カジノ関連機器等輸入業の許可申請について
2018年に可決され成立した特定複合観光施設区域整備法(以下、IR実施法)では、カジノ施設を含む統合型リゾート施設(特定複合観光施設)に関して必要な事項を定めていますが、条文中ではカジノ関連機器等についても触れられており、これを輸入し、及びこれを販売し又は貸与する事業(カジノ関連機器等輸入業)に対する規制が設けられています。
具体的には、カジノ関連機器等輸入業を行おうとする者について、カジノ管理委員会の許可を受けることを義務付けてカジノ関連事業の参入にハードルが設けられています。
これはカジノ行為に大きな影響を与えうる機器を取り扱う事業者について、十分な社会的信用を担保させ、カジノ事業の適正な運営に資するために設けられた制度です。
そこで本稿では、IR実施法と関連法令の概要のうち、カジノ関連機器等輸入業に関する事項及び許可制度について、分かりやすく解説していきたいと思います。
目 次
カジノ関連機器等
カジノ行為とは、カジノ事業者と顧客との間又は顧客相互間で、同一の施設において、その場所に設置された機器又は用具を用いて、偶然の事情により金銭の得喪を争う行為であって、カジノ管理委員会規則に定められている以下の行為をカジノ行為をいいます。
バカラ | ディーラーによりプレイヤー側とバンカー側に配布されたトランプの点数を合計した点数の下一桁の数字について、いずれかの側が大きいこと又は双方の側が同じであることを予想して賭けることを基本とするもの |
トゥエンティワン | ディーラーにより顧客に配布されたトランプの点数を合計した点数が、21点を超えない範囲で、ディーラーに配布されたトランプの点数を合計した点数よりも大きいことに対して賭けることを基本とするものであって、ブラックジャック、ブラックジャックスイッチ又はポンツーンの方法により行うもの |
ポーカー | ディーラーにより顧客、ディーラーその他の対象又はテーブルに配布されたトランプの組合せについて、手役の強さによって賭けの勝敗を決定することを基本とするものであって、カリビアンスタッドポーカー、スリーカードポーカー、テキサスホールデムボーナス、ミシシッピスタッドポーカー、レットイットライド、オマハポーカー、テキサスホールデムポーカー又はポーカートーナメントの方法により行うもの |
カジノウォー | ディーラーにより顧客に配布された1枚のトランプが、ディーラーに配布された1枚のトランプより強いことに対して賭けることを基本とするもの |
クラップス | 転がした2個のさいころの出目の合計が、それより前に転がされた2個のさいころの出目の合計と一致すること又は7となることを予想して賭けることを基本とするもの |
シックボー | 転がした3個のさいころの出目又はその合計若しくは組合せを予想して賭けるもの |
ルーレット | ルーレットホイールのシリンダーにあるボールポケットのうちルーレットボールが収まるものに対応する数字を予想して賭けるものであって、シングルゼロルーレット又はダブルゼロルーレットの方法により行うもの |
マネーホイール | マネーホイール用ホイールの回転する円盤にあるシンボル(※)が表示された区画のうちクラッパー(※)が示すシンボルが表示された区画に対応するシンボルを予想して賭けるもの |
パイゴウ | ディーラーにより顧客に配布された4枚のパイゴウタイルを2枚ずつ2組に分けて形成した強い側の2枚の組合せ及び弱い側の2枚の組合せが、ディーラーに配布された4枚のパイゴウタイルを2枚ずつ2組に分けて形成した強い側の2枚の組合せ及び弱い側の二枚の組合せよりもそれぞれ強いことに対して賭けることを基本とするもの |
電子ゲーム | 乱数発生装置により発生した乱数を用いて賭けの勝敗を決定するもの(上記の種類のカジノ行為の方法に従って行うものを除く) |
※クラッパーとは、マネーホイール用ホイールの上部に固定され、円盤の回転を止めるとともに、当たりのシンボルを示すものをいう。
また、カジノ行為業務とは、カジノ施設におけるカジノ行為を顧客との間で行い、又は顧客相互間で行わせることに係る業務をいい、専らこのカジノ行為業務において使用されるように設計された機器等であって、カジノ行為の結果、その結果に基づく金銭の支払若しくはカジノ行為業務に関する会計事務又はこれらを監視する業務に関連するものをカジノ関連機器等としています。
電磁的カジノ関連機器等
