通行禁止道路の通行許可を取得するには│許可の要件・申請書の書き方・必要書類を解説

道路は誰もが利用できる公共の施設ですが、すべての道路をすべての車両が自由に通行できるわけではなく、道幅が狭い住宅街の路地や通学路、商店街などでは、歩行者の安全や生活環境を守るために、道路標識によって車両の通行が禁止されている区間があります。
こうした道路は一般に通行禁止道路と呼ばれており、規制の内容によっては、特定の時間帯だけ通行が禁止されていたり、大型車両や二輪車など特定の種類の車両に限って通行が禁止されていたりと、その形態はさまざまです。
一方で、通行禁止道路の沿道にも住宅や店舗、事業所は存在しており、車庫への出入りや荷物の集配、工事車両の通行など、どうしてもその道路を車両で通行する必要が生じる場面も少なくありません。そのため道路交通法は、通行禁止道路を通行することについてやむを得ない理由があると認められる場合に限り、所轄の警察署長が許可を与え、許可証を交付された車両については、許可を受けた条件の範囲内で通行を認めるという仕組みを設けています。
この通行禁止道路通行許可は、申請さえすれば誰でも受けられるという性質のものではなく、法令に定められた一定の理由に該当することを、申請書や添付書類によって具体的に示す必要があります。また、建設業者の方であれば、外壁の補修工事で足場を運搬する車両を現場に乗り入れる場合など、道路使用許可や道路占用許可とあわせて通行許可の取得が求められるケースも多く、複数の手続きを並行して進めることになるため、それぞれの手続きの関係を理解しておくことが大切です。
そこで本稿では、通行禁止道路の通行許可について、通行禁止道路の仕組みや許可を受けられるケース、申請先や必要書類、申請書の具体的な書き方、許可証の交付までの流れを、実務の視点から順を追って解説していきたいと思います。
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通行禁止道路
道路は人や物の移動を支える重要な社会基盤であり、交通の利便性を高める必要がある一方で、歩行者と車両が同じ空間を利用する以上、そこにはさまざまな危険が潜んでいます。道路標識や信号機には、こうした利便性と危険性とを調整する役割があり、都道府県の公安委員会が地域の道路事情に応じて交通規制を行うことによって、交通の安全と円滑が確保される仕組みとなっています。
道路交通法第8条第1項では、下図のような道路標識等が設置されている道路において車両で通行することを原則として禁止し、許可なく通行した場合には、反則金や違反点数が科されることを定めています。

規制の対象となる車両の種類や時間帯は標識の下に設置される補助標識によって示されることが多く、たとえば「7-9」のように朝の通学時間帯だけ規制される道路や、「大型」のように一定の大きさの車両だけが規制される道路もあるため、通行しようとする道路の規制内容を補助標識まで含めて正確に確認する必要があります。
特に業務で車両を使用している事業者にとっては、従業員の違反が重なることで業務に支障が生じることも考えられるため、現場への経路に通行禁止道路が含まれていないかを事前に確認し、含まれている場合には必要な許可を取得したうえで通行するという意識を、社内で共有しておくことが重要です。
なお、通行禁止道路の中には、歩行者の通行の安全を図るために車両の通行が禁止されている歩行者用道路もあり、通行許可を受けた車両がこうした道路を通行する場合には、道路交通法第9条により、特に歩行者に注意して徐行することが求められます。許可を受けたからといって通常の道路と同じように走行してよいわけではなく、許可に付された条件とあわせて、歩行者の安全に十分配慮した運転を心がけるようにしましょう。
通行許可を受けられるケース
道路交通法第8条第2項は、車両の通行について、政令で定めるやむを得ない理由があると認めて警察署長が許可をしたときは、通行禁止道路を通行することができると定めています。つまり、通行許可は申請者の都合によって自由に受けられるものではなく、法令に定められたやむを得ない理由に該当することが前提となっており、その理由に該当するかどうかを警察署長が個別に判断する仕組みとなっています。
具体的に許可を受けられるのは、道路交通法施行令に定められた次のようなケースに限られます。いずれも、その道路を車両で通行しなければ社会生活や事業活動に支障が生じるような事情が想定されており、単に近道になるから、時間を短縮したいからといった理由では許可を受けることはできない点に注意が必要です。
