ゲストハウス(簡易宿)開業ガイド│簡易宿所営業許可について

和室

簡易宿所営業とは、ペンション、民宿、キャンプ場、山小屋、ゲストハウス、バックパッカーズ、ユースホステル、カプセルホテルなど、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいいます。

近年は、いわゆる「民泊」の一形態として位置づけられることも多い簡易宿所ですが、本稿では、この簡易宿所の営業をはじめようとする際に必要となる基礎知識について詳しく解説していきたいと思います。

簡易宿所とは

簡易宿所とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を有し、宿泊料を受けて、人を宿泊させ、下宿営業以外の営業を行うための施設をいいます。

簡易宿所とは?
  • 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を有すること
  • 宿泊料を受けること
  • 人を宿泊させること
  • 下宿営業以外の営業を行うこと

旅館業法という法律において、旅館業は「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。簡易宿所営業は、この旅館業のうちの一区分です。あくまでも「人を宿泊させる」ことが旅館業の要件であり、生活の本拠を置くアパートや間借り部屋などは旅館業には含まれません。また、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされており、さらに「宿泊料を受けること」が旅館業の要件となっているため、寝具を提供しない場合や、宿泊料を徴収しない場合も旅館業に該当しないことになります。

旅館・ホテル営業施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のもの
簡易宿所営業宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のもの
下宿営業施設を設け、1か月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業

なお、名目のいかんを問わず実質的に寝具や部屋の使用料とみなされるものはすべて宿泊料に含まれるため、休憩料はもちろん、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費についても宿泊料とみなされます。

また、下宿営業とは、施設を設け、1か月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業をいい、構造設備基準などが簡易宿所営業とは異なりますが、簡易宿所営業の許可を受けた者は、その施設において、新たに下宿営業許可を受けることなく下宿営業を営むことが可能です。

宿泊の定義

宿泊とは、寝具を使用して施設を利用することとされています。そして寝具とは、寝台(ベッド)、敷布団、掛け布団、毛布、敷布又はシーツ、枕、カバー(包布等)、寝衣(浴衣を含む)等仮眠若しくは睡眠又はこれらに類似する行為において使用されるものをいいます。

したがって、「宿泊させる」ということは、これらの「寝具」を提供して施設を利用させることを指すのであり、単に明け方まで客を滞在させることは、「宿泊」には該当しないことになります。

この解釈については、逆説的に「寝具を提供しなければ宿泊には該当しない」とも取れるため、議論の対象となる場合があります。(例:インターネットカフェの個室、スーパー銭湯のざこ寝スペース等)

こういったケースは「宿泊」に該当しないよう工夫していることがほとんどなので、ご不安な点があれば、所轄の保健所や民泊に詳しい行政書士に相談することをお薦めしておきます。

民泊としての簡易宿所営業

一般的に民泊とは、自宅の一部や空き別荘、マンションの空室などを活用して宿泊サービスを提供するものと定義されています。ただ、ひとことで民泊とはいっても、法的には次の3タイプが混在しており、民泊事業をはじめようとする際は、事業規模や地域性によってこのうちから選択し、それぞれの形態に応じた手続きを行う必要があります。

事業形態手続き難易度
簡易宿所許可
特区民泊認定
住宅宿泊事業届出

旅館やホテルなどと比較すると参入しやすいと言える簡易宿所営業ですが、民泊として考えた場合には、特区民泊や住宅宿泊事業よりも参入難易度は高いという位置づけです。

民泊の代表格ともいえる住宅宿泊事業では、民泊としての営業が年間最大180日に限られるという縛りがあり、また、特区民泊においては「2泊3日以上の滞在」が条件とされていることから、難易度が高い分、簡易宿所の方がビジネス面でのメリットも高いということが言えるかもしれません。

民泊事業としての参入を検討する際は、このようなこともしっかり頭に入れながら準備を進めるようにしましょう。

簡易宿所営業許可

簡易宿所を営もうとする者は、都道府県知事(保健所設置市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けることが必要となります。なお、都道府県知事等は、旅館業の許可について、公衆衛生上又は善良の風俗の保持上必要な条件を附すことができるものとされています。

許可の基準

簡易宿所営業許可を受けるためには、以下3つの基準をすべてクリアする必要があります。

  • 人的基準
  • 設置場所基準
  • 構造設備基準

人的基準

簡易宿所を営むことができるのは、次のいずれにも該当しない者に限られます。(欠格事由)

  • 心身の故障により旅館業を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくはこの法律に基づく処分に違反して罰金以下の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
  • 許可を取り消され、取消しの日から起算して3年を経過していない者
  • 暴力団対策法に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から起算して5年を経過しない者
  • 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記のいずれかに該当するもの法人であって、その業務を行う役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者