電磁的カジノ関連機器等とは、カジノ関連機器等のうち、電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によって認識することができない方法を利用した機器若しくは用具、又はプログラム若しくはこれを記録した記録媒体以下のものをいいます。
種別(用途) | 機能 |
---|---|
電子ゲームシステム(電子ゲーム) | カジノ行為の結果の決定、カジノ行為の結果に基づく金銭の支払、カジノ行為に係る会計処理及びこれらの監視を一体的に行うことができること |
電子テーブルゲームシステム(電子テーブルゲーム) | カジノ行為の結果の決定、カジノ行為の結果に基づく金銭の支払、カジノ行為に係る会計処理及びこれらの監視を一体的に行うことができること |
ディーラー操作式電子テーブルゲームシステム(ディーラー操作式電子テーブルゲーム) | カジノ行為の結果に基づく金銭の支払、カジノ行為に係る会計処理及びこれらの監視を一体的に行うことができること |
クライアントサーバゲームシステム(電子ゲーム及び電子テーブルゲーム) | カジノ行為の結果の決定、カジノ行為の結果に基づく金銭の支払、カジノ行為に係る会計処理及びこれらの監視をサーバ及びプレイヤー端末を用いて一体的に行うことができること |
プログレッシブシステム(プログレッシブ) | プログレッシブにおいて蓄積される金銭の管理、当該金銭の支払、カジノ行為に係る会計処理及びこれらの監視を一体的に行うことができること |
トランプシャッフラー(トランプを使用するテーブルゲーム) | 複数枚のトランプを自動で無作為に並べ替えることができること |
電子ディーリングシュー(トランプを使用するテーブルゲーム) | ディーラーが引こうとするトランプ以外のトランプに触れることを防止し、及びトランプが引かれるまでの間これらのトランプの表面に表示された数字又は文字及びスートを推測されないようにトランプを収納することができる機能並びにトランプを配布する際の当該トランプの数字及び文字並びにスートの読み取りができること |
電子さいころシェーカー(さいころを使用するテーブルゲーム) | さいころを自動で振ることができること |
バウチャー払戻機(バウチャーと引換えに行う現金の交付) | バウチャーと引換えに行う現金の交付、交付に係る会計処理及びこれらの監視を一体的に行うことができること |
カジノマネジメントシステム(カジノ行為の結果に基づく金銭の支払、カジノ行為業務に関する会計事務及びこれらを監視する業務) | プログラム又は機器であって、この項の中欄に掲げる業務を一体的に行うことができること |
非電磁的カジノ関連機器等
非電磁的カジノ関連機器等とは、電磁的カジノ関連機器等以外の以下のカジノ関連機器等をいいます。
種別 | 用途 | 機能 |
---|---|---|
テーブルゲーム用チップ | カジノ行為においてその得喪を争う金銭に代えて使用 | 円形、だ円形、概ね正方形又は概ね長方形の用具であって、その種類及び枚数により、カジノ行為における顧客の賭金額又は勝金額を表示することができること |
トーナメントチップ | ポーカートーナメントの方法により行うポーカーにおいて、参加する顧客の点数の表示のみに使用 | 円形の用具であって、その保有された種類及び枚数により、カジノ行為における顧客の点数を表示することができること |
トランプ | バカラ、トゥエンティワン、ポーカー若しくはカジノウォー又はディーラー操作式電子テーブルゲーム(トランプを使用するものに限る)において使用 | カードの表面に表示された数字又は文字及びスートにより、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること |
プリシャッフルマルチデッキ | バカラ、トゥエンティワン若しくはカジノウォー又はディーラー操作式電子テーブルゲーム(トランプを使用するものに限る)で使用されるトランプを集約する | 4組から8組で構成され、その製造時において無作為に並べ替えられたものであって、その構成するトランプにより、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること |
ディーリングシュー | テーブルゲーム(トランプを使用するものに限る)において使用するトランプを収納 | ディーラーが引こうとするトランプ以外のトランプに触れることを防止し、及びトランプが引かれるまでの間これらのトランプの表面に表示された数字又は文字及びスートを推測されないようにトランプを収納することができること |
