大阪市の住宅宿泊事業民泊の開業届(許可)と格安開業支援について

グラングリーン大阪と大阪市道九条梅田線

一般的に民泊とは、自宅の一部や空き別荘、マンションの空室などを活用して宿泊サービスを提供するものをいいます。ひとことで「民泊」とはいっても、実務上は、簡易宿所、特区民泊及び住宅宿泊事業の3タイプが混在しており、民泊事業をはじめようとする際は、事業規模や地域性によって選択し、それぞれの形態に応じた手続きを行う必要があります。

一見すると手軽な事業であるかのように錯覚されがちな民泊事業ですが、事業計画を甘く見積もると、宿泊客や周辺住民との間でトラブルを生じるケースも多いため、営業をはじめる際は十分な準備が必要です。

大阪市においても、「大阪市住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例(PDF:158KB)」(以下、条例)が制定されており、民泊事業者に対し、適切な事業活動を求めています。

そこで本稿では、大阪市において「住宅宿泊事業」への参入を検討する皆さまに向けて、条例及び住宅宿泊事業法を下敷きに、必要となる基礎知識について分かりやすく解説していきたいと思います。

住宅宿泊事業とは

住宅宿泊事業とは、旅館業の営業者以外の者が、宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数(毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間において人を宿泊させた日数)が1年間で180日を超えないもののことをいいます。

営業主体が「旅館業の営業者以外の者」とされているため、住宅宿泊事業は旅館業に当たらず、ホテルや旅館に要求される建築基準法上の厳格な構造設備基準をクリアする必要はありません。

また、単に友人を宿泊させる行為や、ボランティア(無償)で数日間留学生を受け入れる行為等については、ここでいう住宅宿泊事業には該当しません。

住宅宿泊事業とは?
  • ホテルや旅館以外の者が行う事業であること
  • 宿泊料を受けていること
  • 住宅に人を宿泊させる事業であること
  • 宿泊させる日数が1年間で180日を超えないこと

冒頭で触れた他の民泊事業との違いはさまざまありますが、手続面においての主な違いは以下のとおりです。

事業形態手続き難易度営業日
簡易宿所許可宿泊日数と年間営業日数が無制限
特区民泊認定宿泊日数が最低2泊3日以上
住宅宿泊事業届出年間180日以内に限り営業可能

住宅とは

住宅宿泊事業であるため、宿泊させる施設は「住宅」であることが前提になりますが、住宅宿泊事業法では、以下のいずれにも該当する家屋を「住宅」として取り扱っています。

  • 家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備が設けられていること
  • 現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋、随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋であって、事業(人を宿泊させるもの又は人を入居させるものを除く)の用に供されていないもの

設備要件

台所、浴室、便所及び洗面設備については、必ずしも1棟の建物内に設けられている必要はありません。同一の敷地内の建物について一体的に使用する権限があり、各建物に設けられた設備がそれぞれ使用可能な状態であれば、これら複数棟の建物をひとつの「住宅」として届け出ることが可能です。

居住要件

居住要件の解釈は、それぞれ以下のとおりです。住宅宿泊事業に使用する住宅は、これらのうちのいずれかに該当する必要があります。

現に人の生活の本拠として使用されている家屋

現に特定の者の生活が継続して営まれている家屋のことを指し、短期的に使用する場合はこれに該当しません。

入居者の募集が行われている家屋

住宅宿泊事業を行っている間、分譲(売却)又は賃貸の形態で、居住用住宅として入居者の募集が行われている家屋のことを指します。

ただし、広告において故意に不利な取引条件を事実に反して記載している等、入居者募集の意図がないことが明らかである場合は認められません。

随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋

生活の本拠としては使用されていないものの、以下の家屋のように、その所有者等により随時居住利用されている家屋のことを指します。

既存の家屋において、その所有者等が使用の権限を有しており、少なくとも年1回以上は使用している家屋である必要があるため、居住といえる使用履歴が一切ない民泊専用の新築投資用マンションは、これには該当しません。

  • 別荘等季節に応じて年数回程度利用している家屋
  • 休日のみ生活しているセカンドハウス
  • 転勤により一時的に生活の本拠を移しているものの、将来的に再度居住の用に供するために所有している家屋
  • 相続により所有しているが、現在は常時居住しておらず、将来的に居住の用に供することを予定している家屋
  • 生活の本拠ではないが、別宅として使用している古民家

宿泊とは

宿泊とは、寝具を使用して施設を利用することとされています。したがって、「寝具」を提供することなく単に明け方まで客を滞在させる行為は宿泊には該当しないことになります。

この解釈については、逆説的に「寝具を提供しなければ宿泊には該当しない」とも受け取れるため、インターネットカフェの個室やスーパー銭湯のざこ寝スペース等が宿泊施設に該当するかどうかが議論の対象となる場合があります。

こういったケースは、「宿泊」に該当しないよう店舗側が工夫していることがほとんどですが、住宅宿泊事業はそもそも住宅に宿泊させる事業形態であるため、こちらはあまり問題になりません。

