インターネットカフェにおける建築基準法上の基準と手続きについて

インターネットカフェを運営するにあたり建築基準法は、消防法と並ぶ重要な法令です。消防法がインターネットカフェの消防設備に関する基準を定めていることに対し、建築基準法では建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準を定めています。

インターネットカフェを新築するのであればともかく、元々まったく異なる用途で使用されていた居抜物件であれば、少々面倒な手続きを必要とするケースがあります。

そこで本稿では、インターネットカフェを開始するために避けては通れない建築基準法上の基準や手続上の注意点について、できる限り分かりやすく解説していきたいと思います。

インターネットカフェ開業ガイド│必要な手続きと注意点について

特殊建築物

特殊建築物とは、多数の人が集う建築物や、衛生上又は防火上特に規制すべき建築物など、読んで字の如く特殊な用途を持つ建築物のことを指します。建築基準法別表第一では、インターネットカフェを「百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの」として特殊建築物に指定し、一般建築物よりも一層厳しい規制を設けています。（建築基準法別表第一（4）項）

主要構造部

3階以上の階をインターネットカフェの用途に供するもの（階数が3で延べ面積が200㎡未満のものを除く）、インターネットカフェの用途に供する2階部分の床面積の合計が500㎡以上のもの、又はインターネットカフェの用途に供する部分の床面積の合計が3,000㎡以上のものは、その主要構造部の性能を、以下の技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとする必要があります。

また、床面積が50㎡を超える居室で窓その他の開口部の開放できる部分（天井又は天井から下方80cm以内の距離にある部分に限る）の面積の合計が居室の床面積の50分の1未満のもの、又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室で規定に適合しないものは、その居室を区画する主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で造られている必要があります。

3階建以上	耐火建築物
2階建で2階部分の床面積の合計が300㎡以上	準耐火建築物

技術的基準

主要構造部の性能に関する技術的基準は、以下①から④のいずれかに該当するものとされています。

建築基準法上の耐火構造について

外壁の開口部

3階以上の階をインターネットカフェの用途に供するもの（階数が3で延べ面積が200㎡未満のインターネットカフェであって、政令で定める技術的基準に従って警報設備を設けたものを除く）又はインターネットカフェの用途に供する2階部分の床面積の合計が500㎡以上のものは、他の部分から延焼するおそれのある外壁の開口部、又は他の外壁の開口部から通常の火災時における火炎が到達するおそれがあるものとして国土交通大臣が定める外壁の開口部については、防火戸、ドレンチャーその他火炎を遮る設備（通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間加熱面以外の面（屋内に面するものに限る）に火炎を出さないもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る）を設けるものとされています。

防火戸（防火扉）の性能と設置の基準について

インターネットカフェの内装

以下の構造を有するインターネットカフェでは、自動車車庫、及び地階又は地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室を除き、政令で定める技術的基準に従って、その壁及び天井（天井のない場合においては屋根）の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにするものとされています。

主要構造部を耐火構造とした建築物又は準耐火構造とした建築物 主要構造部を準耐火構造とした建築物と同等の準耐火性能を有するものとして主要構造部の防火の措置その他の事項について政令で定める技術的基準に適合するもの	インターネットカフェの用途に供する3階以上の部分の床面積の合計が1,000㎡以上のもの インターネットカフェの用途に供する2階の部分の床面積の合計が500㎡以上のもの
主要構造部を準耐火構造とした建築物又はこれと同等の準耐火性能を有するものとして主要構造部の防火の措置その他の事項について政令で定める技術的基準に適合するもの（一時間準耐火基準に適合するものを除く）	インターネットカフェの用途に供する2階の部分の床面積の合計が500㎡以上のもの
その他の建築物	インターネットカフェの用途に供する部分の床面積の合計が200㎡以上のもの

避難・消火に関する技術的基準

廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓せん、スプリンクラー、貯水槽そうその他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定める技術的基準に従って、避難上及び消火上支障がないようにするものとされています。

避難経路に必要な通路幅とは│消防法と建築基準法による規制について

消防法との関係

建築基準法と消防法とは、切っても切れない関係性にあります。建築物の構造によって設置すべき消防設備は増減しますし、消防設備の有無によって建築基準法上の基準が緩和されることもあります。

このため、これらはある程度セットで捉え、インターネットカフェの予定地が定まれば、契約に先立ってまずは両法令に適合しているかどうかをしっかりと確認するようにしましょう。

インターネットカフェにおける消防法上の注意点について

建築確認と用途変更

建築確認とは、建物の新築、増築、改築、移転（増築、改築、移転の場合は、これらの部分の床面積が10㎡以内のものを除く）、大規模の修繕・模様替え等の工事着手前に、建物や地盤が建築基準法に適合していることを行政庁（建築主事）が確認する行為をいいます。

用途を定めて工事着手前に申請し、建築主事が申請に基づいて確認を行います。特に問題がなければ「建築確認済証」が交付され、この書面を受け取ることによりようやく工事を開始することができます。

そして建物の完成後に検査を受けて基準に適合していることが確認されると、今度は建築物ごとに「検査済証」が交付されます。建築確認済証の交付が工事開始の要件であることに対し、検査済証の交付は建物使用開始の要件となります。

また、使用用途がインターネットカフェとは異なる既存の建物を新たにインターネットカフェとして使用する場合、インターネットカフェに供する部分の面積が200㎡を超えるときは、用途変更の建築確認を申請する必要があります。

飲食店営業許可申請の際に添付することを求められるわけではありませんが、建築確認や検査が行われていない建物についてはインターネットカフェの営業所として使用することはできません。ご面倒ではありますが、重要な要件なので必ずしっかりと把握するようにしてください。

インターネットカフェ開業サポート

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