京都市の住宅宿泊事業民泊の開業届(許可)と格安開業支援について

京都の街並み

一般的に民泊とは、自宅の一部や空き別荘、マンションの空室などを活用して宿泊サービスを提供するものをいいます。ひとことで「民泊」とはいっても、実務上は、簡易宿所、特区民泊及び住宅宿泊事業の3タイプが混在しており、民泊事業をはじめようとする際は、事業規模や地域性によって選択し、それぞれの形態に応じた手続きを行う必要があります。

一見すると手軽な事業であるかのように錯覚されがちな民泊事業ですが、事業計画を甘く見積もると、宿泊客や周辺住民との間でトラブルを生じるケースも多いため、営業をはじめる際は十分な準備が必要です。

京都府京都市においても、京都市住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための措置に関する条例(以下、条例)が制定されており、民泊事業者に対し、適切な事業活動を求めています。

そこで本稿では、京都市において「住宅宿泊事業」への参入を検討する皆さまに向けて、条例及び住宅宿泊事業法を下敷きに、必要となる基礎知識について分かりやすく解説していきたいと思います。

住宅宿泊事業とは

住宅宿泊事業とは、旅館業の営業者以外の者が、宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数(毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間において人を宿泊させた日数)が1年間で180日を超えないもののことをいいます。

営業主体が「旅館業の営業者以外の者」とされているため、住宅宿泊事業は旅館業に当たらず、ホテルや旅館に要求される建築基準法上の厳格な構造設備基準をクリアする必要はありません。

また、単に友人を宿泊させる行為や、ボランティア(無償)で数日間留学生を受け入れる行為等については、ここでいう住宅宿泊事業には該当しません。

住宅宿泊事業とは?
  • ホテルや旅館以外の者が行う事業であること
  • 宿泊料を受けていること
  • 住宅に人を宿泊させる事業であること
  • 宿泊させる日数が1年間で180日を超えないこと

冒頭で触れた他の民泊事業との違いはさまざまありますが、手続面においての主な違いは以下のとおりです。なお、京都市は、「特区」の認定を受けていないため、京都市内において「特区民泊」を実施することはできません。

事業形態手続き難易度営業日
簡易宿所許可宿泊日数と年間営業日数が無制限
特区民泊認定宿泊日数が最低2泊3日以上
住宅宿泊事業届出年間180日以内に限り営業可能

住宅とは

住宅宿泊事業であるため、宿泊させる施設は「住宅」であることが前提になりますが、住宅宿泊事業法では、以下のいずれにも該当する家屋を「住宅」として取り扱っています。

  • 家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備が設けられていること
  • 現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋、随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋であって、事業(人を宿泊させるもの又は人を入居させるものを除く)の用に供されていないもの

設備要件

住宅宿泊事業を実施する住宅は、宿泊室、台所、浴室、便所、洗面設備を備え、かつその全てを宿泊者が利用できることが要件となります。このうち宿泊室とは、壁又は板戸、ふすまその他これらに類するもの(固定されたものに限る)で区画されたものであり、宿泊者が就寝する部屋をいいます。

台所、浴室、便所及び洗面設備については、必ずしも1棟の建物内に設けられている必要はありません。同一の敷地内の建物について一体的に使用する権限があり、各建物に設けられた設備がそれぞれ使用可能な状態であれば、これら複数棟の建物をひとつの「住宅」として届け出ることが可能です。

一戸建ての住宅屋内で行き来できる二世帯住宅を含む
長屋ひとつの建物を複数世帯向けの複数の住戸として利用し、共用部分を有しないもの(住戸ごとに設備要件必要)
共同住宅ひとつの建物を複数世帯向けの複数の住戸として利用し、共用部分を有するもの(住戸ごとに設備要件必要)
寄宿舎ひとつの建物を複数世帯向けの複数の住戸として利用し、複数の住戸で設備要件を共用するもの

