生活介護(障害者福祉サービス)の指定申請について│生活介護事業所開業マニュアル
障害者福祉サービス事業における「生活介護」とは、障害者支援施設などで、常に介護を必要とする障害者に対して、入浴・排せつ・食事の介護等を行うとともに、創作的活動や生産活動の機会を提供するサービスです。
また、事業所を開設し、生活介護を事業として行う際は、法令において定められている指定基準を満たした上で申請し、地方自治体による障害福祉サービス事業者の指定を受ける必要があります。
本稿では、生活介護事業所の開設を目指す皆さまに向けて、生活介護サービスの概要や、指定を受けるために必要とされている基準や手続き等について、詳しく解説していきたいと思います。
生活介護とは
生活介護とは、障害者支援施設などで、常に介護を必要とする方に対して、主に昼間において、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事、生活等に関する相談・助言その他の必要な日常生活上の支援、創作的活動・生産活動の機会の提供のほか、身体機能や生活能力の向上のために必要な援助を行うサービスです。
生活介護事業所では、自立の促進、生活の改善、身体機能の維持向上を目的として、通所による複合的なサービスを提供し、障害のある方の社会参加と福祉の増進を支援します。
なお、「生活介護」で検索した際には、高齢者介護において用いられる「生活介護」が数多くヒットしますので、これらを混同してしまわないように気をつけましょう。
サービス内容
常時介護を必要とする障害者が、障害者支援施設その他の施設に「通所」させることにより、おもに日中、次のサービスを提供します。
- 入浴、排せつ、食事等の身体介助
- 調理、洗濯、掃除等の家事援助生活等に関する相談や助言
- その他日常生活上の支援創作的活動や生産活動の機会の提供
- 身体機能や生活能力の向上のために必要な援助
対象となる利用者
地域や施設において安定した生活を営むために、常時支援が必要な以下の者を対象としてサービスを提供します。
年齢 | 障害支援区分 | 施設入所支援を併せて利用する場合 |
---|---|---|
50歳未満 | 3以上 | 4以上 |
50歳以上 | 2以上 | 3以上 |
施設入所支援と併せて利用する場合において、障害者支援区分の要件を満たしていない者については、特定相談支援事業所によるサービス等利用計画案の作成手続きを経て、市町村により必要性を認められることにより、生活介護を利用することができるようになります。
指定基準について
生活介護サービス事業を運営する際は、以下の指定基準を満たした上で申請し、都道府県知事(一部の市町村については市町村長)により生活介護サービス事業者として指定を受ける必要があります。
- 法人であること
- 人員配置基準をみたすこと
- 設備基準をみたすこと
人員配置基準
指定を受けるために配置すべき人員の基準は、次の表のとおりです。なお、管理者とサービス管理責任者(サビ管)については、兼務することが可能です。
職種 | 人数 | 要件 |
---|---|---|
管理者 | 1名以上 | 社会福祉主事等 |
サービス管理責任者 | 1名以上 | 常勤 60:1 |
医師 | 嘱託可能 | 未配置の場合は減算 |
看護職員 | 1名以上 | 保健師、看護師、准看護師 |
理学療法士または作業療法士 | 1名以上 | 看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、言語聴覚士で必要な訓練を行う能力を有する者が配置されていれば可 |
生活支援員 | 1名以上 | 1名は常勤 |
看護職員、理学療法士または作業療法士、生活支援員の配置すべき総数は、常勤換算で次の表のとおりです。
平均障害支援区分 | 配置する人数 |
---|---|
4未満 | 利用者6名ごとに1名 |
4以上5未満 | 利用者5名ごとに1名 |
5以上 | 利用者3名ごとに1名 |
設備基準
設備基準は次の表のとおりです。設備は原則として生活介護サービス事業所の用にのみ供するものである必要がありますが、利用者の支援に支障がなければ他の用途と兼用することができます。
設備 | 要件 |
---|---|
訓練・作業室 | サービス提供に支障のない広さを備えること |
相談室 | プライバシーに配慮できる空間にすること |
洗面所・トイレ | 利用者の特性に応じたものであること トイレ手洗いと洗面所の兼用は不可 アルコール消毒液、ペーパータオルを設置 |
多目的室 | 相談室との兼用も可能 |
事務室 | 鍵付き書庫を設置 |
指定申請に必要となる書類
サービス報酬について
18歳以上の場合は、利用者とその配偶者の所得、18歳未満の場合は児童を監護する保護者の属する世帯(住民基本台帳上の世帯)の所得に応じた自己負担の上限月額があります。ただし、上限月額よりもサービスに係る費用の1割の金額の方が低い場合には、そのままの金額を支払います。その他に、食費などについての実費負担があります。
まとめ
どうしても複雑に捉えがちな障害者福祉サービスですが、形態としては、高齢者が通所する「デイサービス」や「デイケア」をイメージすれば伝わりやすいように思います。
高齢者介護も障害者福祉も、現在は地域に密着したシステムに移行しています。その担い手となる事業者に対する需要と潜在的な期待感は、今も変わらず伸び続けています。
一方で、コロナ禍を経て、通所サービスの在り方自体にも変化が求められつつあります。いずれにせよ、生活介護サービス事業が過渡期のさなかであることは間違いありません。まずはしっかりと周辺知識を蓄え、明確なビジョンと事業計画のもと、準備を進めるよう心がけましょう。
当事務所は福祉と手続きのエキスパートです。
弊所では、障がい福祉事業に関するさまざまな情報を発信するとともに、指定申請に関する手続きのサポートを行っています。代表は介護施設を運営していた実績を有する福祉の専門家であるとともに、現役のケアマネジャーという傾聴のスペシャリストでもあります。
ご不明な点、ご不安な点がありましたら、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
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