- 車庫など車両を保管するための場所に出入りするため
- 歩行が困難な方が車両を利用するなどの事情があるため
- 荷物の集配をするため
- 電気、ガス等の修復工事をするため
- 道路の維持管理をするため
- 冠婚葬祭、引越し等の社会生活上やむを得ない理由があるため
実務上よく見られるのは、通行禁止道路の区域内に自宅や事業所の車庫がある場合や、区域内の店舗や事業所へ定期的に商品を配送する場合、区域内の建物で外壁の補修や解体などの工事を行うために資材や重機を搬入する場合などです。特に工事に伴う通行許可では、工事車両が現場に到達するためには通行禁止道路を通る以外に経路がないことや、工事の期間中に限って通行する必要があることを、経路図や工程表によって具体的に説明することが求められます。
また、許可を受けられる場合であっても、通行の時間帯や区間、方法などについて条件が付されることが多く、たとえば通学時間帯の通行を避けることや、誘導員を配置して通行することなどが求められるケースもあります。
申請の段階で、通行が必要となる日時や区間を最小限に絞り込み、周辺の安全にどのように配慮するのかをあわせて示しておくと、許可を受けやすくなるとともに、条件の内容についても実情に合ったものになりやすくなります。
申請先と必要書類
通行許可の申請は、通行しようとする通行禁止道路を管轄する警察署の交通課(交通規制係)に対して、申請書と必要書類を提出することにより行います。通行しようとする区間が二つ以上の警察署の管轄にまたがる場合には、そのうちのいずれかの警察署に申請すれば足りるとされており、すべての警察署に個別に申請する必要はありません。なお、高速道路における通行許可については、警察署ではなく高速道路交通警察隊が申請先となります。
申請にあたって提出する主な書類は次のとおりであり、申請書と添付書類はそれぞれ2通ずつ用意するのが基本です。自動車検査証については写しを添付するか、申請時に原本を提示することになり、許可を受けようとする車両が複数ある場合には、車両ごとに申請書を作成するのが一般的な取扱いとなっています。
- 通行許可申請書
- 通行する道路の経路図
- 自動車検査証の写し(又は申請時の提示)
- その他通行禁止道路を通行することがやむを得ないと確認できる書面
やむを得ない理由を確認できる書面としては、車庫への出入りを理由とする場合であれば車庫の賃貸借契約書や保管場所の使用承諾書、荷物の集配を理由とする場合であれば配送先との取引を示す書類などが考えられます。どのような書面を用意すればよいかは申請の理由によって大きく異なるため、申請の前に警察署へ相談し、自分のケースでどのような書類が求められるのかを確認しておくと、手戻りを防ぐことができます。
また、上記に記載のない書類の提出を求められることもあり、たとえば工事現場周辺での道路使用許可や道路占用許可とあわせて通行許可を申請する場合には、工事現場の平面図や断面図、工程表などの提出を求められるケースが多くなります。複数の許可を同時に申請する場合には、それぞれの申請書で記載する期間や車両の情報に矛盾が生じないよう整合性をとっておくことも大切であり、詳しくは申請先となる警察署の交通課に問い合わせるようにしましょう。
申請書の書き方
通行許可申請書の様式は道路交通法施行規則で定められており、各都道府県の警察のウェブサイトや警察署の窓口で入手することができます。記載する項目自体はそれほど多くなく、内容もそれほど難しいものではありませんが、車両の情報や通行する区間、やむを得ない理由といった審査の中心となる項目については、記載の仕方によって審査の進み方が変わることもあるため、ポイントを押さえて丁寧に記載していくことが重要です。

上の記載例に沿って、各欄の書き方を整理すると次のとおりです。申請者の欄と主たる運転者の欄は混同しやすいところですが、申請者は許可を受ける主体であり、主たる運転者は実際にその車両を主に運転する人を指すため、法人で申請する場合などには、それぞれに記載する内容が異なることに注意しましょう。
①申請年月日
申請日を記載します。
②申請書の提出先
通行禁止道路を管轄する警察署名を記載します。区間が二つ以上の警察署の管内にまたがる場合は、そのいずれかの警察署名を記載します。
③申請者
法人の場合は、会社等の名称と所在地、代表者の氏名を記載します。
④主たる運転者
許可を受けようとする車両を主に運転する人の住所と氏名を記載します。