居住要件

居住要件の解釈は、それぞれ以下のとおりです。住宅宿泊事業に使用する住宅は、これらのうちのいずれかに該当する必要があります。なお、住宅宿泊事業として人を宿泊させていない期間に、他の事業の用に供されているもの(契約期間1か月以上の賃貸住宅業を除く)は、住宅宿泊事業法における「住宅」にはあたりません。

現に人の生活の本拠として使用されている家屋

現に特定の者の生活が継続して営まれている家屋のことを指し、短期的に使用する場合はこれに該当しません。

京都市では、3か月以上継続して居住していることが求められますが、住民票で「住所を定めた日」から3か月以上経過しているだけでなく、実態として家屋に3か月以上居住していることが必要です。

入居者の募集が行われている家屋

住宅宿泊事業を行っている間、分譲(売却)又は賃貸の形態で、居住用住宅として入居者の募集が行われている家屋のことを指します。

ただし、広告において故意に不利な取引条件を事実に反して記載している等、入居者募集の意図がないことが明らかである場合は認められません。

また、京都市では新築物件等の場合は、3か月以上入居者を募集していること(届出後、住宅宿泊事業の実施中も入居者の募集を継続すること)が要件となります。(過去に住居として居住又は賃貸されており、新たに入居者の募集を行うときを除く)

旅館業その他の事業(住宅宿泊事業及び人を入居させるものを除く)に使用されていた施設については、当該用途を廃して、人の居住の用に供してから3箇月以上経過しなければ、届出住宅とすることはできません。

随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋

生活の本拠としては使用されていないものの、その所有者等により随時居住利用されている家屋のことを指します。

既存の家屋において、その所有者等が使用の権限を有しており、少なくとも年1回以上は使用している家屋である必要があるため、居住といえる使用履歴が一切ない民泊専用の新築投資用マンションは、これには該当しません。

また、旅館業その他の事業(住宅宿泊事業及び人を入居させるものを除く)に使用されていた施設については、当該用途を廃して、人の居住の用に供してから3か月以上経過しなければ、届出住宅とすることはできません。

★随時居住の用に供されている家屋の具体例

  • 別荘等季節に応じて年数回程度利用している家屋
  • 休日のみ生活しているセカンドハウス
  • 転勤等により一時的に生活の本拠を移しているものの、将来的に再度居住の用に供するために所有している空き家
  • 相続により所有しているが、現在は常時居住しておらず、将来的に居住の用に供することを予定している空き家
  • 生活の本拠ではないが、別宅として使用している古民家

宿泊とは

宿泊とは、寝具を使用して施設を利用することとされています。したがって、「寝具」を提供することなく単に明け方まで客を滞在させる行為は宿泊には該当しないことになります。

この解釈については、逆説的に「寝具を提供しなければ宿泊には該当しない」とも受け取れるため、インターネットカフェの個室やスーパー銭湯のざこ寝スペース等が宿泊施設に該当するかどうかが議論の対象となる場合があります。

こういったケースは、「宿泊」に該当しないよう店舗側が工夫していることがほとんどですが、住宅宿泊事業はそもそも住宅に宿泊させる事業形態であるため、こちらはあまり問題になりません。

★寝具

寝具とは、寝台(ベッド)、敷布団、掛け布団、毛布、敷布又はシーツ、枕、カバー(包布等)、寝衣(浴衣を含む)等仮眠若しくは睡眠又はこれらに類似する行為において使用されるものをいいます。

布団のように収納することが可能な折り畳みのマットレスは「布団」として扱い、常時設置してあるマットレス等の場合はベッド(寝台)として取り扱います。

住宅宿泊事業を営む旨の届出

京都市において市長に対して住宅宿泊事業を営む旨の届出をした者は、住宅宿泊事業を営むことができるようになります。届出をしようとする者は、住宅宿泊事業を開始しようとする日の前日までに、住宅宿泊事業を営もうとする住宅ごとに、届出書を市長に提出しなければならないものとされています。

また、住宅宿泊事業者は、届出事項に変更があったときはその日から30日以内に、住宅宿泊管理業務の委託先を変更しようとするときはあらかじめ、その旨を京都市長に届け出なければならないものとされています。