★寝具

寝具とは、寝台(ベッド)、敷布団、掛け布団、毛布、敷布又はシーツ、枕、カバー(包布等)、寝衣(浴衣を含む)等仮眠若しくは睡眠又はこれらに類似する行為において使用されるものをいいます。

住宅宿泊事業か特区民泊か

大阪府及び大阪市は、国家戦略特区の区域として認定されていることから、民泊と言えば特区民泊を選択するのがスタンダードです。年間180日間という縛りがなくなるため、本格的に民泊事業を始めようとするときは、圧倒的に特区民泊をお勧めします。

ただし、後述するように、本来は民泊事業を実施することができない住居専用地域であっても、施設の全部又は一部が幅員4m以上の道路(道路法による道路その他市長がこれに準ずると認めた道路)に接する住宅の敷地の存する区域(特例区域)については、特例として住宅宿泊事業を実施することができるなど、要件について両者には違いがあります。

このような点を総合的に考慮して、旅館業含め、どのタイプの民泊事業を選択するのかを当初からしっかりと計画に落とし込むようにしましょう。

重複申請について

国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)の認定を受けた住宅にて住宅宿泊事業の届出を行った場合、または住宅宿泊事業の届出を行った住宅にて特区民泊の認定を受けた場合には、その住宅においては、住宅宿泊事業法及び国家戦略特別区域法並びにそれぞれの関係法令の規定が同時に適用されることとなります。

したがって、住宅宿泊事業の届出と特区民泊の認定が重複した住宅では、宿泊日数について特区民泊の規定が適用されることにより、大阪市では、2泊3日以上の宿泊しか認められず、仮に1泊の宿泊営業を行った場合は、特区民泊の最低宿泊日数制限に反するため、特区の認定が取り消されることになります。

また、特区民泊では、年間の提供日数に制限はありませんが、住宅宿泊事業では年間180日以内という制限が規定されていることから、その住宅では、180日を超えての宿泊営業はできなくなります。

なお、この宿泊日数は、住宅事業者ごとではなく、届出住宅ごとに算定するものであり、住宅宿泊事業者の変更等があったとしても宿泊日数は通算されるため、その通算した宿泊日数が年間180日以内である必要があります。

住宅宿泊事業を営む旨の届出

大阪市において市長に対して住宅宿泊事業を営む旨の届出をした者は、住宅宿泊事業を営むことができるようになります。届出をしようとする者は、住宅宿泊事業を開始しようとする日の前日までに、住宅宿泊事業を営もうとする住宅ごとに、届出書を市長に提出する必要があります。

また、住宅宿泊事業者は、届出事項に変更があったときはその日から30日以内に、住宅宿泊管理業務の委託先を変更しようとするときはあらかじめ、その旨を大阪市長に届け出なければならないものとされています。

なお、市長は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができるものとされています。

届出住宅の基準

  • 欠格事由に該当しないこと
  • 住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置を講ずること
  • 住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託すること(家主不在型等の場合)

住宅宿泊事業法を営むためには、上記の要件をすべて満たす必要があります。 事業を始める前には、本稿のみならず、必ず関係法令及び大阪市住宅宿泊事業に関するガイドライン(PDF:1.52MB)を確認するようにしてください。

条例による住宅宿泊事業の実施制限

大阪市では、都市計画法上の住居専用地域(第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域)において、住宅宿泊事業を実施することができません。

ただし、住居専用地域であっても、その全部又は一部が幅員4m以上の道路(道路法による道路その他市長がこれに準ずると認めた道路)に接する住宅の敷地の存する区域(特例区域)については、特例として住宅宿泊事業を実施することができます。

なお、以下のいずれにも該当しない場合において営まれる住宅宿泊事業については、そもそもこの制限は適用されません。

  • 住宅宿泊事業者が自ら住宅宿泊管理業務を行う居室数が5を超えるとき
  • 届出住宅に人を宿泊させる間、住宅宿泊事業者が不在(一時的な不在を除く)となるとき(以下のいずれにも該当するときを除く)
    • 住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が同一の建築物内若しくは敷地内にあるとき又は隣接しているとき(住宅宿泊事業者が当該届出住宅から発生する騒音その他事業による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときを除く)
    • 住宅宿泊事業者が自ら住宅宿泊管理業務を行う居室数が5以下であるとき

また、小学校又は義務教育学校(中学校)の敷地の周囲100m以内の区域においては、月曜日の正午から金曜日の正午までの間、住宅宿泊事業を実施することができません。

届出住宅の敷地が上記の実施制限区域の内外にわたる場合においては、その地の過半が実施制限区域内にあるときは、実施制限区域内にあるものとみなされます。必要に応じて、届出住宅の敷地の過半が実施制限区域内に無いことを確認することができる書類の提出を求められることがあります。

届出住宅の敷地が、都市計画法上のいずれの用途地域にあたるかについては、マップナビおおさか(外部サイト)にてご確認ください。

建築物に関すること

届出住宅は、建築基準法上の用途も、「住宅」「長屋」「共同住宅」又は「寄宿舎」とされています。

事業実施可能日数

住宅宿泊事業において、人を宿泊させる日数は、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間において人を宿泊させた日数が、1年間で180日(正午から翌日の正午までの期間を1日とする)を超えることはできません。