さいころ | クラップス、シックボー若しくはパイゴウ又はディーラー操作式電子テーブルゲーム(さいころを使用するものに限る)において使用 | 立方体(頂点に面取りがなされたものを含む)の用具であって、各面にそれぞれ表示された目により、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること |
ルーレットホイール | ルーレットにおいて当たり数字の確定に使用 | シリンダーとこれを支える台で構成された用具であって、ルーレットボールが収まるボールポケットに対応する数字により、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること |
ルーレットボール | ルーレットにおいて当たり数字の確定に使用 | 球形の用具であって、一のボールポケットに収まり、ボールポケットに対応する数字を明確にすることにより、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること |
マネーホイール用ホイール | マネーホイールにおいて当たりシンボルの確定に使用 | 回転する円盤、これを支える台及びクラッパーで構成された用具であって、クラッパーが示す円盤にある区画に表示されたシンボルにより、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること |
パイゴウタイル | パイゴウにおいて役の確定に使用 | 直方体の用具であって、一の面に表示された2から12までの数字のいずれかを示す点により、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること |
カジノ関連機器等輸入業
カジノ関連機器等輸入業とは、カジノ関連機器等を輸入し、及びこれを販売し又は貸与する事業をいいます。隣接する以下の事業と合わせて「カジノ関連機器等製造業等」と呼ばれることもあります。
カジノ関連機器等製造業 | カジノ関連機器等を製造し、及びこれを販売し又は貸与する事業 |
カジノ関連機器等輸入業 | カジノ関連機器等を輸入し、及びこれを販売し又は貸与する事業 |
カジノ関連機器等修理業 | カジノ関連機器等を保守し、又は修理する事業 |
カジノ関連機器等外国製造業 | 外国において、日本国内に輸出されるカジノ関連機器等を製造し、及びこれを販売する事業 |
これらのうち、カジノ関連機器等製造業、カジノ関連機器等輸入業又はカジノ関連機器等修理業を行おうとする者は、その種別に応じて、カジノ管理委員会の許可を受ける必要があります。
また、カジノ関連機器等製輸入業者は、自己の名義をもって、他の者にカジノ関連機器等輸入業を行わせることはできません。(名義貸しの禁止)
カジノ関連機器等輸入業許可申請
カジノ関連機器等輸入業の許可を受けようとする者は、以下の事項を記載した申請書をカジノ管理委員会に提出することにより申請を行います。
- 申請者の名称及び住所並びに代表者の氏名
- 許可を受けようとするカジノ関連機器等製造業等の種別
- 取り扱おうとするカジノ関連機器等の種別
- 申請者の役員の氏名又は名称及び住所
- 申請者の役員の役職名及び担当業務
許可申請に必要となる書類
- 許可申請書
- 欠格事由のいずれにも該当しないことを誓約する書面
- 定款及び登記事項証明書
- 業務方法書
- 貸借対照表
- 収支の見込みを記載した書類
- 業務に係る人的構成及び組織図を記載した書面
- 資金計画
- 法人である申請者及び役員が質問票に必要な事項を記載したもの及びその記載内容を証する資料並びに同意書
- 出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者が質問票に必要な事項を記載したもの及びその記載内容を証する資料並びに同意書
- 役員の戸籍謄本又はこれに準ずる書面(外国人にあっては、在留カード、特別永住者証明書、住民票、旅券その他の身分を証する書類の写し)(法人にあっては、定款及び登記事項証明書(これらに準ずるものを含む))
- その他審査に必要な資料
許可の基準
カジノ管理委員会は、許可の申請があったときは、以下の基準を満たしているか否かを審査し、許可の可否を決定します。
- 申請者が、人的構成に照らして、申請に係るカジノ関連機器等輸入業を的確に遂行することができる能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること
- 申請者の役員が十分な社会的信用を有する者であること
- 出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者が十分な社会的信用を有する者であること
- 申請者が申請に係るカジノ関連機器等輸入業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、カジノ関連機器等輸入業に係る収支の見込みが良好であること
- 定款及び業務方法書の規定が、法令に適合し、かつ、申請に係るカジノ関連機器等輸入業を適正に遂行するために十分なものであること
なお、カジノ管理委員会は、上記の基準に照らし必要があると認めるときは、許可に条件を付し、及びこれを変更することができるものとされています。
欠格事由
許可の申請について、申請者が以下の事由に該当するとき、又は申請書若しくはその添付書類のうちに虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、カジノ関連機器等輸入業者としての適正を欠く者として許可を受けることはできません。
- 会社法に規定する会社でない者
- カジノ事業の免許を取り消され、カジノ施設供用事業の免許を取り消され、カジノ関連機器等製造業等の許可を取り消され、カジノ関連機器等外国製造業の認定を取り消され、指定試験機関の指定を取り消され、若しくはIR実施法に相当する外国の法令の規定により外国において受けているこれらの免許、許可、認定若しくは指定に相当する行政処分を取り消され、又はこれらの免許、許可、認定若しくは指定若しくはこれらに相当する行政処分の更新を拒否され、取消し又は更新の拒否の日から起算して5年を経過しない者
- 認可主要株主等の認可を取り消され、認可施設土地権利者の認可を取り消され、指定試験機関の認可主要株主等の認可を取り消され、又はIR実施法に相当する外国の法令の規定により外国において受けているこれらの認可に相当する行政処分を取り消され、取消しの日から起算して5年を経過しない者
- 上記の免許、許可、認定、指定若しくは認可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日若しくは上記の行政処分に相当する行政処分の取消しの日前60日以内に免許、許可、認定、指定若しくは認可若しくはこれらに相当する行政処分を取り消された法人等の役員であった者又はこれらの免許、許可、認定若しくは指定若しくはこれらに相当する行政処分の更新を拒否された法人等の役員であった者で、当該取消し又は更新の拒否の日から起算して5年を経過しないもの
- 解任を命ぜられ、又はIR実施法に相当する外国の法令の規定により解任を命ぜられた役員で、解任の日から起算して5年を経過しないもの
- IR実施法若しくはこれに相当する外国の法令の規定に違反し、又は組織的犯罪処罰法第17条の罪、犯罪収益移転防止法第31条の罪その他政令で定める罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しないもの
- 申請者の役員又は出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者のうちに20歳未満の者があるもの
- 申請者の役員又は出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者のうちに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
- 申請者の役員又は出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者のうちに2から5までのいずれかに該当する者があるもの
- 申請者の役員又は出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者のうちに、特定カジノ業務の従業者の確認を取り消され、特定カジノ施設供用業務の従業者の確認を取り消され、特定カジノ関連機器等製造業務等の従業者の確認を取り消され、特定試験業務の従業者の確認を取り消され、若しくはIR実施法に相当する外国の法令の規定により外国において受けているこれらの確認に相当する行政処分を取り消され、又はこれらの確認若しくはこれらに相当する行政処分の更新を拒否された場合における確認又はこれに相当する行政処分に係る従業者であって、取消し又は更新の拒否の日から起算して5年を経過しないもの(取消し又は更新の拒否について当該従業者の責めに帰すべき事由があるときに限る)があるもの