なお、市長は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができるものとされています。

届出住宅の基準

  • 欠格事由に該当しないこと
  • 住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置を講ずること
  • 住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託すること(家主不在型等の場合)

住宅宿泊事業法を営むためには、上記の要件をすべて満たす必要があります。 事業を始める前には、本稿のみならず、必ず関係法令及び住宅宿泊事業の届出の手引き(PDF:8.17MB)を確認するようにしてください。

条例による住宅宿泊事業の実施制限

京都市では、条例により住宅宿泊事業の実施を年間を通じて認めていますが、住居専用地域(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域)については、以下のように制限しています。条例の他にも、市街化調整区域や他法令に係る規制が設けられている場合があるため、しっかりと確認する必要があります。

区域制限される期間
第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
3月16日正午から翌年1月15日正午までの間の期間(事業者が生活の本拠を置いている場合や一定の条件を満たした認定京町家事業である場合を除く)

欠格事由

以下のいずれかの事由に該当する者は、住宅宿泊事業者としての適格性を欠く者として、住宅宿泊事業を営むことはできません。

  • 精神の機能の障害により住宅宿泊事業を的確に遂行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 住宅宿泊事業の廃止を命ぜられ、その命令の日から3年を経過しない者(命令をされた者が法人である場合にあっては、命令の日前30日以内に当該法人の役員であった者で命令の日から3年を経過しないものを含む)
  • 禁錮以上の刑に処せられ、又は住宅宿泊事業法若しくは旅館業法の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過しない者
  • 暴力団対策法に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合にあっては、その役員を含む)が上記のいずれかに該当するもの
  • 法人であって、その役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者

代理人の選任

京都市では、以下のいずれかに該当する住宅宿泊事業者について、届出住宅ごとに、届出住宅において営む住宅宿泊事業に関する一切の行為(裁判上の行為を除く)をする代理権を付与した代理人(日本国内に住所を有する者に限る)を選任することを義務付けています。

  • 住宅宿泊事業者が個人であって、日本国内に住所を有しないとき
  • 住宅宿泊事業者が外国法人である場合(日本における代表者を定めている場合を除く)

また、国内に居住する外国籍の者については、事業従事に当たり、在留資格等による制限があるため、出入国在留管理庁に必ず事前の確認を行うようにしてください。

出入国在留管理庁

電話:0570-013904

IP電話、PHS、海外:03-5796-7112

住宅宿泊事業者が講ずべき措置

住宅宿泊事業者には、宿泊者や周辺住民の健康や財産を保護するための措置を講ずることが求められます。

近隣住民への事前説明周知等

事業の届出を行う20日前までに、届出住宅の公衆から見やすい場所に事業を行う旨の掲示をするのと同時期に、事業の概要などについて近隣住民に説明を行う義務があります。(後述)

また、届出住宅のある地域の自治会や町内会等から説明会の開催等を求められた場合は、真摯に対応する義務があるほか、地域活動に積極的に参加することや、地域住民との間で住宅宿泊事業の運営に関する協定を締結すること等により、地域住民との間の信頼関係の構築に努めるものとされています。

