酒類販売管理者と酒類販売管理研修について

酒類販売業免許(以下、酒販免許)には、「経験その他から判断し、適正に酒類の小売業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人であること」という要件があります。

要約すると、申請者若しくは役員の中に事業経営と酒類販売の両方について経験を有する者がいることが免許の要件とされているわけです。これは事業経営のみの経験だけでは足りず、酒類販売についても経験を有することが必要とされています。

酒類販売管理研修は、販売場を管理すべき者に、酒類の特性や法令に関する知識を修得させ、免許要件となっている「十分な知識及び能力」を担保させるために実施されるものです。

そこで本稿では、酒販免許の取得を目指す皆さまに向けて、酒類販売管理者及び酒類販売管理研修の概要と注意事項についてざっくりと解説していきたいと思います。

酒類販売管理者

酒類販売管理者制度

酒類小売業者は、酒類の販売を開始するまでに、酒類小売業者に引き続き6か月以上継続して雇用されることが予定されている者のうちから「酒類販売管理者」(以下、管理者)を選任する必要があります。

管理者は販売所ごとに選任する必要があるため、複数の販売場がある場合には、そのすべてにおいてそれぞれ管理者を選任しなければなりません。また、複数の販売場の管理者を一人の管理者が兼任することは認められていません。

★管理者の欠格事由

管理者は酒類小売業者に引き続き6か月以上継続して雇用されることが予定されている者の中から選任するほか、次のいずれにも該当しない者である必要があります。

  1. 未成年者または成年被後見人もしくは被保佐人
  2. 酒類の製造免許、酒母若しくはもろみの製造免許若しくは酒類の販売業免許を取り消され、又はアルコール事業法の規定により許可を取り消された日から3年を経過するまでの者
  3. 酒類販売業者である法人が酒類の製造免許若しくは酒類の販売業免許を取り消された場合又はアルコール事業法の許可を受けた法人が同法の規定により許可を取り消された場合において、それぞれ、その取消しの原因となつた事実があつた日以前1年内に当該法人の業務を執行する役員であった者で当該法人がその取消処分を受けた日から3年を経過するまでのもの
  4. 国税若しくは地方税に関する法令、酒類業組合法若しくはアルコール事業法の規定により罰金の刑に処せられ、又は国税通則法、関税法若しくは地方税法の規定により通告処分を受け、それぞれ、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過するまでの者
  5. 20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律の規定、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の規定若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定により、又は刑法上の「傷害」、「現場助勢」、「暴行」、「凶器準備集合及び結集」、「脅迫」若しくは「背任」の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの者
  6. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの者

酒類販売管理研修

初めて管理者となろうとする者には、財務大臣が指定する小売酒販組合等の団体が実施する「酒類販売管理研修」を受ける義務があります。

酒類販売管理研修では、20歳未満と思われる者に対する年齢確認の実施、及び酒類陳列場所における表示など酒類の販売業務を行うに当たって遵守すべき法令に関する事項のほか、致酔性や習慣性といった酒類の特性や商品知識等を修得することにより、その資質の向上を図り、販売場における酒類の適正な販売管理の確保等について実効性を高めることを目的として実施されています。

酒類販売管理研修は免許を受ける前であってもいつでも受講することができます。また、法改正に対応させ常に新鮮な知識を修得する必要があることから、以降も3年ごとにこの研修を受講することが義務付けされています。

そこまで小難しい研修ではなく、平日の日中約2~3時間で修了することができます。なお、スケジュールについては以下のページからご確認いただくようお願いいたします。

酒類販売管理研修を受講しない場合は、免許取消事由となるほか、50万円以下の罰金に処せられる可能性もあるためご注意ください。

酒類販売管理者研修受講証

酒類販売管理者研修の受講後には「酒類販売管理者研修受講証」が交付されます。必ずしも免許申請前に受講する必要はありませんが、免許前には受講を済ませているようにしてください。

受講証は販売所の見やすい場所に原本を掲示する義務があるほか、受講に関する情報を記載した標識についても掲示する必要があります。(以下参照)

酒類販売管理者標章

責任者の選任

酒類の適正な販売管理の実効性を確保するために、酒類販売管理者が選任された販売場に長時間不在となるときなど、以下のいずれかに該当する場合には、その販売場において酒類の販売業務に従事する者の中から酒類販売管理者に代わる者を「責任者」として必要な人数指名し、配置するよう国税当局から指導が行われています。

この責任者になるための資格要件は特にありませんが、成年者を指名することが望ましく、特に夜間(23時~翌日5時)においては成年者を指名し、配置するよう指導が行われています。

  • 夜間において酒類の販売を行う場合
  • 酒類販売管理者が常態として、その選任された販売場に長時間(2~3時間以上)不在となることがある場合
  • 酒類売場の面積が著しく大きい場合(100㎡以上の場合、100㎡を超えるごとに1名以上の責任者を指名すること)
  • 同一建物内において酒類売場を設置している階が複数ある場合(酒類販売管理者のいない各階ごとに1名以上の責任者を指名すること)
  • 同一の階にある複数の酒類売場が著しく離れている場合(20m以上離れている場合)
  • 複数の酒類売場が著しく離れていない場合であっても、同一の階において酒類売場の点在が著しい場合(3か所以上ある場合)
  • その他酒類販売管理者のみでは酒類の適正な販売管理の確保が困難と認められる場合

ただし、レジスター等により代金決済をする場所が各階になく1か所にしかない場合で、かつ、管理者のみで酒類の適正な販売管理が確保できると認められる場合は、管理者に代わる責任者を指名しなくても差し支えないものとされています。

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