温泉成分分析機関とは│登録に必要となる手続きについて

温泉法第18条では、温泉を公共の浴用または飲用に供する者に対し、施設内の見やすい場所への「温泉成分等」の掲示を義務付けています。また、同法第19条においては、この掲示の根拠となる温泉成分の分析および検査を行う機関について規定しており、同条に基づき都道府県知事(または環境大臣)の登録を受けた機関を「登録分析機関」と呼びます。
温泉の成分等の掲示
温泉を公共の浴用又は飲用に供する者は、温泉法第18条に基づき、施設内の見やすい場所に以下の事項を掲示しなければなりません。この掲示は、登録分析機関が行う温泉成分分析の結果に基づいて行う必要があります。
| 源泉及び泉質に関する基本情報 | 源泉名 |
| 温泉の泉質 | |
| 源泉及び温泉を公共の浴用又は飲用に供する場所における温泉の温度 | |
| 温泉の成分 | |
| 分析の信頼性に関する情報 | 温泉成分の分析年月日 |
| 登録分析機関の名称及び登録番号 | |
| 入浴・飲用上のガイドライン | 浴用又は飲用の禁忌症 |
| 浴用又は飲用の方法及び注意 | |
| 追加情報(適正化項目) | 温泉に水を加えて公共の浴用に供する場合は、その旨及びその理由 |
| 温泉を加温して公共の浴用に供する場合は、その旨及びその理由 |
温泉成分は経年変化する可能性があるため、継続して温泉を供する者は、10年以内ごとに登録分析機関による再分析を受けなければなりません。また、分析結果の通知を受けた日から30日以内に、最新の結果に基づき掲示内容を変更(更新)する義務があります。
また、登録分析機関は温泉成分分析の求めがあった場合、正当な理由がある場合を除き、これを拒んではならない(受諾義務)とされています。
温泉成分分析を行う者の登録
温泉成分分析の業務を行おうとする者は、その分析を行う施設(分析施設)ごとに、その施設の所在地を管轄する都道府県知事に対し、以下の事項を記載した申請書を提出して登録を受けなければなりません。
- 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
- 分析施設の名称及び所在地
- 温泉成分分析に使用する器具、機械又は装置の名称及び性能
- 温泉成分分析の業務の責任者(分析責任者)の氏名
- 温泉成分分析の業務に関し分析責任者が有する資格
- 分析責任者の温泉成分分析にに関する経験及び研究成果の概要
- その他参考となるべき事項
また、登録分析機関は、分析責任者の変更があった場合、または温泉成分分析業務を廃止した場合は、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出なければなりません。
登録の基準
登録分析機関として登録されるには、「人的基準」「設備基準」「経理的基礎」の各要件をすべて満たさなければなりません。
都道府県知事は、申請がこれらの基準に適合すると認めた場合、必要な事項を登録分析機関登録簿に記載し、一般の閲覧に供することが義務付けられています。
- 欠格事由に該当しないこと(人的基準)
- 温泉成分分析に使用する器具等の設備が環境省令で定める基準に適合するものであること(設備基準)
- 申請者が、温泉成分分析を適正かつ確実に実施するのに十分な経理的基礎を有するものであること(経理的基礎基準)
人的基準
登録の申請をすることができる者は、以下の欠格事由のいずれにも該当しない者でなければならないと定められています。
- 温泉法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 許可を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
- 法人であって、その役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
分析責任者の設置
分析責任者の設置に関しては、分析業務の信頼性を最終的に保証するため、高度な専門知識と実務経験を有する者を専任で配置しなければなりません。
その資格要件としては、薬剤師の免許を有する者、あるいは大学等において化学に関する学科を修めて卒業し、かつ3年以上の実務経験を有する者であることが求められます。あわせて、過去に法令違反等による登録の取消しを受けてから2年を経過していないなど、法が定める欠格事由のいずれにも該当しないことが必要とされています。
設備基準
登録を受けるためには、温泉成分分析に使用する器具、機械又は装置として、以下の性能を有するものを保有していることが必要です。なお、これらには掲示されたものと同程度以上の性能を有する器具、機械又は装置も含まれます。