宿泊者の衛生の確保

住宅宿泊事業者は、宿泊者の衛生の確保を図るために、届出住宅について、以下の措置を行うこととされています。

居室1の床面積宿泊者1人当たり内寸3.3㎡以上
宿泊室2の床面積ベッドを置く場合、宿泊者1人当たり内寸3.0㎡以上
2段ベッド(上下段の間はおおむね1m以上)を置く場合、宿泊者1人当たり内寸2.25㎡以上
上記以外の場合、宿泊者1人当たり内寸2.5㎡以上
洗面設備宿泊者5人につき1個以上を設けること
便所宿泊者5人につき1個以上を設けること(大便ができるもの)
便所は、流水式手洗い設備3を設けること
便器の周辺については、不浸透性材料(コンクリート、タイルその他の汚水が浸透しないもの)で造築すること
換気、採光、照明、防湿及び排水適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を備えること
使用する器具等宿泊者が使用する飲食器、寝具その他の届出住宅内の器具及び届出住宅の設備並びに届出住宅の内部及び周囲について、清潔で衛生的に保ち、ダニやカビ等が発生しないよう除湿を心がけ、定期的に清掃、換気等を行うこと
洗面用水飲用に適する水を用いること
入浴設備等入浴設備において使用する器具は、宿泊者が宿泊するごとに清掃を行い、浴用に供する湯水は水道水その他の清浄な湯水とすること
感染症対策宿泊者が人から人に感染し重篤な症状を引き起こすおそれのある感染症にり患し、又はその疑いがあるときは、速やかに医療機関を受診させ、その指示に従うとともに、その使用した居室、寝具、器具等を消毒又は廃棄する等の必要な措置を講じること
その他公衆衛生上の問題を引き起こす事態が発生し、又はそのおそれがあるときは、京都市医療衛生企画課感染症対策担当(電話:075-746-7200)に連絡すること
  1. 宿泊者の占有する全ての部分 ↩︎
  2. 宿泊者が就寝する部屋 ↩︎
  3. 給水栓から供給される流水により手を洗うことができる設備 ↩︎

なお、新型コロナウイルス感染症への対応については、京都市情報館(「宿泊施設における新型コロナウイルス感染症への対応について」)のホームページ等を参考にしてください。

宿泊者の安全の確保

住宅宿泊事業者は、届出住宅について、非常用照明器具の設置、避難経路の表示、火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために、非常用照明器具等の設置、避難経路の表示等の措置を講ずる必要があります。

届出住宅のある建物からの避難通路の幅員は1.5m以上を確保する必要がありますが、避難通路の最も狭い部分の幅員が1.5m以上確保できない場合は、以下の事項を遵守する必要があります。

  • 1回の宿泊について、5人以下の1グループとすること
  • 住宅宿泊管理業者に管理を委託する場合は、現地対応管理者を届出住宅と同じ町内もしくはそれと同等の範囲内に置くこと
  • 災害時における宿泊者の避難上の安全性の向上に努めること
  • 届出住宅の耐震性能の向上に努めること
外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保

住宅宿泊事業者は、外国人観光旅客である宿泊者に対し、届出住宅の設備の使用方法に関する外国語を用いた案内、移動のための交通手段に関する外国語を用いた情報提供、外国語を用いた火災地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内、その他外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置を講じなければならないこととされています。

宿泊者名簿の備付け

住宅宿泊事業者は、届出住宅又は住宅宿泊事業者の営業所若しくは事務所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日のほか、宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号を記載し、都道府県知事の要求があったときは、これを提出しなければならないものとされています。

宿泊者名簿は、正確な記載を確保するための措置を講じた上で作成し、その作成の日から3年間保存するものとされています。なお、宿泊者は、住宅宿泊事業者から請求があったときは、氏名、住所、職業、宿泊日並びに国籍及び旅券番号(日本国内に住所を有しない外国人であるとき)を告げる必要があります。

周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明

住宅宿泊事業者は、書面の備付けその他の適切な方法により、宿泊者に対し、騒音の防止のために配慮すべき事項、ごみの処理に関し配慮すべき事項、火災の防止のために配慮すべき事項、地域の自治会等と取り決めた内容(共同住宅における共有部分の使い方を含む)及び地域との調和を図るために必要な事項について説明すべき義務があります。

また、外国人観光旅客である宿泊者に対しては、外国語を用いて説明をしなければならないものとされています。

苦情等への対応

住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問い合せについては、適切かつ迅速にこれに対応しなければならないものとされています。

京都市では、住宅宿泊管理業者に届出住宅の管理を委託する場合(家主不在型で住宅宿泊管理業者が自ら住宅宿泊事業者として営む場合を含む)には、人を宿泊させる間、届出住宅のある建築物の内部又は交通用具を利用しない場合にも確実に10分以内に到着できる場所(届出住宅から道のりでおおむね800m以内)に現地対応管理者を駐在させ、宿泊者並びに周辺住民及び近隣住民からの苦情や緊急時の対応等以下の業務を行うことを義務付けています。

