新設法人による酒類販売業免許の取得方法について

ワイン蔵に置かれたワイン樽

新たに立ち上げた法人で酒類販売業免許を取得したいというご相談を多く頂戴しますが、酒類販売業免許(以下、酒販免許)の取得に際しては、経営基礎要件を満たすことを求められているため、その証明方法については検討の余地があります。

酒販免許の申請では、直近3期分の決算書を提出することによって申請者の経済状況を証明するわけですが、新設法人では一度も決算期を迎えていないため、当然ながら決算書を提出することはできません。

それでは新設法人が酒販免許を取得することが出来ないのかと言えばそんなことはなく、既存の法人と同様に、免許取得のためのルートが用意されています。

そこで本稿では、新たに設立する法人で酒販免許を取得するために知っておきたい重要なポイントについて詳しく解説していきたいと思います。

事業目的

まずポイントとなるのが、新たに設立する法人の定款の事業目的欄に「酒類の販売」という文言が明記されているかどうかです。

仮にこの文言が記載されていない場合は、法務局において事業目的の変更登記を行う必要があります。

事業形態に合わせて「酒類の通信販売」、「酒類の卸売り」又は「酒類の輸出入」といった細かい文言を付け加えることも可能ですが、将来的な事業展開を見据え、これらをまとめて、「酒類の輸出入、卸売、小売お及び通信販売」又は「酒税法に基づく酒類販売業」と記載しても構いません。

★飲食店経営との兼業

飲食店内で酒類を販売することは原則として禁止されています。したがって、事業目的に「飲食店経営」が入っていると、飲食店との兼業についてツッコミが入ります。ただし、同一法人が別の場所で飲食店を経営することは何ら問題ありませんので、その辺りの事情についてはしっかりと説明できるように準備しておいてください。

事前相談

新設法人の場合は、経営基礎が不透明であるため、免許の可能性や必要となる手続きについてしっかりと確認するためにも、税務署の事前相談はマストです。

相談窓口は、予定販売場所の所在地を管轄する税務署ではなく、酒税指導官が常駐する税務署になります。

また、酒税指導官を訪ねる際は事前予約をした上で、以下の書類を持参すると話しがスムーズに進みます。

  • 定款及び履歴全部事項証明書(作成前であれば株主、取締役、資本金額などの内部構成及び定款案)
  • 予定販売場所の図面及び賃貸借契約書
  • 代表取締役、取締役といった役員の履歴書

経営基礎要件

経営能力に乏しい事業者に酒類の販売を任せていると、中長期的には徴収する酒税が目減りすることにつながるため、経営状況が安定しない事業者を酒類販売業に関与させることは好ましくありません。

したがって、資産状況、経験、資金および設備等を総合的に照らし合わせ、一定の経営基礎を持たないものと判断された申請者については、免許を受けることができません。

通常、経営基礎要件は、決算内容を基にして審査が行われますが、一度も決算期を迎えていない新設法人の場合、決算内容を基にした審査を行うことはできません。

この場合は、予定する酒類販売業の規模を鑑みてどのくらい資金が必要になるのか、また必要な運転資金に見合うだけの財産を有しているのかといった点を他の書類によって確認して審査することになります。

資本金の額

酒販免許を受ける上で具体的な資本金の額は設定されていませんが、「酒類を継続的に販売するために必要な資金を有していること」が要件となっている以上、資本金は多いにこしたことはありません。

資本金が少ない割に予定する酒類販売業の規模を大きく見積もっていると申請内容に矛盾が生ずるため、少なくとも予定する酒類販売業の運転資金の総額と、収支上均衡の取れる金額であることが求められます。

★具体的な資本金の額

資本金を1円とする法人も設立可能ですが、酒販免許の取得を目指すのであればお薦めすることはできません。主観的には資本金100万円ほどの法人であれば無難に免許を取得することができています。

ただし、通信販売、卸売、輸出入等の複数事業を同時に検討している場合は、100万円では物足りないイメージなので、規模に応じて相応の資本金を準備する必要があります。

このため、当初は小さな規模で参入し、事業がある程度育ってから別の酒販免許を取得するといったパターンも検討するようにしましょう。

★銀行口座

酒販免許では、経営基礎要件を証明する書類として法人名義口座の預貯金ページの写しを添付する必要があります。

法人名義口座の開設手続きはある程度の期間を要するため、法人設立後は速やかに口座開設の手続きを進めるようにしましょう。

納税証明書

酒販免許の申請では、たとえ新設法人であっても都道府県・市区町村が発行する納税証明書を添付するよう求められます。

「税額も確定していないのに何故?」と思われる方もいらっしゃいますが、必要な手続きとして受忍するようにしてください。

逆に言えば、滞納処分を受けているはずがないので、設立の届出さえしっかり行っていれば自治体は問題無く発行に応じてくれます。(自治体によっては発行してくれないケースもあるようですが、その場合は担当官にその旨を伝えるようにしてください。)

実務経験

酒販免許の取得には、「経験その他から判断し、適正に酒類の小売業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人であること」という要件があります。

要約すると、役員の中に、事業経営と酒類販売の両方について経験を有する者がいることが要求されているわけですが、この要件については、審査をする税務署ごとにその運用方法が微妙に異なります。

一概に、「こうすれば免許を取得できる」という例を提示することはできませんが、酒類販売に関して経験が全くない場合には、役員(監査役を除く)のいずれかが酒類販売管理研修を受講し、管理者として選任されることがマストになります。

販売場について

酒販免許は、販売場ごとに取得するものとされているため、販売場に関する審査は厳格に行われます。必ずしも法人登記されている営業所を販売場とする必要はなく、 たとえば役員の自宅を販売場として申請しても構いません。

ただし、賃貸物件の場合は「酒類販売場として賃貸する旨」を明記した貸借契約書のコピーや、物件所有者からの使用承諾書の提出を求められます。これは法人の代表者が所有する物件を法人に貸し出す場合でも同様です。

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