警備員指導教育責任者(指教責)の兼任について
警備業法第22条第1項前段では、警備員指導教育責任者(以下、指教責)について以下のように規定しています。
警備業者は、営業所(警備員の属しないものを除く)ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分ごとに、警備員の指導及び教育に関する計画を作成し、その計画に基づき警備員を指導し、及び教育する業務で内閣府令で定めるものを行う警備員指導教育責任者を、次項の警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けている者のうちから、選任しなければならない。
(警備業法第22条第1項前段)
法令特有の少々分かりにくい文章ですが、要するに警備員の指導教育について重要な職務を担う指教責を、営業所ごと、その営業所において取り扱う警備業務の区分ごとに選任しなければならない旨を定めたものが上記の条文です。
さらに警備業法施行規則第39条では、上記の規定を具体化するために、以下のような条文を設けています。
(警備業)法第22条第1項の規定により選任される指導教育責任者は、次項及び第三項に規定する場合を除き、営業所ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分ごとに、専任の指導教育責任者として置かれなければならない。
2 二以上の警備業務の区分を取り扱う一の営業所において、これらの警備業務の区分のすべてに応じ警備業務の区分に係る指導教育責任者資格者証の交付を受けている者が置かれる場合は、当該これらの警備業務の区分ごとに専任の指導教育責任者をそれぞれ選任することを要しない。
3 専任の指導教育責任者が置かれている営業所に近接する営業所でその属する警備員の数が五人以下であるものについて、当該指導教育責任者が当該営業所において取り扱う警備業務の区分に係る指導教育責任者資格者証の交付を受けており、かつ、当該指導教育責任者を当該警備業務の区分に係る指導教育責任者として置くことにつき当該営業所の所在する都道府県の区域を管轄する公安委員会の承認を得た場合は、専任の指導教育責任者を選任することを要しない。
(警備業法施行規則第39条)
これまた分かりづらい文章ですが、第1項中にある「営業所ごと(略)に、専任」とは、その営業所に常勤して指導教育責任者の業務に従事し得る状態にあることを意味します。したがって、他の営業所と掛け持ちしている場合、他に職業を持っていて通常の営業時間にその営業所に勤務できない状態にある場合等は専任とはいえませんが、指教責の業務のみに専従することまで必要とするものではなく、指教責の業務に支障のない範囲で、警備業務に従事したり、その営業所の他の業務に従事したりするものであってもよいものとされています。
二以上の警備業務の区分を取り扱う一の営業所において、これらの警備業務の区分のすべてに応じ警備業務の区分に係る指導教育責任者資格者証の交付を受けている者が置かれる場合は、当該これらの警備業務の区分ごとに専任の指導教育責任者をそれぞれ選任することを要しない。
(警備業法施行規則第39条第2項)
そして第2項では、指教責が複数の警備業務の区分の指導教育責任者を兼任できることを明らかにしています。ただし、警備業務の区分ごとに属する警備員が相当数となるような営業所については、各区分ごとに指導教育責任者を選任することが望ましいものとされています。
専任の指導教育責任者が置かれている営業所に近接する営業所でその属する警備員の数が五人以下であるものについて、当該指導教育責任者が当該営業所において取り扱う警備業務の区分に係る指導教育責任者資格者証の交付を受けており、かつ、当該指導教育責任者を当該警備業務の区分に係る指導教育責任者として置くことにつき当該営業所の所在する都道府県の区域を管轄する公安委員会の承認を得た場合は、専任の指導教育責任者を選任することを要しない。
(警備業法施行規則第39条第3項)
第3項では、以下の要件をすべて満たす営業所について、例外的に専任の指教責を選任する必要がないことを規定しています。
- 専任の指導教育責任者が置かれている営業所に近接する営業所であること
- 属する警備員の数が5人以下であること
- 指導教育責任者がその営業所において取り扱う警備業務の区分に係る指導教育責任者資格者証の交付を受けていること
- 指導教育責任者を警備業務の区分に係る指導教育責任者として置くことにつきその営業所の所在する都道府県の区域を管轄する公安委員会の承認を得ていること
ここでいう「近接する」とは、二つの営業所における指導教育に関する業務を適時適切に行うことができる距離にあることをいい、おおむね片道1時間以内で行ける距離にあることが条件とされています。
兼任の承認は、上記すべての要件を満たす営業所について行われますが、承認の可否については、都道府県ごとに運用方法が異なります。いかに要件すべてを満たしていたとしても、たとえば大阪府警(大阪府公安委員会)のように、そもそも承認をしない方針としている公安委員会もあるためご注意ください。
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