  • 届出住宅の周辺住民からの苦情及び問合せに対し深夜早朝を問わず、その解決を図ること
  • 火災など緊急事態の発生時において、119番通報、初期消火や宿泊者の避難誘導、救助、安否確認及び110番通報や医療機関への通報連絡、宿泊者に係る情報提供など、宿泊施設の管理者として一般に求められる対応を行うこと
  • 宿泊者からの苦情及び問合せに必要に応じて外国語により対応し、その解決を図ること
  • 水道の水漏れや排水管の詰まりなど、届出住宅の設備構造に生じた不具合の応急修繕その他宿泊者が届出住宅で快適に宿泊するために必要とされる事項に対応すること
  • その他宿泊者の面接、本人確認、人数確認、宿泊者名簿の作成など、住宅宿泊管理業者から業務の一部委託を受けている場合は、委託に係る事項

また、現地対応管理者の適正な業務遂行及び地域住民との信頼関係の構築のため、現地対応管理者が法人の場合や、ひとつの届出住宅を複数人の現地対応管理者が担当する場合は、届出住宅の主たる担当者を定める必要があります。

現地対応管理者の体制整備

住宅宿泊管理業者は、現地対応管理者が深夜早朝を問わず、常時、その職務を適切に遂行できるよう、以下の体制を整備する必要があります。

  • 十分な職務遂行能力のある人員を配置すること
  • 宿泊者や周辺住民又は近隣住民と迅速かつ確実に連絡が取れる体制を確保すること
  • ひとりの現地対応管理者に複数の届出住宅を担当させるときには、交代制の採用等により、同時に複数の苦情等に対応可能な体制を確保すること
  • ひとりの現地対応管理者(現地対応管理者が法人の場合は、実際に従事する駐在者)が同時に担当する宿泊室の数は5を超えないこと
宿泊者の面接

住宅宿泊事業者は、届出住宅の内部において、対面により、全ての宿泊者の本人確認と人数確認を行う必要があります。

ただし、以下の条件を全て満たした上で、宿泊者のプライバシーには十分に配慮するとともに、「対面と同等の方法として実施している内容」を宿泊者に説明する場合は、対面と同等の方法として認められます。

  • 宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認でき、かつ、当該画像が宿泊者名簿と共に保存されていること
  • 上記の画像が届出住宅又はその存する敷地や建物等から発信されていることが確認できること
  • 届出住宅の出入口のほぼ全体の撮影を常時行い、かつ、記録を保存すること
  • 宿泊者が届出住宅内に立ち入ったことなど、出入りの状況を直ちに把握し、確認できること
  • 周辺住民の生活環境の悪化を防止するために必要な事項について説明ができること

また、対面によらず本人確認等を行った場合は、宿泊者の滞在中に少なくとも1回は宿泊者と面会し、施設の利用状況について確認する必要があります。

なお、宿泊契約が7日以上の長期間の滞在を行っている宿泊者については、定期的に面会を行うなどして、チェックイン時に本人確認を行っていない者が届出住宅に宿泊するなど、不審な者が滞在していないか、宿泊者が所在不明になっていないか等について確認を行う必要があります。

 ★鍵の受け渡しについて

居室又は届出住宅の鍵については、住宅宿泊事業者又は住宅宿泊管理業者(現地対応管理者を含む)が適切に管理し、面接による本人確認の後に、宿泊者に直接手渡し、また、利用後の鍵の返却についても、特段の事情がある場合を除き、宿泊者から直接受け取ることとしています。

なお、暗号キーなどを用いる場合であっても、本人確認の後に開示する必要があります。また、暗号キーを用いる場合(届出住宅がオートロックシステムの設置された共同住宅に存する場合であって、部屋ごとに暗証番号設定が可能な場合を含む) は、宿泊者ごとに暗証番号等を変更するなど、防犯措置を講ずる必要があります。