その他、事業実施可能日数の算定については、以下のようなルールが設けられています。

  • 宿泊料を受けて届出住宅に人を宿泊させた実績があれば、短時間であるかどうか、日付を超えているかどうかは問わずに1日として算定されます。
  • 複数の住戸や複数棟の建物を一つの届出住宅として届け出ている場合については、これらのうちいずれかの建物に人を宿泊させた場合は、1日として算出されます。
  • 日数算定は届出住宅ごとに算定するものであり、複数の宿泊グループが同一日に宿泊したとしても、同一の届出住宅における宿泊であれば、複数日ではなく1日と算定されます。
  • 住宅宿泊事業者の変更があったとしても、この期間内において人を宿泊させた日数は通算されることになります。

なお、届出住宅において、時間貸しなどによって実質的にいわゆるラブホテルの用途として住宅宿泊事業が行われる場合には、都道府県警察による風営法に基づく対応が行われるほか、住宅宿泊事業法に基づく本人確認等が適切に行われないおそれが高いことから、業務改善命令、業務停止命令等によって厳格に取締りが行われることとなります。

欠格事由

以下のいずれかの事由に該当する者は、住宅宿泊事業者としての適格性を欠く者として、住宅宿泊事業を営むことはできません。

  • 精神の機能の障害により住宅宿泊事業を的確に遂行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 住宅宿泊事業の廃止を命ぜられ、その命令の日から3年を経過しない者(命令をされた者が法人である場合にあっては、命令の日前30日以内に当該法人の役員であった者で命令の日から3年を経過しないものを含む)
  • 禁錮以上の刑に処せられ、又は住宅宿泊事業法若しくは旅館業法の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過しない者
  • 暴力団対策法に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合にあっては、その役員を含む)が上記のいずれかに該当するもの
  • 法人であって、その役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者

住宅宿泊事業者が講ずべき措置

住宅宿泊事業者には、宿泊者や周辺住民の健康や財産を保護するための措置を講ずることが求められます。

宿泊者の衛生の確保

住宅宿泊事業者は、宿泊者の衛生の確保を図るために、届出住宅について、居室の床面積は宿泊者1人当たり3.3㎡以上を確保し、設備や備品等については清潔に保ち、ダニやカビ等が発生しないよう心がけ、定期的に清掃・換気等を行うこととされているほか、併せて以下の衛生措置を講ずることを義務付けられています。

  • 届出住宅におけるねずみ、衛生害虫等の生息状況に応じて、適当な防除措置を講ずること
  • 寝具のシーツ、カバー等直接人に接触する者については、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り替えること
  • 循環式浴槽(追い炊き機能付き風呂、24時間風呂など)や加湿器を備え付けている場合は、レジオネラ症を予防するため、宿泊者が入れ替わるごとに浴槽の湯は抜き、加湿器の水は交換し、汚れやぬめりが生じないよう定期的に洗浄等を行うなど、取扱説明書に従って維持管理すること
  • 宿泊者が人から人に感染し、重篤な症状を引き起こすおそれのある感染症に罹患し、又はその疑いがあるときは、保健所に通報するとともに、その指示を受け、その使用した居室、寝具、及び器具等を消毒・廃棄する等の必要な措置を講ずること
  • その他公衆衛生上の問題を引き起こす事態が発生し、又はその恐れがあるときは、保健所に通報すること
  • 旅館業における衛生等管理要領もあわせて参考にし、衛生的な管理に努めること
宿泊者の安全の確保

住宅宿泊事業者は、届出住宅について、非常用照明器具の設置、避難経路の表示、火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置として、非常用照明器具を設け、避難経路を表示するほか、火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置として国土交通大臣が定めるものを講ずる必要があります。

届出住宅の建て方と規模等に応じた安全措置の適用要否

安全措置については、法令等に規定する措置の内容を把握するために、「住宅宿泊事業法の安全措置に関するチェックリスト」を作成し、必要となる措置の内容を「住宅の図面」に明示します。届出の際は、添付書類として「住宅の図面」及び「住宅宿泊事業法の安全措置に関するチェックリスト」を添付します。

なお、共同住宅や長屋における複数の住戸や同一敷地内の「母屋」と「離れ」などの複数棟の建物を一つの届出住宅として届け出る場合、安全措置の適用については、届出者の不在の判断も含め、共同住宅や長屋の場合は住戸ごと、同一敷地内の複数棟の場合は棟ごとでそれぞれ適用を判断されます。