- 申請者の役員又は出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者のうちに禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者があるもの
- 申請者の役員又は出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者のうちにアルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者があるもの
- 申請者の役員又は出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者のうちに暴力団員又は暴力団員でなくなった日から起算して5年を経過しない者があるもの
- 申請者の役員又は出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者のうちに、IR実施法若しくはこれに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法第185条若しくは第187条の罪、組織的犯罪処罰法第9条第1項から第3項まで、第10条、第11条若しくは第17条の罪、暴力団対策法第46条から第四十九条まで、第50条(第1号に係る部分に限る)若しくは第51条の罪、犯罪収益移転防止法第25条から第31条までの罪その他政令で定める罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者があるもの
- 申請者の役員のうちに精神の機能の障害によりカジノ関連機器等製造業等を的確に遂行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者があるもの
許可の有効期間
許可の有効期間は、許可の日から起算して3年とされており、有効期間の満了後引き続きカジノ関連機器等輸入業を行おうとする者は、有効期間の満了の日の6か月前までの間にカジノ管理委員会に申請し、許可の更新を受ける必要があります。
有効期間の満了の日までに申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、有効期間の満了後も処分がされるまでの間はなお効力を有します。
また、更新がされたときは、新たな許可の有効期間は、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算して3年となります。
許可書
カジノ関連機器等輸入業者として許可を受けた者は、カジノ管理委員会より、以下の事項を記載した許可書が交付されます。
- カジノ関連機器等輸入業者の名称
- 許可の年月日
- 許可の有効期間の満了の日
- 許可の番号
- 取り扱うカジノ関連機器等の種別
- カジノ関連機器等輸入業者の住所
- 許可の条件
許可書の交付(又は書換え)を受けた者は、許可書を亡失し、又は許可書が滅失したときは、速やかにその旨をカジノ管理委員会に届け出て、許可書の再交付を受ける必要があります。
また、変更の承認を受けた事項又は届出に係る事項が許可書の記載事項に該当するときは、遅滞なく、その書換えを受ける必要があります。
なお、許可書の交付又は書換えを受けた者は、以下のいずれかに該当することとなったときは、遅滞なく、許可書をカジノ管理委員会に返納するものとされています。
- 事業を廃止し、又は譲渡したとき(会社の地位の承継について承認を受けた場合を除く)
- 許可が取り消されたとき
- 亡失により許可書の再交付を受けた場合において、亡失した許可書を発見し、又は回復したとき(発見し、又は回復した許可書を返納)
許可書の交付(又は書換え)を受けた者が以下のいずれかに該当することとなったときは、遅滞なく、許可書をカジノ管理委員会に返納する必要があります。
事由 | 義務者 |
---|---|
合併以外の事由により解散したとき | 清算人又は破産管財人 |
合併により消滅したとき(消滅までに、合併後存続し、又は合併により設立される会社について地位の承継の承認が与えられなかったときに限る) | 合併後存続し、又は合併により設立された会社の代表者 |
