高所作業車による工事又は作業に関する道路使用許可の取得方法

高所作業車

道路は人や車両の通行のために供される公共物であり、特定の個人や事業者が独占して使うことは認められていないため、道路上で工事や作業を行おうとする際には、その場所を管轄する警察署長に申請し、道路使用許可を受ける必要があります。

この原則は作業の規模や時間の長短を問わず適用されるものであり、短時間で終わる点検作業であっても、道路上に車両や機材を置いて作業を行う以上は許可の対象となる点に注意が必要です。

高所作業車を使って、建物の壁面や高所に設置された看板の点検、補修、撤去といった作業を行う場合も例外ではなく、作業車を道路上に停めてブームを伸ばし、周囲に作業スペースを確保するという作業の性質上、道路使用許可の取得は避けて通れません。特に高所作業車はアウトリガーを張り出して車体を固定するため、通常の駐車よりも広い範囲を占めることになり、歩行者や他の車両の通行に与える影響も大きくなりがちです。

さらに、作業現場が狭い路地に面している場合には、そもそも高所作業車のような大型の車両の通行が禁止されていることもあり、その場合には道路使用許可とは別に、通行禁止道路を通行するための許可もあわせて取得することになります。現場の状況によっては道路管理者との協議や周辺住民への説明が求められることもあるため、作業の計画段階でどのような手続きが関係してくるのかを把握しておくことが、工期を守るうえで重要なポイントとなります。

そこで本稿では、高所作業車による工事や作業に関する道路使用許可について、必要書類や申請書の記載内容、つまずきやすい交通安全対策図の作成方法を解説するとともに、あわせて必要となることの多い通行禁止道路通行許可やその他の関連手続きについても、実務の視点から順を追って整理していきたいと思います。

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高所作業と道路使用許可

道路交通法第77条第1項第1号は、道路において工事や作業をしようとする者に対し、所轄の警察署長の許可を受けることを求めており、高所作業車を道路上に停車させて行う点検や補修、看板の設置や撤去といった作業は、まさにこの規定が想定する行為に該当します。

作業車が道路の一部を占めることで、歩行者や車両が通行できる幅が狭くなるだけでなく、高所での作業に伴う落下物の危険も生じることから、事前に警察署長の審査を受け、安全対策を講じたうえで作業を行う仕組みとなっています。

ここでいう道路には、国道や都道府県道、市町村道といった公道だけでなく、不特定多数の人や車両が自由に通行できる私道や広場なども含まれるため、自社の敷地に面した道路であっても、作業車が道路にはみ出して作業を行う場合には許可が必要となります。

また、作業車を歩道に乗り入れずに車道上だけで作業を行う場合であっても、車線を塞ぐことで交通の流れに影響を与える以上は許可の対象となるため、作業場所が道路に少しでもかかるかどうかを事前に確認しておくことが大切です。

申請方法

申請は、作業場所となる道路の所在地を管轄する警察署に対して、次の書類を提出することにより行います。申請書は正本と副本の2通を作成するのが基本であり、このほか作業の内容や現場の状況によっては、工程表や車両の諸元表、周辺住民の承諾書などの補足資料の提出を求められることもあるため、管轄の警察署の案内をあらかじめ確認しておくと手続きがスムーズに進行します。

  1. 道路使用許可申請書(2通)
  2. 道路使用の場所又は区間の付近の見取図
  3. 交通安全対策図
  4. 道路使用の方法又は形態等を補足するために公安委員会が必要と認めて定めた書類

なお、申請から許可が下りるまでの期間は地域によって差があるものの、おおむね数日から1週間程度が目安とされており、後述する通行禁止道路通行許可や道路管理者との協議が加わる場合には、さらに日数がかかることも珍しくありません。看板の撤去や緊急の補修など作業日が限られているケースでは、許可の取得が間に合わずに工期全体が後ろ倒しになってしまうおそれもあるため、現場の下見を済ませた段階で早めに申請の準備に取りかかるよう心がけましょう。

道路使用許可申請書・交通安全対策図

道路使用許可申請書は、記載する項目がある程度決まっており、それほど難しい内容ではありません。具体的には、申請者の住所、氏名、電話番号のほか、道路使用の目的、場所または区間、期間、方法または形態、添付書類、現場責任者の住所、氏名、電話番号を欄内に記載していくことになり、高所作業車による作業の場合には、方法欄に作業車の種類や台数、作業の内容、交通誘導員の配置などを具体的に記載しておくと、審査する側が当日の様子を思い描きやすくなります。

道路使用許可(高所作業車)

これに対して、申請の準備で手間取りやすいのが交通安全対策図の作成です。とはいえ必要以上に難しく考える必要はなく、次の図のように作業現場の周辺を図面に落とし込み、道路の全幅や作業中に確保される有効幅員、高所作業車の車幅や全長といった数値を記載していけば、基本的な形は整います。

歩行者の通行空間として確保する有効幅員は原則として1.5m以上、地域によっては2.0m以上とされているため、事前に現地を測量し、作業車を停めた状態でも基準を満たせるかどうかを確認しておくことが大切です。

