建築士資格と建設業許可の関係性について
建設業許可申請の業務を請け負っていると、時折「建設業許可には建築士の資格が必要なんですか?」という質問を承ることがあります。
結論から言えば、建設業許可に必ずしも建築士の資格は必要とされていませんが、どうやら「建設業」という大雑把な表現が、この疑問を誘い出すひとつの要因となっていることは間違いなさそうです。
そこで本稿では、改めて「建築士」の資格を紹介するとともに、建設業許可との関わりについても詳しく解説していきたいと思います。
建築士とは
建築士は建築士法に基づく国家資格です。一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類があり、建築物の規模、用途、構造に応じて、それぞれ設計・工事監理を行うことが出来る建築物が定められています。
一級建築士
一級建築士は、国土交通大臣の免許を受けて、すべての建築物の設計・工事監理等を行うことができます。ただし、一定規模以上の構造設計や設備設計をおこなうためには、構造設計一級建築士や設備設計一級建築士証の交付を受けている者の関与が必要になります。
二級建築士
二級建築士は、都道府県知事の免許を受けて主に中小規模工事の設計、工事監理等の業務を行います。
高さが13m又は軒の高さが9mを超えるものや、鉄筋コンクリート造、鉄骨造等で延べ面積が300㎡を超えるもの、木造建築物であっても3階建てを超えるものについては設計することができません。
木造建築士
2階建までの木造建築物で延べ面積が100㎡を超え300㎡以内のものの設計・工事監理等の業務を行うことができます。木造建築物であればオールマイティに設計することができる訳ではないという点については注意が必要です。
建設業許可
建設業とひとことで表現しても、その業種は29種類もあり、業種ごとの許可に必要となる資格要件はそれぞれ異なります。
具体的に建設業許可を取得する際に資格が求められるのは専任技術者についてです。専任技術者を選任する際には学歴に基づいた実務経験又は資格が必要とされており、建築士の資格はあくまでもその要件のひとつです。
冒頭に述べた「建設業許可には建築士の資格が必要なんですか?」の質問とは逆に、「一級建築士がいれば建設業許可を受けることができますよね?」といった質問を受けることもありますが、資格者が在籍しているからといって直ちに許可を取得することができるわけではなく、あくまでも専任技術者の選任という要件のひとつをクリアしたに過ぎません。その他の要件についても、すべてしっかりと満たす必要がありますのでご注意ください。
専任技術者に選任できる業種
建築士を専任技術者として選任することができる工事業種は以下のとおりです。これらの業種以外の許可を取得する際には、別の資格、若しくは実務経験が必要になります。
一級建築士 | 「建築一式工事」「大工工事」「屋根工事」「タイル・れんが・ブロック工事」「鋼構造物工事」「内装仕上工事」 ※特定建設業と一般建設業の両方 |
二級建築士 | 「建築一式工事」「大工工事」「タイル・れんが・ブロック工事」「内装仕上工事」 ※一般建設業のみ |
木造建築士 | 大工工事の一般建設業 |
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