★各面積算定の仕方
居室の面積宿泊者が占有する面積(宿泊者の占有ではない台所、浴室、便所、洗面所、廊下のほか、押入れや床の間は含まない)内寸面積
(壁の内側、実際の壁から壁までの距離を対象とした面積)で算定
宿泊室の面積宿泊者が就寝するために使用する室の面積(宿泊室内にある押入れや床の間は含まない)壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(建物を真上から見た面積)で算定
宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の面積宿泊者の占有か住宅宿泊事業者との共有かを問わず、宿泊者が使用する面積であり、宿泊室の面積を除いた面積(台所、浴室、便所、洗面所のほか、押入れや床の間、廊下を含む)壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(建物を真上から見た面積)で算定
非常用照明器具の適用の有無確認フロー
外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保

住宅宿泊事業者は、外国人観光旅客である宿泊者に対し、届出住宅の設備の使用方法に関する外国語を用いた案内、移動のための交通手段に関する外国語を用いた情報提供、外国語を用いた火災地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内、その他外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置を講じなければならないこととされています。

この措置は、必要事項が記載された書面を居室に備えつけることによるほか、タブレット端末への表示等により、宿泊者がチェックイン以降に必要に応じて閲覧できる方法で行います。特に、災害時等の通報連絡先においては、緊急時にすみやかに確認することが可能なものを備え付ける必要があります。

対応する外国語とは、宿泊予約の時点で日本語以外の言語として提示したものとします。なお、その時点において、外国人宿泊者が日本語を指定した場合は、外国語で案内等を行う必要はありません。

宿泊者名簿の備付け

住宅宿泊事業者は、届出住宅又は住宅宿泊事業者の営業所若しくは事務所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者全員の氏名、住所、職業(宿泊契約(宿泊グループ)ごとに宿泊者が分かるように記載)及び宿泊日(チェックイン、チェックアウト時間)のほか、宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号(旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存し、旅券の写しを収受した日から3年間保存すること)を記載し、市長の要求があったときは、これを提出しなければならないものとされています。

宿泊者名簿は、正確な記載を確保するための措置を講じた上で作成し、その作成の日から3年間保存するものとされています。なお、宿泊者は、住宅宿泊事業者から請求があったときは、氏名、住所、職業、宿泊日並びに国籍及び旅券番号(日本国内に住所を有しない外国人であるとき)を告げる必要があります。

なお、名簿は、電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、これに代えることができます。

本人確認

住宅宿泊事業者は、宿泊行為の開始までに、宿泊者それぞれについて、対面又は対面と同等の手段として以下のいずれも満たすICT(情報通信技術)を活用した方法等により本人確認を行う必要があります。

  • 宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること
  • 画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所等、届出住宅内又は届出住宅の近傍から発信されていることが確認できること(例:届出住宅等に備え付けたテレビ電話やタブレット端末等による方法等)

また、施設や届出住宅の出入口付近に録画機能を有するビデオカメラ等を設置し、宿泊者及び宿泊者以外の者の出入りを確認するように努めるものとされています。

長期滞在者には、定期的な清掃等の際に、チェックイン時に本人確認を行っていない者が届出住宅に宿泊するようなことがないよう、不審な者が滞在していないか、滞在者が所在不明になっていないか等について確認することが望ましいものとされています。特に宿泊契約が7日以上の場合には、定期的な面会等により上記の確認を行う必要があります。

周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明

住宅宿泊事業者は、書面の備付けその他の適切な方法により、宿泊者に対し、騒音の防止のために配慮すべき事項騒音の防止のために配慮すべき事項(大声での会話を控えること、深夜に窓を閉めること、バルコニー等屋外での宴会を開かないこと、届出住宅内は楽器を使用しないこと等、届出住宅及びその周辺地域の生活環境に応じ適切な内容)、ごみの処理に関し配慮すべき事項(宿泊者が出すごみは、事業者の指定した方法に従って届出住宅内で分別し、排出すること、宿泊者は、出したごみを届出住宅外の排出場所へ持ち出さないこと等)、火災の防止のために配慮すべき事項(ガスコンロの使用のための元栓の開閉方法及びその際の注意事項、初期消火のための消火器の使用方法、避難経路、通報措置等、届出住宅及びその周辺地域の生活環境に応じ適た切な内容)その他届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し、必要な事項(タバコのポイ捨てやベランダからのごみの投棄等過去の苦情内容を踏まえ、届出住宅の利用にあたって特に注意すべき事項)について説明すべき義務があります。

この措置は、宿泊者が届出住宅に宿泊している間に、宿泊者に対し、対面、必要な事項を記載した書面の事前配付、宿泊者の目のつきやすい場所に書面を備え付ける、タブレット端末で表示する等の方法により行います。また、事前説明した事項に応じない宿泊者に対して、居室内に電話を備え付けること等により、注意喚起を行います。

なお、外国人観光旅客である宿泊者に対しては、外国語を用いて説明をしなければならないものとされています。

苦情等への対応

住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問い合せについては、以下の点に留意し、適切かつ迅速にこれに対応しなければならないものとされています。