変更の承認及び届出
カジノ関連機器等輸入業者は、取り扱おうとするカジノ関連機器等の種別又は役員の変更をしようとするときは、カジノ管理委員会の承認を受ける必要があります。また、カジノ関連機器等輸入業者の名称の変更をしたときは、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。
承認の基準及び欠格事由については、許可申請時に求められる規定がそのまま適用されています。
許可の取消し
カジノ管理委員会は、カジノ関連機器等輸入業者について、以下のいずれかの事実が判明したときは、カジノ関連機器等輸入業の許可を取り消すことができるものとされています。
- 偽りその他不正の手段により許可若しくは変更の承認を受けたこと
- 許可の基準に適合していないこと
- 欠格事由のいずれかに該当していること
定款
カジノ関連機器等輸入業者の定款の規定は、法令に適合し、かつ、申請に係るカジノ関連機器等輸入業を適正に遂行するために十分なものであることが要求されています。
カジノ関連機器等輸入業者が定款の変更をしようとするときは、カジノ管理委員会の認可を受ける必要があります。カジノ管理委員会は、定款の規定が法令に適合し、かつ、申請に係るカジノ関連機器等輸入業を適正に遂行するために十分なものであるかどうかについて審査し、認可の可否を決定します。
業務方法書
カジノ関連機器等輸入業者は、以下の事項を記載した業務方法書であって、法令に適合し、かつ、カジノ関連機器等輸入業を適正に遂行するために十分なものを作成し、許可申請時に添付するほか、変更をしようとするときは、カジノ管理委員会の認可を受ける必要があります。
- カジノ関連機器等輸入業に係る業務に関し、その種別に応じたカジノ関連機器等の管理の方法(法の規定の遵守のための管理の方法を含む)
- カジノ関連機器等輸入業に係る業務の執行が法令に適合することを確保するための体制その他カジノ関連機器等輸入業に係る業務の適正を確保するための体制の整備に関する事項
- カジノ関連機器等輸入業に係る業務の一部を他の者に行わせる場合には、行わせる業務の内容並びに行わせる者の選定に係る基準及び手続
- 特定カジノ関連機器等製造業務等に従事することが予定されている者の十分な社会的信用及び欠格事由のいずれにも該当しないことを点検するために必要な措置に関する事項
カジノ関連機器等輸入業の従業者
カジノ関連機器等輸入業者は、カジノ管理委員会の確認を受けなければ、その雇用する者その他の者を、以下の業務(特定カジノ関連機器等製造業務等)に従事させることはできません。
- カジノ関連機器等の製造又はその保守若しくは修理その他の管理をする業務
- カジノ関連機器等の製造、輸入、販売若しくは貸与の監督又はその保守若しくは修理その他の管理の監督をする業務
カジノ管理委員会は、申請対象者がその従事する特定カジノ関連機器等製造業務等を的確に遂行することができる能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であるかどうかを審査するものとされており、以下の基準を満たさない者については、この確認を受けることはできません。
区分 | 業務遂行能力 | 社会的信用性 |
---|---|---|
製造又はその保守若しくは修理その他の管理をする業務に従事する者 | カジノ関連機器等の製造又はその保守若しくは修理その他の管理のための教育訓練を受けた者であること | ①暴力団との関係の有無・内容、②刑事処分歴の有無・内容、③カジノ事業等の活動の状況に関する不適切な経歴の有無・内容、④金銭管理状況に関する不適切な経歴の有無・内容等の事項を総合的に勘案してカジノ関連機器等製造業等に関連して不正又は不誠実な行為を行うおそれがないと認められる者であること |
製造、輸入、販売若しくは貸与の監督又はその保守若しくは修理その他の管理の監督をする業務に従事する者 | カジノ関連機器等の製造、輸入、販売若しくは貸与の監督又はその保守若しくは修理その他の管理の監督のための教育訓練を受けた者であって、実務経験等に照らし、監督業務を的確に遂行することができる能力を有すること | ①暴力団との関係の有無・内容、②刑事処分歴の有無・内容、③カジノ事業等の活動の状況に関する不適切な経歴の有無・内容、④金銭管理状況に関する不適切な経歴の有無・内容等の事項を総合的に勘案してカジノ関連機器等製造業等に関連して不正又は不誠実な行為を行うおそれがないと認められる者であること |