⑤車両の種類
普通乗用自動車など、申請する車両の種別を記載します。
⑥番号標に表示されている番号
自動車登録番号(ナンバー)を記載します。
⑦運転の期間
実際に通行許可を必要とする最小限度の期間を記載します。
⑧通行禁止道路の区間
実際に通行許可を必要とする場所、区間、区域を記載し、必要に応じて添付図面で区間を明らかにします。
⑨やむを得ない理由
申請理由を具体的に記載します。(例:規制区間内に車庫があるため、貨物の集配のため)
⑩通行禁止道路通行許可証
警察署が記載する欄のため、申請者の記載は不要です。
★行政書士実務メモ
特に重要なのが、運転の期間と通行禁止道路の区間、やむを得ない理由の三つの欄です。期間と区間については、念のために長めに設定したいと考えがちですが、通行許可は必要最小限の範囲で与えられるのが原則であるため、実際に通行が必要となる期間と区間に絞って記載し、やむを得ない理由については、なぜその道路を通行する以外に方法がないのかが審査する側に伝わるよう、具体的な事情を簡潔に記載するようにしましょう。
申請方法と許可証の交付
申請は、管轄の警察署の窓口に出向いて行うのが基本ですが、近年は警察関係の手続きのオンライン化が進んでおり、都道府県によってはe-Gov電子申請を通じて申請できる場合もあります。もっとも、オンラインで完結する範囲や許可証の交付方法は都道府県によって異なるため、オンライン申請を検討している場合には、申請先となる都道府県警察のウェブサイトで最新の取扱いを確認しておくことが大切です。
申請から許可証の交付までには、行政庁の休日を除いておおむね5日から7日程度かかるのが一般的な目安です。ただし、書類に不備があれば補正を求められ、その分だけ交付が遅れることになりますし、道路使用許可や道路占用許可とあわせて申請する場合には、関係機関との協議に時間がかかることもあるため、通行を開始したい日から逆算して、少なくとも2週間程度の余裕をもって申請を済ませておくことをおすすめします。
また、警察署によっては、許可証を郵送で受け取ることができる場合もあり、その際には申請書を提出する時点で、宛先などの必要事項を記載したレターパックプラスなどの返信用封筒の持参を求められることがあります。郵送による交付は窓口へ受け取りに行く手間を省けるという利点がある一方で、配達の状況によっては許可の開始日までに許可証が届かないおそれもあるため、通行開始日が迫っている場合には、窓口での受け取りを選ぶなど慎重に検討するようにしましょう。
審査の結果、申請の内容によっては許可が下りない場合や、通行の時間、区間、方法などについて条件が付される場合もあります。許可証が交付された後は、通行する際に許可証を車両に携帯し、警察官から求められたときには提示できるようにしておくとともに、許可に付された条件を守って通行することが大切であり、条件に違反した場合には許可の取消しなどの処分を受けるおそれもあることを、実際に運転する従業員にも周知しておきましょう。
道路関連手続きサポート
弊所においては、足場を組んで外壁を補修する工事を施工する際に、足場を運搬するための車両を通行禁止道路に通行させる場合など、道路使用許可や道路占用許可の申請に付随する形で通行許可を取得するケースを数多く取り扱っています。こうした工事では、作業そのものについての道路使用許可、足場の設置についての道路占用許可、車両の通行についての通行許可という三つの手続きが同時に関係することになり、それぞれの申請内容を矛盾なくそろえることが求められます。
これらの許可が絡むと手続きは煩雑になりがちで、多くの図面を作成して添付する手間が増えるだけでなく、現場と警察署、道路管理者の事務所などを何度も往復することになり、本業に充てるべき時間が大きく削られてしまいます。さらに、書類に不備があれば補正を求められ、その分だけ工事の着工が遅れることにもつながるため、煩わしい手続きは専門家に任せて、皆さまには本業に注力していただくことを強くおすすめいたします。
道路関連の手続きを十八番とする弊所では、こうした負担を軽減し、格安かつスピーディーに許可を取得できるプランをご用意しています。近年は扱いやすい見積もりサイトが参入していますが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。道路関連の手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。


