街化調整区域内における、開発行為を伴わないものに対する建築の許可をいいます。この許可は厳しく運用されていて、開発許可区域以外の区域で行える建築(改築、用途変更を含む)は、次の建築に限られています。

  • 建築許可を要しない建築
    • 農林漁業者の住宅や、農林漁業用建築物(畜舎、蚕室、温室、堆肥舎、サイロなど)を建築するための開発行為
    • 市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗等(延床面積が50㎡以下)を新築する目的で、その市街化調整区域内に居住している者が自らその業務を営むために行う100㎡以下の開発行為
    • 鉄道の施設、医療施設、小中学校、高校、公民館等の公益上必要な建築物の建築のために行う開発行為等
  • 建築許可を受けて行う建築
    • 都市計画事業の施行として行う建築物の建築
    • 非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の建築
    • 仮設建築物の新築
    • 通常の管理行為、軽易な行為として行う建築

審査基準

全般的許可基準

全国すべての地域に適用される基準です。一般的には、「技術的基準」といわれています。

予定建築物の用途が用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域などに適合していること
地区計画及び地区整備計画が定められているとき(または施設の配置・規模が規定された再開発促進区があるとき)は、予定建築物等の用途などが地区計画等に即していること
公共施設、公益的施設(学校など)、予定建築物の用途の配分が適正であること
排水路その他の排水施設が、下水を有効に排出し、溢水等の被害が生じないように設計されていること
地盤の軟弱な土地、がけ崩れや出水の恐れが多い土地などであるときは、地盤の改良、擁壁の設置などの安全上必要な措置が講じられていること
開発行為を行う区域(開発区域)内の土地または建築物等につき、工事の実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていること
1ha以上の開発行為では、植物の生育の確保上必要な樹木の保存、表土の保全等の措置が講じられていること
1ha以上の開発行為では、騒音、振動等による環境の悪化の防止上必要な緑地帯その他の緩衝帯が配置されていること
40ha以上の開発行為では、当該開発行為が道路、鉄道等による輸送の便等から見て支障がないこと
道路、公園、広場その他の公共空地(消防用貯水施設含む)が環境保全上等で支障がない規模構造で配置されること
開発区域内の主要な道路が、開発区域外の相当規模の道路に接続すること(自己居住用の住宅には適用されない)
水道その他の給水施設が、想定される需要に支障をきたさないこと
支障がない場合を除き、災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域などの土地を含まないこと(自己居住用の住宅、自己業務用の建築物・工作物には適用されない)
開発許可の申請者に当該開発行為を行なうために必要な資力および信用があること
工事施行者に当該開発行為に関する工事を完成するために必要な能力があること(自己居住用の住宅、一定規模以下の自己業務用建築物・工作物には適用されない)

市街化調整区域内の開発行為についての基準

市街化調整区域内において適用される基準です。一般的には、「立地基準」といわれています。市街化調整区域では、この基準のいずれかとともに、上記の「技術的基準」も同時に満たす必要があります。

開発行為を行う区域(開発区域)の周辺地域の居住者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場などのための開発行為
市街化調整区域内で生産される農林水産物の処理・加工のため必要な建築物・第1種特定工作物のための開発行為
市街化調整区域内に存する鉱物資源、観光資源などの有効利用上必要なもののための開発行為
温度・湿度・空気等について特別の条件を必要として、市街化区域内での建築・建設が困難なもののための開発行為
市街化調整区域内の工場施設と密接な関連を有する事業用の建築物・第一種特定工作物火薬庫であって、市街化区域内で建築建設することが不適当なもののための開発行為
市街化区域内の建築・建設が困難不適当なものとして定められる建築物・第一種特定工作物のための開発行為(道路管理施設、休憩所、ガソリンスタンド、火薬類製造所)
地区計画または集落地区計画の区域であって、地区整備計画・集落地区整備計画が定められているとき、その計画に即して行なわれる開発行為
自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成している地域で、おおむね50以上の建築物(市街化区域内を含む)が連たんしている地域のうち条例で指定する区域において行なう開発行為で、環境保全上支障がある用途など条例で定めるもの以外のためのもの(優良農地、優れた風景のため保全すべき区域、災害発生の恐れがある区域は指定できない)
開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、都道府県の条例で、区域、目的又は予定建築物等の用途を限って定められたもの(優良農地、優れた風景のため保全すべき区域、災害発生の恐れがある区域は指定できない)
都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進する恐れがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為(分家住宅、社寺仏閣、地区集会場、有料老人ホーム、優良田園住宅などのための開発行為など)

添付書類

添付書類
出典元:高槻市公式サイト

上記は大阪府高槻市における添付書類です。各自治体ごと、個別具体的なケースごとに求められる書類は異なりますので、あくまでも参考にとどめ、申請の際は必ず担当行政庁に確認するようにしてください。

参考様式(大阪府高槻市)

開発許可申請書PDFWORD
開発許可等チェックリスト PDF
設計者の資格に関する調書PDFWORD
開発者の資力及び信用に関する調書PDFEXCEL
資金計画書PDFEXCEL
工事施行者に関する調書PDFWORD
委任状PDF
開発行為工事着手届PDFWORD
開発行為工事完了届PDFWORD
開発行為変更許可申請書(正副2部)PDFWORD
開発行為変更届出書(正副2部)PDFWORD
43条建築許可申請書(正副2部)PDFWORD
43条建築許可チェックリストPDF
事前相談書PDFWORD
注意事項PDF

まとめ

ここまでご覧いただき、開発許可制度の複雑な雰囲気は十分に伝わったのではないでしょうか。実務においては、さらに個別具体的な対応を迫られますので、作業に追われることは必至です。

また、期間もそれなりに必要となりますので、事前調査や事前協議も含め、なるべく早く計画に着手するようにしましょう。

弊所では、開発許可の取得に関するサポートを行っています。許可の見込みなどの事前調査には手間と日数がかかるため、調査に着手した時点で有料とはなりますが、相談には無料で対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。

事前調査49,500円〜
※税込み

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