型式検定
カジノ関連機器等輸入業者が電磁的カジノ関連機器等を輸入しようとするときは、その型式について検定に合格した電磁的カジノ関連機器等を輸入する場合を除き、カジノ管理委員会が行う電磁的カジノ関連機器等の型式についての検定を受ける必要があります。
検定の合格基準
以下の事由のいずれかに該当するときは、型式検定に合格することはできません。
- 申請に係る型式がカジノ管理委員会規則で定める技術上の規格に適合していないこと
- 申請に係る型式の電磁的カジノ関連機器等を製造し、及び検査する設備、体制及び手続がカジノ管理委員会規則で定める基準に適合していないこと
- 申請者がカジノ関連機器等輸入業者である場合において、申請に係る型式の電磁的カジノ関連機器等を製造した者がその製造所及び電磁的カジノ関連機器等の種別に係るカジノ関連機器等外国製造業の認定を受けていないこと
検定の有効期間は10年間とされており、検定を受けた者は、検定に合格した型式の電磁的カジノ関連機器等に、検定に合格した型式の電磁的カジノ関連機器等である旨の表示を付す必要があります。
また、何人も、検定に合格した型式の電磁的カジノ関連機器等以外の機器等には、この表示を付し、又はこれと紛らわしい表示を付すことはできません。
自己確認
カジノ関連機器等輸入業者が非電磁的カジノ関連機器等を輸入しようとするときは、自己確認がされた非電磁的カジノ関連機器等を輸入する場合を除き、以下の事項について自ら確認を行う必要があります。これは設計又は措置に関する事項の変更をしようとするときも同様です。
- 非電磁的カジノ関連機器等の設計が技術基準に適合することを確保できるものであること
- 非電磁的カジノ関連機器等が上記の設計に合致するものとなることを確保するための措置に関する事項が定められ、かつ、その事項が適切なものであること
また、自己確認を実施したカジノ関連機器等輸入業者は、遅滞なく、一定の事項についてカジノ管理委員会に届出を行い、自己確認の結果及び自己確認の方法に関する事項について記録を作成し、これを3年間保存する必要があります。
表示
自己確認実施輸入業者は、届出設計に基づき製造された非電磁的カジノ関連機器等について検査の記録を作成したときは、非電磁的カジノ関連機器等の見やすい箇所に容易に毀損しない方法で一定の事項についての表示を付す必要があります。
ただし、表示を付すことが困難又は不合理である非電磁的カジノ関連機器等にあっては、非電磁的カジノ関連機器等に付属する梱包又は容器その他のものの見やすい箇所に付すことができます。
また、何人も、非電磁的カジノ関連機器等以外の機器等にこの表示を付し、又はこれと紛らわしい表示を付すことはできません。
記録
カジノ関連機器等輸入業者は、カジノ関連機器等の輸入、販売若しくは貸与又は保守若しくは修理その他のカジノ関連機器等の管理に関する一定の事項について記録を作成し、記録に係るカジノ関連機器等を保有しないこととなった日又は保守若しくは修理を終了した日から起算して3年を経過する日までの間、これを保存する必要があります。
まとめ
特定複合観光施設(IR施設)に関連する法制度には、本稿でご案内したカジノ関連機器等輸入業者の許可制度のほかにも、主要株主や施設権利者に関する認可制度等があります。これらの規制は事業に関与しようとする者について社会的信用性を確保するために設けられたものですが、このようなことから、カジノ関連の事業に参入することにいかに高いハードルが設定されているのかがお分かりいただけるように思います。
カジノに関しては、新しいレジャーとして期待する声や、財政面の改善に資する事業として期待する声が寄せられる一方で、治安の悪化や青少年の健全な育成に悪影響を及ぼすリスクを懸念して反発する意見も根強く、これら双方の意見を制度に反映したことがこの制度を複雑にしている要因であることは間違いありません。
また、カジノという従来の日本には存在しなかった制度であるため、国や自治体もまずはハードルを上げて、試行錯誤を繰り返しながら制度の舵取りを行っていくものと予測します。
いずれにせよ法制化された以上、制度は動き始めています。行政書士として、一国民として、制度が適切に運用され、日本全体の利益につながるよう見守るように心がけたいと思います。
弊所は従前よりレジャー系やアミューズメント系の許認可に関する手続きのサポートを十八番にしています。カジノ関連事業のサポートと手続きに関するご相談はどうぞお気軽にご用命代ください。