共同住宅における届出住宅について

共同住宅に届出住宅がある場合は、住宅宿泊事業者は、以下の事項を遵守する必要があります。

  • 共同住宅の主な出入口又はその付近の見やすい場所に、共同住宅に届出住宅があることを標示するとともに、部屋番号や案内図など、届出住宅の場所を示すものを、掲示に必要な権原(許可)を取得したうえで、掲示すること
  • 共同住宅の居住者等に対し、各営業日における宿泊者の有無及び宿泊予定人数を事前に周知すること
  • 届出住宅の宿泊者に対し、宿泊者であることの証明書を交付するとともに、共同住宅及びその敷地の内部においては、証明書を携帯し、その証明書を当該届出住宅がある共同住宅の居住者等に対していつでも提示することができるよう求めること

袋路内における届出住宅について

幅員が4m未満であって、その一端のみが他の道路に接続した道路等を袋路いいますが、袋路内に届出住宅がある場合は、住宅宿泊事業者は、以下の事項を遵守する必要があります。

  • 届出住宅が存する建築物の敷地が接する袋路状の道と他の道路とが接続する部分の付近の見やすい場所に、宿泊しようとする者が当該届出住宅の正確な位置を識別できる案内図などを、掲示に必要な権原(許可)を取得したうえで、掲示するよう努めること
  • 袋路内の道に接する敷地に存する当該届出住宅以外の建築物の占有者に対し、各営業日における宿泊者の有無及び宿泊予定人数を事前に周知すること
  • 届出住宅の宿泊者に対し、宿泊者であることの証明書を交付するとともに、袋路状の道を通行するときは、証明書を携帯し、当該袋路状の道に接する敷地に存する当該届出住宅以外の建築物の占有者その他の関係者に提示することができるよう求めること

近隣住民への事前の周知

すでに説明したとおり、住宅宿泊事業の届出を行うには、届出を行う20日前までに、届出を予定している住宅に事業を行う旨の掲示をするとともに、事前に近隣住民に対して事業の概要等を説明する必要があります。

また、届出住宅がある地域の町内会や自治会、その他の周辺住民などから説明会の開催や個別説明を求められた場合は、真摯に応じるよう努めるものとされています。

事業内容の掲示の状況や近隣住民への説明の実施状況については、届出時に報告書を添付する必要があります。なお、説明の対象となる「近隣住民」とは、以下の範囲に属する者をいいます。

  • 届出住宅が存する建築物の届出住宅以外の部分の占有者
  • 届出住宅が存する建築物の敷地の境界線からの水平距離が10mの範囲内にある敷地に存する建築物(外壁又はこれに代わる柱の面)と届出住宅が存する建築物の外壁等との間の水平距離が20mを超えるものを除く)の占有者
説明の範囲

届出の手順

京都市において、旅館業の営業許可を受けることなく住宅宿泊事業をはじめるためには、基準をすべて満たした上で、京都市長に対して住宅宿泊事業を営む旨の届出を行う必要があります。

大まかな流れは以下のとおりですが、詳細については、各担当部署に対し、必ず事前確認をするようにしてください。

(事前確認フロー)

事前確認フロー図

(届出手続フロー)

届出手続フロー図

(関係連絡先)

関係連絡先

届出に必要となる書類

  • 届出書
  • 誓約書
  • 定款又は寄付行為(法人)
  • 登記事項証明書(法人)
  • 身分証明書(届出者・役員・法定代理人)
  • 住宅の登記事項証明書
  • 入居者の募集の広告その他の当該住宅において入居者の募集が行われていることを証する書類(該当する場合)
  • 住宅が随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されていることを証する書類(該当する場合)
  • 住宅の図面
    • 台所、浴室、便所及び洗面設備の位置図
    • 住宅の間取り及び出入口
    • 各階の別
    • 居室、宿泊室及び宿泊者の使用に供する部分のそれぞれの床面積
  • 住宅宿泊事業の用に供することを目的とした使用を承諾したことを証する書面(賃貸物件の場合)
  • 専有部分の用途に関する規約の写し(住宅がある建物が二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものである場合)
  • 管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証する書類(規約に住宅宿泊事業を営むことについての定めがない場合)
  • 住宅宿泊管理業者から交付された契約書の写し(住宅宿泊管理業者に委託する場合)