交通安全対策図 (高所作業車)
アウトリガー
アウトリガー
アウトリガー

アウトリガーとは、車両の安定性を高めて転倒を防止するために車体の側部に装備されている装置のことであり、高所作業車には通常このアウトリガーが附属しているため、図面を作成する際には、アウトリガーを張り出して使用した状態での車両の幅や長さを前提に、規制範囲や残される有効幅員を算出しておく必要があります。走行時の車幅だけで図面を作成してしまうと、実際の作業時に想定よりも広い範囲を占めることになり、審査の段階で修正を求められる原因となるため注意が必要です。

通行禁止道路通行許可

住宅街の狭い路地などでは、道路標識によって一定の車両の通行が禁止されていることがあり、高所作業車による作業現場がこうした道路に面している場合には、そもそも現場まで作業車を乗り入れることができません。そのため、高所作業車による作業を目的として道路使用許可を取得しようとする際には、作業場所に至る経路に通行禁止の規制がかかっていないかを事前に確認し、規制がある場合には、道路交通法第8条第2項に基づく通行禁止道路通行許可もあわせて取得することを想定しておきましょう。

通行禁止道路通行許可の申請は、道路使用許可と同様に、通行しようとする道路を管轄する警察署に対して次の書類を提出することにより行います。許可を受けるためには、通行禁止道路を通行することがやむを得ないと認められることが前提となるため、作業現場が通行禁止道路にしか面していないことや、他の経路では作業車が到達できないことなどを、経路図や疎明資料によって具体的に示すことがポイントとなります。

  • 通行許可申請書
  • 通行する道路の経路図
  • 自動車検査証の写し(又は申請時の提示)
  • その他通行禁止道路を通行することがやむを得ないと確認できる書面
通行禁止道路通行許可申請書

通行禁止道路通行許可申請書も、道路使用許可申請書と同様に、記載する項目自体はそれほど難しいものではありません。申請者の住所、氏名、電話番号のほか、主たる運転者の住所と氏名、車両の種類、ナンバープレートに表示されている番号、通行する期間と区間、通行することがやむを得ない理由を欄内に記載していくことになり、特にやむを得ない理由の欄については、作業の内容と現場の状況を踏まえて、なぜその道路を通行する必要があるのかを簡潔かつ具体的に説明することが大切です。

通行禁止道路通行許可申請書

なお、通行禁止道路通行許可は道路使用許可とは別個の手続きであるため、一方の許可を受けたからといって、もう一方の許可が不要になるわけではありません。両方の許可が必要となるケースでは、同じ警察署に同時に申請して審査を受けるのが効率的ですが、許可が下りるタイミングがずれることもあるため、作業日から逆算して十分な余裕をもって申請を済ませておくとともに、許可証は作業当日に車両に備え付けておくようにしましょう。

その他の手続き

高所作業車を歩道や点字ブロックの上に乗り入れて使用する場合には、道路使用許可とは別に、道路管理者との協議を求められることがあります。歩道は一般に大型車両の重量を想定した構造になっていないことが多く、作業車の乗り入れによって舗装や点字ブロックが損傷するおそれもあるため、道路管理者としては、乗り入れの可否や養生の方法、万が一損傷した場合の原状回復などについて、事前に確認しておきたいという事情があるのです。

また、作業の規模や現場の状況によっては、警察署から周辺住民や店舗、さらには路線バスを運行するバス会社などの承諾を得ておくよう求められるケースもあります。過去には、作業車の停車位置がバス停に近かったことからバス会社との調整を求められた例もあり、こうした承諾の取得には相手方とのやり取りに時間がかかることも多いため、事前相談の段階で警察署にどのような手続きや資料が必要になるのかをしっかりと確認しておくことが、手戻りを防ぐための近道となります。

このほか、使用する作業車の寸法や重量が道路法で定める一般的制限値を超える場合には、道路管理者から特殊車両通行許可を受けることが別途必要になることもあり、作業車の諸元によっては、警察署への申請とは別の窓口とのやり取りが発生します。さらに、作業に伴って足場や仮設物を道路上に一定期間設置する場合には、道路管理者の道路占用許可も関係してくるなど、一つの作業に対して複数の手続きが絡み合うことも少なくありません。

このように、高所作業車による作業は、一見すると短時間で終わる単純な作業であっても、現場の道路状況や作業車の大きさ、作業の方法によって必要となる手続きが大きく変わってきます。作業の計画が固まった段階で、現場の道路の種類や規制の有無、歩道への乗り入れの要否などを洗い出し、どの窓口にどのような手続きが必要になるのかを一覧にして整理しておくと、申請漏れを防ぎながら効率よく準備を進めることができます。

道路関連手続きサポート

事前協議の段階から多くの資料を作成することとなるうえ、現場、警察署、公営所の3箇所を何度も往復する必要があるなど、道路に関する手続きには時間と労力といった多大なコストを消費します。

本業は建設業であったり不動産業であったりするので、本来であれば本業に費やすべき時間を不慣れな手続きで消費することは経済的にもお薦めできるものではありません。

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