  • 深夜早朝を問わず、常時、応対又は電話により対応すること
  • 宿泊者が滞在していない間も、苦情、問い合わせについては対応すること
  • 誠実に対応することが必要であり、例えば回答を一時的に保留する場合であっても、相手方に回答期日を明示した上で後日回答する等の配慮をすること
  • 滞在中の宿泊者の行為により苦情が発生している場合において、その宿泊者に対して注意等を行っても改善がなされないような場合には、現場に急行して退室を求める等、必要な対応を講ずること
  • 住宅宿泊管理業務の委託を受けた住宅宿泊管理業者が退室を求める場合には、宿泊契約の解除の権限を予め委託者から得ておくこと
  • 苦情及び問い合わせが、緊急の対応を要する場合には、必要に応じて警察署、消防署、医療機関等の然るべき機関に連絡したのち、自らも現場に急行して対応すること
  • 現場に急行する必要がある場合に備え、通常おおむね10分程度で事業者等がかけつけることができる体制を整備すること

届出に必要となる書類

届出は、民泊制度運営システムを介した電子媒体又は窓口での書類持参により行います。

民泊制度運営システムの利用にあたっては、電子署名機能のついたマイナンバーカード及びカードリーダー等が必要となります。書類持参による届出の場合は、民泊制度運営システムに入力の上保存した内容を印刷し、申請書と添付書類を窓口に持参します。

民泊制度運営システムを介した電子媒体による手続きの処理が優先的に行われるため、お急ぎの方は、電子媒体での届出をお勧めします。なお、民泊制度運営システムの操作方法の確認やログインは、民泊制度ポータルサイト(外部サイト)から行います。

届出に必要となる書類は以下のとおりですが、添付書類は、日本語又は英語で記載されたものに限られ、英語の場合は、日本語による翻訳文を添付します。特別の事情で届出書に添付する書類が日
本語又は英語で提出できない場合は、その他の言語で記載された書類に、日本語による翻訳文を添付します。

  • 届出書(第1号様式)
  • 誓約書
  • 定款又は寄付行為(法人)
  • 登記事項証明書(法人)
  • 身分証明書(届出者・役員・法定代理人)
  • 住宅の登記事項証明書
  • 入居者の募集の広告その他の当該住宅において入居者の募集が行われていることを証する書類(該当する場合)
  • 住宅が随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されていることを証する書類(該当する場合)
  • 住宅の図面
    • 台所、浴室、便所及び洗面設備の位置図
    • 住宅の間取り及び出入口
    • 各階の別
    • 居室、宿泊室及び宿泊者の使用に供する部分のそれぞれの床面積
  • 住宅宿泊事業の用に供することを目的とした使用を承諾したことを証する書面(賃貸物件の場合)
  • 専有部分の用途に関する規約の写し(住宅がある建物が二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものである場合)
  • 管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証する書類(規約に住宅宿泊事業を営むことについての定めがない場合)
  • 住宅宿泊管理業者から交付された契約書の写し(住宅宿泊管理業者に委託する場合)
  • 消防法令適合通知書
  • 周辺住民等への説明を実施した旨の書類(様式1)
  • 廃棄物の処理方法(様式2)
  • 住宅宿泊事業法の安全措置に関するチェックリスト(様式3)
  • 届出予定住宅の敷地が幅員4m以上の道路に接することの誓約書(様式5)

周辺住民等に対する事前説明

届出予定者は、届出をする前に、住宅宿泊事業を営もうとする住宅の周辺地域における以下の住民及び施設(周辺住民等)に対し、その住宅において住宅宿泊事業を営む旨を適切に説明する必要があります。

  • 住宅宿泊事業を営もうとする住宅を構成する建築物(以下、対象建築物)に居住する住民
  • 対象建築物との外壁間の水平距離が20m以内の敷地にある建築物に居住する住民
  • 対象建築物の敷地が道路、公園その他の空地に接する場合にあっては、その敷地と道路等との境界線からの水平距離が10mの範囲内にその敷地の全部又は一部が存する建築物(対象建築物との外壁間の水平距離が20mを超えるものを除く)に居住する住民
  • 対象建築物内及びその敷地の全部又は一部が対象建築物の周囲100m以内の区域にある以下の施設
    • 学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く)(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校)
    • 学校教育法第第124条に規定する専修学校及び第134条第1項に規定する各種学校のうち、18歳未満の者の利用に供されるもの
    • 児童福祉法第7条第1項に規定する児童福祉施設(助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター)
    • 大阪市立男女共同参画センター子育て活動支援館(北区天神橋6丁目4番20号7)
    • 大阪市立愛光会館 (北区中津1丁目4番10号)
    • 大阪市立青少年センター(東淀川区東中島1丁目13番13号)
    • 大阪市立こども文化センター(此花区西九条6丁目1番20号)
    • 国立文楽劇場(中央区日本橋1丁目12番10号)
    • 大阪市立東淀川体育館(東淀川区東中島4丁目4番4号)
    • 大阪府立体育会館(浪速区難波中3丁目4番36号)
    • 大阪府立夕陽丘高等職業技術専門校
説明対象場所の例
★敷地、隣接について