住宅宿泊仲介業者への委託

宿泊者を募集するに当たって、宿泊者に対する届出住宅における宿泊のサービスの提供に係る契約の締結の代理又は媒介を他人に委託するときは、観光庁長官の登録を受けた住宅宿泊仲介業者又は旅行業者に委託する必要があります。

住宅宿泊事業者が、住宅宿泊仲介業者又は旅行業者以外の者に仲介を委託した場合、業務改善命令等の対象になるとともに、50万円以下の罰金が科されることがあるため、委託する際は、必ず事前に登録を行っている住宅宿泊仲介業者又は旅行業者であるかどうかの確認をするようにしましょう。

住宅宿泊管理業務の委託

住宅宿泊事業者は、届出住宅が以下のいずれかに該当するときは、住宅宿泊管理業者である住宅宿泊事業者が自ら住宅宿泊管理業務を行うときを除き、届出住宅に係る住宅宿泊管理業務の全部を、契約により、単一の住宅宿泊管理業者に委託する必要があります。

その際住宅宿泊事業者は、委託しようとする住宅宿泊管理業者に対し、あらかじめ届出書及び添付する書類の内容を通知して契約を結びます。

  • 届出住宅の居室の数が5を超えるとき
  • 届出住宅に人を宿泊させる間、不在(日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在を除く)となるとき

家主居住型と家主不在型

住宅宿泊事業には、家主居住型と家主不在型の2タイプが存在しています。「家主居住型」とは、住宅提供者が住宅内に居住しながら、その一部を利用者に貸し出すホームステイ型の事業を指し、「家主不在型」とは、住宅提供者の生活の本拠以外、又は生活の本拠であっても住宅提供日に住宅提供者が泊まっていない住宅を利用者に貸し出すタイプの事業を指します。

家主居住型住宅提供者が住宅内に居住しながら一部を利用者に貸し出すモデル
家主不在型住宅提供者の生活の本拠以外、又は生活の本拠であっても住宅提供日に住宅提供者が泊まっていない住宅を貸し出すモデル

このうち家主不在型については、すでに説明したとおり、住宅宿泊管理業者に住宅宿泊管理業務を委託する必要があります。

要するに、届出住宅を自ら管理することが難しい場合には、ちゃんと管理できる事業者に管理を委託しなさいよ、というのが、この規定の本旨です。

なお、以下のいずれかに該当する場合は、家主不在型にはあたらないため、届出住宅の居室の数が5を超えるときを除き、住宅宿泊管理業務を委託する必要はありません。

  • 住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が、同一の建築物内若しくは敷地内にあるとき又は隣接しているとき(住宅宿泊事業者が届出住宅から発生する騒音その他の事象による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときを除く)
  • 住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行う居室の合計数が5以下であるとき

住宅宿泊管理業

住宅宿泊管理業務とは、宿泊者の衛生の確保、宿泊者の安全の確保、外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保、宿泊者名簿の備付け、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明、苦情等への対応及び住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅の維持保全に関する業務をいいます。そして住宅宿泊事業者から委託を受けて、報酬を得て、これらの住宅宿泊管理業務を行う事業を住宅宿泊管理業といいます。

住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅においては、住宅宿泊管理業者が管理業務を行うため、住宅宿泊事業を営む住宅宿泊事業者については、上記の業務に関する規定は適用されません。