設置場所基準

  • 学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く)
  • 幼保連携型認定こども園
  • 社会教育に関する施設その他の施設で、上記に掲げる施設に類するものとして都道府県(保健所設置市又は特別区)の条例で定めるもの

都道府県知事が上記施設の敷地の周囲おおむね100mの区域内の施設について許可を与える場合には、あらかじめ、その施設の設置によって上記施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがないかどうかについて、上記施設の学長等の意見を求めなければならないものとされています。

上記施設の学長等は、施設の敷地の周囲おおむね100mの区域内にある旅館業の施設の構造設備が政令で定める基準に適合しなくなった場合又は営業者が施設の敷地の周囲おおむね100mの区域内において政令で定める基準に違反した場合において、当該施設の清純な施設環境が著しく害されていると認めるときは、処分について都道府県知事に意見を述べることができます。

構造設備基準

  • 客室の延床面積は、33㎥(宿泊者の数を10人未満とする場合には、3.3㎥に当該宿泊者の数を乗じて得た面積)以上であること
  • 階層式寝台を有する場合には、上段と下段の間隔は、おおむね1m以上であること
  • 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること
  • 施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障をきたさないと認められる場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる規模の入浴設備を有すること
  • 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること
  • 適当な数の便所を有すること
  • その他都道府県が条例で定める構造設備の基準に適合すること

なお、簡易宿所営業の施設のうち、季節的に利用されるもの、交通が著しく不便な地域にあるものその他特別の事情があるものについては、旅館業法施行規則において、次のような特例が設けられています。

キャンプ場、スキー場、海水浴場等において特定の季節に限り営業する施設客室数、客室の床面積、玄関帳場等の基準を適用しない
交通が著しく不便な地域にある施設であって、利用度が低いもの客室数、客室の床面積、玄関帳場等の基準を適用しない
体育会、博覧会等のために一時的に営業する施設客室数、客室の床面積、玄関帳場等の基準を適用しない
農林漁業体験民宿業を営む施設客室延床面積の基準を適用しない
文部科学大臣に選定された重要伝統的建造物群保存地区内に在る伝統的建造物玄関帳場の代替設備等による対応が認められる

許可申請に必要となる書類

  • 旅館業営業許可申請書[Word:35KB]
  • 定款若しくは寄付行為の写し又は登記事項証明書(法人)
  • 営業施設の敷地周辺の見取り図
  • 営業施設の配置図
  • 営業施設の平面図面及び立面図
  • 水質検査成績書(水道水以外の水を使用する場合)
  • その他都道府県知事等が公衆衛生上又は善良の保持上必要があると認める書類

上記は兵庫県における旅館業営業許可の申請に必要となる書類です。各自治体ごとに条例による規制があり、求められる書類も異なるため、申請の際には所轄の保健所等で必ず事前確認を行うようにしましょう。

営業者の義務

営業者は、次のいずれかに該当する場合を除いては、宿泊を拒むことはできません。

  • 宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき
  • 宿泊しようとする者が、賭博その他の違法行為又は風紀を乱す行為をするおそれがあると認められるとき
  • 宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき

また、営業者は旅館業の施設又は営業者の事務所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業、国籍及び旅券番号(外国人)その他都道府県知事が必要と認める事項を記載し、都道府県知事の要求があったときは、これを提出しなければなりません。

宿泊者についても、営業者から請求があったときは、営業者に対して上記の事項を告げなければならないものとされています。

開業に必要な費用

ここでは一般的なゲストハウスの開業に必要とされる費用についてご案内します。もちろん地域や事業規模によって違いは発生しますので、あくまでも参考程度でお考えください。

初期費用の目安

物件取得100~500万円
設備(リフォーム含む)300~500万円
什器・備品20万円
その他20万円
合計約500~1,000万円

運営資金の目安

地代家賃20~70万円
水道光熱費20〜30万円
人件費40万円(従業員1名)
消耗品費3万円
広告宣伝費20〜30万円
合計110~180万円

まとめ

民泊というとお手軽な事業のように感じる方も多いように思われますが、事業計画を甘く見積もると、苦戦を強いられることは間違いありません。実際に、民泊が一時流行したときに民泊事業をはじめた方の中には、「こんなはずじゃなかった」と言って事業の転換を図る方もたくさん相談にいらっしゃいます。また、知識や人手が不足しているために宿泊客や周辺住民との間でトラブルを生じるケースも珍しくはありません。

コロナ禍を経て、観光業そのものに求められるニーズが変化しつつある現在だからこそ、今いちどしっかりとした事業計画を立て直し、「おもてなし」の精神に基づいたサービスを提供していくことが観光業復活の鍵であるように思います。

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簡易宿所営業許可申請(概ね400㎡まで)198,000円~
(事前調査報酬額込み)
簡易宿所営業許可申請(400㎡以上)330,000円~
(事前調査報酬額込み)
事前調査のみ33,000円〜
※税込み

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