「敷地」は一つの建築物、又は用途上不可分の関係にある複数の建築物のある一団の土地をいい、「隣接」については、同一敷地外の場合であって、建築物間に視界や騒音の認識を妨げる遮蔽物がなく、両建築物間の移動を円滑に行うことができ、概ね道路一本分程度の距離の範囲内に双方の建築物が立地している場合をいいます。(地形等の状況による)

説明の方法

説明の方法は、説明会の開催又は戸別訪問とし、以下の必要事項が記載された説明資料を用いてこれを行う必要があります。事前説明に際しては、周辺住民等との相互の信頼関係が重要であるため、誠意をもって対応するとともに、意見申出方法及び問合せ先に関する案内を行います。

また、事前説明については、施設の建築工事前又は改修工事等を実施する前に行うこと、周辺地域における住民及び施設からの問合せ等があるかを見極めるための期間(1週間程度)を確保すること及び説明対象範囲外であっても町会長等を説明対象に含めることが推奨されています。

周辺住民等への事前説明の内容及び説明日時等については、記録し、届出の際に事前説明を実施した旨の書面を添付する必要があります。

  • 住宅宿泊事業予定者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)
  • 届出住宅の所在地
  • 事業の概要
  • 苦情等の窓口の連絡先(責任者の氏名、電話番号等)
  • 廃棄物の処理方法
  • 火災等の緊急事態が生じた場合の対応方法
  • その他住民から問い合せのあった事項

このうち、説明会を行う場合は、説明会開催の旨を記載した書面及び必要事項が記載された説明資料を、事前に周辺住民等へポスティングし、説明会の日時・開催場所については、地域の集会所や施設近くの会場等、周辺住民等が参加しやすい日時・場所を設定します。

説明会不参加の周辺住民等に対して、追加の説明会開催は不要となりますが、問い合わせ等には適切に対応する必要があります。

戸別訪問を行う場合は、周辺住民等と対面できなければ、説明資料をポスティングすることにより、別途の戸別訪問は不要となりますが、問い合わせ等には適切に対応する必要があります。

これらの問い合わせについては、周辺住民等の求める方法(説明会開催、訪問等)により対応する必要があります。

説明時に用いる書面の記載例

届出後の変更事項

住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれに対応しなければならないことから、届出後に配布した資料(苦情等の窓口の連絡先など)に変更等があった場合は、変更後の資料を再度配布するのが望ましいです。

なお、事業開始後に新たに周辺住民等に該当となった者、説明を求める者等に対しても、必要に応じて、戸別訪問、資料配布等の方法により丁寧に対応することとされています。

住宅宿泊管理業務の委託

住宅宿泊事業者は、届出住宅が以下のいずれかに該当するときは、住宅宿泊管理業者である住宅宿泊事業者が自ら住宅宿泊管理業務を行うときを除き、届出住宅に係る住宅宿泊管理業務の全部を、契約により、単一の住宅宿泊管理業者に委託する必要があります。

その際住宅宿泊事業者は、委託しようとする住宅宿泊管理業者に対し、あらかじめ届出書及び添付する書類の内容を通知して契約を結びます。

  • 届出住宅の居室の数が5を超えるとき
  • 届出住宅に人を宿泊させる間、不在(日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在を除く)となるとき

事業者は、下表のフローに従って、委託が必要な場合は届出住宅の管理を住宅宿泊管理業者へ委託します。なお、届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する場合は、単一の住宅宿泊管理業者に委託しなくてはならず、複数の者に分割して委託することや、住宅宿泊管理業務の一部を住宅宿泊事業者が自ら行うことは認められていません。

ただし、住宅宿泊管理業務の委託を受けた住宅宿泊管理業者が、他の者に住宅宿泊管理業務を一部に限り再委託することは差し支えありません。

また、法人の従業員は、住宅宿泊事業者である法人ではないため、住宅宿泊事業者が法人の場合は、原則として、住宅宿泊管理業者への委託が必要となります。

住宅宿泊管理業者への委託必要性の有無判断フロー

家主居住型と家主不在型

「家主居住型」(家主同居)とは、届出住宅に人を宿泊させる間、住宅宿泊事業者が居住(別荘等の届出住宅において住宅宿泊事業者が滞在する場合も含む)しており、不在とならない場合を指し、「家主不在型」とは、住宅提供者の生活の本拠以外、又は生活の本拠であっても住宅提供日に住宅提供者が泊まっていない住宅を利用者に貸し出すタイプの事業を指します。住宅宿泊事業者でない他者が届出住宅に居たとしても、住宅宿泊事業者自身が不在としている場合は「不在」として取り扱われることとなります。

ここでいう「不在」とは、一時的な不在(日常生活を営む上で通常行われる行為(生活必需品の購入等であり、業務等により継続的に長時間不在とするものは非該当)に要する時間(原則1時間とし、生活必需品を購入するための最寄り店舗の位置や交通手段の状況等によりその行為が長時間にわたることが想定される場合には2時間程度まで)の範囲内の不在)を除きます。

家主居住型住宅提供者が住宅内に居住しながら一部を利用者に貸し出すモデル
家主不在型住宅提供者の生活の本拠以外、又は生活の本拠であっても住宅提供日に住宅提供者が泊まっていない住宅を貸し出すモデル