なお、住宅宿泊管理業をはじめるためには、国土交通大臣により住宅宿泊管理業者登録簿に登録をなされる必要があります。

その他の留意事項

住宅宿泊事業者には、2か月ごとに営業実績を京都市長に報告する義務があるほか、廃棄物の処理、宿泊税の納入義務及び標識の掲示といった義務があります。

廃棄物の処理

届出住宅から生じるごみは、分別のうえ、事業系の廃棄物(事業系一般廃棄物、産業廃棄物)として、住宅宿泊事業者が責任をもって処理する義務があります。そのため、届出住宅から生じるごみは、届出住宅内またはその敷地内で適正に保管する必要があります。

京都市では、住宅宿泊事業の届出時(及び処理方法の変更時)に届出住宅から生じたごみの処理方法について京都市長に報告し、届出住宅から生じたごみを処理した日以降の最初に行う定期報告において、以下の各項目に該当する書類を京都市長に提出することが義務付けられています。

  • 住宅宿泊事業者が自らその廃棄物を廃棄物の処理施設に運搬する場合、廃棄物を廃棄物の処理施設に運搬し、処分を委託したことを証する書類
  • 収集運搬許可業者に対し廃棄物を収集し、又は運搬することを委託する場合、収集運搬許可業者に対し廃棄物を収集し、又は運搬することを委託したことを確認することができる書類

なお、住宅宿泊事業の実施に伴って生じる廃棄物の処理の方法が変更になった場合も、変更後の方法により廃棄物の処理をした後最初に行う定期報告の際に変更後の廃棄物の処理の方法に応じて、上記の各項目に該当する書類を京都市長に提出する必要があります。

★委託契約をする際の注意事項

届出住宅から出るごみの収集運搬については、生じるごみの種類に応じて「一般廃棄物収集運搬業」や「産業廃棄物収集運搬業」の許可を取得している事業者でなければ、ごみの収集運搬を委託することができません。家主不在型などにおいて住宅宿泊管理業者に委託する業務に「ごみの運搬収集」が含まれている場合は、必ず、住宅宿泊管理業者が必要な許可を取得していることを確認するようにしてください。

宿泊税の納入義務

京都市では、国際文化観光都市としての魅力を高め、観光の振興を図るため、京都市内に宿泊される方を対象に宿泊税を課税しています。このため、住宅宿泊事業法の届出の手続きの完了後、営業開始の前日までに、経営申告書を行財政局税務部税制課(電話:075-708-5016)に提出する必要があります。

標識の掲示

住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に、それぞれ以下の様式の標識を掲げる必要があります。

住宅宿泊管理業務を自ら行う者第四号様式
届出住宅に人を宿泊させる間、不在となるときに届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を自ら行う者(住宅宿泊管理業者であるものを除く)第五号様式
届出住宅に人を宿泊させる間不在となるときに届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を自ら行う者第六号様式
届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者へ委託する者第六号様式
計画の概要の掲示場所

飲食の提供

住宅宿泊事業者は、原則として宿泊者に対して飲食の提供はできません。飲食の提供をする場合は、別途、食品衛生法などの法令に基づく許可等が必要になるため、医療衛生センターに事前に相談するようにしてください。

住宅宿泊事業届出サポート

民泊が一時流行したときに民泊事業をはじめた方の中には、「こんなはずじゃなかった」と言って事業の転換を図ろうとされる方もいらっしゃいます。

一見すると、お手軽に見える民泊事業ですが、(コロナ禍は誰も予測できなかったにせよ、)事業計画を甘く見積もると、事業として苦戦を強いられることは否めません。また、知識や人手の不足のために、宿泊客や周辺住民との間でトラブルを生じるケースも珍しくはありません。

コロナ禍を経て、観光業そのものに求められるニーズが変化しつつある現在、今いちどしっかりとした事業計画を立て直し、「おもてなし」の精神に基づいたサービスを提供していくことが民泊復活の鍵であるように思います。

弊所では、関西圏全域において民泊に関する手続きの代行を承っております。面倒な事前調査や保健所との事前協議から、書類作成、届出の代行及び現地調査に至るまで、しっかりまるっとサポートいたします。また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。住宅宿泊管理会社を紹介することも可能です。

京都市における民泊開業の手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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