温泉掘削許可│温泉を掘削するために必要な手続きについて
温泉は、公共の天然施設ですが、湯脈の採掘には高水準の技術力が必要とされることや、掘削(くっさく)に伴って災害が引き起こされる危険性があること等の理由により、温泉法では、温泉の掘削について許可制を採用し、これを規制することによって温泉の保護と災害の防止を同時に図っています。
目 次
温泉掘削許可
温泉をゆう出(湧出)させる目的で土地を掘削しようとする者は、都道府県知事に申請し、その許可を受ける必要があります。この申請を行うことができる者は、掘削に必要な土地を掘削のために使用する権利を有する者に限られ、その申請は、以下の事項を記載した申請書を都道府県に提出することによって行います。
- 申請者の住所及び氏名
- 主たる事務所の所在地及び名称並びに代表者の氏名(法人)
- 掘削に係る温泉の利用の目的
- 掘削しようとする土地の所在、地番及び地目並びにその付近の状況
- 湧出路の口径、深さその他掘削の工事の施行方法
- 主要な設備の構造及び能力
- 工事の着手及び完了の予定日
許可の有効期間は2年間ですが、都道府県知事は、許可に係る掘削の工事が災害その他やむを得ない理由により許可の有効期間内に完了しないと見込まれるときは、許可を受けた者の申請により、1回に限り、2年を限度としてその有効期間を更新することができます。
また、許可を受けた者は、掘削のための施設の位置、構造若しくは設備又は掘削の方法について可燃性天然ガスによる災害の防止上重要な変更をしようとするときは、都道府県知事に申請して、変更の許可を受ける必要があります。
許可の基準
許可の申請について、以下のいずれかの事由に該当するときは、許可を受けることができません。また、この許可には、温泉の保護、可燃性天然ガスによる災害の防止その他公益上必要な条件が付され、及びこれを変更されることがあります。
- 申請に係る掘削が温泉のゆう出量、温度又は成分に影響を及ぼすと認めるとき
- 申請に係る掘削のための施設の位置、構造及び設備並びに当該掘削の方法が掘削に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害の防止に関する環境省令で定める技術上の基準(後述)に適合しないものであると認めるとき
- 申請に係る掘削が公益を害するおそれがあると認めるとき
- 申請者が温泉法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者であるとき
- 申請者が許可を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者であるとき
- 申請者が法人である場合において、その役員が温泉法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、若しくはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者であるとき、又は許可を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者であるとき
さらに、土地の掘削に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害の防止上、緊急の必要があると認められるときは、掘削を行う者に対し、可燃性天然ガスによる災害の防止上必要な措置を講ずるよう命令がせられることがあるほか、掘削そのものの停止命令が発せられることがあります。
技術上の基準
上記の「環境省令で定める掘削に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害の防止に関する技術上の基準」とは、具体的に、以下の基準をいいます。
- 掘削口から敷地境界線までの水平距離が3m以上(地質構造、周辺のガスの発生状況等からみて、可燃性天然ガスの噴出のおそれがある場合には8m以上)であること
- 掘削口から水平距離3m(地質構造、周辺のガスの発生状況等からみて、可燃性天然ガスの噴出のおそれがある場合には8m)の範囲内において、次に掲げる措置を講じていること
- 火気を使用する設備又は外面が著しく高温となる設備を設置しないこと
- 火気を使用する作業(当該範囲内において行うことがやむを得ない溶接又は溶断の作業を除く)を実施しないこと
- 掘削の工事の関係者が見やすい場所に、火気の使用を禁止する旨を掲示すること
- 掘削口から水平距離3m(地質構造、周辺のガスの発生状況等からみて、可燃性天然ガスの噴出のおそれがある場合には8m)の範囲内においては、さくの設置その他の方法により、掘削の工事の関係者以外の者の立入りを制限すること
- 携帯型の可燃性ガス測定器及び消火器を備えていること