このうち家主不在型については、すでに説明したとおり、住宅宿泊管理業者に住宅宿泊管理業務を委託する必要があります。

要するに、届出住宅を自ら管理することが難しい場合には、ちゃんと管理できる事業者に管理を委託しなさいよ、というのが、この規定の本旨です。

また、住宅宿泊事業者の生活の本拠として使用する住宅と同一建物内等にある届出住宅については、住宅宿泊管理業への委託が不要とされていますが、この場合であっても、住宅宿泊事業者が生活の本拠として使用する住宅を不在(一時的な不在を除く)にする場合は、委託が必要となります。

なお、以下のいずれかに該当する場合は、家主不在型にはあたらないため、届出住宅の居室の数が5を超えるときを除き、住宅宿泊管理業務を委託する必要はありません。

  • 住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が、同一の建築物内若しくは敷地内にあるとき又は隣接しているとき(住宅宿泊事業者が届出住宅から発生する騒音その他の事象による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときを除く)
  • 住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行う居室の合計数が5以下であるとき

ここで言う「住宅宿泊事業者が当該届出住宅から発生する騒音その他の事業による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるとき」とは、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が同一の共同住宅内にある場合や同一の敷地内にある場合等であっても、敷地が広範であるためそれぞれの住戸の距離が著しく離れている場合その他の自己の生活の本拠にいながら届出住宅で発生する騒音等を認識できないことが明らかである場合が該当します。

例えば、騒音に関しては、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅が遮音される構造となっており、客観的に騒音が認識困難なものである場合などが想定されます。なお、客観的に明白であると判断できない場合には、「明らかである」ことに該当しません。

★居室について

居室とは、届出住宅のうち、宿泊者が占有する部分のことをいい、そのうち、宿泊グループがそれぞれ独立して使い得る部屋の数が、居室の数となります。

留意点

業務を住宅宿泊管理業者へ委託した場合は、以下の点に留意するようにしましょう。

  • 事前に締結した住宅宿泊管理業務の委託に関する契約に基づき、誠実にその業務を行わせること
  • 契約締結した住宅宿泊管理業者以外の者に、住宅宿泊管理業を営ませないこと
  • 住宅宿泊管理業者から、事業年度終了後、及び管理受託契約の期間の満了後、遅滞なくその期間における管理受託契約に係る住宅宿泊管理業務の状況について、以下の事項を記載した住宅宿泊管理報告書を受け取るとともに内容の説明を受けること
    • 報告の対象となる期間
    • 住宅宿泊管理業務(締結した管理受託契約における委託業務のすべて)の実施状況(苦情への対応状況を含む)
    • 住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅の維持保全状況(届出住宅に設ける必要があるとされている台所、浴室、便所、洗面設備の状態、水道や電気等ライフラインの状態、ドア、サッシなどの届出住宅の設備の状態等)
    • 住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅の周辺地域の住民からの苦情発生状況(苦情の発生した日時、苦情を申し出た者の属性、苦情内容等について、住宅宿泊管理業者が把握可能な限りを記録させ、単純な問合せについても苦情を伴う問い合わせについては記録させ、対処状況も含めて報告を受けること)

住宅宿泊管理業

住宅宿泊管理業務とは、宿泊者の衛生の確保、宿泊者の安全の確保、外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保、宿泊者名簿の備付け、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明、苦情等への対応及び住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅の維持保全に関する業務をいいます。そして住宅宿泊事業者から委託を受けて、報酬を得て、これらの住宅宿泊管理業務を行う事業を住宅宿泊管理業といいます。

住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅においては、住宅宿泊管理業者が管理業務を行うため、住宅宿泊事業を営む住宅宿泊事業者については、上記の業務に関する規定は適用されません。

なお、住宅宿泊管理業をはじめるためには、国土交通大臣により住宅宿泊管理業者登録簿に登録をなされる必要があります。

宿泊サービス提供契約の締結の代理等の委託

宿泊者に対する届出住宅における宿泊のサービスの提供に係る契約締結の代理又は媒介を委託するときは、住宅宿泊仲介業者又は旅行業者に委託をする必要があります。その際には、商号、名称又は氏名並びに委託に係る届出住宅の所在地及び届出番号を通知するようにしてください。

廃棄物の処理

住宅宿泊事業の届出の際には、「廃棄物の処理方法」に関する書類を添付す、り必要があります。

排出されたごみは、事業者が事業系一般廃棄物、再生資源化物、産業廃棄物に適切に分別の上、事業者(委託清掃事業者等も可)において敷地内に確保した排出場所へ持ち出し、他の居住者が排出するごみとは区分して集積・保管します。

ごみを集積・保管する場所では、臭気・汚水等の漏えい及びごみの飛散等を防止するなど、近隣住民に迷惑をかけないような対策を講じ、産業廃棄物の保管場所には、法で定められた掲示板を掲出します。