| ガラス製棒状温度計 | 日本産業規格B7417に適合するものであって、目量(隣接する目盛標識のそれぞれが表す物象の状態の量の差)が0.1℃以下のもの |
| 化学天びん | ひよう量が10g以上であって、感量(質量計が反応することができる質量の最小の変化)が0.1mg以下のもの |
| 原子吸光光度計 | 性能基準なし |
| 分光光度計 | 性能基準なし |
| 水素イオン濃度計 | 日本産業規格Z8802に適合するガラス電極法による形式のもの |
| イオンクロマトグラフ | 性能基準なし |
| IM泉効計又は液体シンチレーションカウンター | 性能基準なし |
| 水銀用原子吸光分析装置 | 性能基準なし |
ただし、次のいずれかの条件を満たす場合、申請者がその事実を証明する書類を都道府県知事に提出することを条件として、IM泉効計や液体シンチレーションカウンター(同等以上の性能を有するものを含む)の保有義務は免除されます。
- 申請者が、IM泉効計等を保有している者との間で、温泉成分分析の実施のために必要な場合にIM泉効計等を借り受ける旨の契約を締結しているとき
- 申請者が、IM泉効計等を保有している登録分析機関との間で、当該登録分析機関がIM泉効計等を用いて行う温泉成分分析を申請者に代わって行う旨の契約を締結しているとき
経理的基礎基準
温泉成分分析は長期にわたり継続的に行われるべき公共性の高い業務です。そのため、一時的な収益状況に左右されず、安定して業務を遂行できる健全な財務基盤(経理的基礎)を有していることが求められます。
具体的には、直近の財務諸表等に基づき、事業運営に支障をきたすような債務超過の状態にないこと、及びその業務を安定して維持するための資金調達能力や収益基盤を備えていることが求められます。また、分析の中立性を確保する観点から、特定の利益団体に依存しない経済的独立性を保っていることも審査の対象となります。
申請に際しては、これらの状況を客観的に証明するため、貸借対照表、損益計算書、事業計画書等の提出が必要です。
申請方法
登録分析機関の登録申請先は、原則として主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事となります。
実務上の具体的な窓口は、温泉法の所管が「衛生(保健)」なのか「環境(自然保護)」なのかによって判断が分かれており、例えば兵庫県であれば「薬務課」、大阪府であれば「環境農林水産部」が窓口となります。
事前相談(最重要)
主たる事務所の所在地を管轄する都道府県の窓口(薬務課や衛生課など)へ出向き、図面や設備一覧、分析責任者の経歴書案を持参して事前確認を受けます。
申請書類の提出
事前相談で不備がないことを確認した後、正式に申請書と添付書類(以下参照)を提出し、手数料(都道府県の条例により異なりますが、概ね数万円〜十数万円程度)を納付します。
- 温泉成分分析機関登録申請書[Word:33KB]
- 誓約書[Word:28KB]
- 住民票の写し(個人)
- 定款又は寄附行為及び登記事項証明書(法人)
- 分析施設の見取図
- 温泉成分分析を適正かつ確実に実施するのに十分な経理的基礎を有することを証する書類
書面審査及び実地調査
提出された書類の審査とともに、都道府県の担当官が実際の分析施設を訪問し、申請通りの器具が備え付けられているか、管理体制に問題がないかを確認する実地調査が行われます。
登録分析機関の義務
登録分析機関には、温泉成分分析の適正かつ公正な実施を確保するため、温泉法により厳格な義務が課されています。主な内容として、正当な理由のない受託拒否の禁止や、分析結果の適正な通知、さらには分析責任者の変更や業務廃止時における都道府県知事への遅滞ない届出が挙げられます。
また、長期間にわたり分析の精度と信頼性を維持するため、帳簿の備え付けや秘密保持、適切な機器管理といった実務上の義務を継続的に果たす必要があります。
標識
登録分析機関は、事務所及び分析施設のそれぞれにおいて、公衆の目に触れやすい場所に次の事項を記載した標識を掲示することが義務付けられています。
- 登録の年月日
- 登録番号
- 登録を受けた分析施設の所在地の属する都道府県名
- 登録分析機関の氏名及び住所
- 主たる事務所の所在地及び名称並びに代表者の氏名(法人の場合)
- 分析施設の名称及び所在地
温泉成分分析機関登録申請サポート
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