- 地質構造、周辺のガスの発生状況等からみて、可燃性天然ガスの噴出のおそれがある場合には、噴出防止装置が設置されていること
- 地質構造、周辺のガスの発生状況等からみて、可燃性天然ガスの噴出のおそれがある場合には、次の要件を備えた可燃性ガスの警報設備が設けられていること
- 可燃性ガスの検知器は、掘削口(泥水循環方式による掘削の場合において、掘削口以外の場所に循環泥水の放出口があるときは、掘削口及び循環泥水の放出口)の直上に設置されていること
- 警報装置は、空気中のメタンの濃度が爆発下限界の値の25%以上となった場合に警報を発すること
- 毎日(掘削の工事を行わない日を除く)1回以上、次に掲げる点検の作業を行うこと
- 掘削口等の周辺の空気中のメタンの濃度を携帯型の可燃性ガス測定器を用いて測定すること
- 地質構造、周辺のガスの発生状況等からみて、可燃性天然ガスの噴出のおそれがある場合には、可燃性天然ガスの噴出の兆候の有無を目視により点検すること
- 地質構造、周辺のガスの発生状況等からみて、可燃性天然ガスの噴出のおそれがある場合には、湧出路の洗浄を行うに当たつては、常時、可燃性天然ガスの噴出の兆候の有無を目視により点検すること
- 次に掲げる事項を記録し、その記録を掘削の工事の完了又は廃止までの間、保存すること
- 警報設備による警報の作動の状況
- 点検の作業の結果
- 次に掲げる事項を定めた掘削に係る可燃性天然ガスによる災害の防止に関する規程(掘削時災害防止規程)を作成し、これを掘削の工事の場所に備えていること
- 災害の防止のための措置の実施に係る組織、安全に関する担当者の選任その他の災害の防止のための措置を適正に実施するための体制に関する事項
- 災害の防止のために行う点検の項目及び方法に関する事項
- 災害その他の非常の場合にとるべき措置に関する事項
- その他災害の防止に関し必要な事項
- 災害その他の非常の場合には、掘削時災害防止規程に従つて必要な措置を行うこと
申請に必要となる書類
以下の書類は、兵庫県における温泉掘削許可申請の必要書類ですが、自治体ごとに求められる書類も異なるため、申請の際には、窓口となる所轄保健所等に出向き、しっかりと事前確認を行うようにしてください。
- 温泉掘削許可申請書[Word:38KB]
- 欠格事項に係る誓約書[PDF:10KB]
- 工事に係る誓約書
- 工事に係る騒音、振動、地盤沈下、廃棄物、排水対策等についての計画書
- 定款又は寄附行為及び発行後6か月以内の登記事項証明書(法人)
- 掘削地を明記した縮尺5万分の1地形図(できるだけ国土地理院が作成又はそれを複製した地形図原本)
- 掘削地点、近接の既存源泉、掘削許可中の地点、方位及び半径500mの円、縮尺(1万分の1又は5千分の1)を明記した平面図
- 付近詳細平面図(字限図及び住宅地図等)
- 掘削地を使用する権利を有することを証する書類
- 土地の登記事項証明書(発行後3か月以内のもの)
- 土地掘削承諾書又は使用に係る契約書の写し等(土地が他人所有の場合)
- 土地所有者の印鑑証明書(土地が他人所有の場合)
- 他法令確認書
- その他必要に応じて他法令の許認可書の写し又は申請書受理証明書等
- 温泉利用の計画書(利用計画書及び利用施設の平面図などで申請時点で最も具体的なもの)
- 事前調査による学者等専門家の意見書等で、作成者の資格、職名、氏名を記載した掘削地点選定理由書[PDF:5KB]
- 掘削孔計画断面図(深さに応じた出来上がり内径の変化(単位mm)を明示すること)
- 設備の配置図及び主要な設備の構造図
- 堀削のための施設の位置、構造及び設備並びに掘削の方法が基準に適合することを証する書面[Excel:49KB]
- 掘削時災害防止規程
- その他都道府県知事が必要と認める書類
工事の届出
許可を受けた者は、許可に係る掘削の工事を完了し、又は廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出る必要があります。届出は、以下の事項を記載した届出書に、警報設備による警報の作動の状況及び点検作業の結果の記録を添付して提出することにより行います。
- 申請者の住所及び氏名
- 主たる事務所の所在地及び名称並びに代表者の氏名(法人)
- 掘削許可等の別
- 掘削許可等を受けた日
- 掘削許可等に係る工事に係る土地の所在、地番及び地目
- 工事の完了又は廃止の日
- 掘削の工事により温泉が湧出した場合は、その旨
都道府県知事は、工事の完了若しくは廃止又は取消しの日から2年間は、その者が掘削を行ったことにより生ずる可燃性天然ガスによる災害の防止上必要な措置を講ずべきことを命ずることができるものとされています。