住宅宿泊事業に伴って排出されたごみは、事業者が排出責任を有する事業系廃棄物となるため、家庭ごみ用のクリーンステーションに出すと、不法投棄となり、5年以下の懲役もしくは 1,000万円以下の罰金又はその両方が科されることがあるためご注意ください。

廃棄物の処理は、事業者において廃棄物処理業許可業者に処理を委託することができますが、産業廃棄物の処理を委託しようとする際は、事業者が「収集運搬業者」「処分業者」のそれぞれと書面による契約の締結を行います。

産業廃棄物に関して大阪市環境局環境管理部 環境管理課(産業廃棄物規制グループ)
TEL:06-6208-9317
事業系ごみの処理に関して大阪市環境局事業部 一般廃棄物指導課(一般廃棄物指導グループ)
TEL:6-6630-3271
廃棄物の処理方法

標識の掲示

住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に、それぞれ以下の様式の標識を掲げる必要があります。

住宅宿泊管理業務を自ら行う者第四号様式
届出住宅に人を宿泊させる間、不在となるときに届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を自ら行う者(住宅宿泊管理業者であるものを除く)第五号様式
届出住宅に人を宿泊させる間不在となるときに届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を自ら行う者第六号様式
届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者へ委託する者第六号様式

このほか、住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、毎年偶数月の15日までに、前2か月における届出住宅に人を宿泊させた日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別の宿泊者数の内訳について、都道府県知事に報告する必要があります。

大阪市長への定期報告

住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の15日までに、それぞれの月の前2か月における事業実績(届出住宅に人を宿泊させた日数、宿泊者数、延べ宿泊者数及び国籍別の宿泊者数内訳)について、事業実績が無い場合も含め、原則として、民泊制度運営システムを利用して報告を行う義務があります。

12月、1月分事業実績報告2月15日まで
2月、3月分事業実績報告4月15日まで
4月、5月分事業実績報告6月15日まで
6月、7月分事業実績報告8月15日まで
8月、9月分事業実績報告10月15日まで
10月、11月分事業実績報告12月15日まで

報告済みの事業実績の修正は、報告締切日である毎偶数月の15日までであれば民泊制度運営システムより行うことが可能です。報告締切日の翌日以降は、システムでの修正を行うことができず、大阪市宛てに修正報告を行う必要があります。

民泊制度運営システム未利用者及び修正報告希望者は、大阪市ホームページに掲載の報告様式に必要事項を記入し、下記担当宛てにメール、FAX又は郵送にて提出します。

〒553-0005
大阪市福島区野田 1-1-86 大阪市中央卸売市場業務管理棟12階
大阪市経済戦略局観光部観光課 宛
FAX 番号:06-6469-3896
E-mail:teiki-houkoku@city.osaka.lg.jp

期限までに報告が行われない際には、大阪市から事業者に対し連絡・督促が行われ、仮に連絡が取れない場合等には、必要に応じて現場の確認等が行われ、事業の実態がないことが確認された場合には、確認後30日を経過した時点で事業が廃止されたものとみなされる場合があります。

届出住宅に人を宿泊させた日数正午から翌日の正午までの期間を 1 日とカウント(例:6月3日17時にチェックインし、6月7日10時にチェックアウトした場合は「4日」とカウント)
宿泊者数届出住宅に宿泊した実際の人数を該当期間で足し合わせた数(同一人物が5連泊した場合は「1名」とカウントし、同一人物が2回に分けて2連泊と3連泊した場合は「2名」とカウント(例:6月5日から2名が5泊(2人)、6月8日から4名が3泊(4人)した場合は、「6人」とカウント)
延べ宿泊者数各日の全宿泊者数を該当期間で足し合わせた数(例:6月5日から2名が5泊(10人)、6月8日から4名が3泊(12人)した場合は、「22人」とカウント)
国籍別の宿泊者数内訳宿泊者を国籍別に足し合わせた数

住宅宿泊事業届出サポート

民泊が一時流行したときに民泊事業をはじめた方の中には、「こんなはずじゃなかった」と言って事業の転換を図ろうとされる方もいらっしゃいます。現況を鑑みるに、弊所に舞い込むご依頼も、どちらかと言えば民泊からの事業転換が多い印象です。(現在は状況が好転し、新たに民泊をはじめたいというご相談が増えています。)

一見すると、お手軽に見える民泊事業ですが、(コロナ禍は誰も予測できなかったにせよ、)事業計画を甘く見積もると、事業として苦戦を強いられることは否めません。また、知識や人手の不足のために、宿泊客や周辺住民との間でトラブルを生じるケースも珍しくはありません。

コロナ禍を経て、観光業そのものに求められるニーズが変化しつつある現在、今いちどしっかりとした事業計画を立て直し、「おもてなし」の精神に基づいたサービスを提供していくことが民泊復活の鍵であるように思います。

弊所では、関西圏全域において民泊に関する手続きの代行を承っております。面倒な事前調査や保健所との事前協議から、書類作成、届出の代行及び現地調査に至るまで、しっかりまるっとサポートいたします。また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。住宅宿泊管理会社を紹介することも可能です。

大阪市における民泊開業の手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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