都道府県知事は、許可に係る掘削が行われた場合において、許可を取り消したとき、又は掘削が行われた場所に温泉がゆう出しないときは、その許可を受けた者、又は許可を受けないで温泉をゆう出させる目的で土地を掘削した者に対して、原状回復を命ずることができるものとされています。
増掘・動力の装置許可
温泉のゆう出路を増掘し、又は温泉のゆう出量を増加させるために動力を装置しようとする者は、都道府県知事に申請し、その許可を受ける必要があります。この申請は次の事項を記載した申請書を提出することによって行います。
- 申請者の住所及び氏名
- 主たる事務所の所在地及び名称並びに代表者の氏名(法人)
- 増掘又は動力の装置の目的
- 増掘又は動力の装置をしようとする場所及びその付近の状況
- 温泉の湧出量、温度及び成分並びに湧出路の口径及び深さ
- 増掘後の湧出路の口径、深さその他増掘の工事の施行方法又は動力の装置の種類、出力その他動力の装置の詳細
- 増掘にあっては、主要な設備の構造及び能力
- 工事の着手及び完了の予定日
許可の基準、有効期間、変更の許可、工事の届出及び原状回復命令等については、掘削許可と同様の取扱いがなされています。
増掘許可申請に必要となる書類
- 温泉増掘・動力の装置許可申請書[Word:29KB]
- 欠格事項に係る誓約書
- 工事に係る誓約書
- 工事に係る騒音、振動、地盤沈下、廃棄物、排水対策等についての計画書
- 定款又は寄附行為及び発行後6か月以内の登記事項証明書(法人)
- 掘削地を明記した縮尺5万分の1地形図(できるだけ国土地理院が作成又はそれを複製した地形図原本)
- 掘削地点、近接の既存源泉、掘削許可中の地点、方位及び半径500mの円、縮尺(1万分の1又は5千分の1)を明記した平面図
- 付近詳細平面図(字限図及び住宅地図等)
- 掘削地を使用する権利を有することを証する書類
- 土地の登記事項証明書(発行後3か月以内のもの)
- 土地掘削承諾書又は使用に係る契約書の写し等(土地が他人所有の場合)
- 土地所有者の印鑑証明書(土地が他人所有の場合)
- 他法令確認書
- その他必要に応じて他法令の許認可書の写し又は申請書受理証明書等
- 温泉利用の計画書(利用計画書及び利用施設の平面図などで申請時点で最も具体的なもの)
- 掘削孔計画断面図(深さに応じた出来上がり内径の変化(単位mm)を明示すること)
- 設備の配置図及び主要な設備の構造図
- 増削のための施設の位置、構造及び設備並びに掘削の方法が基準に適合することを証する書面[Excel:49KB]
- 掘削時災害防止規程
- その他都道府県知事が必要と認める書類
動力の装置許可申請に必要となる書類
- 温泉増掘・動力の装置許可申請書[Word:29KB]
- 欠格事項に係る誓約書
- 工事に係る誓約書
- 工事に係る騒音、振動、地盤沈下、廃棄物、排水対策等についての計画書
- 定款又は寄附行為及び発行後6か月以内の登記事項証明書(法人)
- 掘削地を明記した縮尺5万分の1地形図(できるだけ国土地理院が作成又はそれを複製した地形図原本)
- 掘削地点、近接の既存源泉、掘削許可中の地点、方位及び半径500mの円、縮尺(1万分の1又は5千分の1)を明記した平面図
- 付近詳細平面図(字限図及び住宅地図等)
- 動力装置設置状況図(源泉と動力装置の設置位置の関係、水位、採水地点、揚水管の口径、地層等を記載したもの)
- 動力装置の仕様書(メーカーの仕様書又はその写し)等)
- 動力装置選定理由(揚湯試験結果(段階、連続、回復試験等、含むグラフ)等から温泉井の適正揚湯量を考察し、利用計画量を勘案して動力装置の選定理由を説明するもの)
- 源泉から利用施設までの簡略配管図(延長、口径、材質等を記載したもの)
- 利用の目的、予定使用量を計算した温泉利用計画書(温泉井の適正揚湯量内であること)
- その他都道府県知事が必要と認める書類
これらの書類は、いずれも兵庫県における温泉掘削許可申請の必要書類です。申請の際には、所轄の保健所等で、必ず事前確認を行うようにしてください。
温泉掘削許可申請サポート
弊所では、関西圏全域における温泉掘削許可申請の代行を承(うけたまわ)っています。面倒な書類作成から役所との協議まで、まるっとサポートいたします。下記の報酬は、市場価格を反映したものですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。温泉掘削に関する手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
温泉掘削許可申請 | 880,000円~ |
変更許可申請 | 660,000円~ |
増掘許可申請 | 660,000円~ |
動力の装置許可申請 | 660,000円~ |
事前調査のみ | 110,000円~ |